ファンドラップは資産形成には不向き?10年後の運用結果はどうなる?

ファンドラップ10年後

ファンドラップは、銀行・証券会社といった金融機関を訪れた際に、おすすめされる機会も多いサービスです。投資信託の運用・管理を一任できる便利なサービスであるため、投資初心者や忙しい方から人気を得ていますが、果たして本当にお得なサービスであるのか疑問を感じている方もいるのではないでしょうか。

当記事では、ファンドラップが資産形成に向かないと言われている理由、10年利用した場合の運用コスト、代替としておすすめのサービス、利用した方が良いケースについて解説します。

ファンドラップを利用した資産形成を検討している方や、サービスの利用を再検討している方は、ぜひ参考にして下さい。

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ファンドラップとは?サービスの概要・特徴

ファンドラップとは、証券会社や銀行といった金融機関が提供している、投資信託を利用した投資一任サービスのことです。投資一任契約を締結することで、ファンド選定・ポートフォリオ作成・管理・報告・改善といった資産運用に関する一連の業務をプロに委任することができます。

ファンドラップは、複数の資産に投資することで価格変動リスクを抑え、リターンの安定化を図れることが大きな特徴です。知識やリソースがなくても長期投資での資産形成に容易に取り組めるため、忙しい方や投資初心者の方から近年高い人気を集めているサービスとなります。

関連記事:ファンドラップとは?サービス概要・メリット・デメリット・利用の流れをまとめて解説!

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ファンドラップが資産形成に向かないと言われている理由

ファンドラップは便利なサービスですが、投資に詳しい方からは「資産形成には向かない」との意見も多数挙がっています。ここでは、ファンドラップが資産形成に向かないと言われる理由について解説します。

関連記事:ファンドラップの評価が知りたい!代表的な金融機関のサービスを徹底比較!

運用コストが高い

ファンドラップでは、ポートフォリオを構成する各投資信託に対する信託報酬に加え、金融機関への投資一任報酬が必要となります。自身で投資信託を運用する場合とは異なり、二重にコストを支払い続けなければならないため、運用コストが高くなることが大きなデメリットです。

実際に、投資初心者や情報弱者を狙った報酬の二重取りであると問題視されているケースもあり、金融庁からも内容の吟味が必要であると注意喚起されている実情があります。

投資における運用コストは、ビジネスにおける経費にも似たコストです。コストが嵩むほど収益性は下がり、運用成績がコストを上回らないと赤字になるため注意が必要です。

ポートフォリオに要望が反映されていない場合がある

ファンドラップでは、金融機関が顧客の要望を取り入れてポートフォリオの提案を行います。しかし、どのようなポートフォリオが提案されるかは金融機関・担当者次第であるため、必ずしも要望通りのポートフォリオが構築されるとは限らない点に注意が必要です。

金融機関は顧客のさまざまな要望に応えられるように複数のポートフォリオを用意していますが、なかには顧客よりもグループ会社・系列会社の利益が優先されるポートフォリオが組まれていたり、運用コストがリターンに見合わないファンドが組み込まれていたりする事例も見受けられます。また、ポートフォリオは資産状況や要望が変わったらリバランスを依頼できますが、改善提案も納得できる内容ではない場合もあります。

ファンドラップは投資運用管理を全面的に委任できるのがメリットですが、透明性が担保されていないケースも存在するため、安心して丸投げできないというのが実情です。

運用パフォーマンスが悪い場合がある

ファンドラップは金融機関の専門家が顧客に代わって運用を行いますが、運用パフォーマンスは実際の運用方針次第であるため、必ずしも良いパフォーマンスを発揮できるとは限りません。実際に、数年間運用を委任しても元本割れしているという事例も確認されています。

これには、投資信託の運用は社会情勢・経済情勢・為替相場の影響を受けることや、ファンドラップの場合は運用コストがかかりすぎていることが原因に挙げられます。特に、為替ヘッジありの投資信託でポートフォリオを組んでいる場合は、ファンドラップのコストに加えてヘッジコストが加わるため、運用パフォーマンスを発揮するのは難しくなるでしょう。

ファンドラップは専門家がより良いパフォーマンスを発揮できるように運用を行っていますが、大したリターンを得れない場合や資産が減ってしまう場合もあるため注意が必要です。

契約時にデメリットを説明されない場合がある

ファンドラップは、名目上は顧客のためのサービスではありますが、金融機関がビジネスとして提供しているサービスです。そのため、契約時にメリット面ばかりを強調してデメリットを十分に説明していないケースがあることが問題視されています。

例えば、運用コストが二重にかかる点を明確に説明しなかったり、契約を行ってからでないと実際の運用パフォーマンスに関する資料を閲覧できなかったりといったケースが挙げられます。また、契約は用意ですが、解約は容易に受け入れてもらえなかったり最低契約期間が設定されてたりするケースもあるため注意が必要です。

このような事情もあるため、顧客側も金融機関の言うことを鵜呑みにせず、自身でも情報を集めるなどの自衛策が必要となります。

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ファンドラップを10年運用した場合のコスト

ファンドラップは手数料が高いことが最大のネックとなりますが、実際にどの程度のコストがかかるのか実感できない方も多いでしょう。下記に、ファンドラップの実質コストならびに10年運用した場合のコストシミュレーションを解説していますので、参考にしてみて下さい。

ファンドラップにかかる実質コストは平均2.2%

主要大手証券会社数社のファンドラップを調査してみると、投資信託にかかる信託報酬と投資一任手数料等を合算したコストは平均して年率2.2%程度となっています。高いところでは年率2.5%程度です。この数字は、仮にファンドラップの運用がプラスマイナスゼロだったとすると、毎年2.2~2.5%もの資産が失われていくことを示しています。

投資信託とは、そもそも3~5%程度の利回り獲得を目指す金融商品です。ファンドラップを利用している場合は、平均的な利回りを得られたとしても、収益はごく僅かとなります。

このような事実から、ファンドラップの実質運用コストは、高すぎると判断せざるを得ないでしょう。

10年運用した場合にかかるコスト

ファンドラップの運用にかかるコストは、金額が多いほど、また運用期間が長いほど負担が重くのしかかってきます。どのくらいのコストがかかるのかを実感して頂くために、簡単なシミュレーションを行ってみましたのでご参考下さい。

■年率2.5%で1,000万円を運用した場合

5000万円×2.5%=25万円
25万円×10年=250万円

■年率2.5%で5,000万円を運用した場合

5000万円×2.5%=125万円
125万円×10年=1250万円

ファンドラップの運用コストは2.2%~2.5%であるため、単純に「運用コスト×10年」で計算すると、少なくとも22%、多い場合は25%もの余計なコストを支払うこととなります。

ファンドラップがいかに投資家にとって負担の大きいサービスであるかを実感いただけましたでしょうか。

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ファンドラップの代替としておすすめの方法

資産形成にファンドラップを検討していたけれどもデメリットが多いため、別の方法を探している方もいるのではないでしょうか。下記からは、ファンドラップの代替としておすすめの方法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

バランス型投資信託を自身で運用する

バランス型投資信託とは、様々な資産や市場へ投資を行い、価格変動のリスクを低減した投資信託のことです。ファンドの方針に従いリスク・リターンのバランスを考えたポートフォリオが組まれており、少額から分散投資が可能であることが特徴です。

このバランス型投資信託を自身で組み合わせることで、ファンドラップと同じようなポートフォリオを自分で構築することは比較的簡単です。運用成績の良いバランス型ファンドを組み合わせるだけで、コストを抑えつつある程度のパフォーマンスが期待できます。

ファンドラップよりも若干手間はかかりますが、投資一任契約にかかるコストを削減したい方にはおすすめです。

ヘッジファンドを利用する

ヘッジファンドとは、市場の動向に合わせて積極的に収益を追求することを目的としたファンド(投資信託)です。ファンドの資産価値が下落するリスクを回避(ヘッジ)しながら、さまざまな投資手法を用いて運用が行われます。

ヘッジファンドの運用成績は優れており、年利10%以上も射程圏内であるため、お金に敏感な投資家には非常に人気のあるサービスです。なかには10年以上プラス運用を継続している非常に優秀なファンドもあります。しかし、基本的に機関投資家・富裕層を対象としたファンドであるため、一般の方は手が出しづらい点がネックとなります。

大口の投資が可能な投資家であるならば、ファンドラップに代替するサービスとして積極的に利用することをおすすめします。

ロボアドバイザーを活用する

ロボアドバイザーとは、AIによる資産運用のアドバイスを受けられるサービスです。大きく分けて、ユーザーの運用方針に従い最適な資産配分の助言を行うアドバイス型と、自動的に資産のバランスを調整して運用を行ってくれる投資一任型の2種類があります。

利用者のニーズに合わせて様々なプランが提供されており、パソコン・スマホから手軽に利用できるのが大きなメリットです。人の手がかからないため手数料も安めであり、担当者の人柄やスキルに左右されることもありません。

オンライン上でリスク許容度の診断も可能となっており、ファンドラップのデメリットを払拭できる特性を持ち合わせていることから、近年注目を集めているサービスとなります。

ハイブリッド型サービスを活用する

ハイブリッド型サービスとは、特性の異なるサービスを組み合わせた複合型サービスのことを指すビジネス用語です。投資運用においては、ロボアドバイザーと専門家の対面サポートを融合したサービスが挙げられます。

ロボアドバイザーを基本として顧客自身が運用を行い、行き届かない部分は担当者がサポートを行うことで、手数料を抑えつつ顧客が抱える不安・不満・疑問を解決できるのが特徴です。つまり、ロボアドバイザーとファンドラップの中間に位置するようなサービスとなっています。

「ロボアドバイザーだけでは物足りない」「ファンドラップは手数料が高くて不満」といった方には、非常におすすめのサービスです。

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それでもファンドラップを利用した方がよいケース

ここまでファンドラップが資産形成に向かない理由を解説してきましたが、ファンドラップの利用が適しているケースもいくつかあります。下記に解説していますので、参考にして下さい。

突然多額の財産を得た場合

相続等の偶発的な事情により突然多額の財産を得た方のなかには、これまで資産を運用した経験がないため、扱い方が分からず困惑しているケースがあります。投資を始めようにも知識・スキルが無い、資産運用に興味がないが定期預金に預けておくのはもったいないといった方は非常に多くいます。

このような方は、ファンドラップを利用して、専門家に資産運用を一任してみるのもおすすめの選択肢となります。サービスの選定を見誤らなければ、資産を眠らせておくよりも良い結果を得られる可能性もあるでしょう。

投資が苦手で運用管理の負担から解放されたい

ファンドラップは投資一任報酬が発生するため、投資信託を自分で運用するよりも余計な運用コストがかかりますが、、資産の選定・運用・管理を全て丸投げできるのが大きなメリットです。自分で投資運用を行う時間・労力を確保できない方や、自分で投資運用を行っているけれども負担やストレスを感じている方にはおすすめの選択肢となるケースもあります。

自分に合ったサービスを利用することで、資産運用管理の煩わしさから解放され、楽に資産形成を行っていくことができるでしょう。

積極的に投資運用を行う自信・知識・スキルが無い/h3>

資産形成で成果を出すには、情報収集・銘柄選定・運用管理・リバランスをこまめに行う必要があるため、知識・スキル次第で運用成果は大きく変わってきます。資産形成に興味はあるけれども、自分で投資運用を行う自信・知識・スキルが無いため、定期預金にお金を眠らせたままであるという方は多くいます。

このような方は、多少割高なコストをかけてでもファンドラップを利用してみるのも有力な選択肢となります。専門家に任せることで、投資運用に対する知識・スキルが無いことがハンデにならず、スムーズに資産形成を進めていくことが可能です。

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まとめ

ファンドラップが指摘されている問題点から運用を続けた場合の結果、代替としておすすめのサービスまでを解説してきましたがいかがでしたか。ファンドラップは資産運用を専門家に一任できる便利なサービスですが、運用コストが非常に割高となる点が問題視されています。運用コストは運用成果に関わらずマージンとして発生し続けるため、運用年数が長期化すると多額のコストを支払わなければなりません。

近年ではファンドラップに代替するおすすめの金融サービスも多数存在するため、安易にファンドラップを契約しないことが重要となります。ファンドラップを活用した資産形成を検討している方は、ぜひ当記事を参考にして、自分に合った方法を模索してみて下さい。

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このコラムの監修者
神谷 恭平

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