債券投資とは?仕組み・メリット・デメリットから投資のコツまでを徹底解説!

社会情勢の混乱や経済の不透明感が高まりつつある昨今、多くの投資家が安定的な収益を確保する手段を模索しています。債券投資は、リスクを抑えつつ安定的な資産運用を実現できる有力な手段として、大きな注目を集めています。
当記事では、債券投資の基本・仕組み、債券の種類、債券に投資するメリット・デメリット、債券投資の始め方について詳しく解説します。債券投資に興味がある方や、投資戦略に債券投資を取り入れたい方は、ぜひ参考にして下さい。
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債券投資とは?
債券投資とは、国・地方公共団体・企業等が発行する債券を購入し、定期的な利子収入と満期時の元本返済を得る投資方法のことです。
投資家にとっての魅力は、定期預金のように定期的な利子収入を得られる点と、安定的に収益を得られるため収益の予測や管理を行いやすい点です。満期まで保有すれば元本が保障され、株式投資よりも値動きが穏やかであるため、低リスクで投資を行えるのも大きな魅力です。
債券投資はこのような特徴から、退職金の運用・老後資金の確保など、安定性・計画性を重視した資産形成に適した投資手法として、多くの投資家に活用されています。
債券の基本構造
債券は、発行体が投資家に利子を支払い、満期時に元本を返済する約束で提供される金融商品です。基本構造は「額面金額」「利率」「償還期限」という3つの重要な要素から構成されています。
額面金額は、投資家が受け取る元本の額で、債券の券面上に金額が記載されています。債券の価値を判断する基準となり、発行体の信用力により信用性・安全性が左右されます。利率は、1年間に支払われる利子の割合です。利子は債券投資の定期的な収入源となるため、利率は重要な投資判断材料となります。
償還期限は、発行体が元本を返済する期日を指します。償還期限までの期間は、発行体は資金を自由に活用でき、投資家は利子を受け取りながら運用を続けることができます。
債券投資を始める前には、額面金額・利率・償還期限の意味とそれぞれの関係性を理解しておく必要があります。
債券投資の仕組み
債券投資は、投資家が発行体に資金を貸し出し、その対価として利息を受け取りながら元本を回収する仕組みとなっています。
■主な取引の流れ
- 資金提供
投資家が債券を購入し、発行体に資金を提供。発行体は集めた資金を運用に活用。
- 利息の支払
発行体は投資家に対し、満期までの期間定められた利率に基づいて定期的に利子を支払う。
- 元本返済
満期日を迎えると、発行体は投資家に対し債券の額面金額を返済。
■債券取引の場
債券は主に「店頭取引」で売買される。投資家は証券会社などの金融機関で口座を開設し、取引を行う。
■価格変動要因
債券の価格は金利と連動して変動する。金利上昇時には債券価格が下がり、金利低下時には上がる。
債券投資を行うのであれば、上記の仕組みを理解し、自身に合った運用方法を模索することが重要となります。
株式投資との違い
株式投資と債券投資では、大きな違いがあります。主な相違点を表形式でまとめました。
特徴 | 株式投資 | 債券投資 |
主なリターン | 株価の値上がりによる収益 | 定期的な利子収入による収益 |
副次的リターン | 配当金 | 満額時の額面全額償還 |
リスク | 高い (株価変動・企業倒産等) | 低い (信用リスク・価格変動リスク) |
元本保証 | 無し | 有り |
権利 | 株主権 (議決権・株主優待等) | 債権者の権利に限る |
投資期間 | 制限無し | 償還期限あり |
流動性 | 高い | 種類により異なる |
株式投資はハイリスク・ハイリターン、債券投資はローリスク・ローリターンな特性を持ちます。このような違いを踏まえ、自身の投資目的やリスク許容度に合わせて投資商品を選ぶことが重要です。
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債券の種類
債券にはさまざまな種類があり、発行体・利払い・期間により分類されます。それぞれ下記に解説していますので、参考にして下さい。
発行体による分類
債券は、発行体により以下のように分類されます。
発行体 | 特徴 | リスク | 利回り | 代表例 |
国債 | 最も安全性が高い | 極めて低い | 低 | 10年国債 |
地方債 | 地方公共団体が発行 | 低 | やや低い | 東京都債 |
政府関係機関債 | 政府が支援 | 低 | 低~中 | 日本政策金融公庫債 |
社債 | 民間企業が発行 | 中~高 | 中~高 | トヨタ債・ソフトバンク債等 |
外債 | 外国の発行体 | 高 | 中~高 | 米国債・中国国債 |
国際機関債 | 国際機関が発行 | 低~中 | 中 | 世界銀行債 |
発行体によりリスク・利回りが大きく異なるため、上記の分類を理解して商品を選ぶことが重要です。
利払いによる分類
債券は、利払いの方法によって「利付債」と「割引債」の2つに分けられます。
分類 | 種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
利付債 | 固定利付債 | 利率が一定定期的に支払い | 安定的な収入見通しが立てやすい | 金利上昇時に不利 |
変動利付債 | 市場金利に利率が連動 | 金利変動リスクの低減金利上昇時に有利 | 収入が安定しない | |
割引債(ゼロクーポン債) | 利息支払無し額面より低い価格で発行 | 複利効果が見込めるキャッシュフロー管理が容易 | 定期的な収入が無いインフレリスクが高い |
利払い方法による違いを理解することで、自分に合った債券を選ぶことができます。
運用期間による分類
債券は、運用期間に応じて、以下のように分類されます。
分類 | 期間 | 特徴 | リスク | 利回り | 代表例 |
短期債 | 1年以下 | 割引債として発行満額時に額面金額で償還 | 低 | 低 | 国庫短期証券 |
中期債 | 2~7年 | 固定利付債として発行 | 中 | 中 | 2年国債5年国債 |
長期債 | 7~10年 | 債券市場の指標となるケースが多い | やや高い | やや高い | 10年国債 |
超長期債 | 10年超 | 最も高い利回りとなる傾向 | 高い | 高い | 20年国債30年国債40年国債 |
一般的に、期間が長くなるほど利回りは高くなる傾向がありますが、比例して金利変動リスクと価格変動リスクも大きくなります。
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債券投資のメリット・デメリット
債券投資にはメリットもあればデメリットもあります。下記にそれぞれ解説していますので、参考にして下さい。
債券投資のメリット
債券投資には特有のメリットがあるため、数多くの投資家から高い支持を得ています。
■安定性・確実性に優れている
債券投資は定期的な利子収入が得られ、満期時には投資金額が確実に償還されるため、収益が予測しやすい安定性・確実性に優れた投資手法です。定期預金であるかのように、将来の収入を見通すことができます。
■リスクが低く信用度が高い
国債・優良企業の社債等の信用できる発行体の債券は、株式投資と比べてリスクが低く、安全な資産運用を行うことができます。株式市場とは異なる値動きをするため、ポートフォリオに組み込むことで、リスク分散効果も期待できます。
■多様な商品を選択できる
債券は発行体・利率・期間が異なる多種多様な商品があるため、投資家の目的やニーズに合わせて選ぶことができます。満期前でも市場で売却可能であり、必要に応じて現金化できる流動性の高さも魅力です。
このようなメリットから、債券投資は長期的な資産形成を目指す投資家、安定的な収益を求める投資家、リスク分散を図りたい投資家にとって有力な選択肢となります。
債券投資のデメリット
債券投資は安定性が高い一方で、見過ごせないデメリットもいくつか存在します。
■利回りが低い
債券投資の利回りは、株式投資等の他の投資手法と比べて低い傾向にあります。安全性・安定性と引き換えに、大きな収益を期待できないことがデメリットです。また、金利変動により債券価格が上下するため、満期を待たず途中売却を行うと損失が生じる可能性もあります。
■発行体の信用リスク・為替変動リスクに注意
発行体の経営悪化や倒産が生じると、元本や利息の支払いが滞る可能性があります。また、外国債券の場合は為替レート変動の影響を受けるため、円高になると円換算後の債券価値が目減りします。債券投資は安定性・安全性が高い投資手法ですが、リスクも存在するため注意が必要です。
■インフレに弱い
利率が固定されている債券は、物価上昇が進むと実質的な資産価値が目減りしてしまう特徴があります。また、市場の状況によっては、希望する価格や量で債券を売却できない可能性もあります。
債券投資を行う際には、上記のようなデメリットを理解した上で、分散投資や信用力の高い債券を選ぶなどの対策を行い、リスクの低減を図ることが重要です。
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債券投資を始めるためのステップ
債券投資を成功させるためには、適切な手順を踏襲することが重要です。下記に、具体的なステップを解説します。
- 基礎知識の習得
まずは債券の種類・特徴・リスク・利回りなどの基本的な知識を習得する必要がある。特に金利と債券価格が逆相関の関係にあることを理解することが重要。
- 投資目的の明確化
安定的な収入を求めるのか、元本保全を重視するのか等、自身の投資目的を定める。自身のリスク許容度の見極めも行っておく。
- 証券会社の口座開設
債券取引が可能な証券会社で口座を開設。サービス内容・手数料を比較検討して証券会社を選ぶのがおすすめ。
- 債券の選択
国債・社債・外債等のなかから、自身の目的とリスク許容度に合った債券を選ぶ。分散投資を考慮しつつ、適切な投資金額を決定し、選択した債券を購入する。
- ポートフォリオの管理
購入後は、定期的に保有債券の状況を確認し、必要に応じて調整を行う。債券投資に関する税制を学び、適切な税務処理を忘れずに行う。
債券投資を始める際には、事前に十分な知識を身につけ、計画的に進めることが成功の鍵です。慎重かつ着実に準備を進め、堅実な資産形成を目指しましょう。
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債券投資に関するFAQ
ここでは、債券投資を行う際に、多くの方が疑問に感じる点を、FAQ形式で解説します。
Q1: 債券投資の最低購入額はいくらですか?
A: 債券投資の最低購入金額は、下記のように債券の種類によって異なります。
- 個人向け国債
1万円から購入可能。
- 普通社債
10万円単位や100万円単位で購入可能。
- 外貨建て債券
数万円程度から購入できる場合がある。
- その他の債券
10万円〜100万円程度必要な場合もある。
債券の最低購入額は幅広く、自分の資金状況や投資目標に合わせて商品を選ぶことが可能です。
Q2: 初心者におすすめの債券は何ですか?
A: リスクが低く安定した収益が見込める国債や高格付けの社債がおすすめです。
- 国債
最も安全性が高く、初心者に適している。定期的な利子受取が可能で、元本割れリスクが低いのが特徴。
- 米国債
安全性が高く、比較的高い利回りが期待できる。複利効果を活用した長期投資に適している。
- 社債
企業が発行する債券で、国債よりも高い利回りが期待できる。企業ごとの信用力を確認して選ぶことが重要。
購入前には、利回りやリスクをしっかりと確認することが重要です。
Q3: 債券をどのくらいの期間保有すべきですか?
A: 債券の保有期間は、下記のように投資目的やライフプランに応じて決定するのが基本となります。
- 満期保有
満期まで債券を保有するのは最も安全な方法と言える。償還日まで保有することで確実に元本と利子を受け取ることが可能。
- 中長期保有
5年から10年程度の中長期保有は、利回りを確保しつつ、リスクを抑えることができるバランスの取れた方法。長期間にわたり収益を確保できる。
- 短期保有
1年以内の短期保有は、利回りは低くなるが流動性を重視したい場合に適している。急な資金需要が見込まれる場合におすすめ。
自身の資金需要や将来の計画をよく考慮して、適切な保有期間を選ぶのがポイントです。
Q4: 債券価格に影響を与える要因は何ですか?
A: 債券価格は、さまざまな経済的要因に大きく影響を受けます。
市場金利の動向が最も影響が大きな影響を受けます。金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇します。海外金利の上昇時にも国内債券の下落要因となるため注意が必要です。
また、景気が良い時は株式市場に資金が集まり債券価格は下がりやすくなり、反対に景気悪化時は上がりやすくなります。金利上昇に繋がる物価上昇や、市場の需給関係も重要な要因です。外貨建ての債券の場合は為替相場の影響を受けて金額が上下する点にも留意しておく必要があります。
Q5: 債券投資で損失を回避するにはどうすればよいですか?
A: 投資の損失を完全に回避することはできませんが、適切な対策によりリスクを低減することが可能です。
最も基本的な対策は、複数の種類・期間の債券に分散投資を行うことです。多くの場合において債券は満期まで保有すれば元本が保証されるため、短期的な価格変動に振り回されず長期的視点で投資することも重要です。
信用力の高い発行体の債券を選び、金利動向を把握して有利な投資タイミングを見い出すと、損失リスクをさらに低減することができます。
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債券の特徴を理解して自分に合った投資を行いましょう!
債券投資は、比較的安定した収益を目指せる投資手法のひとつであり、安全性を重視して資産形成を行いたい方に適しています。投資戦略に債券投資を取り入れるのであれば、債券の仕組み・特徴・種類ならびにリスク・デメリットを理解し、投資目的に合わせて計画的に運用することがポイントとなります。
投資初心者の方は、リスクの低い国債や格付けの高い社債から着手してみるのがおすすめです。これから債券投資を始める方は、当記事も参考にして、自分に合った最適な投資戦略を検討してみて下さい。
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