インベスコ世界厳選株式オープンは、多くの投資家から支持されている人気のファンドです。年々右肩上がりで成長を続けており、特に近年では急激な成長を見せていることから、大きな注目を集めています。同ファンドへの投資判断を行うため、判断材料となる情報を求めている方もいるのではないでしょうか。
当記事では、インベスコ世界厳選株式オープンの概要・パフォーマンス・運用状況・今後の見通し・今後の運用方針について解説します。インベスコ世界厳選株式オープンに興味のある方や投資を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
インベスコ世界厳選株式オープンの概要・特徴
ここでは、インベスコ世界厳選株式オープンの概要・特徴について解説します。インベスコ世界厳選株式オープンがどのようなファンドであるのか、改めてその概要・特徴についておさらいしておきましょう。
運用資産額ランキングトップのグローバル株アクティブファンド
インベスコ世界厳選株式オープンは、2017年以降から7年以上連続で資金流入が続いており、2024年8月末時点での運用資産総額は1兆6,480億円を超えているファンドです。
同ファンドの看板商品である「インベスコ世界厳選株式オープン<為替ヘッジ無し・毎月決算型>」については、2023年の全公募追加型投資信託における純資金流入ランキングにてトップを獲得しています。
資金流入額は、いわばファンドの人気と信頼を示す指標です。インベスコ世界厳選株式オープンは、資金流入額・運用資産額の多さが示す通り、非常に有力なアクティブファンドとして絶大な人気と信頼を得ています。
日本において25年超の運用実績
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社(旧:エムアイエム・トウキョウ株式会社)は、海外投資家への日本市場開放と同時にいち早く進出して拠点を構えた資産運用会社です。看板商品である毎月決算型の世界厳選株式オープンは、1990年1月にリリースされ、日本において25年超の運用実績を誇ります。
近年では2018年10月には年1回決算型のファンドを、2023年9月には奇数月決算型のファンドをリリースしており、多様化する投資家のニーズにも応えています。
日本における外資系資産運用会社のパイオニアとして、長年パフォーマンスを発揮し続けている信頼と実績のある世界株式ファンドを運用しています。
「世界のベスト」と考えられる銘柄に分散投資
インベスコ世界厳選株式オープンは、愛称「世界のベスト」とも言われており、運用チームが独自の視点で選んだ世界各国の優良な銘柄へ分散投資を行っているファンドです。
具体的には、「成長」「配当」「割安」という3つの観点に着目して、持続可能性が高い銘柄へ投資を行っており、高い投資効率とリターンが見込めるのが特徴です。米国株式依存をできるだけ抑え、リスクの高いエマージング国への投資も避けるなど、リスクマネジメントも徹底されています。
インベスコ世界厳選株式オープンのパフォーマンス
ファンドへの投資判断を考えるにあたっては、今後の見通しも重要ですが、直近のパフォーマンスも確認しておくことが重要です。ここでは、インベスコ世界厳選株式オープンのパフォーマンスについて解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
<為替ヘッジなし>(毎月決算型)基準価額(課税前分配金再投資)の推移
<為替ヘッジなし>(毎月決算型)基準価額(課税前分配金再投資)の推移
引用:Invesco「世界のベスト四半期レポート(2024年4-6月期)」
インベスコ世界厳選株式オープンの代表的なファンドである「為替ヘッジなし・毎月決算型」のこれまでの基準価額は、多少の上下幅は見られるものの、長期的に見ると右肩上がりで順調に推移しています。
直近の2024年4-6月期においては、以前から継続しているインフレ・主要中央銀行の金融施策・欧州主要国の政治不安の影響を受け、やや変動する展開が見られています。しかし、インフレの鈍化・欧州中央銀行の利下げ・米連邦準備理事会の利下げ可能性といった要因により、最終的には基準価格は上昇する結果となりました。
具体的に基準価額の上昇に貢献した銘柄には、AI関連・半導体関連・英国投資会社・英国エンジンメーカー・ベルギー飲料メーカー等が挙げられます。欧州各国のさまざまな業種・テーマに着目して銘柄の選定を行った点が、今回の好パフォーマンスに繋がったと分析されています。
各種ファンドのパフォーマンス
引用:Invesco「世界のベスト四半期レポート(2024年4-6月期)」
続いて、インベス区世界厳選株式オープン全6種類のファンドのパフォーマンスについて見ていきましょう。
直近の2024年4-6月期においては全ファンドの基準価額が上昇傾向にあり、為替ヘッジなし型のファンドはいずれも約8%近く上昇しています。為替ヘッジ型のファンドは微小ながら上昇している結果となっています。
1年単位でみると、奇数月決算型を除いて為替ヘッジなし型は約31%、3年単位では約87%の上昇というハイパフォーマンスです。為替ヘッジあり型についても、ヘッジコストがかかりながらも長期的に見ると大きく成長しています。
全体的に見て、近年のアクティブファンドのなかでも非常に優秀なパフォーマンスを発揮できていると言えるでしょう。
直近の運用状況(2024年8月)
下記からは、ファンドが公開しているレポートより、直近の2024年8月の運用状況の要点をまとめて解説します。
・世界的な株式市場の下落
市場過集中・米国の景気後退懸念・業績不振等による複合的な原因が重なったと分析。しかし、「長期的視点・自由な発想をもとに魅力的な投資機会を伺う」というインベスコのスタンスにおいては、割安な優良銘柄を発掘する好機であると判断。
・ポートフォリオが市場に対して相対的な下値抑制が見込めている
特定のマクロ環境・セクターに依存せず、割安銘柄に着目して分散されたポートフォリオを構築することで。市場に対して相対的な下値抑制が見込める状況を実現。配当にも着目して投資を行っているため、不確実性・曖昧性の高い環境下においても安定したリターンを期待できている。
・ディフェンシブ銘柄がパフォーマンスを発揮
大型テック銘柄以外の中小銘柄・ディフェンシブ銘柄には以前から着目しているが、今回の下落局面においてはディフェンシブ銘柄がプラスのパフォーマンスを発揮。
・中小企業株式市場には継続的に着目
事業の質・成長可能性・バリエーション等の組み合わせに優れた優良銘柄がまだ埋もれていると考え、引き続き中小銘柄には着目。金利上昇の圧力が低減されている環境であるため、今後数年間は投資機会が期待できると判断。
・日本株については現在保有未保有
日本株にも円ベースで魅力的な銘柄はあるが、グローバル視点での競合や投資機会との比較を重視して現在はポートフォリオに組み込んでいない。
アクティブファンドならではの、市場状況・社会情勢・経済情勢の分析をもとにしたきめ細かで柔軟な運用がなされています。
今後のマーケットの見通し
ここでは、インベスコ世界厳選株式オープンのファンド運用チームによる今後のマーケットの見通しを解説します。運用に携わっているチームがどのような判断材料に着目しており、どのような見通しを立てているのかをチェックしておきましょう。
市場環境にプラスに作用すると予想される材料
今後のマーケットの見通しを考えるにあたって、市場環境にプラスになると考えられる判断材料には、主に以下が挙げられます。
・欧米のインフレが鈍化傾向
・インフレはピークアウトして低下し続けている
・欧州中央銀行が利下げを実施
・米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げ可能性が高まっている
このような要因から、世界の株式市場は全体的に上昇傾向となっています。
市場環境にマイナスに作用すると予想される材料
市場環境にマイナスになると考えられる判断材料については、主に以下があげられます。
・インフレの兆候は根強く残っている
・ピークアウトしたものの、ディスインフレ状態までの回復は見込めない
・欧米でインフレ圧力となる要因が複数残っている(エネルギー価格上昇・住居費上昇・グリーンエネルギー化・ベビーブーマ世代の大量退職・リショアリング等)
・米国の景気減速リスクや金利見通しの変動リスクが残されている
・巨大テック系企業へ投資家の資金が流れて市場の時価総額が集中している
世界株式市場は上昇傾向にあるものの、上記の要因から株価の変動性が高まる状況が予想されています。
総評
全体的に見ると、世界株式市場は上昇傾向にありつつも、変動性が高く株価水準も割安とは言えない状況が予想されています。各株価指標も長期的視点での過去平均より上回っている状況です。
従って、今後は市場環境・社会情勢・経済情勢を注視しつつ、個別に銘柄を厳選して慎重な投資運用を行うことが重要になると考えらえます。不確実性・曖昧性が高い状況へ柔軟に対応することが肝となってくるでしょう。
今後のファンドの投資方針
下記からは、インベスコの今後のファンドの投資方針について解説します。見通しをもとに、ファンドがどのような方向性で運用されるのかを確認しておきましょう。
投資判断材料
運用チームは、特に以下のような投資判断材料に着目して、今後の方針を検討しています。
・マクロ経済動向の不透明感・市場偏重リスクから、今後はボラティリティが高い展開が継続すると判断
・AIブームに牽引される大型テック銘柄集中の市場環境は持続可能ではないと判断
・現在のような市場環境下においては、競争優位性や財務基盤に優れた銘柄がリスクを懸念して割安になるタイミングがあるため、投資機会を伺う好機であると判断
・大型テック銘柄以外で強固なポジション・競争優位性・財務体質・キャッシュフロー創出力を持つ銘柄が割安で埋もれていると予想
・グロース銘柄に注目が集まっており、投資を控えられているディフェンシブ銘柄の割安感が高まっていると判断
変動性の高い市場環境下におけるリスクヘッジと投資機会創出を重視していることが分かります。
投資方針
上記の判断材料から、インベスコ世界厳選株式オープンの運用チームは、ファンドの基本方針通り、「成長」「配当」「割安」の観点から厳選投資を行うことを基本方針としています。個別銘柄選択の重要性がより高まる環境であるため、ボトムアップアプローチにより個別銘柄を厳選する同ファンドにとっては大きなチャンスであると考えています。
具体的には、強固なポジション・財務基盤を持つ銘柄に着目しつつ、割安で優良な中小銘柄・ディフェンシブ銘柄にも着目して投資機会を伺う方針です。また、大型テック銘柄偏重型の市場環境は持続可能ではないと判断しており、リスクヘッジの観点から引き続き大型テック銘柄はより少なく保有する方針も示しています。
まとめると、基本的な投資運用スタンスは崩さず、市場で見過ごされている投資機会を積極的に発掘することで市場変動期を乗り切ろうというのが、ファンドの今後の投資方針となります。
直近の運用状況と今後の見通しを確認して投資判断に役立てよう!
インベスコ世界厳選株式オープンの運用状況から今後の見通しまでを解説してきましたがいかがでしたか。投資判断を行うには、ファンドが公開するレポートを確認して、基準価額の推移・騰落率・分配実績等の各種数値を確認することが重要です。
定期的に確認を行って比較検討を行えば、保有するファンドの投資環境の良し悪しや変化の原因を把握することが可能となり、より良い投資判断に繋げることができます。特に、インベスコ世界厳選株式オープンのような、積極的な運用を行うアクティブファンドにおいては、運用状況と見通しの確認は殊更重要です。
インベスコ世界厳選株式オープンへの投資を検討している方や、現にファンドを保有している方は、ぜひこの機会にファンドのレポートを細かく確認する習慣を身に付けましょう。