毎月の給料から多額の税金を引かれているのを見ると何のために働いているのだろうと思っている人も多いのではないでしょうか。たくさん働いてせっかく稼いだお金から引かれる税金。
この税金を少しでも減らす方法はないのでしょうか。もちろん脱税は絶対ダメです。(サラリーマンやOLの場合脱税することは出来ませんが…)
しかし節税することは出来ます。えっ!サラリーマンやOLでも節税なんて出来るの?と思われた方もいるのではないでしょうか?今回はサラリーマンやOLでも出来る節税方法についてまとめていきます!
サラリーマンが出来る節税方法とは?
会社を経営しているオーナーや、自営業の方なら節税は出来ると思っていらっしゃる方は多いと思います。サラリーマンやOLに節税なんて無理…。だって給料天引きだもの…。とほとんどの方が思われていると思います。しかしサラリーマンやOLの方にも節税は出来るのです。
会社のオーナーや自営業の方ほど大規模な節税は出来ませんがいくつか方法があります。具体的には、生命保険を使った生命保険料控除の活用、最近新設された確定拠出型年金のiDeCoの活用、住宅ローン控除の活用、医療費控除の活用、特定支出控除の活用をあげることが出来ます。
1つずつ詳しく、分かりやすく説明していきますので気軽に読んでみてください!
生命保険料控除の活用
サラリーマンやOLの節税方法の一つ目の方法が生命保険料控除の活用です。生命保険料控除とは、生命保険に支払った保険料が所得控除の対象になるものです。非常にポピュラーな方法なので皆さんもご存知だとは思います。サラリーマンやOLの方は年末調整で利用している人が多いのではないでしょうか?
生命保険料控除の種類
おさらいになるかと思いますが生命保険料の控除について詳しく説明します。生命保険料の控除に利用出来る生命保険の種類は3種類あります。
- 一般の生命保険料
- 介護医療保険料
- 個人年金保険料
になります。それぞれの保険に生命保険料控除が利用出来ます。以前は、生命保険と個人年金の2種類の控除のみでしたが平成24年分から上記の3種類に変更になっています。それぞれの最高控除額は4万円になります。計算方法は下記のようになります。
・保険料20,000円以下…合計額の全額
・保険料20,001〜40,000円…合計額×0.5+11,000円
・保険料40,001〜80,000円…合計額×0.25+20,000円
・保険料80,001円以上…一律40,000円
となります。3種類フルに使うと合計12万円の控除になります。この生命保険料控除のやり方ですが毎年10月頃に契約している保険会社から生命保険料控除証明書が届きます。これは必ず原本である必要があります。コピーではだめです。
生命保険料控除の金額ですが、生命保険料控除証明書には証明額と申告額というものがあります。証明額とは、ハガキを発行した時点での支払済みの金額のことです。生命保険料控除証明書は毎年10月くらいに届くので年末まで払う予定の金額ではありません。
一方の申告額は、年末まで支払った場合の金額になりますので基本的にはこちらを記入することになります。
生命保険料控除の対象となる保険契約
生命保険料控除の対象となる保険の契約ですが、実際に保険料を支払っている方が対象になります。多いのが妻が契約者の保険を夫が支払っている場合です。このケースの場合は、夫が生命保険料控除の対象になります。もう一つの条件はその保険の受取人が保険料負担者、配偶者、親族のいずれかになっていることです。
最後に一番の注意点を申し上げます。保険会社で私は保険の販売をしていて現在は銀行で保険の販売を行っていますが個人年金保険料の控除で契約形態に問題があることが多いです。特に銀行で保険に加入した人は注意が必要です。銀行員は保険が専門ではないので不備が多発しているのが現状です。
個人年金保険料の控除を使うには「税制適格」の特約がついていることが絶対条件になります。税制適格特約をつけるには以下の要件があります。
税制適格特約の要件
- 年金の受取人は契約者か配偶者
- 年金受取人と被保険者が同じ
- 保険料の払込期間が10年以上
- 確定年金なら、60歳以降に受け取りがスタートするもので、年金の受取期間が10年以上あること
が条件になります。この条件が満たされていないと個人年金での控除ではなく一般生命保険の控除になってしまうので注意が必要です。
iDeCoの活用
iDeCoとは、個人型確定拠出型年金の愛称です。平成28年の1月に従来の個人型確定拠出型年金が改正され公務員やサラリーマンやOLなどほぼすべての方が利用出来るようになりました。
確定拠出型年金とは自分で運用してそのお金を受け取るものです。従来の年金で多かったのが確定給付型と呼ばれるあらかじめ受け取るお金が決まっていたものですが今は自己責任で運用していく確定拠出型年金になっています。
このiDeCoですが掛け金が全額所得控除の対象になるのです。iDeCoの掛け金の上限金額は自営業、会社員、公務員によって異なります。以下のようになります。
- 自営業…月額6万8千円
- 専業主婦(専業主夫)…月額2万3千円
- 公務員…月額1万2千円
- 会社員(企業年金なし)…2万3千円
- 会社員(企業型確定拠出年金のみに加入している場合)…2万円
- 会社員(確定給付企業年金のみに加入している場合、確定給付企業年金と企業型確定拠出年金の両方に加入している場合)…1万2千円
となっています。企業年金なしの一般的なサラリーマンやOLの場合、毎月2万3千円の控除ですから年間にすると27万6千円分の控除となります。節税のしづらいサラリーマンにとってこの金額を控除出来るのは大きなメリットになります。年収6百万円で毎月2万3千円の支払いをすると年間約82,800円の節税になるので効果は非常に大きいです。
またiDeCoには所得控除以外にも多くのメリットがあるのでここで簡単に触れておきます。
iDeCoのメリット
掛け金が全額所得控除になること
先程述べた通り、iDeCoの掛け金は全額所得控除になります。先ほども述べましたが具体的にいうと年収600万円の人が毎月2万3千円積立てた場合、年間で82.800円の税金が戻ってきます。
iDeCoで利益が出た分に関しては非課税
iDeCoは主に投資信託で運用します。通常、投資信託で運用した場合、利益に対して20.315%の税金がかかりますが、iDeCoの運用益は非課税になります。
iDeCoで貯めたお金を将来受け取るときの税制がお得
iDeCoで貯めたお金を受け取るときの税制がかなりお得です。iDeCoで貯めた資金の受け取り方は、「一括」「年金方式」「一括+年金方式」の3種類から選べます。一括の場合は、退職所得控除が使えて、分割(年金方式)でも公的年金等控除が使えます。どちらもかなり優遇された税金の制度ですのでこちらもお得感があります。
少額から始められる
iDeCoは毎月5,000円から始めることが出来ます。無理のない資金で将来の積立が出来ます。
このようにiDeCoを活用するメリットは非常に大きいのです。しかしiDeCoにもデメリットはあります。デメリットについても説明します。
iDeCoのデメリット
原則60歳までお金を引き出せないこと
iDeCoの資金は原則60歳まで引き出すことが出来ません。iDeCoで運用する資金は余裕資金である必要があります。iDeCoで運用した資金は原則老後資金に充てるためにあるためしょうがないといえばしょうがないですが急に何か起きた時には対応出来ない資金になってしまうデメリットがあります。
手数料がかかること
iDeCoは口座管理手数料などの手数料がかかります。この手数料は、すべての金融機関が同じというわけではありません。大手銀行の手数料は高いのでネット証券などを活用するのがおすすめです。
この手数料は非常に重要です。月額にすると数百円の手数料ですが何十年と続けていくのがiDeCoです。ちりも積もれば山となるのではないですが手数料には十分注意する必要があります。
この章ではiDeCoの所得控除について説明しました。iDeCoは所得控除以外のメリットの大きい金融商品になるので積極的に利用することをおすすめします。しかし銀行などの金融機関はiDeCoは手続きがめんどくさいだけで儲かる商品ではないのであまりおすすめされることはないと思います。自身で情報を収集することが非常に重要になります。
医療費控除の活用
医療費控除とは1年間にかかった医療費が一定金額(10万円)かかった場合に受けられる控除のことをいいます。こちらは年末調整で行うことは出来ないので確定申告が必要になります。医療費控除と似ているセルフメディケーション税制というものがあるので合わせて説明します。
医療費控除とは
医療費控除額 = 実際に支払った医療費の合計額-10万円
になります。注意点は実際に支払った医療費の合計額ですが、保険金などで補填された分は含みません。また10万円ですが総所得が200万円以下の場合は総所得の5%になります。(総所得が100万円の場合は、5万円)
医療費控除の対象となるものは以下のようになります。
- 病院の診療代
- 市販薬
- 公共交通機関を利用した交通費(タクシーは特別な場合のみ)
- 歯の矯正・インプラント代
- レーシックの手術代
などが認められます。一方認められないものは
- サプリメント
- 歯のホワイトニング
- コンタクトレンズ代
- 健康診断や人間ドッグの費用
などが認められません。医療費控除は一般的で平常時はそんなに利用することはないかと思いますが大きな病気をしてしまったときなどに利用することはあるかと思います。
セルフメディケーション税制とは
セルフメディケーション税制とは、スイッチOTC医薬品の購入が12,000円を超えた場合、超えた分(上限は88,000円)に対して、購入金額が10万円に満たない場合でも医療費控除が受けられるという制度です。
スイッチOTC医薬品とは、医師によって処方される医療用医薬品から、ドラッグストアで購入できる医薬品に転用されたものを指します。対象商品は厚生労働省のホームページで確認できます。
ちなみに医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないので注意してください。
住宅ローン控除の活用
住宅ローン控除もサラリーマンやOLが使える節税方法になります。この住宅ローン控除は先ほど紹介した「生命保険料控除」や「iDeCo」「医療費控除」よりも効果の高い節税方法になりますのでよく覚えておいてください。
まず控除には「所得控除」と「税額控除」と呼ばれるものに分けることが出来ます。
所得控除とは、先程紹介した生命保険料控除やiDeCo、医療費控除などが当てはまります。所得控除の考え方は
(収入-控除)×税率=税額
となります。つまり控除額が20万円で税率が20%ならば戻ってくる税金は4万円になります。これでも十分大きな節税だとは思いますが税額控除は丸々お金が戻ってくる控除になります。つまり20万円戻ってくるのです。非常に節税効果が高いのです。
この住宅ローン控除をしっかり活用すれば大きな節税になりますので詳しく説明していきます!
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りてから10年間、年末のローン残高から1%分税額控除される仕組みのものです。但し上限金金額があります。一般の普通の住宅の場合は上限が40万円になります。(耐震性や省エネルギー性など一定の条件を満たした住宅は50万円となっています。)
住宅ローン控除を受ける条件
住宅ローン控除を受ける条件は以下のようになります。
- 控除を受ける年の所得が3000万円以下
- 新築または購入したマイホームの登記簿上の床面積が50平方メートル以上
- 中古住宅は築20年以下、中古マンションは築25年以下
- ローンの返済期間が10年以上
が条件になります。一般のサラリーマンやOLで住宅ローンを借りる条件といっしょなので問題ない条件だと思います。ちなみに中古住宅築20年以下、中古マンションは築25年以下でないと住宅ローンは借りることが出来ないので住宅ローンを借りた時点でほとんどの人が当てはまると思います!
住宅ローン控除のやり方
住宅ローン控除の適用を受けるには、住み始めた翌年に確定申告をする必要があります。そうすると、残り9年分の「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」が送られてくるので、2年目からはその計算書とローンを借り入れた金融機関から送られてくるローンの「残高証明書」を使って年末調整で手続きします。
実際に戻ってくる金額シミュレーション
では効果の大きい住宅ローン控除ですが、実際にいくら戻ってくるのかのシミュレーションの説明をします。以下のような条件の場合いくら戻ってくるのでしょうか?
- 年収…600万円
- 家族構成…夫、妻、子供1人
- 所得税額…約16万円
- 住民税額…約27万円
- 住宅ローン借入額…4,000万円(一年目年末残高3,904万円)
の条件とします。この場合の控除額の上限は39万円になります。(3,904万円の1%)所得税額が16万円なので所得税分は全額戻ってきます。しかし39万円-16万円で23万円分の控除が残っています。残りの控除額は住民税から戻ってきます。但し全額戻ってくるわけではありません。
住民税からは、所得税の課税対象額298万円の7%、約20万円が控除せれることになりますが、住民税からの控除上限額は前年課税所得の7%もしくは13万6500円のどちらか少ないほうとなるので、13万6500円が控除されることになります。
所得税の16万円とあわせて合計296,500円が還付されます。年収によっては住宅ローンの残高の1%戻ってこないこともあるのでよく覚えておいてください。但し大きなメリットがあることに変わりはないのでしっかり活用しましょう!
サラリーマンでも経費が認められる!?特定支出控除とは”
最後にサラリーマンやOLでも経費が認められる特定支出控除について説明します。あまり聞き馴染みのないかとは思いますがサラリーマンやOLの節税方法になりますので説明します。
特定支出控除とは
サラリーマンやOLでも必要経費が認められる制度が特定支出控除です。以前は使いづらい制度でしたが平成24年に対象範囲が広がり使いやすくなりました。
特定支出控除の対象
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業務に関する衣服代
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資格を得るためにかかる費用
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業務に関する図書の費用
まず1ですが業務に関する衣服代とは多くのサラリーマンやOLに関係のあるスーツ代などの衣服代です。アパレル関係であれば毎日おしゃれな服を着ないといけないと思いますがこの衣服代も特定支出控除に認められます。
次に2や3ですが業務に必要な資格の取得費用や図書や新聞の費用も特定支出控除に認められます。
特定支出控除に認めれるためには
特定支出控除を利用するためには確定申告が必要になります。また業務に必要であったとの証明書を会社から発行してもらう必要があります。
一番ハードルが高いのは給与所得控除の半分以上の金額が必要なことです。例えば給与所得控除が65万円の場合33万円以上の金額が必要になります。しかし以前は給与所得控除の全額以上が条件だったので大分緩くはなりました。
まとめ
今回は、サラリーマンやOLでも節税出来る方法について説明しました。生命保険料控除やiDeCo、医療費控除、住宅ローン控除、特定支出控除などがサラリーマンやOLでも利用出来る節税になります。どの方法も比較的手軽に出来る節税方法なのでしっかりポイントを押さえていくことが重要です。
サラリーマンやOLは自営業や会社のオーナーと違って節税出来るものが少ないので利用出来るものはうまく利用していきましょう!