不動産投資の失敗例7選!初心者が陥りやすいリスクとその対策は?

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これから不動産投資を始めようと思っていても、物件の高額な購入費用や経験・知識の不足、失敗への恐れからなかなか決断ができないといった方もおられるでしょう。

 

不動産投資における失敗は、大きな負債となるケースがほとんどであり、従って、しっかりとした運用をもって継続的に利益を上げていかなければなりません。

 

そこで本項では、不動産投資にまつわる7つの失敗例を紹介し、失敗となった原因や失敗にならないようにするための対策方法などをご紹介していきます。

 

失敗1:利回りが高くても大損!

表面利回りと実質利回り

不動産投資サイトなどを見ますと利回りが10%を超えるような物件が存在しますが、広告に掲載されている段階の利回りは、大小さまざまな出費を考慮しない利回りとなっている可能性が大きく、初心者が失敗に陥りやすいポイントです。

 

利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があり、表面利回りは以下の計算式で算出されます。

 

・表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100(%)

 

年間家賃収入はプラスの要素、物件価格はマイナスの要素ですが、上記にはマイナスの要素が不足しており、この不足を補いますと、実質利回りとして次のような計算式となってくるのです。

 

・実質利回り = 年間家賃収入 ÷ (物件価格 + 各種経費) × 100(%)

 

そして各種経費とは、

・各種経費 = 不動産取得税 + 固定資産税 + その他税金 + 仲介手数料 + 金利手数料 +  各種保険料 + 入居者募集広告費 + 修繕費 + ・・・

 

高利回り物件には、不動産投資を行う上でのこういった当たり前とも言える様々な経費(マイナス要素)が含まれてないから高利回りなのです。

 

また年間家賃収入にしましても、上記式は満室時の状態での計算ですので、高利回り物件であっても郊外や地方のものですと、入居者がちゃんと集まるかどうかおのずと心配となってきます。

 

対策

表面利回りはあくまでもトータル収益を計算するための一要素でしかありません。まずは以下のことをおさえるのがポイントです。

 

「各種経費」

対策しすぎることはないというくらい想定出費を事前に挙げ、必ずそれらをトータル収支の計算に含ませておくことが必要です。

 

「年間家賃収入」

以下のように取り組んでみることが効果的です。

  • 対象物件及び近隣の属性が近い物件の入居率、過去の入居データ等を調べる(ネット検索、不動産会社への聞き込み、現地調査等)
  • 周辺物件の相場状況の調査、家賃設定の見直し

 

また、事前に上記項目に配慮したとしても、運用していく中で突発的な要因の発生や家賃相場・入居率などの変化もありますので、常に現状に満足することなく注意を怠らないようにしてください。

 

 

 

 

失敗2:不動産会社のいいようにされ大きな損失を抱えた

失敗のいいお手本

入居率が抜群、オシャレで築年数が浅い、駅やショッピングモールに近く資産価値が高い、必ず儲かる、購入希望者が多く早く決めないとチャンスを逃す・・・。

 

不動産会社の担当者からおいしい話や射幸心を煽るようなセリフを矢継ぎ早に言われ、理性がノックアウトされてしまう方もおられます。

 

そして実際に購入してみたところ、実体が全然違っていたなんてことが往々にしてあります。これも失敗する典型的な例です。

 

入居率が高く家賃収入が安定していても管理手数料などを上げられトータル利回りがどんどん低下していったり、建物の損傷・事故などが後で発覚し多額のリフォーム費用が必要だったりといったことがあるのです。

 

 

対策

このような事態にならないようにするためには、事前に物件を自分の目で確かめることが大切です。

 

この時、事前確認を担当者に渋られたり、住所を正確な番地まで教えてもらえなかったりした場合、見られたくないやましい部分があると疑った方が賢明です。

 

また、中古物件についてはなぜ前のオーナーはその物件を手放すことになったのかを考えることです。

 

十分に利益が確保できるおいしい物件であればそう簡単には売りに出さないはずです。なのに好条件(担当者の説明では)でありながらオーナー不在の物件がどうして自分のところに回ってきたのか、よく考え必要に応じて調査を行うことが失敗しない秘訣です。

 

 

 

失敗3:運用後、当座の資金繰りが悪化!

一時的な金欠もあなどれない

不動産投資開始後は、管理会社への委託手数料、修繕費用の積立、物件ローンの返済など、毎月出ていくお金というのがあります。

 

毎月出ていくお金があるということは、その分毎月入ってくるお金がないとならないわけです。

 

ところが、入居者が家賃を滞納したり、空室が発生するなど、毎月の収入に穴をあける要因が存在します。

 

他にも特に築年数の長い中古物件の場合、雨漏り改善のための修理費用、駐輪スペースの古くなった屋根の取り換え、外壁補強のための塗装など「突発的な出費」も発生してきます。

 

これでは収入と支出のバランスやタイミング(キャッシュフロー)が折り合いません。

 

ローン返済の遅れは返済金利の上昇や金融機関への評価(与信)の低下を招くこととなります。

 

対策

「急な出費への積立」

家賃収入の一部をキャッシュフロー悪化時のために別途積み立てておくのが賢明です。普段から「手元のキャッシュを豊富にしておく」ことの大切さを認識するようにしてください。

 

「不動産投資ローンの活用」

家賃収入の滞りや修繕などの突発的な費用を賄うため、自己資金がある程度あったとしても物件の購入(頭金など)には充てず、不動産投資ローンを運転資金に活用する方法もあります。

 

ただしフルローンでの購入にはメリット・デメリットがありますので、運用計画の作成とともに慎重な判断を行ってください。

 

不動産投資ローンのメリット・デメリットを解説!金利を低く抑えるには?

 

「事前に物件のリスクを確認」

物件を購入する前においては、不具合等がないかをしっかりとチェックし、購入前後の段階で解決できるものは先に解決することで、運用後のリスクを軽減させることが大事です。

 

 

 

失敗4:空室がなかなか埋まらない

空室による収益低下のリスク

管理会社による空室対策や入居者募集広告でもなかなか新規入居者が決まらないといったことがあります。

 

新しい入居者が決まらない間は、当然家賃収入が減少することになります。毎月のローンや各種経費の総額と減少後の家賃収入額との差が十分あれば、経営に直ちに問題が出ることはありません。

 

しかし、運用期間が長い不動産投資においては、その逸失する額は年月を経て増大していき、年利数パーセントの世界である不動産投資において決して無視することのできない金額となってきます。

 

 

対策

そもそもなぜ住人は退去してしまうのか、及び新規入居者が来ないのかを次の観点などから研究や対策を練ることが大切です。

 

「物件の整備状況」

エレベーターや階段、廊下などの老朽化・整備不良によって入居者に不便を強いてないかどうか。

 

セキュリティ意識の強まる昨今においては、物件が選ばれるトレンドにも変化が起こり、オートロックの整備や守衛などが配置された物件が好まれ、他の物件に住み替えられてしまうといったことも考えられます。

 

「家賃」

周辺物件と比較されやすい項目です。周りの物件が家賃を下げてきていないかどうか。競合物件をリサーチし、もしそうであればそれに合わせることも必要となってきます。

 

「物件の魅力」

物件の利回りやローンの返済金利などといった計算上の要素ばかりをもって物件を選んでしまいますと、その他の要素に手が回らず、新規入居者の獲得に失敗することとなります。

 

こちら側は投資として不動産物件と関わっていますが、その物件は言うまでもなく人間が使うものです。

 

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住む人の性質や興味・関心、またその物件を選ぶに至る事情などへの配慮が必要となってくるわけです。

 

こういった理由から、自分の物件にしかない魅了をアピールすることや、他の物件との「差別化」を図ることで空室を解消させるようにしていきます。

 

差別化の例としては、

  • 条件にペットOKを追加
  • 家電を完備する
  • ネット回線を付ける
  • エントランスや目立つ箇所をリフォーム(ビジュアル的にアピール)
  • 不動産物件サイトで自分の物件のアピールの仕方を工夫する など

 

創意工夫が問われる問題ですが、経営や商売に関するこういったライバルとの戦いや差別化は不動産業界だけではなく様々な業界で頭を悩ませる問題です。

 

従って、他の業界にも参考となる事例が多く存在します。

 

廃業寸前の老舗旅館が起死回生した話や、売れない漫画家がヒット作を生むに至った過程など、書籍やネット検索でその事例をたくさん知ることができます。

 

 

 

失敗5:空室保証・滞納保証アリなのに儲からない!

便利で安心のサブリース契約のはずが・・・

物件管理の全てを管理会社に任せる「サブリース契約」は、日中仕事で物件の方に手が回らない一般サラリーマンの方に重宝される契約方式です。

 

サブリース契約では空室保証や滞納保証があり、毎月の家賃収入(保証賃料)を安定させることができるのも大きな魅力となっています。

 

ところがいざ契約してみたところ、管理会社から何かと臨時の出費を請求されることがあったり、その金額が数十万円、場合によっては数百万円にもなるなど、その支払いの工面が問題となることがあります。

 

また、管理会社が保証賃料を徐々に下げ、毎月のローンの支払いに影響が出てくるケースも珍しくありません。

 

サブリース契約では、入居者と賃貸契約を結んでいるのはオーナーではなく管理会社となり、家賃の決定権やその他多くの事柄に関わる裁量が管理会社にあります。

 

上記のようなトラブルの事例になってしまうのも、オーナーが面倒な作業から逃れられることの裏返しでもあるのです。

 

出典:国土交通省(サブリース契約に関するトラブルにご注意ください!~トラブルの防止に向けて消費者庁と連携~)

 

 

対策

そこで、ある程度は自分で物件の管理を行う「一般管理契約」の登場となってきます。

 

一般管理契約」とは、オーナーと入居者が賃貸借契約を結び、家賃の決定権や大切な権限はオーナーに属します。管理会社は日々の管理業務を請け負うといったバックアップ・ヘルプ的な役回りとなります。

管理会社の選定にあたっては、その会社が具体的にどんなことをやってくれるのかを詳細にチェックすることが大切です。

業務内容を1つ1つ確認し、金銭やお金の流れに影響する項目にはできるだけ触れさせないよう、「交渉」も駆使し有利に話を持っていくことがトラブルを避ける秘訣です。

 

不動産投資、広く言えば投資全般において、ほとんど全てを他人に任せるのは投資に失敗する極めて多いパターンです。

 

サブリース契約で額面通りの期待を抱くのは失敗を招くもとであり、不動産投資の実態をある程度肌で感じることができる一般管理契約にも採用の軍配が向けられてくることとなります。

 

 

 

失敗6:近隣に新築マンションが建ち客を奪われる・・・

予測できないマイナス要因

近くに突如新しいマンションが出現するパターン。戸数も自分の物件より多く、入居希望者が殺到するなどして、こちらに新しい入居者が来てくれない、更には自分のところの入居者に寝返られてしまうといったことがあります。

 

対策としては、失敗4「空室がなかなか埋まらない」の中で紹介しました方法(物件の魅力をアップさせる)が有効なやり方となります。

 

しかし、この失敗6のような事例は、突発性のあるもので予測ができないことや、所有する物件に直接関係のない所から発生しコントロールが不可能な非常にやっかいな類であり、計画的な不動産投資の運用を難しくさせます。

 

「突発的な負の事例」

  • ライバル物件の進出
  • 学校や大企業等の撤退に伴う住人の退去
  • 地震、自然災害による物件の損傷
  • 地価や物件相場などの下落
  • 管理会社や金融機関などの不正行為発覚による損害 など

 

対策

失敗3でキャッシュフロー悪化の場合に備えた資金の積立についてお話ししましたが、失敗6のケースでも同じ対策法が有効となります。

 

また、上記の例においてはその発生原因や発生する時期、対策方法などに共通性がないといった不測の事態ならではの側面があります。

 

火災保険・地震保険などは事前に対策が取れるものですが、その時になってみないと分からない事があるのが投資全般に言えることです。

 

従って、ある程度は投資につきものである「不確実性」として認識し、「個別に」対応策を検討すること、また運用経験・ノウハウを積み重ねていく努力が正攻法な対策であります。

 

ローカルルールを知る

不動産という物理的、地域的な投資媒体においては、物件が所在する地域独特のやり方や、その地域に詳しい先行投資家・不動産会社などが長年に渡り存在し、一種の「ローカルルール」といったものが確立されている場合があります。

 

ローカルルールはその地域を生きていくため、それまでに先輩投資家たちが行ってきた不動産投資における「地域限定のサンプル集」であります。

 

通常時に参考となる事例があるばかりでなく、危機管理の上でも有益な情報をもたらすこともあることから、ぜひローカルルールの収集も行うようにしてください。

 

「ローカルルールを意識しやすい地域特性」(例)

  • 企業城下町
  • 学園都市、研究都市
  • 季節性に特色のある地域
  • 観光に力をいれている地域
  • 若者が多い地域・高齢者が多い地域 など

 

 

 

失敗7:売るに売れない「流動性リスク」

不動産物件は即座に売れないことがある

不動産投資における流動性とは、「物件を思い通りに売却できるかどうか」というもので、現状を見ましてもたやすく売ることができないケースが少なくないことから、これも知っておくべきリスクとなってきます。

 

ではなぜ思ったタイミングで物件を売却することができないのか、その原因をいくつか挙げてみます。

 

「流動性リスクが懸念される例」

  • 地方や郊外の物件
  • 築年数が長い物件
  • 近隣物件より属性が悪い物件
  • 不動産物件に元から備わる高額な性質
  • 不動産投資に向かない状況、相場の活気が無い時期 など

 

また、自分としてもその時なぜ売却しようと思ったのか?失敗2にもありますが、収益性が高ければ誰も売却しようとは思いません(プロの戦略的な売却もありますが)。

 

売却依頼を出す際、ネガティブな印象が購入検討者に伝わるようであれば、やはり買い手がそう簡単に見つかるものではありません。

 

対策

物件の購入以前から売却を考えること(戦略)が大切です。

 

色々な投資戦略がある中で不動産運用に限らず投資というものは、相場状況の良いタイミングで売り抜ける「利益確定」が長く投資を続けるための大切なポイントの1つです。

 

満室が続き収支も安定している場合や、契約している金融機関で低金利を維持できていたりしますと、物件の売却に気が進まないものです。

 

しかし、これは一例ですが、自分を含む他の投資家の多くが満足している時に限って、株式相場の格言にある「歓喜で売り」が強まりやすいのも事実です。

 

出典:楽天証券(株)

 

不動産投資における相場の転落は、不動産市場からだけでなく、主に株や政治情勢といった他の分野からの影響も強く受けやすいものです。

 

特に日本の株式市場を大きく動かしている海外投資家の日本からの撤退傾向が強まれば、株式や不動産など多くの金融商品が大きなダメージを受けることとなります。

 

そうなりますと、目先の利益、または含み損などに細かくこだわっていることが逆に命取りとなり、最大の成果が得られたタイミングを見失うこととなるのです。

 

従って、トータル収益や売れやすい相場状況を優先する将来のケースまで考え、そのとき素早く売り払えるような物件選びや不動産投資の運営方針が重要となってきます。

 

上記の他、売却の際に買い手が付きやすいポイントを以下に挙げておきます。

  • 修繕や整備状況が良好
  • 高い入居率の状態
  • 購入希望者募集広告の画像や説明を分かりやすく詳細に記載する
  • 事故やデメリットなども隠さず明かし一定の改善アドバイスを添える
  • 地方や郊外であっても物件独自の魅力を追加工事などで備える など

 

 

 

まとめ

不動産投資における7つの失敗例をご紹介しましたが、以下にその内容を整理します。

 

 

  • 表面利回りではなく「実質利回り」で物件を選ぶ
  • 不動産会社などの話を全て鵜呑みにせず自分でも考えを持つ
  • キャッシュフローに注意し常に手元の資金も確保しておく
  • 物件の魅力をアップし空室にならない努力を行う
  • 便利な「サブリース契約」もデメリットやリスクをよく検討する
  • 突発的な要因は投資の前提とし知識や経験を増やす、積立金も大切
  • 流動性リスクは物件のクオリティ向上と当初からの出口戦略がカギ

 

また、上記を大別しますと次の3つに集約されます。

 

  1. 物件の状態に関すること
  2. 不動産関係者の動向
  3. 不確定な要素

 

1.と2.に関しては自分でも失敗を避けれる部分が多く、まずはこのポイントを中心に物件選びや投資戦略を考えてみてください。

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