株式会社とは?株式投資のために仕組みと上場の意味を知ろう!

株式投資とは、株式会社に出資してオーナーになることです。株式会社の仕組みや資金調達方法、株式の上場とはどういう意味なのかを確認していきましょう。株式投資をする上で、特にIPO(新規公開)や公募増資がどのような仕組みになっているのかを理解しておくことは大切です。それでは、まずは株式会社の仕組みから見ていきましょう。

株式会社とは

株式会社は、株式を発行して事業資金を集める会社のことです。会社とは「利益を追求することを目的に、人々が集まって作った集団」と定義できます。株主の責任は、自分の出資額までに限られます(有限責任)。万が一事業が失敗して会社が破綻してしまった場合でも、責任範囲が無限ではなく、出資額の範囲で済むというのが株式会社の特徴です。事業利益の一部は配当金として株主に還元されます 。

有限責任とは、出資額は戻ってこないが、借金の取り立てを受けることがないことです。一方、無限責任は出資額が戻ってこないだけでなく、出資者個人の財産も会社の借金返済に提供しなければなりません。

出典:man@bow

株主は、株主総会に出席することができます。株主総会は、株式会社の最高意思決定機関で、取締役や会監査役などの役員選出及び、今後の事業の基本方針を決めます。株主総会は年1回開かれ、事業報告がなされます。実際の仕事は取締役会で決められます。取締役会のトップが代表取締役(社長)です。

つまり株式会社では、会社の所有と経営が分離されているのです。

株式会社の会社法とは

会社法は、平成18年に施行された会社の設立運営、仕組み等について定めた法律です。 それまでの情報の内容を新しくしました。 企業や組織再編に必要な条件が緩和された一方で、コンプライアンス(法令遵守)が強化されています。主な特徴としては次のようなものがあります。

最低資本金制度の撤廃と資金調達の円滑化

最低1,000万円だった株式会社の資本金制度がなくなり、資本金が1円でも株式会社を設立することができるようになりました。そして、株式の譲渡制限について定款で定められる範囲が拡大。上場株式に関してはすべて100株の単元株制度に統一されました。

株式制度や株主への利益還元方法の多様化と柔軟化

ある種類の株式だけに譲渡制限を設けるなど、株式制度が柔軟化されました。例えば、取締役の解任には議決権がなくても、配当金など他の議案については議決権がある、といった種類の株式を発行することができます。

また、株主への剰余金の配当及び自己株式取得の財源が規制され、剰余金の配当が、いつでも株主総会の決議で決定可能になりました。

取締役会とは

会社の重要事項を決定する最高意思決定機関は株主総会です。その株主総会で選任されるのが取締役です。 取締役は会社の経営者で、取締役会を置く会社の取締役は3名以上。置かない会社は一人でも可能です。

株式会社は、会社の所有と経営が分離しているのが特徴です。株主が事業資金を提供し、株主総会で選ばれた取締役で取締役会を構成。会社の業務に関する意思決定を行います。取締役会で選任されるのが代表取締役(社長、CEO)で、 業務の執行を行います。

東京証券取引所では、上場企業に対し、独立性の高い社外取締役を少なくとも1名選出するように要求をしています。社外取締役は、企業やその子会社と直接的に利害関係のない人から選出されます。

以上の説明をまとめると、以下の図のようになります。

出典:man@bow

株式会社の監査役とは

監査役は、取締役の活動が適正にかつ適法に行われているかを株主に代わって監視します 。具体的には、会計や業務に関する規制や法令、社内規定などのルールを、その株式会社が守っているかをチェックし、改善すべき点があれば指摘をするという業務を行っています。 会社法では、取締役会を置く会社には監査役が必要と定められています。監査役の選任・解任も株主総会で行われます。 任期は原則4年。人数に関しての制限はなく、一人以上いればいいということになっています。

ただし、大会社(資本金5億円以上又は負債額200億円以上)に該当する上場企業は、監査役会の設置が義務付けられています。監査役会を置く株式会社は、監査役が3名以上必要で、その半数以上は社外監査役でなければなりません。ただし、2014年に成立した改正会社法では、監査役会の代わりに3名以上の取締役によって構成される「監査役等委員会設置会社」が選択肢の一つとして創設されています。

株式会社の資金調達方法

資金調達とは、事業のために必要な資金を集めることです。最もメジャーな手段としては、銀行からの借り入れがあります。他には、債券や株式を発行する資金調達方法があります。 銀行からの借り入れや債券発行は、期日までに返済する必要がある資金です。利益に関係なく利子の支払いが発生し、債権者は経営の関与はありません。

一方、株式を発行する場合は返済しなくてもよい資金です。利益に応じて株主に配当金を支払います。株主は株主総会を通じて経営に参加することができます。

エクイティファイナンスとは

株式の発行による資金調達を「エクイティファイナンス」といいます。エクイティファイナンスについて詳しく見ていきましょう。

増資

借入ほどではないものの、上場企業でよく行われる資金調達が「増資」です。会社が新たに株式を発行し、それを投資家が買うことにより会社にお金が入ってくるという仕組みです。

増資には、新規事業に取り込むなど前向きな増資と、借入金返済やリストラ資金のために増資を行う後ろ向きの増資があります。

増資には次の三つの方法があります。

① 第三者割当増資

第三者割当増資は、株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株を引き受ける権利を与えて、新株を引き受けさせる増資のことをいいます。通常は、取引先や取引金融機関、自社の役職員などの縁故者にこの権利を与えることが多く「縁故募集」ともいいます。第三者割当増資は未上場会社が資金調達の一環として行うことが多いです。

②株主割当増資

株主割当増資は、企業が新株発行にあたって、新株の割当てを受ける権利を既存の株主に与えて増資を行うことをいいます。これは「新株割当」ともいわれ、株主は割安に株式を買い増しできるというメリットがあります。

③公募増資

公募増資は、既存株主や取引先取引、銀行などの特定の投資家ではなく、広く一般投資家を対象に株主を募集し、新株の割当てを受ける権利を与えて行う増資のことをいいます。発行価格は、市場価格を元に割引価格(通常2~5%程度)で発行されます。成長過程にある会社や、新規事業のための資金集めに自信がある場合に、公募増資は選択されます。

株式投資において、公募発行増資は有力な投資手法の一つとなります。時価よりも安く購入でき、手数料がかからないのでお得な購入手段といえるでしょう。ただし、発行する株式数が多すぎて、一株当たりの株主の価値が薄くなる(希薄化)ことや、株式市場の環境が悪い時は、公募価格を下回ってしまうこともあるので、必ず資金の使い道や、どれくらい希薄化されるのかを調べてから購入するようにしましょう。

株式分割とは

株式分割とは、株式を分割して発行済株式数を増やすことです。資本金は増えませんが、発行済株式数が増えます。株式分割の目的には以下のようなものがあります。

①流動性を高める

発行済株式数が多くなるほど、買いや売りの注文が市場で成立しやすくなります。市場に出回っている株が100株よりも1,000株の方が売買しやすくなるということです。そして株価も安定します。

②株価が安くなって購入しやすくなる

例えば1万円を超えるなど、あまりにも株価が高くなった場合には、株式分割を行うことによって(例えば10分割にすれば株価が1,000円になる)ので個人投資家も売買がしやすくなります。これは発行済株式数が多くなるのと同様に、流動性を高める効果があります。

ただし、株式分割も市場環境が悪い場合は、発行済株式数が多くなることによる利益の希薄化により、株価が下がりやすくなることもあるので要注意です。

続いて、株式会社の事業再編についてみていきましょう

株式会社の事業再編

日本経済が成熟期に入って、事業の再編が珍しくなくなりました。事業再編について、いくつかの種類をご紹介します。

経営統合と合併の違いとは

経営統合という言葉は、明確な定義がないまま幅広く「経営を統合する」という意味で使われていますが、主に複数の企業が持株会社を作り、その傘下に入ることをいいます。

例えば、二つの企業A 社とB 社が持株会社方式で経営統合する場合、2社で「〇〇ホールディングス」などの共同の持株会社を設立し、A社とB社がその子会社となることで、二つの組織は存在します。

持株会社には「純粋持株会社」「事業持株会社」の2種類があります。純粋持株会社は、他の会社を支配することです。主な収入源はグループ会社からの配当金になります。事業持株会社は本業を行う一方で、他の会社を支配します 。

一方、合併とは、複数の企業が完全に一つの企業となることです。A社とB社が合併する場合、A社が存続企業となれば、資本や組織はA社がB社を吸収して、完全に一つの企業となります。

業務提携と資本提携

独立した企業同士が協力し合うことが業務提携です。持ち株比率10%弱程度の出資をし合うと資本提携になります 。業務提携では、共同開発、技術協力、共通商品の取り扱いなどが挙げられ、コスト削減や販路拡大などで利益が増大するように事業や業務を提供することです。

資本提携はお互いの株式を10%程度持ち合い、資本関係を提携することです。経営支配権を持たない程度でお互い独立しながら関係を強化し、利益が得られます。

経営統合と合併、業務提携、資本提携の結びつきを表すと

業務提携 < 資本提携 < 経営統合 < 合併

となります。右に行くほど企業間の結びつきは強くなります。最初に業務提携や資本提携であっても、将来持ち株比率を引き上げ、合併や持株会社の設立を視野に入れている場合もあります。

M&Aとは

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、「企業の合併・買収」を意味します。企業のリストラクチャリング(事業の再構築)や事業拡大に活用されます。 合併は先ほど見たように、二つ以上の会社が一つの会社になることです。一方、買収とは一つの会社が別の会社の株式の過半数を買い取ったり、事業部分の資産を買い取ったりすることです。新規事業を新しく立ち上げるよりも、素早く新規分野への進出ができます。また、既存分野や関連事業の強化、グループの再編など時間とコストの節約が可能になります。

TOBとMBOの違い

M & A の手法には主に「TOB」と「MBO」 の二つがあります。TOBとは、株式公開買い付けのことです。価格と期間を表明して、不特定多数の株主から証券取引所を介さずに直接株式を買い取ります。主に買収や、関連会社の出資比率引き上げ、自社株買い等が目的です。

MBOは、株式会社の経営陣が株主からその会社の株式を買い取ることです。その会社の経営権を取得することが目的です。MBO では、株式を買い取った後、その会社を上場廃止にする例が多くあります。経営陣が新たな大株主になるので、それ以外の株主の発言を抑え、自由な事業戦略を展開するためです。

株式会社の上場とは

株式会社の上場とは、株式会社が自社の株式を証券取引上で自由に売買できるようにすることです。上場は、会社が創業者の手を離れて、社会一般の公のものになるということを意味しています。上場すると知名度が上がり、社会的信用も高まります。

株式が上場されていない株式会社は「非上場会社」といいます。非上場会社の株式は、創業者一族、知人、取引銀行、取引先企業など出資者が限られます。情報開示も出資者の範囲で大丈夫です。しかし、上場企業は広く一般の投資家から出資を募ることができ、株式の売買により株主が頻繁に移動します。情報開示は株主のみならず、投資を検討しているすべての人に開示しなければいけません。

株式会社の上場基準

株式を上場させるため、発行会社には公平性や健全性、取引の安定性が求められます。その条件を上場基準といいます。東京証券取引所には東証一部、東証二部、マザーズ、ジャスダック市場などがありますが、市場ごとに上場基準は異なります。

例えば、東証一部上場基準は以下のようになっています

株主数 2200人以上

流通株式数 かつ流通株式数は上場株券の35%以上

純資産の額 連結純資産の額が10億円以上

利益又は時価総額 最近2年間の利益総額が5億円以上、もしくは時価総額が500億円以上

東証一部の上場基準が一番厳しく、次に東証二部、ジャスダック、マザーズという順になっています。上場基準を満たした市場に直接上場することができます。

IPOとは

上場基準を満たした株式会社が、株式市場で広く一般的に自由に売買される状態になることを IPO といいます。

これからの成長が期待されるIPO銘柄は、大きく値上がりしやすい特徴があります。また、近年は相場環境の改善によりIPOを行う銘柄も増えて、IPO 市場は活況を見せています 。IPO 抽選当選者の「公開価格」を、上場時の初めての値段「初値」が上回る確率は、8割から9割といわれています。勝率の高い IPO ですが、ネット証券での申し込みは200倍を超えることもあり、非常に競争が激しくなっています。

ブックビルディングとは

IPOや公募増資などの売り出しの値段を決める方法を「ブックビルディング」といいます。ブックビルディング方式は、新株発行の値段を決める時に仮条件(1,000~1,200円など)を投資家に提示し、その値段で投資家がどれくらい買いたいかというとニーズを調べた後に、価格の決定を行う方法です。「需要積み上げ方式」とも呼ばれています。

ブックビルディングの手順

最初に幹事証券が機関投資家などに発行価格のヒアリング(聞き取り)をして、どのくらいの株価なら買いたいかを聞いていきます。そして、仮条件を決定後、一般投資家にその仮条件の提示。投資家はその仮条件を見て購入の申し込みを行います。

まとめ

今回は、株式会社の仕組みや資金調達方法、事業再編や株式上場の意味について解説してきました。株式投資は、株式会社に出資してオーナーになることです。その出資先がどのような仕組みで成り立っているのか、そして今後どのような経営戦略をとっていくのかということを知っておくことは大切なことです。株式投資において、業績や株価などを把握しておくことはもちろんのこと、株式会社が上場する意味は何なのか、どのようなM & A戦略を取るのかなどを知った上で投資を行うようにしましょう。

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一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト、デリバティブディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。保有資格:証券外務員1種

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