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複数税率に対応できるPOSレジやキャッシュレス決済の導入に対して、軽減税率対策補助金が支給されることになり、その申請期限は2019年12月となっています。
まだ、時間があるからとじっくり検討中の方もいると思いますが、予定外のことで間に合わない場合も考えて、早めに申請しておいた方が安心です。
POSレジを購入する販売店でも、補助金の申請をサポートしてくれますが、ある程度の内容は理解しておいた方が機器を選ぶ際にも参考になります。
今回は軽減税率対策補助金とは何なのか、そして補助金の申請方法にについてわかりやすく解説致します。
軽減税率対策補助金とは
2019年10月より消費税が10%に引き上げられることが決定しました。そして同時に、特定の飲食物に対しては消費税8%が適用される軽減税率が適用されることになります。
10%の消費税と8%の消費税の複数税率は、会計する上で手間がかかりややこしい仕組みでもあります。そこで、このような複数税率を自動で計算してくれるPOSレジの導入を国が推奨し、導入の際には補助金が支払われることになりました。
軽減税率対策補助金の概要
この制度は2019年10月に消費税10%への引き上げに合わせて実施されるものです。消費税軽減税率への対応が必要となる中小企業・小規模事業者などへ補助金が支給される制度になります。
軽減税率対策補助金事務局の公式HPから詳しい内容がご覧いただけます。
補助金支給の対象として・・・
A型→複数税率対応レジ(POSレジシステム)を導入、または現在利用中のレジを改修する事業者が対象。
B型→受発注システムを導入、または現在のシステムを改修する事業者が対象。
対象となる中小企業・小規模事業者
複数税率に対応する上記のレジシステムを導入の、
などが対象となり、その他、個人事業主、農業法人、宿泊業も含まれます。
注意点
補助金の申請を行うにあたって、購入する販売店が代理申請協力店として登録されていなければなりません。各販売店は、今回のPOSレジシステムの導入にあたって、補助金申請ができる認定許可を受けている必要があります。
※対象かどうかを詳しく調べたい事業者は、
POSシステムとは
複数税率に対応できる会計システムのことをPOSレジ、POSシステム、POSレジシステム、POSなどといいます。
POSレジシステムは小売り・飲食関連の業者が利用できるレジシステムがあり、
- オーダーシステム
- 自動精算システム
- 在庫管理システム
- 顧客管理システム
- 受発注システム
- マーケティング分析機能
- 決算機能
- 入支出管理機能
- 従業員管理機能
など・・・
POSレジシステムに関する詳しい情報は、
導入する機器によって、様々な機能があり用途に応じてそれぞれ適確なPOSレジシステムを導入することができます。
また、
キャッシュレス決済の導入を同時にする場合には、導入に必要な費用に対して補助金を申請することができるのです。
レジ機能が必要ない場合には、
受発注管理システム機能のみのPOSシステムを導入に対して補助金を申請することができます。
POS導入の利点
清算、会計、決算などの計算が複数税率を適用した上で自動的に計算してくれることだけでなく、その他の便利な機能によって手間や労力を省くことができることです。
昨今、深刻な問題になっている人手不足を解決するだけでなく、顧客管理、市場分析、データ管理、データの見える化などによって、ロスカットや売上げ向上につなげていけるという利点も大きいのです。
POS導入の問題点
いくら補助金が支給されるとしても、導入に対してコストがかかってしまう点にあります。導入費用は、各事業所の規模や必要となる機器等によって数万円で済むものから100万円以上かかるものまで様々です。
また、基本的にインターネットの接続が必須となるため、接続や操作等が不安だという経営者もいるかもしれません。そのような場合には、複数税率にのみ対応できるレジを選ぶことができますが、税率機能だけに対応するレジは機種も少なく、対コスト効果を考えた時のメリットが少なくなります。
せっかくの機会であれば、POSシステムの導入を検討した方がおすすめです。サポート体制がしっかりしている販売店を選ぶことで、操作方法への不安も解消できます。
軽減税対策補助金の対象POS
それでは、軽減税対策補助金の対象となるPOSシステムについてもっと詳しく解説していきたいと思います。
補助金の支給の対象となる機種やサービスは冒頭でも軽く触れましたが、A型とB型の大きく2種類の申請類型に分かれます。それぞれ、A型、B型とはどのような内容になるのかをご説明致します。
申請類型A型
複数税率に対応できるレジの導入を支援する補助金で、このA型には4つのタイプがあります。
A-1型 レジ導入
複数税率の計算ができるレジのことを言います。こちらは、単純に従来のレジ機能に自動の税率計算が加わるレジスターを対象としています。
POSなしのレジでできる機能
- 日次ペースで消費税8%の売上げ額の合計
- 日次ペースで消費税10%の売上げ額の合計
- 複数税率に対応した請求書の発行
以上の機能がついているレジスターが対象となります。
補助対象経費
レジ本体機器、レジ付属機器、キャッシュドロア、カードリーダー、決済端末、レシートプリンター、電子マネーリーダー、レジ専用ソフトウェア、設定・設置・運搬費用
補助率・補助金上限
- レジ1台の費用に対して3/4~2/3
- レジ1台あたりの上限20万円
A-2型 レジ改修
現在利用中のレジを、上記のような複数税率への対応ができるようにに改修することを言います。改修費用の一部が補助金として支給されます。
補助率・補助金上限
- レジ1台の費用に対して2/3
- レジ1台あたり上限20万円
Aー3型 モバイルPOS
PC、タブレット、iPad、iPhoneなどのモバイル端末を利用したPOSレジシステムに対して補助金が支給されます。
インターネットと接続して、あらゆるデータが統一して管理できるようになり、POS機種によって様々な機能を経営に役立てることができます。
POSシステムには様々な種類があるため、以下の内容を確認する必要があります。
- サービスベンダーを探す(補助金申請の販売店であるかどうか確認)
- 対象パッケージを探す(補助金の対象となるパッケージかどうか)
- 対象サービス、対象機器を探す(補助金の対象となるかどうか)
補助金の対象区分
- 通信機器→PC、タブレット、スマートフォンなどの通信機器
- レシートプリンター
- バーコードリーダー、キャッシュドロア、カード決済端末、電子マネーリーダー、ディスプレイ、ルーター、その他付属専用機器
- 設定・運搬・設置費用
補助率・補助金上限
- 通信機器等1台に対して1/2
- 付属機器、対象サービス機器導入費2/3
- 設置に要する経費1システムにあたり2/3
- 1システムの補助金の上限20万円
A-4型 POSレジシステム
POSレジスター(機器)を新たに導入する、またはPOSシステムのソフトウェアを購入する場合に補助金が支給されます。
補助率・補助金上限
- POSレジ機器、POSレジシステム1台(または複数台)に対して2/3~1/2
- 上限1台(複数台)×20万円
導入する機種やシステムによって、1台で計算されるもの、複数台で計算されるものと異なります。
以上が補助金A型の主な内容となります。機種やシステムによって、どの類型で分類すべきかは、微妙な部分もあります。販売店に相談しながらどの類型で進めていけばいいのか明確にしていきましょう。また、各類型の詳細は以下からご覧頂けます。
申請類型B型
では、次に補助金のもう1つのタイプB型についてご説明致します。補助金B型とは、レジ機能とは別で、複数税率対応の受発注システムの導入に対して支給される補助金になります。
B‐1型
複数税率に対応する受発注システムを、販売店に代理で申請してもらう場合
補助対象
電子取引に必要なEDI/EOSなどの受発注システムの新規導入に対して補助金が支給されます。
- プログラムの設計、開発、テスト、データ移行
- 初期費用
- 付帯費用
- 物品費用
補助率・補助金上限額
- 補助率2/3
- 小売り事業者の発注システム 上限1,000万円
- 卸売り事業者の受注システム 上限150万円
B-2型
複数税率に対応する受発注システムを自己導入、自己申請をする場合に補助金が支給されます。
補助金の申請方法
それでは、軽減税率対策補助金の申請方法について解説していきましょう。
大まかな申請の流れ
- 消費税軽減税率について簡単に理解する
- 申請の要件を確認する
- 対象のサービス・機器の導入を検討する
- 具体的な費用から、補助金を算出する
- 申請の準備をする
- 申請書を記入、提出
- 補助金を受け取る
と、以上の流れになります。まだ、時間があると思っていても不測の事態も考慮して早めに動いていくようにしましょう。
補助金申請の期限
A型 及び B-2型 | 2019年12月16日までに申請 |
B-1型 | 上記期限までに導入を完了させることを前提に2019年6月28日までに交付申請を行って下さい。 交付報告書は2019年12月16日までに提出。 |
※他にも、レジの導入・改修やシステムの改修等にかかる費用を、日本制作金融公庫、沖縄振興開発金融公庫の融資制度にて活用頂く方法があります。詳細はお近くの公庫の支店に問い合わせることができます。
では、申請を進めていくにあたって、それぞれの段階でのポイントを解説します。
①軽減税率対策補助金について簡単に理解する
- 軽減税率(消費税8%)が適用される項目について確認しておきましょう。
酒類以外の飲食物、定期的に発行される新聞が対象になります。(ケータリングによる飲食物の提供は対象外)
飲食物でも飲食店内でテーブルの上に提供される飲食物には基本的に軽減税率が適用されません。買って帰る弁当、施設内で提供される飲食物などには軽減税率が適用になります。
軽減税率について→参考リンク
- 補助金が申請できる機種、システムにどんなものがあるのかを確認しておく
複数税率に対応できるレジ、POSレジシステム等でどのような事ができるのか、メリットやデメリットを把握しておくことが必要です。それぞれの事業所によって、必要な機種やシステム等の目安をつけておくと探しやすいでしょう。
②申請の要件を確認する
それぞれの事業者は、まずは対象の事業者であるのかどうかを確認しておく必要があります。基本的に中小企業、小規模事業者は申請が可能となっていますが、事業スタイルなどによっては申請が難しい場合もありますので、規定を確認しておきましょう。
申請基準について→参考リンク
③対象のサービス、機器の導入を検討する
軽減税率対策に対応できるPOSの種類を、オンラインや家電量販店などで調べてみましょう。どのような機種があって、どのような機能があって、費用はいくらくらいなのか、見積もりをとって数社を比較してみることが大切です。
対応の機種・サービスなのか、申請を頼める販売店なのかを事前に確認しておきましょう。
④具体的な費用、補助金を算出する
具体的な費用の算出方法は、
1.軽減税率対策補助金制度の公式サイトへいく http://kzt-hojo.jp/applicant/about/
2.補助金類型をクリックする(A-1、A-2、A-3型など・・・)
3.各補助金の申請の手引き(PDF)を開く
4.目次から補助金の算出を探す
5.補助金の算出方法に沿って計算してみる
A-3型の例
対象 パッケージがレシートプリンターが1台必須となっている、POSレジだとします。トータルの代金が30万円で、これにカード決済用端末を追加します。
30万円(POSパッケージ)+23,500円(決済端末)
=32万3,500円
32万3,500円×2/3=21万5,666円 となります。
補助金の上限は20万円なので、
補助金を20万円申請します。
各補助金類型の申請の手引き
⑤申請の準備をする
申請に必要な書類を用意します。それぞれ、申請する類型によって用意する書類や書き込む用紙が異なります。上記の④申請の手引きより、必要書類を確認することができます。
A-3型 必要書類の例
- 対象パッケージ証明書(販売店より入手)
- 対象サービス証明書(販売店より入手)
- 費用明細の領収書(販売店、オンライン、クレジットカードなど)
- 費用内訳を照明する領収書(販売店より入手)
- 食料品が記載された請求書(食料品を扱っていることが証明できるもの)
- 銀行振込口座の明細
※申請者が個人事業主の場合は本人確認証明書が必要です。
補助金の申請書は、オンラインにてダウンロード、またはコピーして利用頂けます。それぞれ該当する類型のサイトから、提出書類・申請書一覧のタグをクリックして下さい。
ご自身で申請するのが難しい方は、機器、サービス等を依頼する販売店に申請を依頼することも可能です。以下のサイトからお近くの販売店を探すことができます。
⑥申請書を記入提出
規定に従って、書類を揃えたら不足している必要書類がないか、記入漏れがないかしっかり確認してから提出してください。
記入方法も各種申請類型によって異なります。それぞれ申請の手引きよりご確認して頂けます。
また、わからないことは軽減税率対策補助金事務局に問い合わせることができます。申請サポートもしておりますので、お気軽にお問合せ下さい。
軽減税率対策補助金事務局
URL:http://kzt-hojo.jp/applicant/about/
0570-081-222(申請窓口)9:00~17:00 日・祝除く
〒115-8691
赤羽郵便局私書箱4号
軽減税率対策補助金事務局 申請係
※郵送する書類はすべてコピーをとっておいて下さい。また、折り曲げないで挿入できる封筒で郵送して下さい。
⑦補助金を受け取る
申請書類に不備がなかった場合は、約2カ月から2.5カ月で申請した銀行振込口座に補助金が入金されます。
※リースを利用する場合はリース会社あてに補助金が支給されます。
まとめ
今回は軽減税率対策補助金の申請方法について解説致しました。
2019年からいよいよ消費税10%が適用となりますが、かろうじて特定の飲食物に対しては消費税8%の軽減税率が適用されることになります。軽減税率によって恩恵を受けると同時に、今回ご紹介したような、複数税率に対応できる設備やソフトウェアの導入が今後の経営にあたり必要不可欠となることが予想されます。
商品やサービスごとに、税率を振り分けていくには多大な手間と時間がかかってしまいます。そこで、いずれにしても複数税率に対応するシステムが必要であれば、是非とも検討しておきたいのがPOSシステムや通信機器、その他の便利なソフトウェアの導入です。
せっかく補助金が支給されるのであれば、税率に対応するだけでなく、経営システム自体を根本的に見直していくチャンスでもあります。今回ご紹介したように、申請方法は大まかに6つのタイプから選ぶことができます。さらに異なるシステムや機器を同時に導入する場合には、並行しての申請も可能となります。
申請期限が過ぎたら、全額を自己負担しなければそれらの便利で効率的なシステムの導入は不可能です。すべての事業者にとって必ずしも100%メリットがあるとは言い切れませんが、この機会を活用しないのは非常にもったいない気がします。
それぞれにとって最も効率のいい補助金の活用方法を考案していきましょう!