共済とは?民間の保険との違いや共済にすべき保障について徹底解説

共済って何?共済の概要や特徴

「共済って何?保険との違いは?加入した方が良いの?」

医療保険、生命保険、自動車保険など様々な保険がある中で、民間の保険会社ではなく「共済」という選択肢を検討する方も少なくないでしょう。しかし、民間の保険会社じゃない事はなんとなく分かっているけど、具体的に「共済」がどんな物なのか理解していない方も少なくないです。

通常、保険代理店やインターネットでは「民間の保険会社」のみの紹介が多く、共済の商品に関して紹介している情報は少ない事が多いです。(共済の紹介は手数料が少ない、もしくは入らないため)

しかし、保険を検討する中で「共済」という選択肢を知っておくことで、賢く様々なリスクに対処出来る可能性が高くなると言えます。もしも新たな保険への加入を検討している方は、民間の保険会社の商品のみならず、共済の商品に関してもチェックしておきたいところです。

ただ、それには「共済」についてしっかりと理解しておく必要があると言えるでしょう。この記事では、共済について「共済の概要・特徴」「共済と民間の保険会社の違い」「保険別の民間・共済」「共済に加入するには?」等について解説していくので、共済に関する疑問はしっかりと解決すると思います。

まず、はじめに共済の基本的な部分である「概要」「特徴」についてご紹介していきます。

共済の概要

共済について簡単にまとめてしまうと「組合などが運営している保険のような仕組み」の事です。具体的には、協同組合などがこれに当たり、有名なものだと「全労済」「都道府県共済」「コープ共済」などの共済が挙げられます。

共済のポイントは、この組合という点です。通常、共済の組織は「非営利」で運営されており、利益を出す事を目的としていません。そのため、共済に加入しているメンバーが支払った保険料の総額に、余剰金が出た場合は、分配され保険料の一部が戻ってくる事もあります。(割戻金と言います)

そもそもの「共済」という文字には「助け合い」や「協力」という意味があり、共済とは文字通り「利益を目的とせずに、保障が必要になった時のためにみんなで保険料を支払おう」というものなのです。

そのため、共済の商品に加入する場合は加入したい共済の「組合員」になる必要性がありますし、厳密には保険料・保険金に関しても通常の保険と名称が異なります。共済では、保険料の事を「掛金」と呼び、保険金の事を「共済金」と呼びます。

共済の特徴

では、共済の特徴はどのような点にあるのでしょうか?様々な特徴が挙げられますが、最も大きな特徴は「非営利である」「保険料が安い」という点だと言えます。この2つの特徴は、実は大きく関係しています。非営利であるため利益を出す必要性がなく、最低限の保障を最も低い保険料(掛金)で受ける事が可能なのです。

そのため、共済の保障内容はシンプルなものが多いです。(最低限の保障のため)しかし、その分保険料が安く必要性の低い保障を共済に回し、保険料を全体的に節約するなどの用途として共済は利用しやすいです。

また、非営利である事から「情報が出回りにくい」「おすすめされにくい」という点も大きく関係します。保険代理店などに出向くと、ほぼ必ず「民間の保険会社」を勧められると言えるでしょう。民間の保険会社は営利団体であり、保険代理店に多額のマージンや手数料を支払っています。

しかし、共済は非営利のため民間の保険会社のように、積極的に広告活動を行う事が難しいです。そのため、共済のマージンは少ない、もしくはないに等しいという実情があります。そのため、保険代理店にとっては「民間の保険会社をおすすめした方が利益が入る」という事情があり、共済の保険はおすすめされにくいのです。

仮に保険代理店におすすめされなかったとしても、人によっては共済の中に魅力的な商品がある事も少なくないので、保険を検討する際は共済の保障もしっかりとチェックしたいところです。

共済と民間保険の具体的な違いは?

先程、共済の概要や特徴についてご紹介させて頂きました。しかし、それだけではまだ「共済についてあまり掴めていない」という方も少なくないでしょう。なので、これから「民間の保険会社」と「共済」を比較していき、違いを知る事はもちろんですが、比較する事で共済自体の理解を深めていきましょう。

保険を提供している目的が違うから、全て違う

民間の保険会社は基本的に「利益」を出すために、保険を販売しており、魅力的な保障を提供しています。一方の共済は非営利で「必要最低限のものを、安い保険料で提供」するために商品を販売しています。

民間の保険会社は利益を目的とした営利企業が運営しています。なぜなら、会社は利益を目的とするために存在していますし、利益を出さないと「従業員の給料」「株主の配当」など企業として基本的な機能を果たす事が難しくなります。

そのため、保険会社は保険料を運用して利益を出しています。簡単に言ってしまうと保険会社は貰った保険料を「投資に回して」大きな利益を出しているのです。そのため、例えば貯蓄型の商品で「返戻率110%」というような商品を見た事がある方も少なくないでしょう。

このような仕組みを知らないと、返戻金をプラスして保険会社は何の得があるの?と感じてしまいますが、実は返戻率以上の利益を出しているからこそ、返戻率に応じた保険金を支払う事が可能になるのです。

資産の運用は基本的に元手が大きければ、大きいほど利益が出ます。民間の保険会社は利益を出すために存在しているので、沢山の利益を出すために元手を集めたい(保険料)と思います。

また、保険会社は一社のみならず沢山存在するので、出来るだけ多くの元手を集めるために民間の保険会社は「様々なニーズに対応した保険」を出しているのです。つまり、民間の保険会社は他の保険会社とも競争しているので、沢山の商品を出し出来るだけ多くのニーズを汲み取り事で、保険に加入して欲しいと思っています。

では、共済の場合はどうでしょうか?利益を出す事を目的としていないので、そもそも競争する必要性が民間の保険会社ほどありません。そのため、あまり多くの商品を出しませんが、そのかわり「割安な価格で最低限の保障」を受ける事が出来るのです。

共済と民間の保険会社は、そもそも「保険を販売している目的が違う」という点をしっかりと押さえておきましょう。

具体的にどのような違いが出てくるのか?

先程、保険を販売している目的が違うという点をご紹介させて頂きました。ここから、目的が違う事によって共済と民間の保険会社にどのような差が生まれてくるのか?という点を、実際の商品・保険料などから解説していきます。

共済はパッケージ系の商品が多く、自分好みに出来ない

共済は基本的に、最低限の保障を割安の保険料で提供しているので「パッケージ商品」が多くなりがちです。パッケージ商品とは保険に必要とされている基本的な保障を詰め込み、その商品さえ購入すれば一通り保障する事ができるというような商品です。

例えば、医療保険なら「手術」「通院」「入院」などの一通りの保障を1つの商品が担っているようなケースです。一見、便利に見えますが民間の保険会社のように「保険をカスタマイズ」する事が出来ないのです。

人によっては、他の保険で同じようなリスクをカバーしており「手術だけ保障したい」「三大疾病のみ保障したい」というようなニーズがあります。しかし、共済の商品は基本的にカスタマイズする事が出来ないので、このように「保険を調整する」というような事が難しい商品が多いのです。

また、ニッチなニーズも、共済のみではカバーする事が難しいと言えるでしょう。例えば「女性特有のがんについての保障を厚くしたい」というニーズです。民間の保険会社は、様々なニーズに対応するように多種多様な商品を出しており、保険金の調整も自由に可能なケースが多いのでこのようなニーズ対応出来ます。

しかし、共済の保険は「老若男女」に最低限必要な保障のみを扱っているため、少し変わったニーズに対応する事も難しいです。

若い人にとって割高な保険料

通常、民間の保険会社場合は、若い人ほど保険料が安くなる事が多いです。特に、医療保険・生命保険という必要性の高い保険に関しては、その特徴が大きく出ると言えるでしょう。

20代の人と40代の人の保険料を比較した場合(定期型だと仮定)に、40代の人が20代の人と比べた時に「2倍」以上の保険料を支払っているケースも少なくありません。では、なぜそのような保障の変化が現れるのでしょうか?

それは「若い人ほど、病気・死亡」のリスクが少ないからです。そのため、若い人が民間の保険会社に加入すれば割安な保険料で高い保障を受ける事が可能になります。しかし、共済では10代後半~満60歳まで保険料が変わりません。(共済によって多少変化します)つまり、22歳の人と55歳の人の保険料が変わらないという事なのです。

当たり前ですが、病気・死亡のリスクは年を取れば取るほど上昇します。つまり、若い世代が上の世代を支えて成り立っている部分があるのが、共済なのです。

やはり、この構図も共済が非営利団体であるためと言えるでしょう。民間の保険会社のように利益を求めるなら、若い人の保険料を安くして出来るだけ多くの人に加入してもらった方が、利益を出しやすいです。

しかし、共済の場合は年が離れていてもそれほど大きな変化はないので、若い人にとって大きなデメリットになりえると言えるでしょう。

保険別で考える民間にすべき・共済にすべき保障

先程、民間の保険会社と共済の違いについてご紹介させて頂きました。上記したような理由で、民間の保険会社と共済には大きな違いがありますが、最も知りたいのは「どんな保険を共済・民間の保険会社にすべきか?」という点だと思います。

もちろん、人によって大きく異なる部分ではあるのですが、今回は代表的な保険である「医療保険」と「生命保険」を例にご紹介したいと思います。

医療保険は共済にすべきか?民間の保険会社にすべきか?

医療保険は共済にすべきか?民間の保険会社にすべきか?という点は、一言でまとめるのはかなり難しいと言えます。ただ、20代の間は「民間の保険会社」のかなりお得に加入出来るという点です。

20代の間は医療保険の保障する対象である「医療費」が掛かるリスクがかなり低くなっており、保険料が安い事が売りな共済ですが、実際のところ20代の場合は「民間の保険会社」の方が安い事が少なくありません。(同じような保障内容だったら)

また、民間の保険会社だと自由に保障の内容を組み替える事が出来るので、20代間は民間の保険会社に加入するほうがメリットが大きいでしょう。では、年を取ったら共済にすべきか?というと、その点に関しても複雑であると言えます。というのも、運営主体によっても異なりますが、基本的に共済は「60代~70代」を境に大きく保険料がアップします。

もちろん、民間の保険会社の定期型に加入するよりも、リーズナブルに済む事が少なくありませんが、保障内容と保険料を天秤に掛けた時にバランスが取れていないものが多いです。

そのため、ベストなのは民間の保険会社の終身タイプ医療保険に加入している事ですが、もしもそのような保険に加入していない場合は共済にするのも選択肢の1つだと言えます。

なので、医療保険は「若い内は民間の保険会社」「年を取ると共済のメリットも出てくる」と言えると思います。医療保険において、共済で最もお得な世代は40代~満60歳までだと言えるでしょう。

生命保険は共済にすべきか?民間の保険会社にすべきか?

生命保険は共済にすべきか?民間の保険会社にすべきか?という疑問は、民間の保険会社がおすすめであると言えます。

保障の観点から見た時に、保険料とのバランスを考えると共済の方がコストパフォーマンスが優れているケースはあり、保障のみが目的なら共済にするのもありだと言えます。

しかし、近年「貯蓄性」が重要視される傾向にあり、貯蓄性の観点から見た時に「民間の保険会社」の方が返戻率が高いケースが多く、民間の保険会社の得意分野であると言えます。そもそも、共済は貯蓄タイプの保障を掛けるのには向いておらず、貯蓄を期待出来る商品が少ないです。

そのため、貯蓄性のある商品を共済から選ぼうとすると、どうしても選択肢が狭くなってしまいベストな生命保険に加入できないというデメリットが出てきてしまうのです。

もちろん、生命保険本来の保障という役割も重要なのですが、生命保険は貯蓄性を重視されるケースが多いので、生命保険は民間の保険会社で加入するのがおすすめだと言えます。

共済に加入するには?

この記事では、様々な視点から共済をご紹介させて頂きました。中には、共済に興味が出てきたという方も少なくないでしょう。なので、最後に共済に加入する方法についてご紹介していきたいと思います。

共済に加入する方法

共済と一言でまとめてもいくつか種類があるので、共済によって共済に加入する方法は多少異なります。ただ、1つ確かなのは共済への加入する際に不可欠である「組合員」になるという要素でしょう。

この組合員は何も特別な事をする必要はなく、加入したい保険の申し込みと一緒に申し込み事で、組合員になる事が可能です。しかし、都道府県共済に関しては「勤務地がその都道府県にある」もしくは「住まいがその都道府県にある」という条件があるので、注意しましょう。

また、共済によって加入出来る商品の種類が大きく異なるので、必要な保障を受ける事の出来る共済を選びましょう。(例えば、一部自動車保険への加入が出来ないケースもあります)

具体的な申込み方法は共済によって異なりますが、最もポピュラーなのは「窓口」「書類」「WEB」の三種類だと言えます。この点は、加入したい共済によって異なりますが、そのほとんどが通常の保険と変わらない手続きであり「共済だからこれが必要」というものはありません。

以下がポピュラーな共済のWEBサイトです。

都道府県民共済

コープ共済

全労済

JA共済

まとめ

共済とは?

  • 組合によって運営される保険のような仕組み
  • 保険料が安く、最低限の保障を受ける事が可能

共済と民間の保険会社のち外

  • 共済は非営利、保険会社は営利
  • 共済はパッケージ商品が多く、保険会社は多種多様な商品が多い
  • 若い人にとっては高い保険料になる可能性がある

保険別で考える共済・民間の保険会社

  • 医療保険は若い間は民間の保険会社、年を取るにつれて共済のメリットも大きくなる
  • 生命保険は民間の保険会社の方が良い

共済に加入するには?

  • 組合員になる必要性がある
  • 詳細は共済によって、異なる

この記事では共済の概要・特徴、民間の保険会社と共済の違い、保険別の適切な選択肢についてご紹介させて頂きました。共済は、民間の保険会社と比べた時に保険料が安く、必要最低限の保障は揃っているので用途によってメリットの大きな商品になります。

しかし、共済のデメリットとして「カスタマイズしにくい」という点が挙げられるので、保障したい箇所によって共済か?民間の保険会社か?の選択がポイントになってくるでしょう。

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