【保存版】確定拠出年金で節税しながら老後資金を貯める方法とは?

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最近何かと話題に登り、テレビや雑誌で目にする機会の多い確定拠出年金。毎月数千円から投資信託などで運用し、老後の年金資金を積み立てていく制度です。一体なにが注目される理由なのでしょうか。もっとも大きな理由の一つが、確定拠出年金を利用することによって、毎年払う税金が安くなることです。

確定拠出年金を始める準備

公的年金だけでは、余裕のある老後はもう送れない

老後の生活資金を用意するために、私たちは貯蓄や不動産、株など様々な形の資産を作ろうと日々努力しています。多くの人は、預貯金を中心に保有していることと思います。不動産投資では、土地を買って家を建て、それを貸し出したりして家賃収入を得たり、物件を売り現金に変えるなどして資産を作っていくことになります。また、株式を保有していてその企業の株価が上がったときに売却すれば、利益になります。また、保有し続けて配当金をもらうといった方法もあります。このように、目に見える形や目には見えない形で資産を持つことができます。では、こうした形で資産を持っていない人の老後はどうなるのでしょうか。そういった人の老後において唯一の収入となる国民年金などの公的年金に頼るしか方法はありません。

しかし、年金が支払われるのは、原則65歳からとなっています。現在、会社の定年は60歳、もしくは社内の再雇用制度を使って65歳という人が多いでしょう。今後年金がもらえる年齢は66歳、67歳と引き上がっていく可能性はかなり高いと思われます。そうなると、無収入の期間が何年も続くことになり、貯金に余裕のない人には厳しい展開になります。

将来的には、今の支給額より何割か減るかもしれないと言われているので、年金だけで生活できると考えるのは少し楽観的すぎるかもしれません。

老後資金を無理なく貯めるなら確定拠出年金がおすすめ

老後資金を今からどうやって貯めていくか。預貯金だけでは、とうてい追いつかないでしょう。程度の差はあれど、少なからず投資や運用を学び、積極的に向き合う必要があるのではないでしょうか。そう考えたときに今回おすすめしたいのが確定拠出年金というわけです。最近よく話題に上がる理由は、税金が安くなるなど、お得な要素がたくさん詰まった制度だからです。ただし、注意点もあります。それを今回は確定拠出年金がどれくらいお得で、どんな注意点やデメリットがあるのかを解説します。

まず、確定拠出年金と書くと、響きがかたく、とっつきにくいですね。そこで厚生労働省が2016年の夏に確定拠出年金を広め、親しみを持たせるために愛称を募集し。iDeCo(イデコ)に決まりました。これまで確定拠出年金は、DC(Defined Contribution)と呼ばれていましたが、iDeCoは、individual-type Dfined Contribution pension planの頭文字をとったもので、iには私の意味が込められていて、自分が運用する年金という確定拠出年金の特徴をよく表しているというのが、選定された理由です。

そろそろ本題に移りましょう。そもそもiDeCoとは何でしょう。簡単に説明すると、60歳までの間に毎月5,000円以上の決まった金額を出して、そのお金で自分で選定した株や債券を対象とした投資信託や定期預金、保険商品などを組み合わせて運用をすることです。そして、その成果を60歳以降から受け取れる年金制度です。

年金と聞くと、まず思い浮かべるのは国民年金や厚生年金などの公的年金だと思います。それとどう違うのでしょうか。大きな違いは、毎月拠出した資金をどう運用していくかを自分で決めることができる、そして、その結果によっては将来支給される金額が大幅に増える可能性があるということです。さらにiDeCoには、毎年支払う税金が少なくなるというメリットがあります。例えば、課税所得が270万円のサラリーマンの場合、毎月2万3,000円(年間27万6,000円)を積み立てた場合、その年の所得税と翌年の住民税が5万5,200円安くなり、支払った金額の20%くらいが返ってきます。

そして、自営業や無職の人は、毎月6万8,000円まで積み立てられます。課税所得600万円の人が上限いっぱいまで積み立てると、所得税は16万3,200円安くなり、積み立てた額の20%くらいが戻ってくることになります。所得が多くて多額の税金を支払っている人ほどメリットが大きい制度です。当然運用する商品やその成績によってはさらなる利回りが期待できます。

確定拠出年金は個人型と企業型がある

確定拠出年金には、企業が実施主体となっている企業型確定拠出年金と、国民年金などを運用している国民年金基金連合会という団体が実施主体となっている個人型確定拠出年金があります。もし、自分の勤めている会社が企業型確定拠出年金を導入していて、あなたがその制度に加入していれば、会社側が、あなたのキャリアや勤続年数などに応じて毎月拠出掛金を払ってくれます。なぜ会社側が支払ってくれるのか。企業型確定拠出年金は退職金制度の一種であり、社員の退職金を積み立てる一環として確定拠出年金を利用しています。さらに、企業型確定拠出年金に加入している会社員は、会社の規定の範囲内であれば、企業の拠出額にさらに上乗せする形で掛金を増やすこともできます。

一方、自営業者や勤務先の会社に確定拠出年金がない会社員の場合は、iDeCoに加入することができます。勤め先に確定拠出年金がないということは、自分で老後のことを考えて退職金に該当する資金を自分で積み立てる必要があるからです。

iDeCoが他の年金と違うところは、国民年金や厚生年金などの公的年金と違い、加入義務がない点が大きく異なります。会社員の場合、普通は厚生年金に加入していて、加入手続きは会社が行ってくれます。その掛金は毎月の給料から天引きされていて、強制的に厚生年金保険料を支払っていることになります。国民年金も、20歳からは原則的に加入が義務付けられていて、滞納すれば催促状がきます。

この二つの確定拠出年金ですが、2016年までは企業型と個人型に重複して加入することができなかったのが、2017年1月からは、すでに企業型に入っている人でも、一部の人を除き個人型にも加入できるようになりました。加えてそれまで加入できなかった公務員や専業主婦にも対象が広がり、ほぼ全ての人が個人型確定拠出年金に加入できるようになりました。

ただし、企業型確定拠出年金に加入していて、それにさらに上乗せして掛金を支払っている人の場合は、個人型確定拠出年金には加入できません。

投資先や金額は自分で決めることができる

確かに、自分で投資先や金額が決められると便利な制度かもしれませんが、投資をしたことがない人には全然イメージがわかないでしょう。iDeCoにおける金融商品とは、銀行や証券会社などの金融機関が扱う商品で、元本保証があるものと元本保証がないものに大別できます。

元本保証があるタイプの金融商品は、積み立てたお金は最低限返ってきて、利息がつけばその利息分ももらえる商品のことです。定期預金や利率保証型積立年金などがあります。

逆に元本保証がないタイプの金融商品は、運用次第で元本が減るリスクがあるもので、投資信託などが該当します。投資信託とは、ファンドマネージャーと呼ばれる資金運用の専門家を信用してお金を預けて運用してもらう商品のことです。ファンドマネージャーは、私たちが証券会社や銀行に投資して集まったお金を株や債券に投資します。そして、その成果に応じて、お金を出した人たちに還元するのです。つまり、実際に運用方針を決めるのは、申込先の金融機関が提携している運用会社のファンドマネージャーであって、私たちではありません。私たちは、運用方針が決まった投資信託を商品ラインナップの中からどう選ぶか、自分が拠出する掛金の範囲内で商品をどう組み合わせていけばいいかを考えればいいのです。

iDeCoの商品数は、少ない金融機関で6本から、多い金融機関では46本まであります。加入手続きをする際に、2万円の掛金を拠出すると決めた場合、その2万円のなかから、Aの投資信託に50%、定期預金に50%というようにどの商品にいくら積み立てるかを選んでから加入します。もしリスクの高い商品を選んでしまってその運用に失敗したら元本割れを起こしてしまう可能性もあります。確かにそんな可能性もあります。しかし、あらかじめ戦略を練って慎重に商品を選び運用をすれば、預貯金でお金を貯蓄するより何百倍の利回りで運用できる可能性もあります。公的年金だけでは、ゆとりある老後生活は送れません。そして、銀行やタンスにお金を寝かしておいても増えることはありません。iDeCoの仕組みについて学び、自助努力で老後生活を豊かにしましょう。

iDeCoのメリット

iDeCoの最大のメリットは税金が安くなることです。iDeCoでは、3回に渡って節税メリットを受けられます。1回目は、掛金を拠出した時。2回目は、運用中に。3回目は、定年後に年金を受け取る時です。

iDeCoは、自分で設定した金融口座に毎月決まった掛金を入れておき、そこから掛け金が自動的に引き落とされていく仕組みです。一般的な投資信託では、この掛金を拠出する時に税金がかかります。例えば、年収が400万円のサラリーマンの課税所得が270万円だとして、その人が毎月2万3,000円を積み立てる場合、掛金総額は一年間で27万6,000円になります。所得税が10%だとすると、27万6,000円の掛金にかかる10%の税金がなくなるので、年末調整で2万7,600円が戻ってきます。そして、翌年の住民税が2万7,600円安くなります。よって、合計5万5,200円も税金が安くなるわけです。

このケースの場合、定年後の自分のためにお金を積み立てながら、運用中は20%のリターンが得られるということです。ただし、退職後にお金を受け取るときには、税金がかかりますから、20年以上加入して退職金控除を受けられるようにするなど税金対策はしておきましょう。

ここでの例えでは、年率20%のリターンとなりましたが、日本は累進課税制度を採用していますので、年収が高い人ほど所得税率が上がります。つまり、年収が上がるごとに、よりお得になると言えます。年収が高い人ほどお得になる制度なのです。

また、一般的な投資信託などの運用中に得られた利益には税金がかかります。ですが、iDeCoではその利益に対して税金がかかりません。得られた利益から税金が引かれることがなく、その儲かった金額をそのまま運用し続けることができるのです。ですから、さらに大きな利益を得る可能性の幅が広がるというわけです。iDeCoはこうして、年金を受け取る時まで効率的に運用ができるのです。

そして、年金を受け取る時にもお得な節税メリットがあります。60歳以降、一定の条件を満たし自ら希望すると、毎月定期的に年金を受け取ることができます。また、一時金として受け取ることも可能です。どちらにしても、公的年金控除や退職所得控除という優遇措置を受けることができます。

公的年金控除とは、65歳未満の人は最低でも70万円、65歳以上の人は最低でも120万円が差し引かれて所得金額を計算することができる仕組みのことです。この年金の受け取り額は低ければ低いほど所得税が少なくなるという制度です。64歳未満の人は、1年間の総受け取り額が108万円に満たない場合、65歳以上の人は158万円に満たない場合は所得税がかかりません。この金額を超えてしまった場合でも、これらの控除を受けるだけで随分税金は安くなります。

退職所得控除とは、退職金の控除額が、勤続年数に応じて大きくなる仕組みのことです。勤続年数が長ければ長いほどお得になる制度です。

以上の3つが税制面で得ることのできるiDeCoのメリットです。つまり、このような税制面を加味すれば、もはやiDeCoを始めない理由がありません。老後資金作りを考えている人にとって、iDeCoは絶対的にお得な制度なのです。

iDeCoでかかる手数料

気になるiDeCoの手数料ですが、いつどんなものにいくらの手数料がかかるのでしょうか。

まず、口座開設時に口座開設手数料2,777円がかかります。そのほかに毎月の拠出時にかかる口座管理手数料毎月103円と、資産管理手数料64円がかかります。これらは、iDeCoを運営している国民年金基金連合会に納めることになります。この金額は、利用する運営機関にかかわらず、加入者は全員一律となっています。

次に、運営管理機関がiDeCoの口座を管理するための運営管理手数料がかかります。この手数料には、一律料金設定がなく、運営管理機関によってかなり幅があるところです。加入者が直接やりとりするのは、運営管理機関の金融機関です。ここは実際にiDeCoを販売しているところで、メガバンクを始めとする銀行や証券会社、保健会社、信用金庫、労働金庫などの多くの金融機関から構成されています。私たち加入者は、ここの窓口で商品の申し込みをしたり、運用方法を変更したいときは運用指図を行ったりします。運営管理手数料は、基本的に加入後はずっと一緒ですが、金融機関によって金額はまちまちです。一定の条件を満たせば、この手数料が無料になるところもありますので、加入するときは良き吟味してから決めましょう。

iDeCoでは、これらの手数料をいかにして少なくするかが重要になります。仮に30歳で加入したとしたら、60歳までの30年間手数料を払い続けることになるわけですから、手数料が高い金融機関で加入してしまうとずっと高い手数料を払い続けることになってしまいます。そして、その分の利益が減ってしまうということです。

そのほかの手数料としては、信託報酬があります。これは、投資信託の運用時にかかる手数料です。これは、商品ごとに設定されていて、同じ商品でも運用機関ごとに異なることがあります。iDeCoを利用する場合、信託商品が同じ商品でも一般の証券口座より半分以下に抑えられる場合もありますので、これを活用しない手はないでしょう。

また、注意点としてはiDeCoは原則、60歳になるまで解釈できず、拠出したお金はそれまで一切引き出すことはできません。運用や投資の面が強いですが、あくまでも年金資金を積み立てる制度なのでこれは仕方のないことでしょう。

ですから、今すぐお金が必要になった場合に困らないようにすぐ使えるところにお金をある程度用意して、余裕を持ってiDeCoを利用しましょう。

 

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