預金保険機構とは?口座凍結リストに入ってしまったら削除するにはどうすれば良い?

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ある日突然、自分の銀行口座が使えなくなってしまうこと程、不安で恐ろしい気持ちになることはないと言えます。最近、オークション詐欺と間違えられて、銀行口座が凍結されてしまう話を聞くことがあります。

個人の銀行口座が凍結されてしまう背景には、オークション詐欺だけではなく、様々な理由が考えられるのですが、預金保険機構いう日本政府、日本銀行が認可している法人組織が大きく関わっています。

預金保険機構とは一体何なのでしょうか?そして、もし銀行口座を凍結されてしまった場合はどうすればいいのでしょうか。

今回は預金保険機構と銀行口座凍結のしくみや、オークション詐欺の問題、口座凍結を解除する方法について解説していきます。

預金保険機構とは

預金保険機構とは、日本政府と日本銀行、さらに民間金融機関が出資をしている組織団体のことをいいます。預金保険機構の業務は、主に、金融機関が破綻してしまった場合に預金を保護することであり、合わせて銀行口座を犯罪などから守る役割も果たしています。

預金保険機構のしくみ

預金保険機構は、預金口座を保護するために預金保険制度を執り行っています。

出典:預金保険機構  参考URL

上の図を見てもわかるように、保険制度に加入して保険料を払っているのは金融機関であり、保険金を私達に支払うのは預金保険機構になります。私達は、各金融機関の預金口座を利用すると同時に、自動的に預金保険機構の制度を利用していることになります。

預金保険制度とは

預金保険制度とは預金者を守るための保険制度で、お金を銀行口座に預け入れた時点でこの制度が適用されることになりますが、対象となる金融機関や口座の種類などがあります。

対象となる金融機関や預金の種類

  • 対象となる金融機関は・・・

国内に本店のある、銀行、信用金庫、労働金庫、信金中央金庫、信用組合、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫になります。

※これらの金融機関でも海外の支店、外国銀行の支店などは対象外となります。また、保険会社や証券会社も預金保険の対象外となります。
  • 対象となる預金の種類は・・・

当座預金、普通預金、別段預金、定期預金、通知預金、納税準備預金、貯蓄預金、その他に定期積金、掛け金、元本補填契約のある金銭信託、保護預かり専用の金融債になります。

※保護預かりの金融債とは、株式や債券、投資信託などを購入した際の有価証券を金融機関に預け入れてあるもののことをいいます。通常、証券等を購入した際には現物を引き取らずに金融機関に預け入れることが一般的です。
  • 保護できる預金の範囲は・・・

当座預金、利息のつかない普通預金などの決済用預金は全額保護されます。その他の預金に関しては、特定の条件のもとで一定額、合算して元本1千万円までなどの金額が保証されるしくみになっています。

預金保険制度について、もっと詳しく知りたい方は以下のサイトでご確認頂けます。

 

振り込め詐欺救済法

もう1つの預金保険制度の役割として、「振り込め詐欺救済法」というものがあります。この制度は、銀行口座の振り込みを媒体とする詐欺から口座を守るもので、犯罪行為から財産を守ることを目的に、一般的に公開されている制度となります。

正式には、

【犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払い等に関する法律】
平成19年法律第133号 によって定められている保護法 参考URL

でご覧いただけます。

詐欺に対する預金保険制度の業務

振り込め詐欺救済法は、詐欺の被害にあった預金者が、警察に届け出ることから始まり、以下のような流れで保険預金制度が適用されていきます。

  1. 被害者が預金口座を通して詐欺に合う
  2. 被害者は金融機関と警察に届け出を出します。
  3. 金融機関と警察は互いに情報提供を行います。
  4. 対象となる預金口座を取引停止にします。
  5. 預金保険機構は預金者の権利の消滅手続きをします。
  6. 金融機関は被害に合った金額の支払い手続きを預金保険機構に申請します。
  7. 金融機関は預金保険機構からの救済を受けて一定額を被害者に支払います。

以上の流れで、詐欺の疑いのある銀行口座の凍結を行うわけです。口座凍結の手続きの正式名称は、

「債券の消滅手続き」という名目で公告が発表されます。被害者はオンライン上で、自分の出した届け出の進行具合を確認することができます。

詐欺に合ったかもしれないという方は、警察や金融機関に届け出るとともに、保険金融機関、金融庁、警察庁、全国金融協会を通して手続きを行うことができます。(詳しくはこちら→参考URL)

それでは、このような詐欺の手口にはどのような種類があるのかを、参考までにいくつかご紹介しておきましょう。

詐欺の手口

  • 電話による振り込め詐欺→こちらは、ここ数年にかけて深刻な問題となっている高齢者を対象にした振り込め詐欺です。身内の振りをしたり、役所関係、金融関係の職員の振りをして指定の口座に振り込むように指示したり、本人の預金口座の情報を聞き出すやり方です。
  • ネットバンキングのハッキング詐欺→銀行のサイトのように見せかけて必要な情報を入手したり、偽のサイトあてにクレジットカードによる支払い手続きをするよう仕向けるものです。
  • ネットショッピング詐欺→品物を購入して、指示されたように口座に振り込んだがいつまでも立っても商品が届かず、問い合わせると連絡不通になっています。

他にも、百貨店の店員を装ったキャッシュカード手形詐欺、架空請求書詐欺、還付金詐欺、ギャンブル必勝法詐欺、交際あっせん詐欺など様々な手口を使って現金をだまし取る犯罪が問題になっています。

このような詐欺の多くが、自分にとっては関係ないと思っていても、ネットショッピングやネットオークションは、今日では日常茶飯事に利用する人も多く、けっして他人事とは言えない事です。少しでも疑わしい思いをしたら、即座に預金口座やクレジットカードを利用停止することが、被害を最小限に抑える方法になります。

オークション詐欺

さて、預金保険機構制度や詐欺の疑いによる預金口座の凍結について、だいたいのことがわかりました。仮に、自分が詐欺を働いたとすれば、ある日突然口座が凍結されてしまったとしても自業自得であり、納得がいく話ですが、最近では身に覚えのないことで口座が凍結されてしまうこともあるようです。

どんな場合に口座が凍結されてしまうのかをご説明する前に、オークション詐欺について詳しく解説していきたいと思います。

オークション詐欺の概要

オークション詐欺には2種類あります。

  • 出品側のオークション詐欺→金銭を受け取っているのに品物を渡さなかったり、全く別の品物を送ったりすること
  • 購入側のオークション詐欺→金銭を払うつもりがないのに、落札して品物を受け取る

国内では1990年代以降、ネットオークションやネットショッピングによる詐欺行為が拡大していて、アマゾン、楽天を始めとくに、個人売買が主流となるメリカリ、ヤフーオークションなどの被害が増えているとのことです。

オークション詐欺の種類

未送付詐欺
未送付詐欺はオークションサイトで最も一般的な詐欺です。商品代金を振り込んだ後、商品はいつまでたっても発送されることがなく、金銭を騙し取られてしまうケースです。発覚を遅らせるために、偽の追跡番号を送付したり、連絡を絶つわけではなく理由を述べながら送付が遅れることを説明することで、警察の介入を防ごうとするパターンが多くなります。

未払い詐欺
未払い詐欺は、お商品先送りのシステムを利用する出品者がターゲットになります。商品到着後、代金が一向に支払われないケースです。おかしいと思って、出品者が催促すると理由をつけて返送するとの返事が返ってきますが、もちろんいつまでたっても返送されることはありません。

振り込んだ詐欺
振り込んだ詐欺とは、あえて休日を挟んで商品を注文する詐欺です。休日中に、出品側は入金が確認できないことを利用して商品を騙し取る方法です。最近ではネットバンキングの支払い画面を偽装して出品者を騙すケースあるということです。

偽ブランド詐欺
有名ブランドと称し、偽ブランド品を送付する手口です。落札者が気付かないことが期待されていますが、気付いたとしても「こちらも知らなかったから被害者だ」と言って刑法上の盲点を付いての詐欺行為なので、罪を問うことが非常に難しい詐欺です。

ID乗っ取り詐欺
パスワードを推測や違法手段を使って入手して、他人のIDを乗っ取って出品する方法です。過去にフィッシング詐欺やスパイウェアで盗まれたIDであることが多く、金銭を騙し取られるだけでなく購入時に提供した個人情報を利用されて、別の詐欺行為を働くというケースです。

成りすまし詐欺
狙った相手のメールアドレスあてに出品者を装ってメールを送り、自分の持つ口座に振り込ませて逃げるパターンです。落札者だけでなく、次点落札者にもメールを送り「落札者が辞退したため落札者が変更になった」を偽り、入金を促します。

返品詐欺
返品詐欺は、落札し送られてきた商品にクレームをつけて全く違う商品を送り返すという手口です。ソフト関連をダウンロードしたり、DVDをコピーしたりした後に傷をつけてクレーム品として返品するケースもあります。

これらのケース意外にも、並行輸入品詐欺、委託詐欺、取り込み詐欺、エクスクロー詐欺、ペーパーカンパニー詐欺などとあり、どれも巧みに計画されて行われるため、被害者が騙されたことに気づくまでに時間がかかったり、逃げ道が用意されているため犯罪として扱えなかったりしているのです。

このようなオークション詐欺は、インターネットを利用した詐欺の中でもほんの氷山の一角にすぎず、サイバー犯罪の拡大に警察も頭を悩ませているところなのです。

口座凍結リストに名前が載る経緯

以下のグラフは、都道府県警察における、オンライン上の犯罪全般に関する相談件数の統計になります。

※サイバー犯罪の相談件数

出典:警察庁 サイバー犯罪による相談件数 参考URL

そして引き続き、下のグラフはオンライン犯罪の検挙数の推移になります。

※サイバー犯罪の検挙件数

警察庁:サイバー犯罪の検挙件数 参考URL

グラフを見てもわかるように、オンライン上で起きる犯罪の検挙数や相談数は近年、増加傾向にあります。警察庁の報告によると平成16年以降はとくにサイバー犯罪が急激に増加しており、犯罪防止対策を強化し続けています。

加えて、高齢者を対象にした電話による詐欺も深刻な問題となっている中、詐欺という犯罪の性質自体がその他の犯罪に比べると、決め手となる証拠がつかみづらいことが難題となっています。

とくに、巧妙な手口と逃げ道を用意したオークション詐欺に対して警察側、金融機関側、あるいは騙し取られた本人にとってできることと言えば、詐欺を行ったと思われる者の口座を凍結すること意外に方法がありません。従って、警察や金融機関は被害者には、振り込んだ先の銀行口座を報告するよう推奨しています。

そんな経緯があって、被害者には詐欺行為に合って利用した口座情報を集めた口座凍結リストが警察庁、金融庁、預金保険機構の3者によって共有されているわけです。

しかし、現状では全く身に覚えのない口座凍結という処罰に遭遇し、困難に陥っている人たちがいるのも事実です。では、なぜ、全く無実でありながら口座凍結されてしまったのでしょうか。

不本意ながら口座凍結されてしまった理由

身に覚えのない事で口座凍結されてしまった場合は、主に2つのパターンが考えられます。

  1. 過去に個人情報を何らかの方法で入手されてしまったことが要因となっている場合。財布やキャッシュカードの紛失して、情報を盗まれているにも関わらず、発見したことを幸いにそのまま何も変更しなかったことが原因。
  2. 詐欺を行う意図は全くなかったが、ネットオークションやネットショッピングの取引の過程において、相手が疑問に思うような行為を行ってしまったケース。
ここで、問題となるのが本当に詐欺に全く関わっていなかったとしても、それを証明することが非常に難しいということです。なぜなら、詐欺を行う人達は上述のオークション詐欺の種類でも軽く説明したように、そのような事態になった言い訳を常に用意しているからです。

口座凍結を解除する方法

ある日突然、自分の銀行口座が使えなくなっている、つまり口座凍結のリストに名前が載ってしまった場合は、解除されない限り、今後新たに口座開設をすることさえ難しくなってしまいます。

現代の日常生活においては、給料の振り込みなどを始め、銀行口座が使えないということは大きな信用問題になってしまいます。では、本当に無実だった場合に、解除するにはどうしたらいいのでしょうか。

自分で解除できる?

口座凍結リストに一旦名前が載ってしまえば、自分で解除する方法は皆無です。解除手続きをするためには警察の許可が要ります。

警察の指示のもと、金融機関も預金保険機構も動いています。いくら金融機関や預金保険機構に無実であることを説明しても、犯罪の疑いがかかっている以上、警察の許可がなければどうすることもできません。

もし、真犯人が見つかって、完全に詐欺とは無関係であることがわかった場合は、いつの間にか解除されていることも稀にあるかもしれませんが、可能性はかなり低いと言えます。

警察に相談する

口座凍結リストに名前が載ってしまった場合に一番にするべきことは、警察に相談することです。どのような疑いで口座凍結になったのか、その理由を明確にしなければなりません。詐欺とは全く関係ない理由で口座凍結になってしまった場合も考えられます。

各都道府県の警察相談専用窓口は・・・

その理由次第では、何か思い当たることがあるかもしれません。そういえば、オークションに出品した後、引っ越してしまって連絡不通の状態になっているとか、電話番号が変わってしまって、購入者が連絡を取りたくても連絡できない状態だったなどと不信感をもたらした原因が見つかるはずです。

本当に無実であれば、誠意を込めてありのままの真実を警察に、精一杯説明するべきです。無実を証明するために用意できる情報を可能な限り収集して下さい。

例えば、過去に財布やキャッシュカード、通帳を失くしたのであれば紛失届けを金融機関や警察に出しているはずで、その期間に情報を盗まれた可能性があることを示唆できます。

引っ越しをしたのであれば住民票、電話番号が変わったのであれば、番号が変わったことを証明する書類など・・・

できる限りの証拠を提示して、警察の担当者と納得がいくまで話をしてみます。後は警察の判断によります。

弁護士に相談する

警察に対してできる限りのことを尽くしたが、それでも口座凍結を解除してもらえない場合は、弁護士に相談するしかありません。費用はその弁護士や、状況の複雑さなどにもよりますが10万円~20万円が相場となっています。本当に無実であれば、ほぼ確実に弁護士に任せることで解除手続きを成功させることができます。

また、銀行口座が使えないことによって、取り返しのつかない損害を受けた場合は、警察や誤解した自称被害者を相手に訴訟を起こす方法もあります。これは、弁護士の判断にもよります。

もし、弁護士自身が無実であることを心から納得し、かなり理不尽な状況であると判断してくれた場合には、訴訟を進めてくれ、力になってくれる弁護士もいます。

それぞれの弁護士によって、考え方やポリシーも異なるので、実際に話をしてみて信頼できる弁護士、口座凍結に関して経験のある弁護士を探す必要があります。オンラインでまずは相談してみることもできます。

弁護士ドットコム
オンラインで複数の弁護士からアドバイスをもらったり、同じ状況にいる人達の情報を見ることができます。

 

 

法律の24時間相談
こちらは弁護士とのチャットが24時間可能なサイトです。

まとめ

インターネットの普及拡大、そして、ビジネスやサービスの多様化によって、近年では個人でもネットオークションやネットショッピングなどで収入を得ることが出来るようになりました。

個人間で物品や金銭のやり取りが可能になったことは大変便利ではありますが、これまで述べてきたように、それを悪用される危険もはらんでしまいます。

全く身に覚えがないことにせよ、思い当たる節があるにせよ、普段からお金に関わることや個人情報の取り扱いには細心の注意を払っておく必要があります。少しでも疑いがある際には、口座番号を変更したり金融機関に相談したりして早急に防犯対策を取っておきましょう。

同時に、いくら便利な世の中になったとはいえ、オンライン上の取引であるが故に、お互いにマナーを守って不信感を与えないように努力することも忘れてはいけません。

また、個人間での取引を行う場合はペイパルなどの決済代行業を利用したり、信頼できるサイトのみを選ぶようにすることで犯罪に巻き込まれる確率も低くなります。

そして、仮に万が一、詐欺事件に巻き込まれてしまったとしても、慌てずに確固たる態度で冷静に臨んでいくことが大切だと言えるでしょう。

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