余裕のある老後を送るためには?年金を増やす裏ワザ5選

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将来的に「もらえないかも…」と不安な話題の多い公的年金。

超高齢化社会・少子化が問題になっている現代、それでなくとも老後の生活の心配は尽きません。

ただでさえ受給開始年齢が65歳に引き上げられ、ますます将来の生活に不安を募らせている方もいるのではないのでしょうか?

貯金などの自助努力で備えなければならない!と思っても、給与平均が下がっている今の働き盛りにとっては貯金だけでは難しいもの。特に贅沢をしないばかりか、家賃・光熱費・食費などの必要最低限の出費に抑えても老後の生活は難しい方も多くなっています。

ではそんな不安に備えるにはどうすればいいのでしょうか?

ここではそんな不安を解消するための、老後の年金を増やす裏ワザをご紹介します。

公的制度を使った増やし方

まずは、公的年金をどうにかして増やす方法についてご説明しましょう。

公的年金を上乗せする方法としては、「国民年金基金」や年金の「繰り上げ支給」と「繰り下げ支給」、「付加年金」などがあります。

加入できる条件などの違いはありますが、基本的に国民年金を受給できる方であれば、利用できる制度がいくつかあります。

ここでは、その3つについてご説明していきましょう。

国民年金基金

参照:国民年金基金連合会

国民年金基金とは、自営業やフリーランスなどの第1号被保険者が加入できる制度です。

年金はよく「3階建て構造」になっていると言われますが、第1号被保険者は基本的に、1階部分の国民年金基礎年金のみ保険料をおさめているため、受給するのも基本的にそれのみになります。

会社員や公務員と違い、2階部分の厚生年金・共済年金がありませんので、その分受給額が少なくなります。

 

参照:「働く」「暮らす」ナビ

公的年金制度①年金制度の仕組み

そんな第1号被保険者が加入できるのが「国民年金基金」です。

この国民年金基金は、会社員や公務員の厚生年金・共済年金のような2階部分の上乗せ分に当たります。そのため、将来受け取る公的年金の受給額を増やすことができます。

加入は任意ですが、一度加入すると加入条件に合わなくなった場合を除いて、原則として中途解約をすることができません

 

国民年金基金の種類

国民年金基金には「地域型」と「職能型」の2種類があります。内容は同じですが、両方同時に加入することはできず、どちらかひとつにしか加入できません。

  • 地域型国民年金基金:各都道府県に1つ設置されている年金。その地域に住所があることが加入条件。
  • 職能型国民年金基金:該当する職種の第1号被保険者同士で組織する年金。25の職種について全国規模で各1つ設立。その職種に従事していることが加入の条件。

加入条件

20歳以上、60歳未満の第1号被保険者のみ。会社員・公務員などの第2号被保険者、専業主婦・主夫などの第3号被保険者は加入できません。

また、国民年金の保険料を免除・学生納付特例制度を申請している方も加入できませんので、注意しましょう。

掛け金と給付の種類

国民年金の掛金は加入する型によって「1口:○円」と決められており、口数単位で掛け金の金額が決まります。

給付は掛け金が高い順から、5種類に分かれています。1口目は下記の2種類から選び、2口目からは3種類の中から選ぶものになります。

 

1口目(まずこの2つからどちらか選ぶ・ベースの部分)

  • 終身年金A型 (15年間保証)
  • 終身年金B型 (保証期間なし)

2口目以上(ベースのものにプラスして選ぶ・オプション的なもの)

  • 確定給付年金Ⅰ型 (65歳支給開始、15年間保証)
  • 確定給付年金Ⅱ型 (65歳支給開始、10年間保証)
  • 確定給付年金Ⅲ型 (60歳支給開始、15年間保証)

※終身年金…基本的に加入者が生きている限り、年金がもらえるもの。

※確定給付年金…あらかじめ、年金が支払われる期間が決まっているもの。

 

どちらも、「保障期間」がついているものは、万が一加入者が15年以内に死亡した場合は、遺族に一時金が支払われます。

掛け金の金額

1口当たりの掛金額は「加入時の年齢・性別」によって違います。生命保険料と同じように、若いうちに加入する方が掛け金は安く済みます。

また、女性の方が平均寿命が長いとの理由から、女性の掛け金の方が高くなっています。

地域や職能によって一口当たりの金額が違いますが、上限は月額:68,000円(年額:816,000円)となっており、これを超える金額は設定できません。

お得な制度

まとめて1年分前納することで、掛け金から0.1か月分割引ができます。資金に余裕があるときには、前納を検討してみましょう。

繰り上げ受給と繰り下げ受給

参照:日本年金機構 年金の繰上げ・繰下げ受給

年金受給が65歳からに引き上げられたため、公的年金の受給を「繰り上げ受給」するか「繰り下げ受給」するか、選択できるようになりました。

「繰り上げ受給」は、月の受給額は通常の金額より低くなりますが、その分60歳から早めに年金を受け取れる制度です。60歳の定年退職し収入が途絶える人などは、繰り上げ受給することで無収入の期間をなくすことができます。

逆に、定年退職してもしばらくは働く予定の方は、66歳以降に年金受け取りを開始する「繰り下げ受給」をすることで、受給額全体を増やすことができます。

繰り上げ受給

繰り上げ受給とは、60歳から65歳までの間に年金受給を開始できる制度のことです。

原則として65歳からしか受け取れない老齢年金ですが、繰り上げ受給の申請を行うと、繰り上げて受給することができます。

その分長く年金を受け取ることができますが、早く年金をもらう分受給額全体は下がります。また一度繰上げ請求をすると、その年金決定を取り消すことはできません。

繰り上げ方法には「全部繰り上げ」と「一部繰り上げ」があり、請求時に選択できます。

参照:くらしすと ねんきんNAVI

①特別支給の老齢厚生年金と65歳以上で支給される老齢厚生年金はどう違うのですか?

②全部繰上げ受給、一部繰上げ受給はどのような仕組みになっていますか?

 

繰り下げ受給

繰り下げ受給は、66歳以上から年金受給を開始する制度です。定年退職後も働いて収入があり、65歳以上に毎月より多くの年金を受け取りたいという方に向いています。

遅くもらう分、受給額は増額されます。年金をもらえない間どうするかの問題はありますが、全体的に見て余裕ある金額をもらえるのは魅力的です。

ご夫婦であれば、どちらかの年金を繰り下げして世帯全体の受給額を増やすという選択もありますので、老後資金や貯蓄額を比較しながら、検討してみましょう。

 

参照:くらしすと ねんきんNAVI

③繰下げ受給はどのような仕組みになっていますか?

 

注意点

繰り上げ受給も繰り下げ受給も、一度申請して受給額が確定すると変更ができません。

また配偶者やご家族がなくなり遺族厚生年金の支給を受ける場合、老齢厚生年金・老齢基礎年金は65歳になるまで支給停止となります。

 

付加年金

付加年金とは、毎月の国民年金保険料にプラスして400円、保険料(付加年金料)を支払うことで、65歳から「年間支給額:毎月200円×納めていた月数」がもらえる仕組みです。

参照:日本年金機構 付加年金納付のご案内

この制度をぱっと見ると、

Man
毎月400円の保険料を払ってたのに、もらえるときは月200円?それじゃあ全然お得じゃないじゃない!

と思うのではないでしょうか?

 

このため、「付加年金は損!」と思っている人もいますが、ちょっと計算してみると、お得度がわかります。

 

例)30歳から払い始めて、60歳まで30年間払っていた場合

  • 付加年金の総支払額:400円×12か月×30年=144,000円
  • 受給後の年間の上乗せ受給額:200円×付加年金を払った月数360月=72,000円

これを見ると、2年間受給すれば144,000円受給できますので、元が取れることになります。

つまり200円×払った月数が毎年もらえるため、2年以上年金を受給する予定であればお得な制度であると言えるでしょう。

加入条件

20歳以上、60歳未満の第1号被保険者のみ。会社員・公務員などの第2号被保険者、専業主婦・主夫などの第3号被保険者は加入できません。

また、国民年金基金に加入していたり、そもそも年金の保険料納付を免除されている人は加入できません

注意点

「老齢基礎年金」に付随して支給されるものなので、そもそも老齢年金の受給資格を満たしていなければいくら付加年金を払っていても支給されません。

もし未納の時期があったりすると、付加年金を支払っていても受給できませんので、ねんきん定期便をチェックしましょう。

金融商品を使った増やし方

さて、ここまで公的年金を増やす、というポイントについてお話してきました。

しかし、

Man
公的な制度以外にも、備えておきたい!
Woman
専業主婦だから国民年金基金も付加年金も加入できないし…どうしよう?

そんな考えの方もいるでしょう。

実は、公的年金の他に、まだまだ利用できる「年金を増やす裏ワザ」はあります。

「個人年金保険」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」など、私的年金等がそれに当たります。

そんな私的年金について、ご説明していきましょう。

個人年金保険

参照:安田生命保険 個人年金保険「年金かけはし」

老後に受け取るお金を増やす方法の一つに「個人年金保険」があります。これは、民間の保険会社の商品です。(いわゆる生命保険のように、個人個人で保険会社と契約するものです。)

仕組み

仕組みとしては、生命保険のように毎月保険料を支払い、それを積み立てていくことで、将来、年金として受け取れるようにするものです。

公的年金と違って、加入は任意ですし、解約も自由です。(ただし、解約することで損をする場合もありますので、注意しましょう)

受け取り方

個人年金保険の受け取り方には、いくつか種類があります。大きく分けると、「一時金」としての受け取り方と、「年金形式」の受け取り方があります。

一時金で受け取る

一時金は今まで積み立ててきた個人年金を、満期が来た際にまとめて一括して受け取るものです。

しかし、年金形式で受け取る場合より、総額でみると少なくなります。ですが、早めにもらって計画的に使う予定の方や、保険会社が倒産したらどうしようと将来に不安のある方には良いかもしれません。

年金形式で受け取る

年金形式は、公的年金と同じように毎月一定の金額をコンスタントに受け取る方式です。受け取り方には「終身年金」「確定年金」「有期年金」の3つがあり、商品によって受け取り方を選べます。

  • 終身年金

終身年金は、公的年金と同じように生きている限りずっと受け取れます。老後も定期的な収入があるのは安心ですが、亡くなると支給はされませんし、生命保険のように遺族へ残せるお金もありません。もし早めに亡くなってしまうと、受け取った額より支払った額の方が多くなってしまうこともあります。

  • 確定年金

あらかじめ決められた期間だけ年金が受け取れます。期間は5年・10年・15年というパターンが多いです。終身年金と違って、もし本人が早めに亡くなってしまっても、期間中は遺族に年金が支給されます。掛け捨てにならず、元本割れにもなりにくいと言えますが、そもそもお金を残したいという家族がいない方にはあまりメリットがありません。

  • 有期年金

確定年金と同じように決められた期間だけ年金が受け取れますが、期間中でも本人が亡くなってしまうとそれ以降は支給されません。亡くなる時期によっては損になってしまいますが、その分保険料は安くなっています。 生涯おひとり様を考えている方には、いいかもしれません。

 

お得な制度

個人年金保険には、「個人年金保険料控除」があります。

個人年金保険料控除とは、生命保険料控除という所得控除の1つです。年末調整や確定申告を行うことで、払った保険料のうち所得や掛け金に応じて納めた税金が戻ってきますので、生命保険料や住宅ローンなどの控除と同じように忘れずに申請しましょう。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

参照:iDeCo公式サイト

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、毎月積み立てた掛金を拠出し、自分で選んだ商品で運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取るしくみのことです。

これまでは企業型確定拠出年金がありましたが、確定拠出年金制度を導入している企業が減少し、また終身雇用がなくなり転職する機会も増え転職先に確定拠出年金制度がないというケースもあり、個人型に切り替える方が増えてきました。

加入できる対象も広く、第1号被保険者・第2号被保険者はもちろん、専業主婦などの第3号被保険者も加入できる制度になります。

ただし、原則60歳までの途中解約や引出はできませんので、注意しましょう。

 

仕組み

毎月の掛け金を、投資信託や定期預金などの金融商品で運用し、60歳以降に年金・一時金として受け取る制度になります。

掛金は5000円から始められ、加入区分に応じて、拠出できる掛金の上限が異なりますので、ご自身がどの加入区分に属しているかを把握する必要があります。

加入条件

第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者、それぞれ加入対象となります。

今まで加入できなかった、会社員や公務員、専業主婦なども加入できるようになったというメリットがあります。

ただし、第2号被保険者で会社に企業型確定拠出年金制度がある場合は、加入できない場合がありますので、会社側に確認してみましょう

 

加入区分 加入対象となる方 加入できない方
国民年金の第1号被保険者 日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生など 農業者年金の被保険者
国民年金の保険料納付を免除(一部免除を含む)されている方(ただし、 障害基礎年金を受給されている方等は加入できます)
国民年金の第2号被保険者 60歳未満の厚生年金の被保険者(サラリーマン、公務員)の方 お勤めの企業で、企業型確定拠出年金に加入している方(ただし、企業型確定拠出年金規約で個人型同時加入を認めている場合は加入できます)
国民年金の第3号被保険者 20歳以上60歳未満の厚生年金に加入している方の被扶養配偶者の方

 

受け取り方

個人年金保険と同じで、原則60歳から一時金で受け取る方法と年金方式で受け取る方法を選択できます。

また、病気や怪我で万が一の時にも障害給付金や死亡一時金が受け取れるのも魅力です。

  • 老齢給付金:原則として60歳から、年金または一時金として支給されます。
  • 障害給付金:高度障害時に、年金または一時金として支給される。
  • 死亡一時金:死亡時に一時金として支給される。

お得な制度

iDeCoにも、個人年金保険と同じように所得税の控除制度があります。

積み立てた掛け金の全額が所得控除の対象になりますので、所得税・住民税が軽くなります。年末調整や確定申告を行うことで、所得や掛け金に応じて納めた税金が戻ってきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

国民年金基金や付加年金など、公的年金には意外とお得な制度があると気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか?しかし、これらの制度はこちらから調べて申請しなければ利用できません。

「年金なんてもらえないし・・・」と言わず、ちゃんと調べて、利用できる制度はしっかり利用しましょう。

特に自営業やフリーランスなどの第1号被保険者は、厚生年金・共済年金に加入できない分、老後に向けてしっかりと準備することが必要になってきます。

 

また、私的に老後資金の準備できる個人年金・個人型確定拠出年金(iDeCo)は、公的年金と違って自分の老後や家族に合わせて、必要な保障を選ぶこともできます。

長生きしたときのために終身年金にする、家族にお金を残したい遺族がいるので確定年金を選択する、一人家族なので少しでも掛金の負担額を減らしたいなど、自分の事情に合ったものを選択すれば良いと思います。

 

先の見えない現代ですから、数十年も先のことは誰しも不安なもの。

少しでも不安の原因を突き止めて、しっかり対策することで不安は減らせます。

老後の心配なく今を楽しむためにも、きちんとした備えを考えておきましょう。

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