先物取引、株式投資、FXのそれぞれの投資の特徴の違いを解説

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Man
「先物投資と他の投資との違いがよくわからない」

こんなことがよく言われています。たしかに先物投資は他の投資にはない特徴があります。

とはいえ、

  • 先物投資の特徴がわからない
  • 他の投資と比べて何が違うのかよくわからない

いう方も多いと思います。

そこでこの記事ではそんな先物投資とその他の投資との特徴の違いを解説していきます。

具体的には

  • 先物投資の特徴
  • 先物投資と株式投資の違い
  • 先物投資とFXとの共通点と違い

の順番にポイントを解説していきます。

先物投資を始めようとしている方は是非とも参考にしてみてくださいね。

先物取引とは何か

投資には様々な種類が存在し、株式投資やFXに投資信託などそれぞれに特徴があり、リスクもあります。その中で先物投資は長い歴史のある投資の一つですが、FXや株式投資よりも知名度は低い傾向があります。

先物投資に関しては、対象が身近な商品である金や農作物を始めとしてとっつきやすいですし、日経先物は日経平均株価を予想するものです。これだけ聞くと株式よりも簡単そうと考える人もいるかも知れませんね。

先物取引の仕組み

通常は売買をする際に商品を受け取る時り会計をします。これは現物取引と言われており、その場でものとお金が動きます。しかし、先物取引の場合は少し異なります。先物取引の場合はその場で会計を行うことはありません。

先物取引の場合は相手と日時と数量、価格を事前に決定しておき、その日時になった場合に料金を支払いその市場価格との差の分だけ利益になるという取引方法です。つまり購入の約束だけをしておき、実際に買うのは半年後に事前に決めた価格で購入することです。

少し分かりづらいので、具体的に解説すると現在のガソリン価格が150円と仮定します。数ヶ月後にガソリンが不足するとニュースで発表されたため、ガソリン価格は今後上昇していくでしょうと考えました。

そこで今のうちにガソリンを仕入れて数カ月後に売却れば利益が見込めるかもしれません。しかし、仕入れとなると大量のガソリンが必要になりますし、売却ルートも持っておく場所もありません。

そこで、事前に「3ヶ月後に100リットル購入するので1リットル150円で売ってくれ」と店舗側に交渉をします。すると3ヶ月後に予想通りにガソリンの価格は急騰し、1リットル200円になりました。

そこで1リットル200円で売って欲しいという人も現れました。現時点で利益はでているため、1リットル200円で売却しました。すると15,000円で購入したものが20,000円で売れた計算になるため、5,000円利益が出ました。

相手はガソリン100リットルを手に入れてこちらは現金を得ることが出来ました。これが大まかな先物取引の流れです。ポイントは現物を保持しておかないこと、量と価格、購入日時を事前に決定しておくことにあります。

先程は利益が出ましたが、マイナスになることも珍しくはありません。先程の例では一リットル150円で購入したものが、ガソリン価格が急落し1リットル100円で取引せざる負えない状況になったとします。

その場合は5,000円の損失を被ることになるのです。事前に値段を決めておくことで下がった場合にはその分だけ損失になります。そのため購入するタイミングが非常に大切になってきます。

先物投資は値下がりしても利益を狙うことができるので、市場の価格がどちらに傾きそうかまたいくらまで利益を狙うかが勝負の肝になるでしょう。

そして、この時に先物の取引の仲介をしてくれるのが証券会社であり、損失が出たとしても無事に取引が行えるように一定の金額を預けておく資金のことを「証拠金」といい先物取引は別名証拠金取引とも呼ばれています。

先物取引はこの証拠金を預けることでその額の数十倍のレバレッジを掛けて取引ができるのです。そのため、全額資金を用意する必要もありません。短期間で利益が出せる一方で大幅な損失の可能性もあります。

商品先物

商品先物は名前の通り身近にある商品を取引する市場です。主な種類は金・プラチナ・銀・パラジウム・ゴム・原油・ガソリン・灯油・大豆・コメ・コーンなどがあります。特に市場での人気が高いのは金であり、価格も付きやすいです。

商品が変更されることがあるように必要な証拠金も変動します。例えば金先物の場合は、1キログラム単位での売買になり1g4,000円と仮定した場合は400万円分の取引をすることになります。

9月時点での証拠金は66,000円ですので、400万÷66,000円=60.6つまり倍率は約61倍の取引ができます。同様に日経先物の場合は約33倍の取引ができます。ちなみにFXは25倍程度で現物はレバレッジを効かせることが出来ないため、少額で大きな取引ができるのは先物の大きな特徴です。

日経先物

日経225先物に関しても仕組みは基本的に商品先物と同じです。ただし、異なる点としては株価指数を基準としているため、期日というものが設定されています。この期日を基準にして一定の価格で「買い」もしくは「売り」の取引を行います。

その時に現物のやり取りなどは一切ないため、契約ができるように証拠金が必要になるのです。全額入れなくとも証拠金を入れれば問題なしです。しかし、株価は日々変化するため証拠金も頻繁にかわることがあります。

そして現物でのやり取りが一切ない関係上、「買い」か「売り」注文した価格から売却した価格の差額でのやりとりの差金決済が採用されているため、1日になんども取引を行うこともできます。

先物と株式投資の具体的な違い

先物投資と株式等は以外にも違う側面が多く、それぞれに特徴があるため向き不向きがはっきり分かれるところでしょう。ここでは株式投資との違いについて解説します。ある程度違いを知っておくと便利なのです。

限月

まず1つの目の大きな違いは取引期限が決められていることです。現物株の場合は特に保有している期間に制限などはありません。数時間で売却しても数十年持ち続けても会社が倒産しない限りは株式は持つことが出来ます。

これは株式投資の場合はあくまでも株券を現金で購入したという扱いのため、手元には株券がある状態なのです。だからこそ、この株券を売却しない限りは有効期限などは基本的にありません。

これに対して株式先物指数取引つまり、日経225先物には限月と呼ばれる取引期間があります。先物投資では3,6,9,12月が限月であり持っている建玉が満期を迎えます。そして一度精算するために第二金曜日にはSQ(特別清算指数)が割り出されるのです。

そして、この限月とオプション取引のSQが重なる時はメジャーSQ、重ならない時をマイナーSQと呼びます。なお、株式投資との違いは満期日までに持っている建玉が反対売買されない場合は、このSQの価格と建玉の価格の差額で自動的に決済されます。

そもそもなんでこのようなことをするかと言えば、先物取引は取引時に受け渡すものが特に無く、基本的には約束だけで市場はなりたっています。また先物指数も抽象的な数値のため具体的な受け渡しができません。

そこで、期日とSQを設けて取引時の約定価格の差額で取引を行うことを採用しています。

レバレッジ

2つ目の違いはレバレッジについてです。株式投資の場合はレバレッジを効かせて実際の金額以上の取引を行うことは出来ません。取引を始める場合には、取引金額を全額用意して証券会社に預ける必要があります。

しかし、先物取引の場合は全額用意する必要はなく決められた金額の証拠金を預けることにより、実に証拠金の30倍~60倍の取引をすることができます。これにより、短期間で大きな利益をだすこともできるのです。

前述の通り、先物取引は一切現物の取引は行いません。そのため、決済がしっかりとできるように取引の安全性を確保するために証拠金制度を採用しているのです。いわば最低限トレードが成立するための担保が証拠金なのです。

取引方向

3つ目は取引の方向です。株式投資の場合はトレードは「買い」のみですが、先物取引は「買い」「売り」どちらからでも取引を始めることが出来ます。これは先物投資は一定の値段で売り買いする約束であることのため、現物の場合は実物の取引であるからです。

両方向から利益を狙えることと、取引期限があることから短期間のトレードに先物取引はむいています。反対に現物株は短期ではなく、長期間保有してじっくりと利益を増やすほうが向いているでしょう。

信用投資との共通点とその違い

共通点

信用取引と先物取引の共通点はレバレッジがかけられること、「買い」「売り」の両方向から取引ができることです。信用取引は約3倍までのレバレッジを掛けることができるため、通常の株式投資よりも多くの利益が見込めます。

また、両方向から取引が可能になるため取引のタイミングや量が変化します。相場は常に上がって下がるを繰り返しているため、取引量も利益を獲得できるタイミングも増えます。その分リスクも増えますが、買ったまま保持し続けている株式も同じぐらいのリスクがあるため、上手に活用できれば有利になるでしょう。

異なる点

異なる点としては、金利がかかることでしょう。信用取引の場合は、先物取引と同じに見えますが実は通常の株式投資の延長線上にあります。どういうことかと言えば、基本的には現金と株式のやり取りを信用取引はおこなっています。

信用取引の場合は担保を入れた上で現金を借りて取引をしているため、手元に現金が満額なかったとしても相場上は株価と同額の現金がやり取りされています。この点が先物投資と異なる点です。

先物投資は前述の通り現物でのやり取りは行われません。清算価格による差金取引が基本となっています。だからこそトレードが成立する証拠金があれば取引をすることができるのです。

信用取引に戻ると現金を担保に市場から現金を借りてトレードをしているため、金利がかかります。先物投資は借りることはないため金利はかかることはありません。

FXとの共通点と違い

共通点

先物投資とFXの共通点としては証拠金取引であることが挙げられます。どちらも証拠金を預けることでレバレッジを掛けて少ない資金で大きなトレードをすることが出来ます。短期間で利益を出すにはピッタリと言えるでしょう。

また両方向での取引がどちらもできます。「買い」「売り」と状況に合わせてトレードをすることができます。また取引時間も日中から夜間まで長いことも特徴としては共通する部分です。

異なる点

異なる点としては、先物には期限があることです。FXと先物は両方共強制ロスカットがありますが、FXの場合は期限がなく強制的にロスカットされない限りはポジションを持ち続けることが出来ます。

また、FXは現在の価格を取引するのに対して先物取引は未来の価格を予測して取引を行います。そしてトレードの方法も異なります。FXは証券所を介さない相対取引ですが、先物取引は証券所を経由する証券所取引です。

取り扱うジャンルも異なります。FXは外国為替のペアを取引しますが、先物の場合は原油や金、株価指数に国債など幅は広いです。

先物取引の魅力

先物取引は特定の商品を将来の決められた日にあらかじめ決めておいた価格で売買する取引のことです。先物投資は大金を用意しなくても始めることが可能な投資方法で、短期間かつ少額でも利益を得ることのできる投資です。

株式投資と異なり日中だけではなく、ナイトセッションも開かれているため引時間も長く、価格の変動もあり、両建てで取引ができるためいつでも利益を獲得できるチャンスがあります。他の投資方法と比べても魅力的な投資方法と言えるでしょう。

投資を始める場合にはどれがおすすめなのか

ここまで様々な違いを見てきましたが、投資を始める場合にはどれがおすすめなのでしょうか?タイプ別に分けて解説していきます。

まずは、資金にある程度余裕があり長期間で投資をしたいと考えている方の場合は、株式投資が良いでしょう。先物やFXはどうしても短期間でのトレードになりがちです。じっくりと待って行う投資をするならば現物の株式投資が一番です。

持っていても強制ロスカットも無いですし、レバレッジがかからないため損失が多くてもマイナスになることはありません。分散して投資するのも簡単にできます。リスクはFXや先物よりは低めでしょう。

現物取引に慣れてきたら信用取引にも挑戦してみると良いかもしれません。相場に慣れてくると相場は、価格が上がったり下がったりとうねりになっていることがわかるかと思います。

すると「買い」だけですと価格が下げたときには対応することができません。もちろん価格が下がった時に買い足すことは非常に有効な手段ですが、「売り」で取引できた場合は更に利益をのばせます。

ただし、金利もかかりますし損失がでた場合は現物株式よりも大きな損失を被ることもあります。はじめは現物株式から信用取引に入った方がいいでしょう。

では先物ですが、こちらは短い期間でトレードしたい方や資金がそこまで多くない場合に有効です。証拠金があれば投資ができるので、現物株よりも始めやすいですし、上手にやれば利益も出せます。

ただし、損失が大きくなるリスクもあります。そして大きな損失を出した場合には追証のリスクもあるのが先物取引の怖いところでもありますね。FXもこの点はほとんど同じです。

短期間でトレードを考えている人の場合は先物取引かFXをおすすめします。ただし、大前提として証拠金ギリギリでトレードを開始するのではなく、十分な資金を確保してからトレードをはじめましょう。

そして先物とFXですが、レバレッジを変更したい人や通貨ペアによっては長期間保持しておきたい場合はFXを選び、将来的な価格で基本的に短期間でトレードしたい人は先物投資を選ぶと良いかもしれません。

長期間がメインの投資の場合は株式投資、短期~中期の場合はFX、短期メインの場合は先物投資がおすすめ。リスクに関してはどの投資もあります。リスクのない投資はないためそれぞれの特徴を把握して自分にあった投資方法にチャレンジしましょう。

まとめ

ここまで株式投資・先物投資・FXに関しての共通点や異なる点に関して解説してきました。それぞれの投資方法にしっかりと特徴があるため、違いを抑えて準備をしてから投資を始めることが大切です。

特に先物投資はイメージ的に難しいと思われがちですが、実際には将来の価格を予想して買ったり、売ったりする約束するという投資なのです。一度覚えてしまえばそこまで難しい考え方でもないと思います。

自分にあった投資方法を余裕を持って選ぶことが大切なのです。まずはいろいろ試してみるのも良いかもしれません。その際には資金にある程度の余裕を持ってから始めるようにしましょう。

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