フィボナッチ比率を利用して売買ポイントを見極めよう!

トレードや投資をする際の押し目を判断するテクニカル指標にフィボナッチ比率があります。特に先物やFX、流動性の高い大型株などでは効果が高いと言われています。フィボナッチ比率とは何なのか、トレードにどう役立てていけばいいのかを解説していきます。

フィボナッチ比率とは

イタリアの数学者フィボナッチによって発見された数列のことを、フィボナッチ数列といいます。

1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144,233,377,610,987・・・と続きます。

以下のような特徴があります。

1.隣り合う数字を足すと次の数字になる

1 + 2 = 3

3 + 5 = 8

21 + 34 = 55

2.最初の三つの数字を除いて、連続する二つの数字で小さい数字を大きい数字で割ると0.618に近づく

8 ÷ 13 = 0.615

21 ÷ 34 = 0.618

377 ÷ 610 = 0.618

3.最初の三つの数字を除いて、連続する二つの数字で大きい数字を小さい数字で割ると1.618に近づく

13 ÷ 8 = 1.625

34 ÷ 21 = 1.619

610 ÷ 377 = 1.618

4.最初の三つの数字を除いて、その数字を2つ後の数字で割ると0.382に近づく

8 ÷ 21 = 0.380

55 ÷ 144 = 0.382

フィボナッチ数列は、「この世界のあらゆる数字や比率は、調和が取れている。すべては数字によって関連付けられている」という発想から生まれました。比率と調和のとれた数字は黄金分割の比率として知られています。そしてこの黄金分割の比率が、1.618や0.618なのです。この黄金比率は動植物などの自然界の他、音楽や芸術・科学などいたるところで見られ、最も美しい比率とされています。例えばパルテノン神殿やギザのピラミッド、パリの凱旋門やミロのヴィーナスといった芸術作品にもこの比率が取り入れられています。

自然界では、例えばひまわりの種の並びや、貝やパイナップルなどの螺旋状の並びにもフィボナッチ比率が見られます。また人間のへそは身長の0.618倍のところにありますし、肘から指先、手首から指先までの長さも黄金比率になっています。

このように我々の周りには、フィボナッチ比率で出来上がっているものが多くあるのです。

それでは、なぜマーケット分析にフィボナッチ比率を使うのでしょうか。それはマーケットというものは、あらゆるものを織り込むといわれているからです。世界中の景気や経済の状況、そして個別株の業績など、あらゆるものを織り込んで、マーケットの価格となっています。つまり、マーケットの価格がすべて織り込むのであれば、自然界の美しい形、フィボナッチ比率で表せることができるのではないかという発想から生まれました。エリオット波動と言うテクニカル指標があります。拡大や縮小というリズムにフィボナッチ比率が使われています。

出典 外為オンライン

エリオット波動は上記のような形をしています。上昇相場では、第1波から第5波まで。下降相場では第1波から第3波までとなっています。

上昇相場では、

第2波 = 第1波 × 0.50、 0.618

第3波 = 第1波 × 1.618、2.00、2.618、3.00

など、フィボナッチ比率が現れてきます。

主に使われるフィボナッチ比率は

①0.618 ②0.764(0.618の平方根) ③1.00 ④1.272(1.618の平方根) ⑤1.618 ⑥0.382 ⑦0.236 などです。補足として0.5(半値)もフィボナッチのチャートでは使われています。

出典 楽天証券

これはソニー(証券コード:6758)の日足です。安値Aと高値Bのフィボナッチ比率を表しています。押し目38.2%まで下落し、再度高値を更新しているのがわかります。また23.6%の位置でもみあっているのがわかります。もちろん、常にこのような値動きになるわけではありませんが、こうしたフィボナッチを意識した動きはよくでてきます。詳しくは後ほど紹介します。

フィボナッチ分析の種類

フィボナッチ・リトレースメント

フィボナッチ・リトレースメントとは、安値から高値の上げ幅に対する押し目、もしくは高値から安値の下げ幅に対する戻りのことを言います。

23.6%、38.2%、50%、61.8%、76.4%が使われます。特に38.2%、50%、61.8%の三つのポイントは意識されることが多くなります。

例えば、上昇相場において、38.2%というのは3分の1押しです。そして50% は半値押し、61.8%というのは3分の2押しとなります。

相場に対して数学的な根拠がフィボナッチで示されるわけではありませんが、経験則的にフィボナッチポイントで価格が止まることが多いとされています。

ですから、フィボナッチ・リトレースメントのポイントは、多くの投資家が意識しているので、サポートやレジスタンスになりやすいという特徴があります。

これは、他のテクニカル分析にもいえるのですが、まずそのテクニカル指標を多くの投資家が見ているかどうかということが重要になります。もちろん、そのテクニカル通りに必ず相場が動くということではありません。他の投資家が見ているということは、注文が多くなり節目になりやすいということです。ですから、ポイントをおさえることができれば、投資戦略がたてやすくなるのです。

フィボナッチを使うときはこのフィボナッチ・リトレースメントが最もよく使われます。ですから、今回はフィボナッチ・リトレースメントを使ってマーケット分析をしていきます。

フィボナッチリトレースメント以外にどのようなツールがあるか簡単に説明していきます。

フィボナッチ・ファン

フィボナッチ・リトレースメントを利用して、トレンドラインを引いていきます。複数のトレンドラインが引かれ、それぞれがサポートやレジスタンスとなります。

フィボナッチ・エクスパンション

トレンドからいったん下落し、再び高値を抜いてトレンドが始まった時に、どこまで到達するかをフィボナッチ比率で予想するものです。

フィボナッチアーク

フィボナッチ・リトレースメントは価格水準のみで判断しますが、フィボナッチアークは価格水準と時間軸の両方をフィボナッチ比率で分析します。

フィボナッチチャネル

フィボナッチ・リトレースメントとトレンドチャンネルを組み合わせたテクニカル指標です。チャネルラインをブレイクした時に価格がどこまで到達するかを、フィボナッチ比率で計算します。

フィボナッチタイムゾーン

時間軸を強く意識したテクニカル指標です。相場が動いたり止まったりするポイントを時間軸で計算します。

フィボナッチグリッド

価格的要素と時間的要素を組み合わせたものです。価格的要素が横線、時間要素が縦線で、それぞれが支持線と抵抗線になります。

フィボナッチ比率のメリット・デメリット

フィボナッチ比率のメリット

トレンド相場の押し目と戻りを判断することができる

どんな相場でも一方向に上がり続ける、または下がり続けるということはありません。 どこかで一旦押し目や戻りを必ずつけます。その時の判断基準となるのがフィボナッチ比率です。もちろん、他にも目安はあります。例えば半値押しや3分の1押し、3分の2押しなどです。しかし、それらの指標もフィボナッチ比率とほぼ重なっているところもあり、判断の目安となります。また証券会社のチャートツールなどでもフィボナッチ比率は表示されることが多いのでわかりやすいでしょう。

強いトレンドの場合、押し目(戻り)の目途は38.2%

弱いトレンドの場合、押し目(戻り)の目途は61.8%

強いトレンドの場合は、38.2%を目処にトレンドが継続することが 多くなります。弱いトレンドの場合は、最大で61.8%押しを目処にします。これは自分のトレードスタイルによって変わってきます。浅い押し目狙いの場合は売買チャンスが増えますが、トレンドを作らない場合には損切りが多くなってしまいます。深い押し目を狙う場合は保守的な売買となり、リターンも大きくなりますが、売買チャンスは少なくなってしまいます。

時間軸が長いほど効果が高くなる

フィボナッチ比率はあらゆる時間軸に使用することができます。例えば分足・日足・週足などです。デイトレードを行う場合は分足をメインに見ていると思うので、もちろんフィボナッチ比率を意識した動きになることが多くあります。ただし、マーケットの参加者は短期筋だけではありません。特に大口の資金を運用するのは中長期の投資家です。そしてトレンドを決定づけるのは彼らです。ですから、フィボナッチ比率もより多様な投資家が参加していると思われる日足や週足の方が効果が高いのです。

フィボナッチ比率のデメリット

もみ合い相場ではダマシが多くなる

フィボナッチ比率は、トレンド相場で効果を発揮します。上昇相場で押し目と思って買いを入れても、再度高値を更新することなく下がってしまうことがあります。下落相場においても戻り売りのポイントと思って売りを入れても、再度安値を更新することなく上がってしまうこともあります。まずは、相場がトレンドにあるのか、もしくは揉み合いなのか、それを他のテクニカル指標で判断し、その上でトレンドと判断したならば、フィボナッチ比率を使って取引すると利益を得やすくなります。

トレンドに乗れないこともある

押し目や戻りの判断として有効なフィボナッチ比率ですが、本当に強いトレンドの時はそこまで下がらず(上がらずに)に上昇(下落)してしまうこともあります。大きなトレンドを逃してしまう可能性があるということは、頭に入れておかなければなりません。

流動性のない銘柄は効果が薄い

フィボナッチ比率が有効な市場は株価指数や FX 、そして流動性の高い大型株などです。個人投資家に人気が高い新興株などでも流動性が高い銘柄は問題ありませんが、出来高や流動性が低い銘柄のフィボナッチ比率はあまり有効ではありません。フィボナッチ比率のポイントに来ても板が薄いため、大口投資家の売買で値段が大きく動いてしまうからです。自分が取引しようとしている銘柄が、フィボナッチ比率通りに動いているのか、そのポイントを意識した動きになっているのかを必ず確認してから使うようにしましょう。

フィボナッチ比率で必ず反転するのではなく抜けることもある

多くの投資家が見ているフィボナッチ比率なので、そのポイントを意識した動きになるのは確かなのですが、必ずしもそこで止まるという保証はありません。ですから売買ポイントの判断の一つとして参考になりますが、必ず自分の思惑と反対に動いた場合は、損切り注文を入れておくなどリスク管理をしっかりしておきましょう。

フィボナッチ比率でマーケットを分析してみよう

それでは、実際にチャートでフィボナッチ比率を見ていきましょう。

日経平均株価

出典 楽天証券

日経平均株価の4月25日からの日足チャートを見てみます。日経平均株価はこの期間22,000円から23,000円のボックス相場の値動きとなっています。ですから23,000円を超えると押し戻され、22,000円を下回ると買い戻されという動きが続いています.ですからフィボナッチ比率で押し目買い、戻り売りを狙っても機能しなかったことがわかります。

出典 楽天証券

しかし、9月14日に23,000円を明確に超え、上昇トレンドに入っています。押し目を判断する指標としてフィボナッチ比率をチャートで表してみました。まずは強いトレンドを維持し、23.6%や38.2%で止まるかどうかというところに注目しています。

ソニー(証券コード:6758)

出典 楽天証券

強いトレンドを作って上昇しているソニーを見てみましょう。5月30日の安値5,031円からきれいな上昇トレンドを作っているのがわかります。このチャートではわかりにくいので3つにわけて見ていきましょう。

出典 楽天証券

まずは①の局面です。安値は5月30日の5,031円、高値は6月12日の5,610円となっています。高値と安値を起点としてフィボナッチ比率をチャート化しています。この場面では、61.8%ラインまで押さずに反発しました。 その時の安値は5262円です。上昇トレンドの中でも比較的押しが深かったチャートと判断できます。

出典 楽天証券

次に②の局面です。高値6,100円。安値5,320円のフィボナッチラインです。高値から38.2%押しの5,802円前後で止まり、再び高値を更新しています。ただし、この時の安値は5,769円ですから38.2%を一時的に割り込み、引け値で回復したという形になっています。多くの人が見ているフィボナッチ比率ですが、必ずしもそのポイントでピタリと止まるわけではありません。一時的に抜けることもあるので注意しましょう。

出典 楽天証券

最後に③の局面を見ていきましょう。高値6,422円,安値5,810円の38.2%を回ったものの、50%ライン手前で反発し高値を更新しています。これは比較的押し目が浅いので、強い トレンドが継続していることがわかります。このように、特に38.2%,50%,61.8%と言ったラインは押し目となる可能性が高くなるので,そのポイントは注意するようにしましょう 。

他のテクニカル指標と合わせて考える

出典 楽天証券

改めてソニーのチャートを見てみましょう。今度は移動平均線を表示しています。ピンクの ライン が5日移動平均線、緑のラインが25日移動平均線、オレンジのラインが75日移動平均線です。6月12日、25日移動平均線が75日移動平均線を上回ってゴールデンクロスとなりました。また、7月以降は25日移動平均線、75日移動平均線ともに上向きになり上昇トレンドを描いていることがわかります。フィボナッチ比率を使う場合は、こういった トレンドを表す移動平均線などを利用するとさらに精度が高くなります。フィボナッチ・リトレースメントは、上昇トレンド・下降トレンドの押し目や戻りを狙って仕掛けます。ただしフィボナッチ比率だけではトレンドを形成しているかどうかということはわかりません。他のテクニカル指標を組み合わせて利用するようにしましょう。

まとめ

今回はフィボナッチ比率、特にフィボナッチ・リトレースメントでどのように相場を分析するかということを見てきました。もちろん株価はテクニカル指標通りに動くわけではありません。ただし、押し目がどこになるのか、もしくは戻りがどこにあるのかという目安をつけることは、トレードにおいてとても大切なことです。何の目安もなく闇雲に売買していても継続的に利益をだし続けることはできないでしょう。また利食いや損切りの目安としてもフィボナッチ比率は使えます。ですから、なぜそこで利食いをしたのか、なぜそこで損切りをしたのかということを後で振り返るにもフィボナッチ比率は非常に便利です。

実際に取引しなくても、移動平均線などでトレンドを確認したら、フィボナッチリトレースメントを引いてみましょう。そして株価などがフィボナッチ比率に対してどのような値動きになるのかなどの分析を続けているうちに、いくつかのパターンを発見できます。そうしたパターンを実際のトレードに応用することができれば、パフォーマンスは向上していくでしょう。

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一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト、デリバティブディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。保有資格:証券外務員1種

ブログ:先物オプション奮闘日誌 http://yanta.cocolog-nifty.com/

ツイッター:https://twitter.com/yanta2011

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