個人年金保険とは?個人年金保険の概要・特徴・必要性を徹底解説!

個人年金保険とは?

「個人年金保険ってどんなもの?貯蓄との違いは?そもそも、必要性はあるの?」

終身雇用制度の確実性が危ぶまれている中で、60代で引退し貯蓄・年金で老後は生活するという老後計画を、現在の20代・30代世代は送れないかもしれないと言われています。そんな中で、一生現役という考え方をお持ちの方も少なくないと思います。

一方で、老後は現役時代の貯蓄や積み立て、資産でゆったりと過ごしたいという考え方の方もいるかもしれませんし、40代から50代の間で老後計画が変わってくるというケースも存在します。経済的な観点から見た老後の計画というのが、不確実性の高いものになっている中で、注目したいのは「個人年金保険」です。

この記事では「個人年金保険という言葉を耳にしたことはあるけど、しっかりと理解出来ていない」という方に向けて、個人年金保険の概要、個人年金保険の特徴・貯蓄との違い・必要性などについてご紹介していきたいと思います。

年金の種類について押さえる

この記事では「個人年金保険」についてご紹介していきますが、まずはじめに「年金の種類」についてしっかりと押さえておきましょう。個人年金保険の概要や必要性を考える上ではずせない要素です。年金には主に「公的年金」と「私的年金」の2種類が存在しています。

公的年金とは

公的年金とは、加入に際して義務が発生する年金の事で、日本では「国民年金」「厚生年金」の2種類があります。この2種類の保険は、どちらか好きな方に加入出来るというようなものではありません。

国民年金は、日本国民であり20歳~60歳に該当する場合は「加入義務」がある年金です。一方の厚生年金とは「公務員・会社員に加入義務」のある年金です。そのため、公務員・会社員に該当する場合は「国民年金・厚生年金の両方に加入義務」があります。

複雑に感じる方は「自営業の方は国民年金のみ」「会社員・公務員の方は国民年金・厚生年金」に原則加入義務があると押さえておけば良いです。

私的年金

次に私的年金について押さえておきましょう。私的年金とは年金のような使い方が出来る制度や保険の商品の事です。私的年金について簡単にまとめると、私的年金の制度・商品は様々ですが、共通して言えるのは「公的年金の補填のために加入する」です。

公的年金は、条件に該当する場合は加入に際して義務が発生しますが、私的年金の場合は加入に関して任意です。そのため、私的年金に加入する・しないは個々の判断に任されています。

そのため「公的年金にプラスして老後資金対策をしたい」という方が加入しているケースが多く、年金受給の引き上げなどが取り上げられている中で、選択肢の1つとして検討したい商品になってきていると言えます。

個人年金保険の概要

先程、年金の種類についてご紹介させて頂いたので、個人年金保険の概要についてご紹介していきたいと思います。個人年金保険について簡単にまとめてしまうと「老後のための資金を補填する事を目的とした保険」だと言えます。

もう少し詳しくご紹介すると、年金と聞くと国民年金・厚生年金などを想像する事が多いですが、個人年金保険は加入に際しては任意です。そのため個人的に積み立てを行う事が出来る保険であり、私的年金に該当します。

個人年金保険は「年金」という文言が付いているので「保険」とは異なったものに感じられますが、私的年金特に「個人年金保険」に関しては保険という側面が強いと言えます。なぜ、個人年金保険が保険であると言えるのか?という点に関しては、個人年金保険の保障内容・種類等を理解することで、しっかりと押さえる事が可能だと思います。

個人年金保険の保障内容

保険とは何か合ったときのため、これから想定される経済的・身体的リスクを保障するために加入するものです。「保障」する事が保険の存在意義なので、どんな保険にも共通して言えることですが、「保障内容」を理解すれば、その保険についてしっかりと押さえる事が可能です。

個人年金保険の保障内容は冒頭でも少し触れていますが、もう少し詳しくご紹介したいと思います。個人年金保険は私的年金に該当する保険であり、私的年金は主に「年金の補填」が主な目的です。しかし、中には「公的年金だけでも十分では?」という意見も見られる事も事実です。

もちろん、退職金・資産運用・これまでの貯蓄などを活用すれば私的年金の必要性がないケースも少なくありません。しかし、それと同じくらい「私的年金が必要になる可能性」があります。

理由はいくつか挙げられますが、主に以下のような点です。

  • 貯蓄・資産が十分に形成されていないケース
  • 公的年金の受給期間の引き上げ
  • 想定外の出費

貯蓄・資産というのは人によって大きく異なり、場合によっては年金さえも必要にならないくらい大きな資産を保有しており、経済的な余裕を確保しているケースもあります。そのような場合は、資産運用に資産を回した方が効率的に経済的余裕を確保できると思います。

しかし、ローンの返済・医療費などなど老後の代表的な出費はいくつも考えられますし、資産を十分に形成できていないケースも少なくないでしょう。また、終身雇用制度が危ぶまれている中、経済的な余裕を確保できないまま身体上の原因から現役世代を引退というケースも少なくありません。

また、そこに追い打ちを掛けるように「公的年金の引き上げ」が予想されます。超高齢化社会の日本では「年金そもそもの概念が無理があるのでは」と言われるほど高齢者が増えており、そのしわ寄せが既に「厚生年金の引き上げ」という形で始まっています。(元々55歳だった受給期間が65歳に段階的に引き上げ予定)

国民年金については、引き上げが予定されているという情報や過去に引き上げられたというケースはありません。ただ、厚生年金・国民年金の引き上げ・減額が行われる可能性は十分にあると言えます。

また、想定外の出費に関してもリスクが挙げられ、健康面でのリスクが高まり医療費・生活費など様々な面で経済的な負担が考えられます。もちろん、他の保険で保障する事も可能ですが、不確実性の高い公的年金の「補填」をしっかりと行うための保険が個人年金保険であり、その必要性は高まっていると言えます。

また、個人年金保険のもう一つの保障内容として「死亡時の保障」が挙げられます。年金の受け取り期間に、もしも被保険者(保険で保障される人)が死亡した場合に、遺族に残りの年金が支払われるものや「保険料の払込期間に死亡」した場合でも、保険金を受取る事が可能です。(条件・詳細は、商品によって異なります。)

形としては、生命保険に似通っている保障内容であり、状況によっては「生命保険の代わり・補填」としても加入する事が可能です。

個人年金保険の種類

個人年金保険の保障内容について理解出来たところで、個人年金保険の種類について触れていきます。個人年金保険の種類を知るとともに、各種類の概要についてご紹介させて頂くので「個人年金保険ってこういう保険」というイメージが頭の中で掴みやすいと思います。

個人年金保険の種類は、豊富なので「年金の受け取り」という点から、個人年金保険の分類をしていきたいと思います。個人年金保険を受け取り期間で、分類していきたいと思います。

個人年金保険には「払込期間」と「受け取り期間」という2つの視点から見た期間が存在し、払込期間中についてはほぼすべての個人年金保険で、死亡時に「死亡給付金」が給付され、払込期間についてはどの個人年金保険も似通っています。

そのため個人年金保険の商品に特徴が出てくるのは、支払いが終了し保険料が返ってくる期間である「受け取り期間」です。個人年金保険の保険金の受け取り期間では、以下のような種類があります。

  • 終身年金
    (被保険者が生きている限り年金を給付・死亡した場合に遺族への保障はなし)
  • 有期年金
    (被保険者が生きている場合に、一定期間保障・死亡した場合に遺族への保障なし)
  • 確定年金
    (被保険者が生きている場合に、一定期間保障・死亡した場合に遺族への保障あり)

上記した3つの保険を分類する要素は「年金を受給する期間」「遺族への保障」という2つのポイントにあります。各環境・事情に合わせて、必要な保障が組み込まれている商品を選択する必要がありますが、一例として各種類の用途について触れていきましょう。

まず、はじめに終身年金では「生きている限り年金を一生涯保障」と「遺族への保障なし」という特徴を持った商品なので、公的年金だけでは将来的な経済状況について不安を持っており、一生涯生活を保障していきたいという方におすすめ出来ます。

一方の有期年金は「生きている場合に一定期間年金を受給」し、「死亡した場合に遺族への保障なし」という特徴があります。受給期間に限りがあり、遺族への保障もないためデメリットだらけの個人年金保険だと感じてしまいますが、60歳に引退し65歳から公的年金の受給を開始するのようなケースに活用出来ます。

つまり、60歳~65歳までに受給期間を設定し、公的年金までの「ツナギ」として利用する事が可能です。そのため、用途によっては優秀な保険になるのです。

最後の確定年金は「生きている限り一定期間年金を受給」し、「遺族への保障あり」という保険です。この保険では、保障期間が一定ではありますが、その期間中に死亡した場合に「死亡給付金」を遺族が受け取る事が可能です。そのため、生命保険などの「死亡に対するリスク」に対応する保険になっています。

個人年金保険は受け取り期間の違いによって、用途がかなり大きく異なります。そのため、加入の際は「自分にとって何が必要なのか?」という点についてしっかりと考慮した上で、加入する必要があるでしょう。

個人年金保険の特徴は?貯蓄との根本的な違い

先程、個人年金保険の概要についてご紹介させて頂きました。しかし、中には「貯蓄との違いは何なのか?」という点について疑問を感じる方も少なくないと思います。なので、「個人年金保険と貯蓄のどちらが良いのか?」という点についてご紹介していきます。

ただ、貯蓄と言っても様々な方法が存在するので、最もベーシックな方法である「預金・定期預金などの銀行に預けておく」という方法と「個人年金保険」を比較していきます。

貯蓄と比較して理解する個人年金保険の最も大きなメリット

資産運用や年金、貯蓄など老後に対する備え方は人それぞれですが、個人年金保険の最も大きなメリットは「強制力」だと言えます。個人年金保険を加入する際に、契約の手続きを進めたり、保険料を支払っていくのは面倒に感じてしまう方も少なくないと思います。

そのような面倒な過程を踏むなら「貯蓄」という選択肢のほうが魅力的に感じてしまいます。事実、高利回りを期待できる定期預金を利用すれば、長期的な視点から考えた時に貯蓄のほうが大きな金額が手元に残る可能性はあります。

個人年金保険に関しても、保険料の支払い期間から受け取り期間が開けば開くほど「返戻率」が大きくなります。しかし、それほど大きな返戻率を期待できず、早期に死亡してしまった場合には「返戻率がマイナスになる可能性」があります。

返戻率とは?

個人年金保険において、返戻率とは「最終的に、年金をいくら受給できるのか?」という点を、年金の総受給額 ÷ 総保険料 で求めたパーセンテージの事です。

例えば、
「保険料 100万円 受給額 110万円」というケースでは「110万円 ÷ 100万円 = 110%」という計算式であり、返戻率は「110%」になります。

しかし、貯蓄ならそのような事が起こるリスクはありません。また、仮に「老後のために貯蓄」していたとしても、病気になってしまったり・一時的にお金が厳しくなったというケースのための補填資金として、活用する事も可能だと言えます

一方の個人年金保険は、一度加入してしまうと解約した際に保険料の一部は返ってきますが、大きな損失が予想されます。そのため、もしも何かお金が必要になった時に「自由」にお金をコントロールする事が難しいのです。貯蓄よりも、資金をコントロールする際の「不自由さ」が大きなデメリットだと言えます。

一見デメリットだらけの個人年金保険ですが、実は「強制力・不自由さ」が時にメリットになります。というのも、もしもコンピューターのように毎月一定額を貯蓄していければ、それほど理想的な貯蓄方法はありません。

しかし、貯蓄していくのはコンピューターではなく「人間」です。時には、貯蓄をサボってしまう事もありますし、そもそも「貯蓄が大の苦手」という方も少ならからず存在すると思います。そのため、そのような方には個人年金保険の不自由さというのは「無駄遣いが出来ないストッパー」になりえるのです。

貯蓄や資産運用が得意な方には、個人年金保険のデメリットが大きく出てくると言えますが、貯蓄が苦手・お金の事は出来るだけ考えたくないという方にとっては、大きなメリットになる側面もあります。

もしも、資産運用を検討しているなら以下の記事がおすすめです。

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個人年金保険の必要性はあるのか?

先程、個人年金の貯蓄との違いについてご紹介させて頂き、必要性についても少しご紹介させて頂きました。最後に、もう少し詳しく「個人年金保険の必要性・デメリット」という点にご紹介していきたいと思います。

実はデメリットが多い個人年金

個人年金は「貯蓄・資産運用を行える方」には、ほとんどのケースでおすすめ出来ない保険だと言えます。もちろん、貯蓄や計画的な資産運用が苦手な方はこの限りではないのですが、個人年金保険のデメリットについてもう少しご紹介します。

個人年金保険の大きなデメリットは「インフレに弱い・終身年金のリスク」という点です。個人年金保険はインフレが発生した際に、対応出来ません。この点に関しては容易に理解出来るのですが、注意したいのは個人年金保険の中でも人気の「終身年金(生涯年金を受給出来るタイプ)」の保険では長生きしないと返戻率が低くなるという点です。

終身年金タイプの個人年金保険は一見、生涯保障してくれるので「安心・お得」という印象を受けますが、商品の組み立て方によっては「平均寿命以上生存しないと得を出来ない」というケースもあります。もちろん、長生きした場合のリスクも考えられますが、他の保険・貯蓄で対応する事が可能です。

このタイプの大きなデメリットは「遺族への保障がない」という点です。平均寿命以上生存していないと保険料を受け取る事が出来ないケースで、早く亡くなってしまい「遺族への保障がない」となると返戻率が大きく下がり、デメリットが大きくなります。

保険料も決して安くないので「貯蓄・資産運用を行える方は終身年金の必要性は低い」という認識が良いです。

まとめ

個人年金保険とは?

  • 私的年金
  • 公的年金の補填を行うためのもの

個人年金保険の特徴は?

  • 強制力がある
  • 返戻率に応じて、プラスの保険金が返ってくる

個人年金保険の必要性は?

  • 貯蓄・資産運用を行っていける方にとって「終身年金」はデメリットが多い

この記事では個人年金保険の概要や種類・特徴などについてご紹介させて頂きました。個人年金保険は「終身年金・有期年金・確定年金」という3つの種類に分類する事が可能で、同じ個人年金保険でもその用途は大きく異なります。

もしも保険選びに迷った場合は、どんな保険にも共通して言える事ではありますが「環境・状況に合わせた必要な保障」を考慮する事によって、満足度の高い保険に加入する事が可能になります。

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