あなたの家計を改善する!保険見直し入門

一生に支払う保険料はいくら

保険料は、給与天引きや口座引き落としになっているケースがほとんどで、毎月いくら払っているか、日常の生活ではあまり意識しないのではないでしょうか。しかも、一つの世帯で、ご主人の保険料、奥様の保険料、お子様の教育資金のための学資保険と複数の保険に入っている場合や、保険料の支払い方法が、毎月支払うものや一年に一度だけ支払うものなどに分かれている場合があり、保険のために合計いくら払っているかは、関心を持って考えて見ないと把握しにくいのです。

保険は加入したら、1年くらい終わるものではなく、何年も加入し続けるのが通常です。この保険に最後まで加入したらいったいいくら支払うことになるんだろうか。そこまで考えて保険に加入する方はあまりいないようです。ちなみに生命保険文化センターの調査によると、一つの家庭で1年間に払う保険料の合計は、平均で52万6,000円だそうです。1年間でこれだけの額を支払っているのですから、何年も加入すると考えると相当な額になることは簡単に想像できます。よく保険は家の次に高い買い物だと言われますが、まさにその通りですね。

保険は万が一のために加入するもの。保険をもらうようなことがなくてよかったという考え方ができなくもないですが、それにしても、自分でもよくわかっていないもののために、一生で何百万もの金額を払っていると知ったらどうでしょう。税金だってあれこれ工夫すれば、節税できます。保険に限ってできないわけがありません。

保険料見直し

保険料の見直しは、旅行を計画することにとても似ています。そのステップはたったの3つです。ステップ1では、保険に加入する目的を確認します。そもそもなんで保険に入る必要があるのかが明確でないと納得のいく保険を選ぶことはできません。保険の目的をしっかりと確認したら、その目的のためにどれくらいのお金が必要かを考えます。それがステップ2の段階です。そして、最後に条件にあった保険の中から一番安い保険を選ぶのがステップ3の段階です。保険見直しのざっくりとした流れはこうなります。先ほど旅行の計画をたてるのに似ていると言いましたが、旅行でも、まずは旅の目的地から決めます。そして、旅行の行程や日程などのプランニングをし、最後のどこの旅行会社のなんのプランがいいのかを検討します。保険を選ぶときもこれとほとんど同じということです。

最適な保険は何か考えてみよう。保険を見直す時は、今現在加入している保険をどうするのかではなく、自分にとって最適な保険を考えてみます。そして、その理想と現実の保険の差を埋めるために何ができるかを具体的に考えていくのです。保険の見直しというと、今の保険を解約して、新しい保険に入り直すものと考えている人が多いかもしれません。しかし、現状の保険が良いものなら、わざわざ保険を変える必要はありませんし、今の保険を生かしつつ見直しを考えることもできます。

今の保険の内容には問題がないが、補償額が大きすぎるといった場合には、契約はそのままで保障額を減らしたり、不要な特約部分のみを解約したりする処置が考えられます。逆に保障額や内容が足りないこともあるので、その場合は保険を増額するか、不足分だけ追加で加入します。また、現状の保険料を今後も払い続けていくのは家計的に厳しいが、利率が高いので解約はもったいないという場合は、払い済みといって、その時点で保険会社に貯まっているお金で、今後の保障を買うといった方法もあります。払い済みにすれば契約時の予定利率で入り直せるので、高い予定利率の有利な契約で保障だけを続けることができます。

ステップ1:保険に加入する目的をしっかり考える

保険に入る目的は十人十色ですが、基本的には、遺族の生活資金の準備や葬式代の費用、病気や怪我のための保障の3つが挙がると思います。ただ、保険に加入する方全員にこれら全てが必要というわけではありませんから、それぞれの目的別に、本当に保険が必要なのか、それとも必要ないのかを考えます。3つのうち一番重要なのは、遺族の生活資金の準備です。遺族の生活資金とは、一家の大黒柱にも霜のことがあった場合に、残された遺族の生活や子供の教育費に必要なお金のことですね。仮に、残された妻に十分な収入があれば、のちの生活は保険がなくともやっていけるかもしれません。また、未婚の場合は残される家族がいないのでそもそも保障が必要ありません。このように自分の家族構成やライフスタイルを振り返って、何が困るのかを考え、必要な保険を考えます。

ステップ2:目的別に必要なお金、保険の期間を考える

保険に入る目的が固まってきたら、目的別にどれだけのお金が必要かを考えながら保険選びを進めていきます。それには、目的別に必要になるお金にはどんな特徴があるのかを考えるとスムーズに決まると思います。

遺族の生活資金は、毎月の遺族の生活費を、必要な期間だけ準備します。まずは、家計簿などの記録を見ながら、いま現在の暮らしにいくらかかっているかを計算してみましょう。万が一大黒柱がなくなった場合には、現在の生活費の6割から7割程度の生活費がかかると見込むのが一般的です。また、遺族の生活費には、子供の教育費や住居費が含まれますが、この2つについて考えるときには注意が必要です。

住居費に関しては、住宅ローンの返済が残っていてもそれの返済分について考える必要はありません。なぜなら、ほとんどの人が住宅ローンを借りるときに、保険にもセットで入っているからです。つまり、住宅ローンの契約車にもしものことがあった場合、残りの住宅ローンは、その住宅ローン契約時に加入した保険から一括返済されますので、それ以降の支払いはなくなるのです。また、賃貸でお住まいの人なら、家賃の支払いのためにお金を準備する必要があります。

教育費に対する保障も保険で用意する場合は、上乗せするといいでしょう。教育費は、子供の進学プランによって大きく金額が異なりますが、通常は高校卒業まではまとまった大きなお金はあまり必要ではない場合が多いので、生活費のなkでやりくりします。大学に進学する時の資金として500万程度を準備します。中学や高校など、早い段階から私立に入学を希望する場合は、この保障額に上乗せしていきます。私立の場合、年間で100万円くらいを上乗せして見積もるのが一般的です。教育費に関しては、必要になる期間が、子供が独立するまで、とはっきり決まっているので、保険の組み立ては生活費とは一緒にせず、別に考えるほうがよいでしょう。

保険がいつまで必要かどうかは、夫が退職するまで、妻の老齢年金が開始されるまで、子供が独立するまでなどの目安があります。現在の年齢から後何年あるか考えてみてください。遺族の生活資金はずっと一定というわけではなく、必要な期間が経過するとともに徐々に減っていくのです。出産や子育て時代が一番お金のかかる時期ですし、子供が独立すれば、教育資金はいらなくなります、また年金が支給されれば必要な生活費もぐっと減ります。ですから、保険も保障額が徐々に減っていくものを選べば、無駄がない理想的な保険といえるでしょう。

通常、遺族の生活資金の準備には、保険料の安い掛け捨ての保険をあてます。掛け捨て保険には、もしものときにまとまったお金が一時金でもらえる定期保険と、保険が年金形式で毎年もらえる収入保障定期保険があります。ここでは、収入保障定期保険をおすすめします。理由は、保障額が徐々に減っていくので、無駄がなく、必要な遺族の生活資金の額に合っている。通常の定期保険に比べて保険料が安い。などのメリットがあるからです。

忘れてはいけないのがお葬式代です。金額の目安は350万円程度があればよいといわれています。お葬式代は、もしものことがいつ起きるかわからないうえ、必ず必要になるものなので、終身保険で用意します。

病気や怪我のために必要なお金

病気や怪我のための保障は、ほかの2つとは少し異なった特徴があります。遺族の生活資金やお葬式代が、一家の大黒柱にもしものことがあった時に残された家族のために必要なお金であるのに対して、医療保障は、契約者本人が病気になった時に入院してお金がかかったり、仕事ができなくて収入が減ったりしても困らないよう自分のために用意するお金です。自分のために入る保険という意味では、家族のいる一家の大黒柱だけではなく、独身の人にも必要な保険だと言えるでしょう。

年齢が上がるほど、怪我や病気にかかる可能性が増え、入院や手術をする可能性も高まります。今後、現在ほどの額の年金が支給されないかもしれないことや、医療費の負担が増えるかもしれないことを考えると、老後の医療保障をどうするかは、誰もがきちんと考えておくべき問題だと思います。

医療保障は、入院した日数あたりいくらという形で支給されます。通常は一日あたり1万円を目安にするとよいでしょう。保険が適用される期間があらかじめ決められている定期保険は、更新ごとに保険料が高くなるのであまりおすすめはできません。保険料が変わらずに、生涯に渡り使えるタイプの保険がおすすめです。

ここまで、考えたら、いくらの保険に入るかは決まったも同然ですが、その前にもう一つだけやることがあります。残された家族が経済的に困らないようにするのが保険の存在意義ですが、保険と同じく、大黒柱に万が一のことがあったときに支援してくれるのが、公的な遺族年金です。遺族年金がいくら支給されるかは、亡くなった方の働き方や収入、子供の人数や年齢などによって決まります。例えば、残された家族が妻と子供の2人で、厚生年金などを支払った額から割り出される平均標準月額報酬が40万円であれば、毎月約15万円ほどが支給されます。

貯蓄があれば

もちろん、自分の貯蓄があればあてにしてもらって構いません。例えば、子供の教育資金はなんとか貯蓄でまかなえそうなら、その分を保険で準備しておく必要はなくなります。葬式代だけなんとかなりそうならそれも不要としてもいいでしょう。万が一の時は会社から死亡退職金が出たり、弔慰金がもらえる場合もあるのでしっかり確認してそれも計算の中に入れておきましょう。

優先順位を間違えない

保険を選ぶ上で重要なのは、優先順位の付け方です。万が一のことがあって収入がなくなってしまうのは、現役で働いているうちだけなのだから保険もその期間だけ用意すればいい。若いうちから重度の病気にかかる確率はかなり低いだろう。必要な生活費は年齢を重ねるほど減って行くので必要以上に用意する必要はない。など、自分を客観的に見て、冷静に分析し優先順位の低い項目は削っていくようにします。もしもの時のことを考えると不安になって、保障を厚くしたくなる気持ちもありますが、使う確率の低い保障をあれもこれもと付けてしまうと、結局特約のたくさんついた大型の保険に加入することになり、保険料もどんどん高くなります。高い保険を払うために今の生活を切り詰めていくのでは、本末転倒です。

ステップ3 安い保険会社を選ぶ

3つ目のステップはシンプルです。必要な保険の種類とそれが、いつまで、どれくらい必要かがわかったら、その条件に合致した保険商品の中から一番安いものを選ぶだけです。保険を選ぶ時はとにかくシンプルに選びましょう。優先順位の高いもの以外には、余計なおまけをつけようとしてはいけません。

 

保険料を安くするテクニック

三角形を目指す

ステップ3の一番保険料の安い商品を選ぶということに加えて、保険料をさらに安くするテクニックがあります。保険には、定期保険のように保障期間中に万が一のことがあったら、いつでも決まった金額がもらえる、保障額が四角形のタイプと収入保障定期保険や逓減定期保険のように、時間の経過とともにもらえる金額が減っていく、保障額の形が三角形のタイプがあります。双方を比較した場合、三角形の方が面積が、つまり保障額が半分ほど少なくなる分、保険料も安くなるというわけです。必要になる保険金の形も三角形ですので、これに合わせて保険で準備するお金もそれに近づけていくのが理想的です。

全期型の方がお得

保険料の払い方には、更新型と全期型がありますが、更新型に対して、保険料が契約している間ずっと変わらないものを全期型といいます。更新型よりも全期型の方が保険料は安くなります。期間10年を更新しながら3回続けていくよりも、期間10年の保険に最初から入っておく方が保険料は安くなるのです。

 

保険を買える場所の選択肢を増やしておく

ここまで読んでくださった方は、保険を見直したくなってきていると思います。そこで、保険を見直したいと思った時の選択肢にはどんなところがあるのかを紹介したいと思います。保険販売の窓口としてまず思いつくのが、生命保険会社のように自社で開発したオリジナル商品を扱っているところ。生命保険会社と言っても、国内生命保険会社、損保系生保、外資系生保などがあり、会社によって取り扱い商品や営業スタイルも全く異なります。生保以外には、生協などもあります。

購入方法は、生保レディやコンサルタントなどの営業マンを通して買う方法、インターネットや通信販売などを経由するほか、乗合代理店や銀行などの代理店でも買うことができます。

これまでの生命保険市場は、先駆者のメリットを生かした、ほぼ独占状態でした。最近は規制緩和が進み、外資系、損保系生保の進出で苦戦を強いられているのが現状です。ほとんどの会社が専属の営業レディを介した販売スタイルを採用しています。誰もが一度は聞いたことのある安心感は、大手企業ならでは。大手ならではの安心感で最初から大手の中から選ぶ人も多いのではないでしょうか。また、専属の生保レディのサービスの高さや人柄の良さに惹かれて、そのまま保険を継続される方もいます。反面、これまで紹介したデメリット、コストが高い、商品が複雑、更新型の短所がなくなってきているとは言えません。

また、規制緩和が進み、生命保険と損害保険がお互いの商品を取り扱えるようになり、誕生したのが損保系生命保険会社です。損保系生保の企業は、元生命保険会社の人材を集め、前職のノウハウを活かしつつ、伝統的国内生命保険の商品や内容の弱点を改善する新しい取り組みに力を入れています。損保系生命保険の商品の特徴は、総じて保険料が安いのが特徴です。また、現存の生命保険との差別化をはかって、お客様目線で考え、お客にとってメリットの大きい商品のラインナップに力を入れているのも評価できます。ただし、販売ルートは、代理店を中心とした手法で、知名度もまだまだこれからなので、これらをどう改善していくかが、今後の課題になるといえるでしょう。

 

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