移動平均線の正しい仕組みと使い方を学ぼう!

移動平均線は有名なテクニカル指標なので、多くの投資家が見ています。そのため移動平均線の売買ポイント通りに株価が動くことが多くなります。ですから、移動平均線の正しい仕組みを理解することは大切です。テクニカル分析とは値動きを表すチャートから株価の動きを読み取り、将来の株価を予想するための分析手法です。主に「トレンド系」と「オシレーター系」の二つに分けられます。移動平均線はトレンド系の代表的な指標となります。

移動平均線(単純移動平均線)とは

移動平均線は過去一定期間の株価の終値平均値から求められます。5日移動平均線であれば、過去5日間の終値平均値となります。

移動平均線の計算方法

5日移動平均線は、直近5日間の終値の合計を5で割ります。

  • 9月3日の終値 515円
  • 9月4日の終値 528円
  • 9月5日の終値 503円
  • 9月6日の終値 498円
  • 9月7日の終値 528円

この場合は、(515 + 528 + 503 + 498 + 528) ÷ 5 = 514.4円

となります。

移動平均線の分類

移動平均線は日足、週足、月足に分類されます。日足では5日移動平均線、25日移動平均線、75日移動平均線が使われます。そして週足では13週移動平均線、26週移動平均線。月足では12ヶ月移動平均線、24ヶ月移動平均線を使うのが一般的です。もちろんこの期間は自由に変えることができますが、一般に使われている数字が多くの人が見ているチャートですので、合わせた方がいいでしょう。

日経平均株価のチャートを見てみましょう。

日足

  • 5日移動平均線(緑)
  • 25日移動平均線(紫)
  • 75日移動平均線(赤)

出典 SBI証券

25日移動平均線と75日移動平均線を挟んでもみ合いが続いていた日経平均ですが、直近の高値を超えて上昇しています。このチャートでは全ての移動平均線を上回っているので上昇トレンドだと判断することができます。5日移動平均線は上向いています。しかし、現在のところ25日移動平均線と75日移動平均線はほぼ横ばいになっています。今後も株価の上昇が続くようだと25日移動平均線と75日移動平均線も上向いてくる可能性が高まります。

週足

  • 13週移動平均線 (緑)
  • 26週移動平均線(紫)

出典 SBI証券

週足では13週移動平均線、26週移動平均線を越えているので上昇トレンドと判断することができます。ただし2018年5月から9月まで22000円から23000円のボックス相場が続いています。直近23000円を超えてきましたが、この勢いを持続することができるかどうかが注目されるところです。

月足

  • 12ヶ月移動平均線(緑)
  • 24ヶ月移動平均線 (紫)

出典 SBI証券

月足では2017年の初めから綺麗な上昇トレンドを描いています。特に12ヶ月移動平均線がサポートラインとなっているのがわかります。このように日足・週足・月足で見ると形状が少しずつ違っているのがわかります。

私の場合は短期トレードがメインなので、日足をメインに見ています。週足や月足では現在の株価がどの位置にいるのかを軽くチェックする程度(高値圏・安値圏どちらなのか)です。

このように投資家によってどの期間を重視するかというのは変わってきます。短期投資でしたら日足がメインになりますし、中長期投資でしたら週足や月足が大事になってきます。

移動平均線と株価の関係

移動平均線が右肩上がりなら上昇トレンド、右肩下がりなら下落トレンドと判断します。さらに株価と移動平均線の位置関係も大切です。 株価が移動平均線の上にある場合はその期間の平均よりも 株が買われていることを示し、買いの勢いが強くなっている状態といえます。逆に移動平均線より株価が下にあった場合には株価が売られていることを示しています。

支持線(サポートライン)と抵抗線(レジスタンスライン)

移動平均線は多くの投資家が見ているので、しばしは重要な節目となります。例えば強い上昇トレンドの場合、なるべく安く買いたいと考えている投資家は移動平均線を目安にして近くまで下がってくると買いを入れることが多くなります。つまり移動平均線が心理的な節目となるわけです。

出典 自分銀行

逆に下落トレンドにある場合、移動平均線より株価が下にありますから移動平均線近くまで上昇した場合は売りが出てくることが多くなります。これを抗線(レジスタンスライン)と呼びます。買いでも売りでも移動平均線が心理的な節目になるのです。

出典 自分銀行

判断が難しいのは移動平均線に近くなったからといって、必ずしも反発や反落するわけではありません。少しだけ移動平均線を越えて戻ってきてしまう場合もあるのです。その時の相場状況により投資判断は変わってきます。あくまでも節目になりやすい傾向があると覚えておきましょう。

移動平均線の種類

単純移動平均

ここまで見てきたのは単純移動平均線です。多くのチャートで使われています。ただし、単純移動平均線には問題点もあります。平均を取る期間だけに注意が払われていること、そして各取引日の価格を等しく平均していることです。25日移動平均線では直近の取引と25日前の取引が同等に扱われています。しかしより近い取引の価格を重視すべきだという考え方もあります 。

加重移動平均

加重移動平均の計算方法は5日目の価格を5倍、4日目の価格を4倍、3日目の価格を3倍というようにしていき、直近の価格ほど加重していきます。つまり直近の価格を重視しているということです。しかし加重平均でも平均期間の値動きのみに注意を向けているという問題が残ります。

指数平滑移動平均

指数平滑移動平均線は直近の値動きほど大きく加重する加重移動平均線です。しかも比重はともかくとして過去の全ての価格を計算対象としています。計算式は単純移動平均線や加重移動平均線よりも複雑になっています。

移動平均線にも様々な種類があることがわかりました。ただ、一般に用いられているのは単純移動平均線なので、これからも単純移動平均線をメインに解説していきます。

移動平均線のメリット・デメリット

移動平均線のメリット

移動平均線の一番のメリットはトレンドを把握しやすいということです。移動平均線の傾きや株価の位置によって、上昇相場なるか下降相場なのか判断しやすくなっています。移動平均線はトレンドを表す指標でもあるのです。

出典 SBI証券

移動平均線を売買の目安として使うことができます。移動平均線を支持線(サポートライン)や抵抗線(レジスタンスライン)として機能させたり移動平均線が近づいてきた時にブレイクアウトを狙ったりするなど具体的な売買の目安になります。

移動平均線のデメリット

反応が遅い

移動平均線はあくまでも平均値を追っていくので株価の値動きや、早期のトレンド転換などにはついていくことができません。つまり細かい値動きへの対応や、トレンドの発生初期をとらえることは難しいのです。これは5日移動平均線よりも25日移動平均線、25日移動平均線よりも75日移動平均線と日数を増やせば増やすほど反応は遅くなっていきます。特に長期の移動平均線というのは細かい値動きを追うのではなく大きいトレンドをつかむために使用します。ですから、短期的なトレンドは短期線で把握し、長期のトレンドは長期線で判断するという使い方をしましょう。

レンジ相場ではあまり機能しない

移動平均線はトレンドを把握しやすいという特徴があります。しかし相場がトレンド相場ではなくレンジ相場(もみ合い)の場合は移動平均線の傾きも緩やかになりなかなか機能しなくなります。レンジ相場では、移動平均線が上向いて上昇トレンドとなっても株価が下がってきたり、移動平均線が下向きになって下降トレンドと判断しても株価は上がってしまったりと判断が非常に困難になります。

移動平均線の使い方

ゴールデンクロスとデッドクロス

ゴールデンクロスとは短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜ける現象をいいます。逆にデッドクロスとは短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜ける現象をいいます。

出典 じぶん銀行

日足の場合、5日移動平均線はあまり使いません。値動きの反応が良すぎるので、頻繁にゴールデンクロス・デッドクロスが起こるからです。一般的に短期は25日移動平均線、長期は75日移動平均線を使えます。そして週足の場合は13週移動平均線、26週移動平均線を使って判断します。

出典 SBI証券

キレイな上昇トレンドを描いているソニーを見てみましょう。2018年4月から6月にかけて移動平均線は横ばいになっていて揉み合い相場になっています。しかし、6月前半に株価は高値を更新して移動平均線もゴールデンクロスが発生。ただしここで気を付けなければいけないのは、ゴールデンクロスが発生したからといって直ちに上昇トレンドが始まっているわけではないということです。実際この時も、いったん株価は 75日移動平均線付近まで下落しました。そして再度上昇に転じ、その後は上昇トレンドとなっています。ですから、ゴールデンクロスが発生したからといってすぐにトレンドが続くというわけではないことに注意する必要があります。あくまでトレンドを判断するひとつの目安として利用しましょう。

移動平均乖離率

移動平均線はその期間の過去の株価平均値なので、緩やかなトレンドを描いています。しかし時に株価は急騰したり暴落したりして激しく動くことがあります。そうした行き過ぎに見える状態が買われすぎなのか、売られすぎなのかを判断するための指標が移動平均乖離(かいり)率です。

移動平均乖離率は短期的な行き過ぎを判断するので、日足での乖離率を使います。そして25日移動平均線に対してのプラスマイナスの乖離で判断することが一般的です。

かい離率を求める計算式は、(株価-移動平均線)÷移動平均線です。

例えば、株価1000円で移動平均線が900円の場合は、

(1000-900) ÷ 900 = 0.11

約11%の乖離となります。

2018年9月14日のランキングを見てみましょう。

25日移動平均線マイナス乖離率

25日移動平均線プラスかい離率

出典 ヤフーファイナンス

移動平均乖離率はどの程度離れたらという目安は銘柄ごとによって異なります。例えば指数である日経平均株価の場合はプラス乖離5%を超えてきたら注意、8%を超えてきたら要警戒、10%を超えたら反落する可能性が高いと言われています。マイナス乖離の場合はこの逆です。もちろん強いトレンドを作って動いている時はこれには当てはまらないので、あくまでも目安として考えましょう。

TATERU(証券コード:1435)

出典 SBI証券

25日移動平均線マイナス乖離率トップはTATERU(証券コード:1435)になっています。

建設資金の借入希望者の預金通帳を改ざんし、銀行に融資の申請をしていたことが判明。ストップ安を交え大幅に下落しました。下方乖離率は72.64%にも達しています。

乖離率だけをみると大幅に乖離しているので割安と判断されますが、やはりそれよりも重要なのはファンダメンタルです。一時的な反発を狙うならばいいのですが、長期的な見通しはまだ判断が難しいところです。乖離率を判断材料の一つとしながらもファンダメンタルや他のテクニカル指標と合わせて総合的に判断するようにしましょう。

地域新聞社(証券コード:2164)

出典 SBI証券

25日移動平均線プラス乖離率トップは地域新聞社(証券コード:2164)となりました。乖離率はプラス155.66%に達しています。明確な材料もなく仕手化しているものと考えられます。地域新聞社は9月14日に日々公表銘柄に指定されました。ここで注意しなければいけないのは日々公表銘柄に指定されて3営業日連続して25日移動平均株価との乖離率が30%以上だと、増担保規制になる可能性が高まるということです。増担保規制が入ると通常の信用取引における委託保証金率30%以上が50%以上になります。つまり過熱感を防ごうという処置です。増担保規制により必ず株価が下がるというわけではありませんが、いったん高値をつけることも多いので注意しましょう。

また乖離率とは異なりますが、こういった小型株の場合、大幅な上昇が始まると5日移動平均線に沿って上昇することが多くなります。逆に5日移動平均線を割り込むと上昇が止まることが多いので注意しましょう。

グランビルの法則

出典 みんなの株式

グランビルの法則とは、移動平均線で取引を行うさい、八つの売買ポイントがあるということです。この八つのポイントというのは買いポイントが四つ、売りポイントが四つとなっています。それぞれ株価の値動きと移動平均線の動きで買い場と売り場を探します。

買いの法則(赤丸)

  1. 移動平均線が下落後、横ばいか上昇に転じている場面で、株価が移動平均線を下から上へ抜けたら買い。
  2. 移動平均線が上昇している局面で、株価が移動平均線を上から下に抜けたものの、切り替えして移動平均線を上抜けたら買い。
  3. 株価が上昇する移動平均線の上にあって、株価が移動平均線に向かって下落するものの、クロスしないで再び上昇したら買い。
  4. 移動平均線が下落している局面で、株価が移動平均線と大きく離れて下落したら買い。これは移動平均乖離率と同じ考え方になります。

売りの法則(グレーの丸)

  1. 移動平均線が上昇している局面で、株価が移動平均線と大きくかけ離れて上昇したら売り。
  2. 移動平均線が上昇後、横ばいになるか下落している局面で、株価が移動平均線を上から下に抜けたら売り。
  3. 移動平均線が下落している局面で、株価が移動平均線を下から上にクロスしたものの、上昇が続かずに再度、移動平均線を下回ったら売り。
  4. 株価が下落する移動平均線の下にあって移動平均線に向けて上昇するものの、クロスせずに下落したら売り。

となります。

移動平均線を使う際の注意点

移動平均線はテクニカル分析で最も代表的な指標です。多くの投資家が見ているので、ポイント通りに動くことも多くなります。ただし、絶対的な指標ではないことに注意しましょう。つまり

  • 移動平均線だけではなく他のテクニカル指標と組み合わせて売買ポイントを見極めること
  • 売買スタンスを決める要素の一つとして利用すること

が重要だと考えています。

まとめ

移動平均線とは、あくまでも過去の株価をテクニカル的に計算して算出したものです。ですから移動平均線だけを見ても株価がなぜ上がっているのか、なぜ下がっているのかという理由を見つけることはできません。移動平均線で売買チャンスだと思っても、株価が動いた理由を必ず調べるようにしましょう。

また、トレンドの把握には移動平均線は役立ちますが、もみ合い相場ではダマシが多くなります。そういったときは RSIやストキャスティクスなど、逆張り指標を組み合わせてみることも有効です。移動平均線を中心にしながら自分なりの売買手法を見つけるようにしましょう。

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一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト、デリバティブディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。保有資格:証券外務員1種

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