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投資のことがよくわからなくても始められる投資信託は、よく見かけるインターネットの記事などからも一見メリットばかりあるように映ってしまいます。
銀行の窓口ですすめられたり、身近な人から話を聞いたりして、お金を増やすことができるのであれば始めようかなと考える人もいるでしょう。
そこで始める前に、投資信託に潜むリスクについて十分に理解しておく必要があります。
状況によっては、投資信託はおすすめできない投資方法ともなり得るのです。今回は投資信託がおすすめできない状況やその理由を3つ解説していきたいと思います。
投資信託の意味は
投資信託は文字通りに「投資」を「信託」すると書きます。
「投資」とは、
株式や債券、外貨や金やプラチナなどの金融商品の価値が上がることを予測して、あらかじめ購入しておくことをいいます。
厳密にいえば、投資とはこれから需要が高まる、大きく成長していくと思われる国や企業や商品やサービスを支援していくということです。
そこが、当たるか外れるかを狙ってお金を賭けるギャンブルとは大きく異なる部分です。
そして、「信託」とは、
相手を信頼して、任せるということになります。
つまり、「投資信託」とは、
信託することの難しさ
投資信託を運営する会社を「運用会社」
→運用会社は、それぞれ証券会社、銀行、保険会社の投資信託部門がメインとなります。
そして、実際に株式や債券をするのは運用会社に所属するファンドマネージャーが、責任を持って集めた資金で効率よく投資を行っていきます。
でも、実際に投資信託を購入する時は、運営会社のことやファンドマネージャーのことをよく知らずに購入する場合がほとんどです。
※投資信託に関する調査
上のグラフは一般社団法人 投資信託協会が20歳~79歳の投資信託保有者20,000人を対象に調査を行った結果であります。運用会社のことをよくわからないと答えている人が、2016年には74%、2017年には69%を占めています。
ということは、それがいかに少額であろうとも大切な資金を多くの人が見知らぬ誰かに、信託しているのです。
よくわからない相手を信頼して任せているわけです。
これは、よく考えると非常に危険な行為でもあるのです。
相手がいくら経験豊富なプロだとしても、どんなに大手の企業だとしても、よくわからない会社や顔も名前も知らない人に資金を任せる、任せないを判断することは非常に難しいといえます。
だから、投資信託は一見、お手軽にお気軽に安心して投資が実現できるようでもありますが、大きな損失を出すかもしれない危険性も秘めているのです。
投資信託の最大のリスクとは
投資信託はこのように、危険性を秘めているわけですが、投資信託の最大のリスクとは何でしょうか?
それは、
よくわからないまま始める
ということです。
下のグラフにもあるように投資信託を所有している人の約65%が、投資信託の手数料のことすら理解していないことがわかります。
※投資信託に関する調査
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、よくわからないからこそ投資信託を始める人が多いのは事実です。
ですから、よくわからないで始めることができる投資信託は、そのことが最大のメリットでもあり、最大のデメリットにもなるということです。
わからないから投資信託を選ぶ
投資信託は、自分が運用するわけではないという性質上、初心者が始めやすい投資方法として一般的に認識されています。
もし、投資のことがわかるのだったら、そもそも投資信託を選ばなくとも自分で株式やら債券やらを購入しているはずです。
もちろん、少額から高額な金融商品への投資が可能だったり、国内では購入の難しい海外ものに投資ができたりというメリットから投資経験のある人でも投資信託を購入する場合もあります。
すでに投資経験のある人の中には、よくわからないなら投資を始めなければいいではないかと思う人もいるかもしれません。
ここに、初心者の投資に対するジレンマが存在するのです。
だけど投資を始めたいのだ、でもわからないのだ、という気持ちです。このジレンマを解決してくれるのが投資信託という金融商品になるのです。
だって、銀行口座に預金しても金利はほんのわずか。将来のことを考えて効率よく資金が増やしていけるならと思って投資を始めたいと思った。
でも、投資のことなんてよくわからない。だからプロに任せられる投資信託がいいかなと・・・。
投資信託はおすすめの投資方法なのか
投資信託をおすすめできない場合もある
では、どんな場合に投資信託はおすすめできないのでしょうか?
それは、窓口で購入する場合です。
確かに窓口で購入した方が、直接、担当の人に相談できるというメリットもあり、投資信託の始め方や選び方などを不安に思う人にとってはおすすめの方法でもあります。
でも、注意する必要があります。
証券会社、銀行、保険会社の窓口には投資信託の相談や購入を受け付ける営業担当者がいます。あくまでも一部の人達のことですが、そのような担当者の中には、自分の営業成績のことだけを優先する人もいます。
そんな背景の中、ノルマを抱え苦しんでいる営業マンも少なくありません。
ノルマを果たすために必死で売り上げをあげようと奮闘するあまり、顧客の望んでいない商品でも勧めてしまう可能性もあります。心から顧客の要望に応えようと努力することが営業の基本ではありますが、中にはやみくもに数字だけを上げようとする人もいます。
勧められるままに投資信託に選ぶのは危険な場合もあります!
おすすめできない理由とは?
どうして、窓口で営業マンに勧められるまま投資信託の購入がおすすめできないのか、それには3つの理由があります。
おすすめできない理由①
営業マンの中には投資のことをよく理解していない人もいます。
投資信託の1つ1つの商品は、それぞれ運用会社の投資の目的に応じた内容となっています。無目的に投資を行うものは1つもありません。
例えば・・・
- 日経平均に連動していく国内の株式を中心に投資をするもの
- 国内株式の中小型株を中心に投資をするもの
- 先進国の債券を中心に投資をするもの
- 新興国の不動産を中心に投資をするもの
- 国内外の債券と株式にバランスよく投資をするもの
など、投資信託は6,000種類近くの種類がありますが、それぞれ投資の目的や内容が異なっています。それぞれの投資信託はその商品の性質によっては、買い時・売り時というのがあります。
賢明な営業担当者であれば、「今はドル高円安だからその投資信託の購入はやめておいた方がいい」とか、日経平均株価関連であれば「貿易摩擦の様子を見た方がいい」とか「景気に左右されにくいものが今買うならおすすめ」などとアドバイスしてくれるはずです。
ところが・・・
窓口で投資信託を販売する人というのは、運用会社の人でもファンドマネージャーでもありません。もしかすると、投資に対する知識のない人かもしれないのです。
また、同じ金融機関でも支店によって投資信託の販売に対する方針がそれぞれ異なります。相談に行った支店が、もしかすると営業成績のみを重視して運用会社から勧めるように言われたものだけを紹介している方針かもしれません。
こんな金融機関の窓口の担当者が、おすすめ商品だけの大まかな知識だけしかなく「この投資信託がいいですよ」と勧めてこられたら、何もわからない初心者はたまったものではありません。
おすすめできない理由②
その金融機関や営業担当者が、手数料を目的にしている場合があります。すでに、上述のように同じ金融機関でもその支店の方針によっては投資信託の販売に関する方針がそれぞれ異なります。
「おたくはどのような方針で投資信託を販売しているんですか」なんて聞くわけにもいきませんし、思い切って聞いてみたところで、やましい理由があればそれを正直に答える人もいないでしょう。
恐るべきことは・・・
投資信託を窓口で購入する場合は、ほとんどが手数料がかかってしまいます。その手数料ほしさに、投資信託を転々とさせられる可能性があります。
理由①で述べたように、投資のことをよくわからない営業マンが張り切って支店長から「売れ」と言われたものを勧めてくるとします。そして、その投資信託は時期外れに購入したためその後価格が下がってしまうとします。
そこで再度、窓口に相談に行ったとすれば相手の思うツボです。また、よくわからない別の商品を勧めてくるという流れになります。別の商品を購入すれば、その支店はまた手数料とおすすめ商品の売上げ数を獲得するわけです。
こんなしくみの中には、投資とは?ドル高円安とは?株式とは?なんて概念はかけらもありません。投資の世界にあこがれて、少しでも世の中に役立つものに投資をして、将来に備えていきたい、なんて投資の初心者の気持ちなんてどうでもいいのです。
おすすめできない理由③
理由①、理由②でご説明した状況に加えて、窓口がおすすめできないもう1つの理由とは、
これで大丈夫なのかな・・・と心配しながらも、断れなくて購入してしまう可能性があるということです。
本当は今後の購入に備えて、投資信託のことを相談するつもりで窓口に行ったとします。でも、営業担当は今朝、支店長からある銘柄の売上げが悪くて叱られたばかりだったとします。
そうであれば、言葉は悪くなりますが、そこに訪れたあなたは”いいカモ”になってしまうわけです。「ちょうどよかった、実は今かなりおすすめの別の投資信託があるんです。」と、いいことばかりを並べて自分の売りたい投資信託を買わせようとするのです。
相談するつもりできたのに・・・
窓口で購入する時には注意しましょう
以上のようなことは、頻繁にある話ではありませんが、でも実際にあり得る話なのです。
いろいろな金融機関、支店があり、営業担当者もさまざまです。オンラインでの操作が難しい、自分1人で投資信託を選ぶ自信がない、などと窓口で相談したい人もいることでしょう。
窓口で相談する場合には、どうしてその商品がおすすめなのかを、自分が理解して納得できるまでわかりやすく説明してくれる、また本人の希望をしっかり聞いてくれる営業担当者から購入するようにしましょう。
で、結局いろいろ相談したんだけど、僕が迷っているのを見て、
ひとまずは3カ月で金利1%の定期預金があるから、3か月定期預金にしておいて、ゆっくり考えてみたら?って言ってくれて無理に勧めたりはしなかったから、逆に信用できたんだ。
それは、いい担当さんだったみたいですね。
やはり、本人がどうしたいのかをとことんヒアリングしてくれる人だと信用できますよね。
窓口で相談する際に大切なことは、最終的にはどれを購入するかを決めるのは自分だということを忘れないようにしましょう。
そのためにも、ある程度基本的なことはわかっていた方がいいですよね。
投資信託のリスクを避けるために
このように、投資信託は気軽に少額から、簡単に始めることができますが、大損してしまうリスクも高いということなのです。初心者なりに少しでもリスクが回避できるように、投資信託を始める前には、基本的なことだけでも大まかに勉強しておきましょう。
投資信託は、確かに初心者にとっておすすめの投資法ではありますが、冒頭でもご説明したようによくわからない相手に大切な資金を託しているのだと自覚しておかなければなりません。
自分の資金が何にどのように使われているのかを理解しようと努力していくことが大切です。何にどのように使われていて、どうして価額が上がったのか、どうして価額が下がったのか、その理由を自分なりに見つけていきましょう。
そうすることで、慌てて売るべきなのか、しばらく待つべきなのかの判断ができるようになります。
損失を最小限に抑える
そして、初心者はわからないなりにも、予防線をはることで損失を最小限に抑えることもできます。
そして、
リスクを抑えるために最も効果的な方法とは・・・
それはひたすら投資のことを勉強していくことです。
まとめ
投資信託はよくわからなくても利益を得ることができる、と同時によくわからないがゆえに損失を抱えてしまうリスクがあるということを忘れないようにしましょう。
結局はプロに任せて損失が出たとしても、その投資信託を購入した自分の責任です。それがもし、営業マンに強引に勧められたとしても、最終的に購入した自分の責任になります。
わからないなりにも少しでも有利な条件で投資信託が購入できるように、基本的なことはしっかりと学んでおきたいですね。
将来は投資信託以外の投資を、自分の判断で行うことができるように、少しずつでも勉強していくようにしましょう。まずは、投資信託の目論見書やレポートを読むことから始めてみて下さい。
投資を勉強していくポイントは、なぜ価格が上がったのか、なぜ価格が下がったのか、理由を探し出すことです。どうしてだろう?と答えを探すことが勉強になります。
そして、いつの日か大きな利益を自分の手で獲得できるようになりましょう!