債務整理のデメリットは?クレジットカードを作れない期間や住宅ローン、家族への影響も解説!

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債務整理は返せなくなってしまった借金の一部を免除してもらい、もう一度生活を立て直すために非常に大きな効果のある方法です。

一方で、債務整理を行うことによって生じるデメリットがあることも理解しておく必要があります。

この記事では、債務整理を行うことによってこうむる可能性があるデメリットについて具体的に解説します。

債務整理をした場合にデメリットになること一覧

実際に債務整理を行った場合に生じるデメリットとしては、次のようなことが考えられます。

 

債務整理を行った場合に生じる可能性がある6つのデメリット

  1. ブラックリストに登録されるため新しくローンを組めなくなる
  2. 自分の所有名義となっているマイホームや自動車を失う可能性がある
  3. 保証人になってもらっている人に請求がいってしまう
  4. 家族に借金がばれてしまう可能性がある
  5. 自己破産を選択した場合、その後7年間は自己破産できない
  6. 専門家に依頼する場合、費用を負担する必要がある

以下、それぞれの項目について具体的に見ていきましょう。

1.ブラックリストに登録されるため新しくローンを組めなくなる

債務整理を行うと、数年間(自己破産の場合は10年間)は新しくローンを組んだり、クレジットカードを新しく発行したりといったことが非常に難しくなります。

これは金融機関が参加している情報ネットワーク上、あなたの情報が「ブラックリスト」として扱われてしまうためです。

債務整理を行う場合、ブラックリスト登録を避ける方法はありませんので、「どのぐらいの期間登録されるのか」を知った上で今後ローンが必要になる時期はいつなのかを考えておくことが重要といえるでしょう。

ブラックリストへの登録期間は、それぞれの債務整理の方法によって以下のように異なります。

 

ブラックリストへの登録期間

  • 61日以上の返済延滞:5年間
  • 任意整理:5年間
  • 個人再生:5年間
  • 自己破産:10年間

債務整理を行うことは、お金を貸す側(銀行や消費者金融のことです)からすると、「貸したお金が約束通りに返ってこなくなること」を意味します。

債務整理は法律上認められた権利ではありますが、やはり借りたものは約束通りに返すという大原則から言うと、例外的なケースと言わざるを得ません。

そのため、債務整理を行うと、金融機関が参加している情報ネットワーク上「この人は要注意」という扱いにされてしまうデメリットがあるのです。

もっとも、ローンやクレジットカードの支払いが返済期日から遅れてしまった時点でブラックリストへの登録は行われますので、すでに返済の延滞があるという方は、債務整理をしてもしなくてもブラックリストに登録されている状態であることは知っておくとよいかもしれません。

自分がブラックリストに登録されているかどうか確認する方法は?

借金の返済が滞ってしまっている人の場合、ほとんどのケースでブラックリストには登録済みとなっていることが考えられます。

実際にあなたがブラックリストに登録されている状態かどうか?を確認する方法としては、ブラックリスト情報を管理している組織(これを信用情報機関と呼びます)に情報開示の手続きを依頼する方法があります。

信用情報機関にはJICC(主に消費者金融と信販会社の情報を管理)・CIC(クレジットカード会社の情報を管理)・全国銀行協会(銀行系金融機関の情報を管理)の3つがあります。

あなたが主に利用している金融機関の種類に応じて、情報開示の手続きを行ってみると確実な情報を知ることができますよ。

例えば、銀行カードローンの返済が滞っている人は全国銀行協会、消費者金融の返済が遅れている方はJICCに情報開示を依頼してみると良いでしょう。

債務整理後に携帯電話は持てる?

債務整理を行うと、基本的に分割払いなどの形でお金を払うことが難しくなります。

携帯電話については、携帯電話本体を分割払いで毎月の形態料金に上乗せで支払う形が一般的ですね。

なので、債務整理を行った後にはこうした携帯電話本体の分割払いは選択できない可能性があります。

一方で、一括払いの形で契約をするのであれば債務整理後に携帯電話の契約をすることに何の問題もありません。

2.自分の所有名義となっているマイホームや自動車を失う可能性がある

債務整理のうち、自己破産の方法を選択した場合には、あなたの所有名義となっているマイホームや、自動車については売却して債権者に代金を引き渡さなくてはなりません。

例えば、3000万円の借金を自己破産によって免除してもらおうとする場合に、その人に1000万円の価値があるマイホームがある場合には、まずはマイホームを売って1000万円を債権者に返済したうえで、残りの2000万円を免除してもらうという形になるのです。

また、個人再生の場合にも上のような財産(マイホームや自動車)を換金した場合と同じ状態までしか借金の減額が認められませんので注意が必要です(これを個人再生の清算価値保障といいます)

債務整理で住宅ローンはどうなる?

住宅ローンを組んでいる人が債務整理を行う場合には、細心の注意が必要になります。

というのも、住宅ローンには担保としてマイホームに抵当権が設定されていますから、住宅ローンの返済が滞ってしまうとその抵当権が実行されてマイホームを手放すことになってしまうのが原則だからです。

ただし、このような「原則」には例外的なケースがあります。

債務整理のうち個人再生を選択し、さらに「住宅ローン特則」という特別な方法を選択した場合には、従来通りに住宅ローンを編挿していくことを条件に、別の借金については減額措置を認めてもらえることがあるのです。

個人再生の住宅ローン特則についてくわしく知りたい方は、債務整理を専門にしている弁護士や司法書士に相談するようにしてください。

自己破産をしても最低限必要なお金や家財道具は持ち続けられる

上で、自己破産を選択した場合には、マイホームや自動車については手放さなくてはならなくなるという説明をしました。

このように書くと、なんだか「自己破産をすると身ぐるみはがされて何も残らない」という怖いイメージを持ってしまった方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそのようなことはありません。

自己破産後にも生活をしていかなくてはなりませんから、そのために最低限必要な家財道具や現預金(100万円以下とされることが多いです)は持ち続けることが可能です。

自動車についても、年式が古くて下取り価値がない状態のものについては、自己破産後にも所有し続けることができるとされるケースも少なくありません(ただし、自動車のローンが残っている場合には債権者が物件を引き上げてしまうのが普通です)

3.保証人になってもらっている人に請求がいってしまう

借金の保証人になってもらっている人がいる場合には、その借金について債務整理をした場合には、残りの借金について保証人に対して請求がいってしまいます。

保証人というのは「この人がもし借金を約束通りに返済できない場合には、私が代わりに支払います」と約束することにほかなりませんから、債権者としてはあなたに代わって保証人に対して残りの借金を払うように請求せざるを得ないのです。

その際、保証人に対する借金の請求は分割払いではなく一括払いで行われることが多いことにも注意が必要です。

借金を当初の約束通りの起源に返せない場合には、分割払いで借金を返す権利がなくなってしまうという形の契約になっているケースがほとんどなのです(これを「期限の利益の喪失」と呼びます)

保証人についてもらっている借金について債務整理をしたい場合には、事前に保証人に対して通知を行うとともに、借金の残額が高額である場合には、保証人も一緒に債務整理を行うことも検討しなくてはなりません。

任意整理では「どの借金を整理するか」を選択できる

なお、債務整理の方法のうち、任意整理では「どの借金について減額交渉をするか」と自由に選ぶことが可能です。

例えば、「保証人についてもらっている銀行からの借金についてはこれまで通りに支払うけれど、消費者金融のローンについては任意整理で減額を依頼する」というような方法をとれば、保証人に迷惑をかけることなく債務整理を行うことが可能になります。

借金は減額してほしいけれど、保証人には絶対に迷惑はかけたくないという方は、任意整理の方法を選択するようにしましょう。

なお、任意整理以外の債務整理の方法(個人再生と自己破産)では、すべての借金についてまとめて手続きを行うことが義務付けられますから、任意整理のように借金を選んで減額を依頼するということはできませんので注意してください。

4.家族に借金がばれてしまう可能性がある

借金の金額が大きくなりすぎてしまって債務整理を行うことを検討している方の中には、「華族に借金の存在を知られたくない」という方や、「借金を返せない状態であることはばれたくない」という状態の方も少なくないでしょう。

債務整理のうち、個人再生や自己破産(裁判所に申し立てをして手続きを行う方法)では、同居している家族の収入や財産の状況についても報告する義務がありますから、家族に債務整理をしようとしていることがばれてしまう可能性が非常に高いことに注意が必要です。

家族に絶対に借金を知られたくない人は、任意整理を選択しよう

家族に借金の存在を知られたくない、債務整理を行おうとしている事実を知られたくないという方は、個人再生や自己破産ではなく、任意整理の方法を選択するのが良いでしょう。

債務整理の方法のうち、任意整理は債権者側と裁判所を通さずに直接的に交渉する方法ですから、基本的に家族の情報などを報告する必要はないためです。

また、弁護士などの専門家に依頼して任意整理を行う場合には、債権者との交渉や書類のやり取りはすべて専門家に代行してもらうことができますから、家族にばれてしまう可能性は極めて低いといえます。

家族には借金の存在を知られたくないという方は、任意整理の方法で債務整理を行うことを検討しましょう。

5.自己破産を選択した場合、その後7年間は自己破産できない

債務整理の3つの方法(任意整理・個人再生・自己破産)のうち、自己破産については「過去に自己破産によって免責を受けたことがある人は、一度目の免責後7年間は新たに免責を受けることができない」というルールがあります(これを免責不許可事由といいます)

日本の法律では「借りたお金は期限までに約束通り返す」というのが大原則ですから、その例外にあたる債務整理については利用回数に制限がもうけられているのです。

もっとも、過去に個人再生や任意整理を行った人が自己破産をする場合や、自己破産をしたことがある人が個人再生や任意整理を行うことについては利用制限はありません。

債務整理の中でも自己破産は、借金のすべてを免除してもらう非常に影響が大きい方法ですから、利用回数に制限があるということを理解しておいてください。

なお、一度目の自己破産による免責から7年以上が経過した場合には、通常通りに自己破産の手続きを行うことは可能になります。

6.専門家に依頼する場合、費用を負担する必要がある

債務整理は、法律的な実務知識がないと実際に手続きを進めることは非常に難しいというのが現実です。

法律上は債務者本人が債務整理を行うことも可能ということになっていますが、法律知識のない人が債権者に任意整理の交渉をもちかけても応じてもらえない可能性が高いですし、個人再生や自己破産を行うために裁判所に申し立てを行う際には非常にきびしいルールのもとで書類作成を進めていかなくてはなりません。

また、裁判所は平日の昼間出ないと業務を受け付けていませんから、平日日中のお仕事をしている方は仕事を休んで裁判所に出頭して…ということを行う必要があります。

実際には専門家に債務整理手続きの代行を依頼している人がほとんど

このような事情から、実際の債務整理手続きでは、ほどんどの人が弁護士や司法書士といった法律の専門家に手続きを代行してもらっているというのが現実です。

専門家の債務整理手続きの代行を依頼した場合には、あなたは必要な書類を専門家の指示に従って提出するだけで、その他のこと(債権者との交渉や、裁判所に提出する書類の作成など)はすべて専門家が代行してくれます。

法律実務の経験がない方(ほとんどの方がそうだと思います)や、平日の昼間に仕事をしているという方は、無理せず専門家に手続きの代行を依頼するようにしましょう。

専門家費用の相場:後払いや分割払いも可能

債務整理についての相談は、弁護士または司法書士が運営している事務所に依頼するのが適切です(~法律事務所・~司法書士事務所などの名前でかんばんがかかっていることが多いです)

弁護士や司法書士といった法律の専門家に債務整理手続きの代行を依頼した場合には、おおよそ以下のような金額の費用がかかることを知っておきましょう。

 

債務整理の費用

  • 任意整理:借金1本につき4万円~5万円ほど
  • 個人再生:20万円~30万円
  • 自己破産:40万円~50万円

もっとも、ただでさえ借金で困っているのに、こんな費用なんて払えない…とお悩みの方も心配はありません。

専門家の事務所では報酬費用の後払いや分割払いに応じてくれますから、いま手元にお金がない…という方も安心して相談することができるためです。

債務整理を行うと、場合によっては数百万円単位で借金の負担を減らすことが可能になりますから、専門家に対する費用を支払ったとしても大きなメリットを受けられるケースがほとんどといえるでしょう。

※なお、当然ですが自己破産をしても専門家の費用は免責されませんので注意してくださいね。

また、初回の相談は無料相談ということで費用が発生しないケースがほとんどですので、自分は債務整理をするべきか、債務整理をするとしてどの方法を選ぶべきなのか、といったことについて不安がある方もまずは相談してみてください。

まとめ

今回は、債務整理を選択した場合に生じる可能性があるデメリットについて説明しました。

債務整理は大きくなりすぎてしまった借金の負担を合法的に減らしてもらえる方法ですが、非常に大きなメリットがある方法といえます。

一方で、その人の状況によってはデメリットも大きくなってしまうことも考えられますので、手続きを行う前にその具体的な内容について理解しておかなくてはなりません。

債務整理を行うことによるデメリットの具体的な内容や、自分にはどの債務整理方法があっているのか?といったことについてより詳しく知りたい方は、弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談することも検討してみてくださいね(相談は無料でできるケースがほとんどです)

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