気になるEVの行方、パナソニックとテスラの関係を徹底調査!

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株式投資をする上でEVは、今、目が離せないテーマの1つでもあり、私たち一般消費者の知らないところでEVの開発は日々進展しています。

自動車メーカー、電機関連の企業は国内に多数ありますが、EVの需要を狙った場合にいったいどの株を購入すべきか悩んでしまいます。

中でもEVの燃料となる車載用電池はEV関連株のには欠かせないトピックで、電池を代表する企業パナソニックとアメリカのEVメーカー、テスラの記事が最近よく報道されています。

いったい両社はどのような関係にあり、今後どのような展開が予想されるのか気になるところであります。

そこで今回は、パナソニックとテスラの関係を徹底的に調査してみたいと思います。

気になるEVの行方

電機自動車(EV)は単なる新型の自動車という枠にとどまらず、地球温暖化や限りある天然資源の懸念をも解決するものとして、世界的にその普及拡大が期待されています。

長年に渡って、走行距離やコストの面で実現が難しいと思われていましたが、近年では各大手自動車メーカーによる新型EVの出現も相次ぎ、着実にEVは新しい時代を切り開きつつあります。

経済産業省の最新の報告(2017年10月)によると、2016年の時点で、すでに販売されたEVとPHV(プラグイン・ハイブリッド車)の数は合計で約200万台に達しているとのことです。

各国ではガソリンやディーゼルエンジンからEVへとシフト移行していく旨が報告されています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 参考URL

以上のように、いずれはガソリン・ディーゼル車は規制により減少していく方向に向かっていることがわかります。

2018年に入ってからも、各国、各自動車メーカーはEVに向けてより活発な意向を表明し続けており、2030年~2040年にかけて世界的な規模でガソリン・ディーゼル車の製造、販売が禁止されていくことが予想されています。

出典:日経新聞 富士経済の市場調査

国内大手自動車メーカーの動き

2018年5月に発表された富士経済(日本マーケティングリサーチ協会)の調査によると、

  • 日産自動車は今後はEVの新型車販売に注力。
  • トヨタ自動車は2030年までのEV販売目標が550万台。
  • ホンダは2030年までにEVの販売比率を70%へ。
  • スズキはインド市場にてEVを展開。
  • 三菱自動車はSUVタイプのハイブリッドを拡充。
  • いすゞ自動車はハイブリッドの大型車の導入。
  • 三菱ふそう、日野自動車はEVの大型車の販売開始。

など・・・国内では自動車の購入を考える人が低下していく中、新たな価値をもった自動車の出現により、販売台数の増加が見込まれてます。

と同時にこのような動きは国内だけに限らず、

GENERAL MOTOR(USA)、FORD(アメリカ)、Volkswagen(ドイツ)、

BMW(ドイツ)、現代自動車(中国)、吉利汽車(中国)・・・

など世界中の大手自動車メーカーはこれから到来する新しい市場の波に乗りそびれないよう、開発研究に余念がない状況であります。

とくにガソリンに替わる燃料である車載用電池の存在は必要不可欠なものとして、大手電機メーカーと提携してより優れた電池の開発が盛んに行われています。中でも電池開発にて歴史の長いパナソニックはいくつかの自動車メーカーと提携していることで注目されています。

パナソニックの車載用電池の開発

出典:Panasonic   産業用電池

パナソニックは車載用リチウムイオン電池のシェア率、4割を占める世界首位の企業です。主に国内、北米、中国の3カ所に生産拠点を置き、他に追従を許さない勢いで各自動車メーカーの需要に応えています。

国内ではトヨタホンダと提携。

アメリカではテスラモーターズと共同で電池開発事業を行っています。

車載電池を提供する以上は、パナソニックの電池関連事業は各自動車メーカーの業績に左右されてしまうことは避けられません。最近ではテスラに関するさまざまな情報がニュースメディアで飛び交っており、一体どうなっているのかと疑問に思っている人も多いでしょう。

パナソニック株、テスラ株の購入を考えるのであれば、この両社の関係をしっかり把握しておく必要があります。

そこで今回、パナソニックとテスラの関係を調査していくにあたって、まずは両社のこれまでの動きを見ていきたいと思います。

パナソニックとテスラ

パナソニックとテスラのこれまでの動きをまとめるにあたっては、主に日経新聞とパナソニックのプレスリリースの記事を参照にさせて頂きました。

パナソニック/企業概要

出典:Panasonic  家庭用電池

1918年:松下電気器具製作所を創立

松下幸之助氏が奥さんと弟の3人で始めた、小さなプレハブ造りの会社が今では世界を代表する電機機器企業へと成長しました。

アイロン、テレビ、エアコンなどの家電が主軸。その他自動車部品、電子部品、とくに電池事業では電池開発の先駆者である三洋電機(パナソニックが買収)の技術を包括しており、世界的に信用度の高い電池製造を行っています。

テスラ/企業概要

2003年:テスラモーターズ創業

主な事業内容:電気自動車(EV)のスポーツカータイプと太陽光発電の開発、製造、販売することを目的にスタートアップ(ベンチャー)企業としてアメリカのカリフォルニア州で誕生しました。

創業者:マーティン・エバーハード、マークターペニング、イーロン・マスク、他2名。

2004年:創業者として加わったイーロン・マスクがその後のテスラの主導的な人物となるのです。(イーロン・マスクは決済代行のPayPalの共同設立者でもあります。)

パナソニックとテスラの業務提携

出典:Panasonic  家庭用電池

2010年1月:テスラとパナソニックは共同でEVの車載用電池の開発を行うことを発表します。(実はテスラは同年に一度、トヨタ自動車との業務提携の話もありましたが実現しませんでした。)

2010年6月29日:アメリカ株式市場、ナスダックに上場し初値は19ドル(約2,200円くらい)で、その日は23ドル(約2,500円くらい)で終値を迎えます。

2010年~2011年:テスラとパナソニックが資本提携し、パナソニックのステラへの出資額は3,000万ドル(約24憶円)を超えることが発表されました。テスラの初めての量産体制にて「モデルS」が登場します。

自動車用リチウムイオン電池の供給契約を締結。4年間に渡って自動車8万台以上の電池供給を計画すると同時にトヨタ、ダイムラーなど他社に向けての電池供給も行っていきます。

~2017年:2014年にはアメリカにて大規模電池工場(ギガファクトリー)の共同設立することに合意。太陽光発電、自転車、通信機器などのその他の電池製造に注力していきます。テスラは引き続き、新型モデルを販売しアメリカ株式市場で高値を更新していきます。

2017年には、パナソニックの保有するテスラ株は10倍以上に跳ね上がり、総額で400憶円を超える利益につながったことで、テスラはパナソニックにとって非常に重要な協業相手となったのです。

テスラとサウジアラビア

出典:テスラ公式HP Model S

このようにテスラとパナソニックは非常に密接な関係にあり、海外でのテスラのニュースが事あるごとにパナソニック株に影響を与えています。

2017年代にはテスラのEV増産、リチウム電池部材の生産能力の増強などで双方の株価は浮き沈みをしながらも好調な状態にありました。

しかし2018年に入ってからは、ネガティブな要素がパナソニックとテスラに影を落とし始めます。

2018年3月23日に自動運転機能を搭載したテスラのSUV「Model X」が死亡事故をおこしてしまいます。その責任の所在にはさまざまな論争があり、一概にテスラだけの責任とは見なされませんでしたが、人命が関わっているだけにテスラが受けたダメージは小さくはありませんでした。

この件が原因とはいえませんが、その後5月、6月とテスラの新型モデルの量産体制は予想をはるかに下回り、市場ではテスラの業績悪化が懸念され、パナソニック株もテスラ株が下がる度に余波を受ける状態が繰り返されていきます。

そんな疑心暗鬼な2社の状況にさらに波紋を投げかけたのは、つい最近のことです。8月に入ってからイーロン・マスク氏のTwitterの投稿、サウジアラビアとテスラの記事が話題になっています。

イーロン・マスク氏の最近の動向は、一見、不可解とも思える様相で多くの投資家たちに期待と不安を交互に与える結果となり、投資家達はなかば混乱状態の中、テスラの株はここ数日は下降を続けていました。

そこでテスラとサウジアラビアの関係とTwitterの投稿について、日経新聞とWSJ(ウォ―ルストリートジャーナル)の記事を参考にまとめていきたいと思います。

Twitterの投稿

8月1日、2018年4~6月期決算にてテスラは7憶1753万ドル(約800憶円)、過去最大の赤字を計上しました。

新型EV「Model3」の生産は軌道に乗りつつありましたが、先行投資に資金が偏り、企業の財政は不安な状態に陥ってしまいます。

そんな中、イーロン・マスク氏はTwitterにて

「株式非公開化を考えている、資金は確保した」

と書き込みました。

出典:WSJ   テスラの非公開化報道に対する株価

その報道を受けてテスラの株価は急上昇し、株価高騰をさけるためナスダック(アメリカ株式取引所)は売買停止にせざる得ないほどでした。

Woman
でも、どうして非公開にすると発表したことで、株価が上昇するの?
Expert
非公開にすると自由に株式の売買ができなくなり、発行株数や保有株数はその企業の権限者によってのみ確保されます。市場から資金を得ることはできませんが、株価を安定させる(下降もしないけど上昇もしない)ことが可能になります。

マスク氏の意向は・・・

一般公開しないプライベートな企業となることで、市場に左右されない株価の安定を確保することができるとの考え。今回、非公開化したとしても企業が保有する株式は売却しない。既存の株主も全員株式を保有できるような仕組みを用意するとのこと。

市場から得られる資金をあてにしないとなれば、それ相応の資本が必要になります。最大赤字を記録したばかりのテスラにその能力があるとは思えません。

そこで、マスク氏の言動の背景に、サウジアラビアが登場するのです。

サウジアラビアの投資活動

サウジアラビアはEVの普及から生じる、今後予想される原油収入の低下に数年前から本格的に準備を行っています。

サウジアラビアの財政は原油輸出に依存しない、新しい産業シティを2030年に向けて計画中であり、その新しい都市計画には自然エネルギー、テクノロジー、不動産、インフラ建設、教育、医療などを先進国技術を取り入れて開拓していこうとしています。

その新都市開発のためにサウジアラビア政府はサウジアラビア政府系ファンド(PIF)を形成し、各先進国の企業に投資を行い協力を促しているのです。

※新都市計画の地図

出典:WSJ サウジアラビア新都市開発プロジェクト

紅海をはさんでエジプトとサウジアラビアの境界線の近くの沿岸、上の地図で赤丸で記したところが

「NEOM(ネオム)」

と呼ばれる新都市。

サウジアラビア政府はこの新都市プロジェクトに国の将来を託しており、その予算は約5000憶ドル(約60兆円)を超えるといわれており、その予算はまだ今後も増加していく見通しであります。

そして、市場を騒がせたテスラの非公開化プランの報道の後、サウジアラビアの政府系ファンドがテスラに投資している事実が明らかになり、

なぜマスク氏が、Twitterにて非公開化に関する記事を投稿したのかが裏付けられるわけです。

サウジアラビア政府ファンドの上位にはソフトバンク(約5兆円)、ブラックストーン(約2兆円)・・・

そしてテスラへの投資金額が(約2,200憶円)となっています。

※サウジアラビア政府系ファンドの詳細

出典:WSJ サウジアラビアファンド

先走ったマスク氏

出典:テスラ公式HP Model X

しかし、現実にはテスラの得ているサウジアラビア政府からの投資額では、非公開化の実現にはほど遠く、そのマスク氏の軽はずみな言動に対して、非難の声も少なくありません。

おそらく、あまりにも壮大な規模のサウジアラビア政府の計画に、マスク氏もやや有頂天になり、先走ってしまったのではないかとも思われます。同時に、過去最大の赤字を捻出してしまった焦りからも、マスク氏をそのような行為に走らせたのかもしれません。

数日後には、マスク氏は非公開化を撤回しており、証券取引所からも注意を受けるという始末です。

投資家達は期待を裏切られてしまったこと、また、そのように軽はずみな言動をとった代表に対する幻滅などから、赤字という数字上の要因だけではなくテスラ株は今、急激に価格を下げていっているところなのです。

もちろん、テスラ株のそのような動きはパナソニック株にも影響を見せています。

Woman
だったらテスラの様子を見てから、パナソニック株を購入した方がいいのかな?
Expert

そうですね。

しばらく様子を見た方がいいかもしれませんね。そこで、今後のパナソニック株の展開をテスラ株の影響を考えながら検証していきたいと思います。

今後のパナソニック株は

それでは、現在の両社の株価を見ておきたいと思います。

パナソニック(6752)

出典:日経新聞

2018年8月29日現在、株価は1,350円で3カ月で見ると現在は底値にあります。6月から株価は下降しており1,600円から一旦1,400円まで下落、少し上昇してまた一気に下降していっています。

テスラ非公開化のニュース時は上昇していますが、その後は急落、そしてここ数日は様子見体制に入っているようです。

続いて、テスラの株価を見てみましょう。

出典:アメリカ株ドットコム

テスラの株価は現在310ドルくらい。300ドル前後から370ドルあたりを上下しながら推移しており、チャートでもわかるようにちょうど非公開化の報道がされた頃株価は上昇し、非公開化が却下されてから300ドル以下まで下がっています。

が、ここ数日に渡っては安値圏にありながらも上昇に転じる気配を見せています。

互いに影響力を与えつつ、株価が低迷している理由としては貿易摩擦の影響も大きく、車載用電池に力を入れるパナソニックやEV専門であるテスラは、個々の要因だけによって下がっているわけではないとも見れます。

自動車関連全体が、日経平均の動きやダウジョーンズ(アメリカの産業株セクター)の動きから外れ安値圏で推移していることは事実です。

今後の両社の株価の展開は貿易摩擦、関税問題の展開次第だといえる部分もあるでしょう。

8月に起きたテスラの非公開化言動は、まだ経済恐慌などを体験していない若い企業の強い自信が、思い通りにならない市場から混乱と不安に陥った末の過ち、若気の至り(?)としてそのうち忘れ去られていくに違いありません。

テスラは自動車はEVのみで勝負する稀な企業であり、そのスポーツタイプの次世代車はデザイン的にも機能的にも魅力に満ちています。

出典:テスラ公式HP  Roadster

マスク氏が今後、代表者として確固たる態度を保つ限りは、

そこにパナソニックの電池が加わることで、大きな成果を期待できるのではないでしょうか。

ただ、今すぐ短期間でEVが普及してしまうわけではなく、5年、10年と長い目で考えていく必要があり、その期間にテスラ、パナソニックEV以外の事業によりいかに収益を得ていくのかがポイントになってくると思います。

それでは、今後の参考に、パナソニック関連株(EV・電池関連)のご紹介をしておきたいと思います。

パナソニック関連株の紹介

パナソニック(6752)

家庭用電機を主力とし、自動車部品、化学・化成品、情報通信機器、産業用機器と非常に幅広く事業を展開しています。パナソニックのグループ会社は592社、2017年の売り上げ高は7兆9,822円。

今後は5G、Iot関連にも注力していくことが予想されています。また、民泊経営にも参入。

テスラ(TSLA)

Model S, Model X, Model3などの斬新なスポーツタイプの新型EVを販売中。その他の事業としてはパナソニックと共同開発による太陽光発電、蓄電システムなどを展開しています。

楽天証券、野村証券、SBI証券、マネックス証券などでテスラ株の購入が可能。

住友金属鉱山(5713)

EV向けリチウムイオン電池の材料をパナソニックに提供しています。約40憶円を投じて新工場の増設しており、生産能力を増強中です。

2017年から2018年にかけて、正極材の生産は2.5倍に増加。

三社電機(6882)

パナソニックが大株主です。電池や電気機器等の半導体、電子部品を製造しています。情報機器や電池用の電源が主力で、リチウムイオン電池用の電源が好調で本年度は大幅な増収増益が見込まれています。

配当金は年間で2回。9月の中間配当金は7円から10円に増配。年間で約20円の配当。

岡谷電機(6926)

ノイズ対策コンデンサーの製造では世界首位です。コンデンサーは、あらゆる電子機器、電池の製造に欠かせない情報な役割を果たしているもので、パナソニックが主要取引相手となっています。

エアコン、パソコンなどに加え今後は車載用部品としての展開も期待。

まとめ

今後、EVは革命的に私達のエネルギー事情を変えていくものとして、多くの企業や投資家達にとって、最も魅力的な投資材料の1つであります。

2030年~2040年に向けてガソリン車からの移行が見込まれていますが、徐々にEVの購入を検討する人も世界中で増えているようです。

ただ、費用的な部分が足かせとなり、テスラの赤字状態からも伺えるように思ったよりはその普及の速度は緩慢であります。

電池の性能がよくなることで、EVの価格はもっと安くなり、購入を促進するだろうといわれる中、パナソニックは今後そういった意味でも大きな役割を果たしていくだろうと市場では期待されています。

電池関連株がピークに達してしまう前には、何か1つでも手堅い株を購入しておきたいところです。この機会に今後大きな利益が期待できるEV・電池関連株をリサーチしてみませんか?

 

 

 

 

 

 

 

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