証券会社・銀行でバカ売れのファンドラップ、バランス型ファンドの真実。本当に役立つ分散運用のやり方について

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最近、どこの証券会社、銀行でもファンドラップ、投資信託のバランス型ファンドを勧めてきます。リーマンショック前の2008年に少しはやったくらいで今まで見向きもされてきませんでした。

ではなぜ今、証券会社、銀行はファンドラップ、バランス型ファンドを勧めてくるのでしょうか。

断っておきますが、ファンドラップ、バランス型ファンドは悪いものではありません。しかしファンドラップ、バランス型ファンドのメリット、デメリット(特にデメリット)を知らずに購入している人があまりにも多いのでこの記事を書こうと思いました。

これを読めばファンドラップ、バランス型ファンドの真実を知っていただけるかと思います!

ファンドラップ、バランス型ファンドについて

この章では、ファンドラップ、バランス型ファンドとはどんなものなのかを分かりやすく説明していきます。ファンドラップ、バランス型ファンドについて全く知識のない方でも理解出来るように分かりやすくまとめていきます。

ファンドラップとは

ファンドラップとは、様々な投資信託を1つにまとめた商品です。ラップとは「包み込む」といった意味で様々な種類の投資信託を包み込んで1つにしたものを言います。

資産配分の調整や、投資銘柄の選択、投資銘柄を買ったり売ったりすることを一括して行います。また証券会社や銀行によっては実際に運用しているファンドマネージャーからの定例報告をサービスに入れている会社もあります。

ファンドラップの最大の特徴は、投資一任契約です。投資一任契約とは、証券会社や銀行が、投資家から投資判断の全部の権限を任せてもらい投資家の運用の希望に沿って、投資家に代わって投資家の資金を運用する契約のことを言います。

分かりやすく一言でいうと「証券会社や銀行に自分のお金を渡してお任せで運用してもらう。」ことです。

しかしファンドラップは、すべてを証券会社や銀行にお任せするわけではありません。投資家の中には、リスクを極力抑えて安定的に運用して欲しい人もいますし、リスクを取っても積極的に運用して大きく殖やして欲しいという方もいます。

ファンドラップは、運用のコースが複数に分かれており、投資家は自分の希望を契約の時に証券会社や銀行に伝えます。投資を一任されたファンドマネージャーは、その投資家の希望に従って運用するのです。

運用のコースは途中で変更することはもちろん出来ますが、変更後3か月は、再度の変更は出来ないなどの制限のある証券会社や銀行も存在します。

ファンドラップとは、忙しかったり、投資に詳しくない人でも、ファンドマネージャーに任せてポートフォリオを組んで運用できる商品です。ではポートフォリオとはなんなのでしょうか?

ポートフォリオとは

ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせのことを言います。具体的には、投資商品の組み合わせのことを言います。ポートフォリオを組むということは、どんな種類の投資商品をいくら持つかを決めていくことになります。

ポートフォリオを組む理由は、投資商品は商品によって値動きが全然違うからです。

例えば、株であれば値動きは激しいですし景気のいい時には基本的には上昇します。株は値上がりが期待出来る一方で、値下がりも大きいです。

一方、国債や社債などの債券は、値動きが安定していて景気が悪い時に強い資産だと言われています。何故なら、景気が良い時にはみんな株を買うので債券の人気はないのです。

逆に景気が悪い時に株を買う人は少ないので安定的に金利収入の入る債券の人気が高まるのです。

また一時期人気のあったREIT(不動産)は、賃貸収入が定期的に入る資産です。また不動産が値上がれば、値上がり益も期待できる商品です。

REITも景気が良い時は強い資産ですが景気が悪くなると不動産に空室が増えるので、弱い資産になっていしまいます。

マイナーですが、小豆や小麦などの先物商品はコモディティと呼ばれ、値下がりのリスクも非常に大きいですが、値上がりの可能性もある商品もあります。

商品だけでも、特徴は様々ですが、投資する国によっても大きな違いがあります。

アメリカや日本、ヨーロッパなどの先進国は安定していますがその分値上がりや高い金利収入は受け取れません。一方、アジアやアフリカ、南米などの新興国は安定感はないですが、その分成長率が高い分、値上がりや高い金利収入を受け取れます。

このように投資する資産や国・地域によって値動きは全然違うので、資産運用をする上では、ポートフォリオを組むことが重要なのです。

景気が良い時に強い資産

  • REIT(不動産)
  • 新興国関連
  • ハイイールド債(信用力の低い債券。債券は会社の信用力によって受け取れる金利が違います。信用力の低い会社は倒産の可能性があるのでその分、金利は高くなります。)
  • コモディティ

景気が悪い時に強い資産

  • 国債・信用力の高い社債
  • 先進国関連

バランス型ファンドとは

バランス型ファンドとは、基本的にはファンドラップとコンセプトは同じです。投資する資産や国・地域を複数組み合わせて一つの投資信託にした商品です。

一般的な投資信託は、株にだけ投資されているもの、債券にだけ投資されているものが一般的ですが、バランス型ファンドは複数の資産、国・地域に投資されているのが特徴です。

ファンドラップとの違いは、ファンドラップは投資一任契約なので、マーケット環境によって投資家一人一人に合ったポートフォリオに柔軟に変えてきますが、バランスファンドは、投資信託なので投資家一人一人に合ったポートフォリオには変えてくれません。

あくまでバランスファンドは普通の投資信託の中の1つなのです。自分に合った運用方針のバランス型ファンドを選ぶ必要があります。

このようにファンドラップ、バランス型ファンドについて説明するとポートフォリオに沿って運用するすごくいいものに見えるかも知れません。

しかしなぜ証券会社、銀行は今まで全くファンドラップ、バランス型ファンドを販売してこなかったのに、現在猛烈な勢いでお勧めしてきているのでしょうか。

証券業界、銀行の投資信託の販売の現状と実情

この章では、なぜファンドラップ、バランス型の投資信託を証券会社、銀行が勧めるようになったのかについて説明します。証券会社・銀行の営業方針が昔と今で様変わりしたことが大きな要因です。

昔と今の営業方針の説明やなぜファンドラップ、バランス型ファンドを証券会社・銀行は販売したいのかについてまとめていきます。

昔の証券会社、銀行の営業方針

昔の証券会社、銀行の個人ビジネスでの営業方針は、とにかく購入時の手数料を稼ぐことに軸足が置かれていました。昔と言っても5年くらい前まではそうでした。

個人客に株や投資信託を販売する営業店や担当者は、購入時に入ってくる手数料ですべてを評価されてきました。とにかく購入時の手数料の高い金融商品を売りまくった支店や担当者が評価されたのです。

このビジネスのメリットは、すぐに手数料が証券会社、銀行に入ってくるので決算に即時反映されることでした。

当時、個人ビジネスは法人ビジネスと違い大きく稼ぐことが出来ないためお荷物扱いされている会社が多かったです。

しかし法人部門が手数料を稼げなくなると、もてはやされたのが個人ビジネスでした。個人ビジネスは即時手数料が入ってくるからです。これに目を付け多くの証券会社、銀行が個人ビジネスに力を入れてきました。

一定の成果を上げて個人ビジネスは成功したように見えました。しかしこの購入時の手数料に頼るビジネスは様々な弊害を生みました。

例えば、某証券会社で数年前に問題になった回転売買です。回転売買とは、投資信託を販売して間がないにも関わらず、解約させて別の投資信託に乗り換える販売手法です。

当時の投資信託の販売手数料は3%が主流でしたので、回転売買を1人の顧客に年3回やると、なんと9%もの手数料をとれるのです。

このような回転売買で、顧客は儲かるはずもありません、投資に詳しくない高齢者を中心に規模の大きい小さいはありますがどこの証券会社、銀行もこの回転売買をしていたのです。

購入時の手数料に頼る販売手法のもう一つの弊害は、景気の良しあしによって大きく収益がぶれることでした。景気のいい時は、回転売買も出来たのでしょうが、景気の悪い時にはそうもいきません。景気が悪いと大幅に収益が落ち込むのはそのためです。

しかし支店や担当者によっては、顧客に利益が出ていなくても高齢者を中心に無茶な回転売買をやり続けました。その結果、家族からクレームが来て今なお裁判で争っている事例もあります。

このような事態を、重く見た金融庁は営業方針の変更を証券会社、銀行に迫ったのです。

今の証券会社、銀行の営業方針

販売手数料に依存するビジネスに限界を感じた証券会社、銀行は大きく営業方針を切り替えました。それはストックを中心にしたビジネスです。

ストックとは、残高のことを言います。投資信託は、残高に応じて信託報酬というランニングコストを証券会社や銀行は受け取ることが出来ます。ストックを積み上げることによって収益を安定させるビジネスに切り替えたのです。

銀行の住宅ローンもまさにストックビジネスでありローン残高に応じて金利収入を得ることが出来ます。投資信託で同じことをやろうとしたのです。

この時、証券会社、銀行が中心に置いたのが、ファンドラップ、バランス型ファンドです。ファンドラップ、バランス型ファンドは値動きが一般的な投資信託に比べ安定しているので解約が少ないのです。

しかも一般の株や債券だけで構成されてい投資信託よりも、ランニングコストである信託報酬が高めに作られているので急速にファンドラップ、バランス型ファンドを販売し始めるようになったのです。

ファンドラップ、バランス型ファンドが猛烈に勧められているのは、営業方針がストック(残高)中心になったこととランニングコストが高いことが大きな原因です。

以上のような証券会社、銀行の思惑はありますが一概にファンドラップ、バランス型ファンドが悪いとは言い切れません。次の章からファンドラップ、バランス型ファンドのメリット、デメリットについてまとめていきます。

ファンドラップ、バランス型ファンドのメリット

前の章でファンドラップ、バランス型ファンドを証券会社、銀行が勧める理由についてまとめました。この章では、ファンドラップ、バランス型ファンドのメリットについてまとめていきたいと思います。

購入時に手数料がかからないこと

これは、大半のファンドラップ、一部のバランスファンドのメリットです。投資信託を購入すると大体2~3%の購入時の手数料がかかりますが、ファンドラップは購入時に手数料がかからないものが大半です。バランス型ファンドも、最近発売されているものは、購入時の手数料が無料のものが多くなっています。

購入コースを選べること

投資家によって目指す運用は違います。リスクを極力取らずに少ない利益を狙う人もいれば、リスクをとって大きな利益を取りたい人もいます。投資家の希望によって、ファンドラップは運用のコースを選ぶことが出来るのは大きなメリットです。

しかもファンドラップは、特定の資産を排除することも出来ます。例えば、日本株が嫌いな人は日本株を外すことが出来たりするのです。これによって自分の理想のポートフォリオに近づけることが出来るのです。

バランス型ファンドも、投資家のリスク許容度によって、コースのスイッチングが出来るものが増えています。

運用を丸投げ出来る

サラリーマンの方や、子育てに追われている主婦などは、毎日急がしくて、資産運用に時間を当てることがなかなか難しいです。しかしファンドラップは、運用をプロのファンドマネージャーに丸投げ出来るので自分で管理する必要がありません。おまかせで運用してくれることはメリットだと思います。

バランス型ファンドも、資産分散されたポートフォリオを組んでくれているので、ファンドラップほどではないですが、ある程度運用を放置していても安心出来ます。

資産分散されたポートフォリオを作ってくれること

ファンドラップ・バランス型ファンドの最大のメリットは、様々な資産にバランスよく配分して安定的なポートフォリオを作ってくれることです。

資産運用を行う上で安定的に運用することは非常に重要なことなので、資産分散されたポートフォリオを作ってくれることが、ファンドラップ、バランス型ファンドの一番のメリットになります。

ファンドラップ、バランス型ファンドのデメリット

ファンドラップ、バランス型ファンドのデメリットについてまとめていきます。ファンドラップ、バランス型ファンドのデメリットは、3つあります。

手数料が高いこと

ファンドラップは購入時の手数料はかからないことが多いです。しかし運用期間中のランニングコストは、非常に高いです。

ファンドラップを契約していることでかかるランニングコストが1~2%、ファンドラップの中身の投資信託の信託報酬が1~2%かかるので合計で3~4%かかるものが主流です。

また、バランスファンドの購入時の手数料は、無料のもの多くなっていますが1~2%かかるものも多いです。ランニングコストは、1.5%~2%かかるものが多いです。

長期保有すればするほど、ランニングコストの負担は重くなるので、ファンドラップ、バランス型ファンドの手数料の高さは大きなデメリットになってきます。

NISAやイデコに向かない商品

NISAやイデコで運用している商品は、運用益が出ても利益に課税されません。ファンドラッブやバランス型ファンドは値動きが安定しているというメリットがありますが、NISAやイデコで運用する時にはこの安定性が逆にデメリットになります。

なぜなら、利益が出ても大幅に出ることが少ないので、非課税のメリットを最大限に受けることが出来ません。NİSAやイデコで運用する場合は、海外株式などリスクは高いですが大きく利益の出るものがおすすめです。

ファンドラップバランス型ファンドは内容の把握が難しい

ファンドラップ·バランス型ファンドは、ファンドマネージャーが運用を投資家に代わって行ってくれるのでお任せの安心感はあります。しかし、どの資産にどのくらいの金額が配分されているかを把握することが難しいです。

月次でポートフォリオの詳細が載っている報告書や運用レポートが発行されますが、日次で確認することが難しいことはデメリットです。

おすすめの資産運用方法

ファンドラップやバランス型ファンドには、様々なメリットやデメリットがあります。一番のメリットは、資産分散されているので値動きが安定することです。最大のデメリットはコストが高いことです。

ではファンドラップの良い所だけを、うまく活用することは出来ないでしょうか。

答えは、ファンドラップ、バランス型ファンドの良い所だけを活用することは出来ます。

具体的には、インデックスファンドを使って自分でファンドラップやバランス型ファンドを作ることです。今は購入時の手数料が無料でランニングコストの安いインデックスファンドがたくさんあります。

インデックスファンドとは、例えば日経平均株価に連動するものなら、日経平均株価に完全に連動するものです。インデックス型ファンドは世界中の株価や債券, REITなどの指数に連動したものがあります。

世界中の指数に連動するインデックスファンドをバランスよく購入すれば、自分でファンドラップやバランス型ファンドを作ることが出来るのです。

インデックス型ファンドは信託報酬が非常に安く (0.2%から高くても1%程度)、購入時の手数料も無料なので、低コストでファンドラップ、バランス型ファンドを作ることが可能になります。

まとめ

証券会社、銀行でバカ売れしているファンドラップ、バランス型ファンドのメリット、デメリットや金融業界の営業方針を中心にまとめました。

ファンドラップもバランス型ファンドも悪い商品ではないですが、インデックスファンドを使って自分で、ファンドラップ、バランス型ファンドを作ることをおすすめします。コストの安い自分だけのポートフォリオ運用を実践しましょう。

最後にファンドラップ、バランス型ファンドの重要な点についてまとめておきます。

ファンドラップ・バランス型ファンドは、いろいろな資産に分散されているので悪い商品ではないですが、コストが高すぎます。

ファンドラップ・バランス型ファンドの良い点であるポートフォリオの作成は、コストの安いインデックスファンドで行い自分だけのファンドラップを作ることが一番の得策です!

 

 

 

 

 

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