不動産投資は儲かるのか?平均的な利回りから想定されるリターンや他の投資法と比較

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不動産投資は儲かるのか?

「不動産投資って本当に儲かるの?」

様々な資産運用が存在する中で、最も人気な資産運用の一つとして「不動産投資」が挙げられます。

不動産投資とは、不動産を運用し利益を生む投資の事で、不動産投資では不動産を担保に設定して金融機関から融資を受けることが可能なので、自己資金にレバレッジを掛ける事が出来、資金効率の面からも魅力的な資産運用の一つです。

しかし、中には「不動産投資って本当に儲かるのか?」と疑問を抱いている方も少なくないと思います。記憶に新しいものだと「かぼちゃの馬車騒動」がたくさんのメディアに取り上げられ、不動産投資に対する風当たりが少し強くなったと感じます。

「老後のための貯蓄に」「もしものための貯蓄に」「新たな収入源として」等々、資産運用を行う動機は人それぞれですが、共通して言える理由は「お金が増えるから行う」という点だと言えます。

なので、この記事では不動産投資は儲かるのか?という点に関して「利益の出し方」「リターン・利回り」などについてご紹介させて頂き、不動産投資と他の投資法を比較して、他の投資法と比べたときに不動産ってどうなの?という点をはっきりさせたいと思います。

まず、不動産投資は儲かるのか?という点について、不動産の基本的な流れ・利益の出し方などについてご紹介させて頂きます。

不動産投資の基本的な流れと融資

不動産投資では、不動産を運用する事によって利益を出していくので、まずは不動産を所有する必要性があります。しかし、不動産は安いものでも「数百万円」、高い物件だと「数億円」の資金が必要になります。

一般的な投資家にとって大きな出費となりますし、これほどの大きな資金を用意する事は無理があると言えるでしょう。そのため、不動産投資では金融機関から「融資」を受けることが可能です。

通常、金融機関からの融資は審査が厳しいことが一般的な見方だと言えます。例えば、個人投資家が「株式投資のために融資を受けることが出来た」なんてケースを聞いた事がありません。

しかし、不動産投資では不動産を運用するので、不動産を「担保」にする事で金融機関から融資を受けられるのです。一般的に、不動産投資で融資を受けるには、自己資金「10%」程度が必要だと言われており、500万円を持っている場合は「5000万円」の融資を受ける事が可能です。

そのため、資金効率が優れている資産運用だと言えます。個人投資家が挑戦できる不動産投資の投資対象は「一軒家」「アパート1棟」「ワンルームマンション」等で、物件が決まると事業計画書などを作成して、金融機関の審査に通します。

金融機関の審査が通り融資が決まり、不動産の購入が決定すると「管理会社」の手続きや「改装・改築」などの工事を終えると、不動産を運用する事が可能です。

投資を始めるまでの「ハードル」という点から考えた時に、不動産投資は融資・管理会社などの各種手続き・不動産業者との兼ね合いなどを考えると、株式投資などと比較した際に「ハードルが高い」と言えるでしょう。

不動産投資の具体的な流れについては、以下の記事で詳細をご紹介しています。

不動産投資のはじめ方。基礎的な知識や注意点・実際の流れなどはじめの方に丁寧に解説します。

不動産投資の利益の出し方

不動産投資の主な流れが分かった所で、不動産投資の利益(リターン)に出し方についてご紹介していきます。

不動産投資では、主に「インカムゲイン」が主な収益になるケースが多いと言えます。ただ例外的に、転売目的で購入した不動産に関しては売却益による利益が大きな収益を占めるので「キャピタルゲイン」が大きな収益になる事もあります。

インカムゲイン、キャピタルゲインとは?

・インカムゲイン
インカムゲインとは、資産を保有している事で継続的に発生する収益の事(不動産投資なら家賃収入、株式投資なら配当金など)

・キャピタルゲイン
資産の売却時に、発生する売却益の事です(不動産投資なら不動産の売却時の利益、株式投資なら売買時の利益など)

日本の不動産業界では、中古の不動産だと大きく資産価値が減少する傾向にあり、不動産投資で大きく利益を出していくには「5年~十数年」を前提とした長期投資が一般的だと言えます。

なぜなら長期的に保有することで、年数が経つごとに不動産の資産価値は減少していきますが、継続的に家賃収入からインカムゲインを期待出来るので、トータルで見た時に大きなリターンを望めるからです。

と言っても「キャピタルゲイン」に該当する不動産を売却する際に発生する売却益が、重要な収益源の1つである事に変わりません。インカムゲインで大きなリターンを得たとしても、売却時に大きな損失を被ってしまうと、トータルで見た時に損失が出てしまうからです。

例えば、、

3,000万円の物件を購入、インカムゲインで年90万円程度のリターンを望め、10年間で900万円の収益が期待出来ると仮定。

10年後の売却時に、1,900万円で売却出来たとすると、200万円の損失が出てしまいます。

(キャピタルゲイン 3,000万円 – 1,900万円 = 1,100万円のマイナス)
(インカムゲイン -1,100万円 + キャピタルゲイン 900万円 = トータル -200万円の損失)

上記の例は少し極端な例ではありますが、インカムゲインが良くてもトータルで見た時に、売却時に資産価値が大きく減少しており「トータルで見た時に損失が出てしまった」というケースは少なくありません。売却時に出来るだけ小さな損失に抑えるもしくは利益を出す事で、不動産投資は始めて「成功した」と言えるです。

つまり、不動産投資では利益を考えた時に「インカムゲイン」が重要であり、損失を出さないために「キャピタルゲイン」をしっかりと試算する必要があるのです。

現在、日本の不動産市場は経済規模が大きな地域(大阪・名古屋・都市圏)に関しては上昇傾向にありますが、人口減少が著しい地方においては下落傾向にあり、将来的に大きな下落が予測されています。

そのため、キャピタルゲインを安定させるためには「不動産投資する地域を選ぶ」というのも、重要な利益を出す要素になるでしょう。

どのくらいのリターンが期待出来るのか?

先程、不動産投資の基本的な流れや不動産投資の利益の出し方などについてご紹介させて頂きました。基本的な事が分かった所で、不動産投資のリターンについて「利回りの種類」「平均的な利回り」などの観点から詳しくご紹介していきます。

不動産投資と利回りの種類

不動産投資には大きく分けて2つの利回りが存在します。

  • 表面利回り(グロス利回り・満室想定利回りとも言います)
  • 実質利回り

両者とも、不動産投資をする上で必ず参考にしたい利回りなので、両者の特徴や違いについてしっかりと押さえておきましょう。

表面利回り

表面利回りとは空室がないと仮定して、想定される家賃収入から利回りを求める計算方法の事です。広告や物件サイトなどで掲載されているものの利回りは、そのほとんどが「表面利回り」だと言えます。

表面利回りの求め方は、シンプルで「年間収益 ÷ 物件価格」で求める事が可能です。

例えば、、

「物件価格 1,000万円」「年間収益 100万円」のような物件の場合

「100万円 ÷ 1,000万円 = 表面利回り 10%」のように求める事が可能です。

計算の仕方が簡単であることや、利回りの%が大きくなりやすい事からよく用いられる利回りですが、「経費を考慮していない利回り」という点に注意しなくてはいけません。

不動産投資は、一般投資家がチャレンジ出来る投資法の中で、大きく経費が掛かる投資法です。表面利回りは参考になる計算方法ではありますが、鵜呑みにして「これだけ儲かる!」と考える事は出来ません

実質利回り

表面利回りは計算方法がシンプルで、利回りを求めやすい反面「経費を考慮できない」という弱点がある利回りであるとご紹介させて頂きました。

表面利回りの弱点を克服した利回りが「実質利回り」です。実質利回りでは空室を考慮した年間の収益・経費を考慮した上で、利回りを出す事が可能なので「どのくらいお金が残るのか?」という点を、知ることが出来ます。

計算の公式は「(空室を考慮した収入 – 経費) ÷物件価格 」です。

例えば、、

「物件価格 1,000万円」「年間収益 100万円」「年間経費 50万円」のような物件の場合

「(100万円 – 50万円) ÷ 1,000万円 = 表面利回り 5%」のように求めることが可能です。

表面利回り・実質利回りのどちらとも投資をする上で、参考にしたい重要な利回りですが、よくある不動産投資の失敗例として「表面利回りのみを重要視して、トータルで損をした」というケースです。

不動産投資には、改装費・管理会社への委託費用・税金などたくさんの経費が掛かってきます。表面利回りのみでは、その経費を考慮した利回りを計算する事が出来ないので、実質利回りについてもしっかりと試算しておきましょう。

不動産投資の平均的な利回り

不動産投資の利回りの種類が分かったところで、不動産投資の平均的な利回りについて触れておきたいと思います。ただし、あくまで平均的な利回りなので、地域や物件の種類などによって上下します。参考程度に読み進めてください!

不動産投資の平均的な利回りを考える時に、外せない大きな要素は「地域」です。不動産投資はどの地域で、どんな不動産を運用するのか?によって利回りが大きく異なり、地域によって平均的な利回りが大きく上下します。今回は一例として東京都の平均的な利回りについて書き留めたいと思います。

東京都の平均的な利回りは「3%~6%」程度だと言え、どちらかと言うと少し低い数字に見えると思います。ただ、これは東京の不動産需要の高さが影響しています。というのも、地方の物件なら「5%~10%」程度の利回りの物件が多く、一見こちらの方がリターンが大きく見えてしまいますが、これは地方の方が「不動産需要が低い」事が要因です。

不動産需要が低いという事は不動産価格の低さに直結するので、東京と地方を比べた時に「東京の方が不動産価格が高い」事に繋がるのです。そのため「収入 ÷ 物件価格」という公式で、物件の利回りを計算した時に、東京の不動産投資では利回りが下がりがちです。

しかし、不動産需要が低いという事は「空室が発生しやすい」という点にも繋がるのです。つまり、東京の利回りは低いですが、不動産需要が高いため「空室が発生しにくい」と言え、地方は利回りが高いですが「空室が発生しやすい」のです。

空室が発生するというのは家賃収入の減少が見込まれるので、不動産投資では大きなリスクに繋がります。そのため、不動産投資では一概に「利回りが低い=期待出来る収入が低い」という点には繋がらないのです。仮に、利回りが高いとしても空室が発生すると手元に残るお金が少なくなってしまう事もあると言うことです。

日本の不動産投資の利回りについて一言でまとめる事は出来ませんが、ほぼ全ての物件において「利回りが高い=リスクが高い」という点を押さえて頂けると良いと思います。

他の投資法と比較

これまで不動産投資の基本的な部分やリターン、利回りから見たリスクなどについてご紹介させて頂きました。不動産投資についてしっかりと理解出来たところで、不動産投資と他の投資法を比較していきたいと思います。

今回は「株式投資」「投資信託」「FX」「債権」で、リターン・リスクなどの観点から不動産投資と比較していきます。

株式投資

まず、はじめに不動産投資と比較したいのは「株式投資」です。一般的な個人投資家が行う株式投資とは、株式市場に上場している企業の株式を売買・保有する事で、売却益や配当金から利益を出していく投資対象の事です。

株式投資のリターン・リスクを不動産投資と比較した時に、不動産投資の方がリスク・リターンとも「安定的」であり、株式投資の方がリターン・リスクとも高いと言えます。

理由はいくつかありますが、株式市場は不動産市場以上に経済的な事案に影響されやすく、経済的な事案が起こった際に両者とも「価格が上下する」という共通点はありますが、株式市場の方が敏感に影響を受けやすいと言えます。

つまり、株式市場は不動産市場と比べた時に、価格の変動が起きやすいのです。そのため、リスクが高いと言えますが、同時にリターンも大きくなりがちです。また、リターンが出るまでの期間という点に関しても、大きな違いがあると言えるでしょう。

一般的に、不動産投資では不動産を購入、数年~数十年運用した上で売却する事で利益を確定させる事が可能です。一方で、株式投資は、細かく売買する短期投資を行う事で数分~数時間という期間でも、売却益を確定させる事が可能なのです。

短期投資とは?

株式投資・FXなどで用いられる投資法の事です。
スキャルピングトレード(数分~数十分)、デイトレード(その日の内にポジション決済)などが手法として挙げられ、短い時間でポジションを決済する事が特徴として挙げられます。

このような点を考えると、株式投資は短期・長期投資のどちらも行う事が可能で、投資スタイルの自由性という観点では不動産投資よりも高いと言えます。

  • リスク・リターンとも株式投資の方が大きい
  • 不動産投資の方が安定的
  • 株式投資は投資スタイルを自分好みに組み立てやすい

投資信託

次に不動産投資と投資信託を比較していきたいと思います。投資信託について一言でまとめてしまうと、お金のプロに運用を任せる事です。投資信託を購入するとその資金は「投資のプロ(運用会社)」と言われる人達に渡ります。

お金を託された運用会社は、投資信託を販売する事で集められた資金を運用する事で、利益を出していきます。そして、その投資信託で利益が出た場合にその利益を投資信託を購入してくれた人に還元する(配当)のが、投資信託の仕組みです。また、投資信託は市場に売り出す事が可能なので、売却益を得る事も可能な投資対象です。

様々な投資信託が市場に売り出されていますが、その種類は「為替」「株式」「不動産」など投資対象によって、分類されているケースが多く不動産に投資対象を絞っている投資信託に「REIT」があります。REITとは不動産のみに投資対象を絞った投資信託の事で、不動産投資とよく比較される事も多いです。

REITと不動産投資を比較した際に、リスクは不動産投資の方が高く、リターンはどちらとも言えないという結論に至ると思います。

REITにも沢山の銘柄が存在するのでなんとも言えない所ですが、REITは投資のプロが運用している投資信託であり、初心者が不動産を運用するよりもリスクは低いと言えます。ただ、リターンに関しては「手元に多くお金が残るのは不動産投資」「パーセンテージから見た時にリターンが大きいのがREIT」だと言えると思います。

というのも、不動産投資は利回りが高くても「5%~10%」程度に収まる事が一般的です。一方で、REITは「4%」程度が平均的な利回りですが、市場で売り買いされるため「20%~40%」の価格変動が起こる事があり、キャピタルゲインで大きな利回りを期待出来る投資対象です。

そのため、パーセンテージのみの観点から見た時に、REITのほうがリターンが高いと言えるのです。しかし、不動産投資に関しては「融資」を受けることで、レバレッジを掛ける事が可能です。そのため、同じ自己資金をREIT・不動産投資に投資した時に、最後に手元に残るお金は「不動産投資の方が大きい」と言えるです。

もちろん、資金力が豊富でREITに関しても大きな資金を投資出来る方は、この限りではありません。ただ、一般的なサラリーマンが投資をする場合はレバレッジを掛ける事が可能な不動産投資の方が、大きな資金が手元に残る可能性が高いでしょう。

  • 利回りはREITの方が高い、リスクは不動産投資の方が高い
  • 手元に残るのは不動産投資の方が大きい

FX

最後に、不動産投資と比較していきたい投資法は「FX」です。FXとは証拠金取引の事であり、主に為替取引をレバレッジを用いて行う事を指しています。一部では、FXは投資ではなく投機という意見もありますが、人によって投機・投資の見解は曖昧であり、投資法として紹介される事が少なくないため不動産投資と比較していきます。

FXと不動産投資を比較した時に、リスク・リターンともにFXの方が高いと言えるでしょう。FXでは、国内FX業者だと「25倍(国内規制があるため)」、海外取引所だと「数百倍」というレバレッジを掛ける事が可能です。不動産投資では、融資を受ける事でレバレッジを掛ける事が可能ですが、最低でも「自己資金1割」が必要になってきます。

レバレッジを掛けると「リターン」が大きくなる反面、「リスク」も上昇する事が一般的だと言えるでしょう。そのため、FXは不動産投資よりもリスク・リターンとも高い投資法だと言えます。

不動産投資とFXの両者の違いは、リスク・リターンのみではありません。リターンの出し方も大きく異なります。不動産投資では主に家賃を中心とした「インカムゲイン」が大きな収益を占めます。一方で、FXは通貨の価値の変動による「キャピタルゲイン」が大きな収益を占めます。

そもそも利益の出し方・投資の特性が大きく異なるため、不動産投資を検討している方が代わりにFXを用いるというような用途は、期待出来ないと言えます。

  • リスク・リターンともFXの方が高い
  • そもそも全く別の投資法

まとめ

不動産投資はどのようにして儲かるのか

  • 不動産投資は融資を受けることが一般的
  • 不動産投資の利益の出し方は家賃収入がそのほとんどを占める

不動産投資はどのくらい儲かるのか?

  • 表面利回りと実質利回りをしっかりと押さえる
  • 平均的な利回りは3%~10%程度

他の投資法と比較

  • 株式投資の方が自由度が高い
  • 投資信託の方が利回りは大きいが、手元に大きなお金が残るのは不動産投資
  • FXの方がリスク・リターンとも大きい

今回は不動産投資の利益の出し方などについて触れていき、他の投資法と比較していきました。どんな投資法にも強みや弱みなどの特徴があり、不動産投資以外にも様々な投資法があります。

その中で、不動産投資は比較的安定しており魅力的な投資対象です。もしも、そんな不動産投資を検討しているなら以下の記事もチェックしてみてください!

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