自己破産したらどうなる?生活や仕事・戸籍や借金返済額への影響は?

銀行や消費者金融で借りたお金がどうしても返せない、あるいは、完済するまでには10年以上の時間がかかってしまう…というような場合、最終的には自己破産という形で借金を免除してもらうことも検討しなくてはなりません。

この記事では、自己破産という選択をした場合に、どのような不利益が生じる可能性があるのかについて説明します。

クレジットカードの利用や携帯電話の買い換えといった生活上のことから、職場の人にばれてしまうのか、戸籍に自己破産した記録が記載されてしまうのかとったことまで説明しますので、自己破産をすることを検討している方はぜひ参考にしてみてくださいね。

1.自己破産したらどうなる?影響が出ること一覧

自己破産をした場合に、具体的に影響が出る可能性があることとしては、次のようなものがあります。

自己破産をした場合に影響が出ること一覧

  • 借金は原則としてすべて免除されます(税金や社会保険料の未納分などは除きます)
  • ブラックリストに10年間登録されます(その期間中は新しくクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることができなくなります)
  • 自分の名義で所有しているマイホームや、下取りで値段が付く自動車については売却して代金を債権者に引き渡さなくてはなりません。
  • 同居している家族などには自己破産手続きを開始したことはばれてしまう可能性が高いです。
  • 自己破産の手続き中には、就くことができない職業があります(手続きが完了したら就業することに問題ありません)
  • 自己破産手続きをした場合、その後7年間は再度自己破産することはできなくなります

自己破産を行うと原則としてすべての借金が免除されますので、非常に大きなメリットがあるといえます。

一方で、ブラックリストへの登録など、デメリットになってしまうこともあるので注意しなくてはなりません。

以下では、それぞれの項目についてくわしく説明しますので、参考にしてみてください。

2.自己破産したら借金はどうなる?

裁判所で自己破産手続きを認めてもらい、最終的に「免責決定」という命令を出したもらった時点で、あなたの借金はすべて免除してもらうことが可能になります。

免除というのは簡単にいえば「チャラになる=0円にしてもらえる」ということですね。

「そんなうまい話はがあるの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、自己破産は法律で決められたルールですので、合法的に借金の免除を認めてもらうことが可能なのです。

ただし、税金や社会保険料の未納分については、自己破産手続きが完了した後も返済義務を免れることができませんので、注意しておかなくてはなりません。

自己破産によっても免責を受けることができないものを「非免責債権」と呼びますが、具体的には次のようなものがあります。

自己破産によっても免責されない「非免責債権」

  • 税金や社会保険料の未納分
  • 刑事罰による罰金
  • 損害賠償の債務
  • 夫婦間の扶養義務に基づく債務
  • 子供の養育費
  • 雇用していた従業員のお給料未払い分
  • 自己破産手続きで裁判所に報告しなかった債務

自己破産が認められないこともある

自己破産はすべての人が行うことができる手続きですが、借金を作ってしまった原因によっては裁判所が自己破産による免責を認めない場合があります。

こうしたケースを「免責不許可事由」と呼び、具体的には次のような場合が該当します。

自己破産による免責が認められない「免責不許可事由」

  • 所有財産を隠したような場合
  • クレジットカードショッピング枠の現金化を行っている場合
  • 一部の債権者にのみたくさん返済をしたような場合
  • 浪費やギャンブル・株式投資などによって借金を負った場合
  • 借入時にうそをついていたような場合
  • 裁判所が手続きを行うことを妨害したような場合
  • 過去7年以内に自己破産による免責を受けている場合

これらの条件に該当する場合は、自己破産の手続きを裁判所に申し立てても、結果として免責決定を出してもらえない可能性があります。

もっとも、自己破産は「借金を負ってしまった人を支援する」という目的のもとに運用されていますから、裁判所はこれらの状況についてかなりゆるやかにルールを適用しています。

現実にはギャンブルによって負ってしまった借金であったとしても、裁判官が過去の行為への反省状況などを見ながら自己破産による免責を認めてくれるケースが実は少なくないのです。

このように、「法律のルールをきびしく解釈すると本来は免責が認められないけれど、裁判官が具体的な状況を見ながら免責を認めるケース」のことを裁量免責と呼んでいます。

実際の自己破産手続きの現場では、この裁量免責によって免責決定が出されるケースは非常によくあることといえますから、「自分は免責不許可事由に該当するかも…」と不安がある方もあきらめることなく自己破産手続きを行うことを検討してみてください

3.自己破産したら家族や同居人との生活はどうなる?

自己破産の手続きを行う上では、あなたの収入や生活費の状況について、具体的に裁判所に報告する義務があります。

その際、一緒に生活している家族や同棲している人がいるような場合には、その人が生活費としてどのぐらの金額を負担しているのかといったことまで具体的に報告しなくてはならないケースが多いです。

具体的には、同居人が勤務先から受け取っている源泉徴収票などの書類や、同居人名義の銀行通帳のコピーなどの提出が必要になります。

そのため、一緒に住んでいる人がいる場合には、その人にはあなたが自己破産手続きを行おうとしていることはばれてしまうのが実際のところでしょう。

自己破産したらマイホームからは立ち退く必要がある

また、あなたが自己破産をした場合には、あなたの名義になっている(つまりあなたが所有者になっている)マイホームなどの資産については、競売にかけられて売却代金を債権者側に引き渡さなくてはなりません。

競売にかけられて所有権を失ってしまったマイホームからは、当然立ち退かざるを得ませんから、一緒に生活している家族にも大きな影響を与えることになります。

自己破産をした後には、後で見るように新たにローンを組んだりするととも難しくなりますから、同居している家族とはよく相談して、自己破産後の生活についてもよく話し合っておくのが適切といえるでしょう。

4.自己破産したら仕事への影響はどうなる?

自己破産をした場合の仕事への影響についても確認しておきましょう。

まず、次のような職業については、自己破産の手続きを行っている期間中は就業することができません。

自己破産手続き中に就業することができない職業

  • 弁護士や司法書士、税理士や宅地建物取引士などの一定の士業
  • 公証人や教育委員会委員などの一定の公務員
  • 労働者派遣業や商工会議所・金融商品取引業の役員
  • 生命保険募集人や建築業者、廃棄物処理業者や質屋営業者など

これらの職業は公益性が高く、借金を返せなくなることで裁判所での債権者との交渉を行っている状態の人が就くことは適切ではないという判断から、法律で就業禁止のルールが設けられているのです。

もっとも、これらの職業制限はあくまでも「自己破産手続きを行っている期間」にだけ適用されるものですから、自己破産手続きが完了した後には制限はなくなります。

具体的には、自己破産手続きを裁判所に対して申し立て、最終的に裁判所が免責決定を出した時点で職業制限はなくなり、問題なく上記の職業に就くことが可能になるのです。

自己破産したことが職場に知られることはある?

上記のような法律上の職業制限の他に、実際問題として、職場で自分が自己破産を行おうとしていることを知られてしまうことを絶対に避けたいと考えている方は少なくないでしょう。

結論から言うと、職場にあなたに自己破産手続きを行っていることを知られる可能性は非常に低いといえます。

自己破産の手続きでは裁判所から各種の書類をやりとりすることになりますが、自分で手続きを行う場合にはあなたの住所地、弁護士などの専門家に手続きを依頼した場合には専門家に対して書類の送付が行われます。

職場に対して裁判所から質問がいくようなケースは考えにくいので、職場の人に直接的にばれてしまう可能性は非常に低いといえます。

裁判所には職場が発行する源泉徴収票を提出する必要がある

一方で、裁判所に対して自己破産の申し立てを行う際には、職場に発行してもらう必要がある源泉徴収票を提出しなくてはなりません。

源泉徴収票は1年に1回、給与明細などと一緒に職場から交付されるものですからきちんと保管している場合には問題ありませんが、紛失してしまっているような場合には職場に再発行してもらう必要があるでしょう。

なので、再発行を依頼する際に不審に思われてしまうケースはひょっとしたらあるかもしれませんね。

もっとも、源泉徴収票はクレジットカードを発行するときなどにも必要になるケースがありますから、源泉徴収票の再発行を依頼したからと言って、ただちに「この人は自己破産をしようとしている」というように判断される可能性は低いです。

結論的には、自己破産しようとしていることを職場に知られる可能性は非常に低いということが言えるでしょう。

5.自己破産したら戸籍の記載はどうなる?

自己破産をして免責を受けたことがあるという情報は、あなたの戸籍情報に記載されることはいっさいありません。

戸籍情報というのは市役所などの行政機関が管理している個人情報ですが、裁判所は司法機関と言って行政機関とはまったく別の管理機構のもとにで動いている組織です。

なので、自己破産により免責を受けたという情報は戸籍の管理をしている行政と共有されるということはありません。

ただし、次で見る「官報」への情報掲載は裁判所の命令によって政府が行うものですので、例外的にあなたの情報が一般に対して公表されることになります。

官報にはどのような内容が記載される?

官報というものに聞き覚えがあるという方は非常に少数派であるとは思いますが、ごく簡単にいうと、官報とは政府が発行している新聞のようなものです。

官報には、自己破産手続きを開始することになった人の氏名と住所、手続きを開始する期間などが記載されることになります。

あなたが裁判所での自己破産の手続きを認めてもらった時点で、裁判所は「この人は自己破産の手続きを開始したので、債権者の方は申し出てください」という形であなたの情報を一般に開示する必要があるためです。

裁判所が官報にあなたの情報を掲載するタイミングは大きく分けて2回あり、1つ目は自己破産手続き開始の決定が出た時点、もう1つは自己破産による免責決定が出された時点です。

官報掲載の内容が身内にばれる可能性は?

もっとも、官報には毎日非常にたくさんの人の情報が掲載されるのに加えて、一般の人は官報なんてみたことがないという人がほぼすべてです。

なので、官報に掲載されている情報からあなたが自己破産を行おうとしていることを知られてしまうという可能性は限りなくゼロに近いといえます。

ただし、官報に記載された情報は半永久的に保存され、だれでも手数料を支払えば後から閲覧することが可能ですから、あなたが自己破産手続きをいつごろ行ったのかといったことについてなんとなく知っている人が、後から官報を閲覧して正確な情報を知るという可能性はあるでしょう。

また、不動産売買の仲介をしている業者の人などは、不動産競売の物件の情報を知るために日常的に官報をチェックするということがありますから、身内に不動産仲介業を営んでいる人がいる方は注意が必要かも知れません。

6.自己破産したらクレジットカードやキャッシングはどうなる?

あなたが自己破産を行うことは、あなたにお金を貸した人の立場からすると、「貸したお金が返ってこなくなる」ということを意味します。

言うまでもなく、「借りたお金は期限までに利息を付けて返す」というのが原則的なお金の貸し借りのルールですから、自己破産によって返済義務を免除してもらうことは、例外的な扱いということになります。

なので、お金を貸す側(消費者金融や銀行などの金融機関)としては、過去にお金を返さなかった履歴がある人に対して、新たにお金を貸すことは非常に大きなリスクがある行為ということになります。

金融機関としては、こうしたリスクを避けるために「ブラックリスト」という情報を金融機関同士で共有しています。

具体的には信用情報機関という情報ネットワークによって、過去に自己破産などの債務整理を行った人の情報を共有しており、これらに該当する情報がある場合には、新しくローンやクレジットカードの発行を行わないという措置をとっているのです。

自己破産した場合のブラックリスト登録期間

上記のブラックリストに登録されている期間は、どの債務整理手続きを選択したかによって異なります。

任意整理や個人再生の形で債務整理を行った場合には5年間、自己破産を行った場合には10年間にわたってブラックリスト登録されることになります。

自己破産は借金の全額免除という大きなメリットがある一方で、ブラックリスト登録期間は非常に長くなっていることに注意が必要です。

携帯電話について

自己破産によって借金の免責を受けると、携帯電話を購入することが難しくなるという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

これは携帯電話本体の購入代金を分割で購入するケースによくみられる状況です。

スマートフォンなどの機種代金が高額になる場合には、本体代金を分割で毎月の携帯電話料金に加算して支払うという契約内容になっていることが多いのですが、自己破産によってブラックリストに登録されている方の場合には、このような分割払いができない可能性があります。

もっとも、機種代金を新規契約時に一括で支払うような場合にはこのような不利益を受けることは考えにくいですから、自己破産手続きを行った後にも携帯電話を持つことに大きな問題はないといえるでしょう。

7.まとめ

今回は、自己破産という選択をした場合に、生活をしていくうえで具体的にどのような不利益が生じる可能性があるのかについて説明しました。

本文でも説明したように、自己破産をすると少なくとも10年間は新たにローンを組めくなったり、マイホームなどの所有資産は処分しなくてはならなかったりといった不利益が生じます。

一方で、戸籍に自己破産の情報が載ることはありませんし、適切に手続きを行えば職場の人に自己破産をしたことを知られてしまうということは避けることが可能です。

自己破産は借金を返せなくなってしまった方が再スタート切ることを支援するための手続きですから、裁判所もできる限りあなたに不利益が無いように配慮をしてくれます。

現在、自己破産を行うことを検討している方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

吉田ライター
吉田ライター
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