上昇?下落?市場の変動が激しい時に1つは持っておきたい株

株式市場が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかを読むことは、株を選ぶ上で必要不可欠な要素となります。

日経平均株価は、全体の市場の流れを見極める1つの指標となっていますが、その時の状況によって非常に変動の激しい時もあり、多くの投資家達は読みを裏切られ、市場に振り回されてしまうことも多々あります。

特に2018年、6月以降の株式市場は貿易摩擦を引き金に、数々の事情も折り重なり、激しい上昇と下降を繰り返し先が読めない状況にあります。

そんな中、株式の初心者の多くは身動きがとれない状態でどうすべきか悩んでいる人も多いことでしょう。そこで、今回は株式市場の変動が激しい時に、安全株として持っておきたい株はどんな株なのかを解説していきたいと思います。

最近の株価

株式だけに限らず、市場で取引される金融商品は上昇するか、下降するかのどちらか1つです。日々の国内外のあらゆる情報を集めながら、明日はどうなるのかと動きを読みながら売買をすすめていくわけですが、時に市場は全く先が読めない不安定な動きを見せることもあります。

株式市場の動きは日経平均株価によって大まかに見ることができます。

日経平均株価とは日経新聞によって全業種の約2,000社の中から選ばれた、日本を代表する225銘柄(企業)の平均株価となります。国内の経済指標となる非常に重要な平均値として認識されているものです。

そこで、最近の株式市場の動きを改めて認識していくために、日経平均株価の最近の動きを見てたいと思います。

日経平均株価の動き

まずは大きな流れを見るために、1年間の株価を確認しておきましょう。

出典:日経新聞 日経平均株価チャート(1年)

昨年の8月辺りに、19,000円代を推移し約5か月間は上昇基調をキープしています。ちょうど、アルミ・鉄鉱関連の関税問題がアメリカから発された2018年1月、2月を起点に約2カ月間は下降基調となっています。

この辺りから、上昇と下落のサイクルが非常に短期間で展開され始めていくのが、ロウソクの長さから見てもわかるかと思います。

1月22日~2月5日までに、

高値24,120円→安値21,380円へと約2週間で3,000円近く下がっているのです。その翌日には、今度は急上昇をはじめており、

2月13日~2月19日の間に、

安値21,154円→高値22,149円といった具合で、たったの5日間で1,000円も上昇しています。さらに翌週は今度は800円近く下落。そして、急上昇、急落、急上昇、急落と繰り返していくのです。

今振り返ると、米の長期金利上昇や原油価格の高騰懸念などに影響を受けながらも、米中の関税問題、貿易摩擦を柱とする諸事情に一喜一憂しているさまが手にとるようにわかります。

変動が激しい8月の株式市場

では、ここ2、3か月の日経平均株価の動きを見てみましょう。

出典:日経新聞 日経平均株価チャート(3か月)

6月にに入ってからは、株価の動きは激しさを増し、激しい上昇を下落を繰り返しており、急落したかと思えば翌日に急上昇、上昇気流に入ったかと思えば今度はまた急落、といった具合に翌日に300、400と値が動いてしまうことが当たり前とすらいえる状態にあるのです。

このような状態では、次に狙う株もいったいどの方向で選んでいけばいいのか、行き詰まってしまったとしても仕方ありません。なぜなら、日経平均が上昇基調にある時と、下降基調にある時では選ぶ業種が全く異なってしまうからです。

円高円安と日経平均について

Woman
どうして、日経平均株価が上昇基調の時と、下降基調の時では選ぶ業種が違うの?
Expert
株式市場の大まかな流れは、円高円安に大きく左右されてしまいます。基本的に円安=上昇基調の時は円安に強い株を選びます。円高=下降基調となってしまった場合は逆に円高に強い株を選ばなければなりません。

 

 

 

 

 

 

円安に強い株とは輸出をメインとしている自動車などの製造業です。

円高に強い株とは輸入をしたり国内での事業をメインとしている業種になります。

※産業別輸入額の推移

出典:JFTC 財務省統計データによるグラフ 参考URL

日本は国内で入手できる資源が少ないために、多くの生産物を他国から輸入しています。

そして、それを上回る量の輸出をしなければ貿易赤字となってしまい、国内の財政のバランスがとれなくなってしまいます。年度によっては、輸入額が輸出額を超える時もありますが、自動車や電気機器等の製造業による輸出額によって、ほぼバランスの取れている状態を保っているのです。

※産業別輸出額の推移

出典:JFTC 財務省統計データによるグラフ 参考URL

財務省の統計によると、2017年度の輸出額は78.3兆円となり、輸入額の75.3兆円を上回る結果となりました。その輸出を行う企業の多くが、国内の総生産額をリードする自動車業や化学製品、電子部品などの製造業であり日経225をリードする株でもあるわけです。

輸出額は為替レートによって円安の時には増加し、円高の時には減少してしまう傾向にあるので、円安時には輸出企業の株が値上がりするというしくみになっています。

それが日経平均株価や、株式市場全体の動きに影響を与えてしまうのです。

では、もっと詳しく円高円安と株価について詳しく説明していきたいと思います。

上昇傾向と円安

円安になると輸出額が増加する→輸出をする企業の株が上昇する→日経平均株価が上がる→株式市場が全体的に上昇傾向になる

円安→1ドルを買うのにたくさんの円が必要

円高→1ドルを買うのに少ない円で済む

※円高・円安についてもっと詳しく知りたい人は同サイト内の円高・円安を取り扱った記事を参考にしてみて下さい。

リンク:外貨預金を始めるなら~

リンク:外貨預金入門

というのも、

海外での取引はアメリカドルで取引されることが多くなります。ある商品をドルで売って、1,000ドルの利益があがり、その時の為替レートが1ドル=110円だとします。そうすると、利益は日本円で11万円になりますが、もし為替レートが円高で90円だったとしたら、利益は9万円に下がってしまいます。

円安の時にはこのように市場では為替差益による期待が大きくなり、輸出に強い株が上昇する傾向にあるのです。

これが、もっと大きな金額になればなるほど、その差額も巨大な数字となってしまいます。さらに円よりドルが高いことで、ドルでの購入を促進することになり、海外での利益の上昇につながるわけです。

日経225が上昇することで、市場は輸出企業に対する期待、言い換えれば日本経済に対する自信が強くなり市場が活気づいてきます。市場は様々な要素に左右されますので、必ずしもそうだとは言えない部分もありますが、比較的そのような流れとなることが多くなります。

全体的に期待と自信に溢れた取引となり、日経平均株価の銘柄やその他の輸出株以外の株も上昇傾向に向かいやすいということができます。

どんな株が強い?

では、輸出株のことは外需株とも呼ばれていますが、円安で上昇傾向の時には具体的にどのような業種、どのような企業に買いが集まるのかをいくつか挙げてみましょう。

輸送用機器関連株

日経225に属する、自動車、航空機、船舶、建機などの輸送用機器関連企業や、それに関連する部品、素材、タイヤなどの株

トヨタ自動車(7203)、ホンダ(7267)、スズキ(7269)、デンソー(6902)、コマツ(6303)、三菱重工(7011)、三井E&S(7003)、クボタ(6326)、ミネベア(6479)、アドテスト(6857)、東レ(3402)、浜ゴム(5101)など・・・

電機・EV・電池関連株

日経225に属する電子部品、Ev関連、電池関連などの株

日立(6501)、三菱電機(6503)、NEC(6701)、パナソニック(6752)、ソニー(6758)、横川電機(6841)、アルプス電気(6770)、キャノン(7751)、昭和電工(4004)、住友電気工業(5802)、東海カーボン(5301)など・・・

化学・精密機器関連株

日経225に属する化学成分、化学繊維、化学素材などの株

クラレ(3405)、三菱ケミHD(4188)、宇部興産(4208)、富士フィルム(4901)、コニカミノルタ(4902)、ニコン(7731)、帝人(3401)など・・・

その他

鉄鋼、非鉄金属、商社、金融、日経225以外の輸出関連株など

日軽金HD(5703)、JFE(5411)、SUMCO(3436)、洋缶HD(5901)、住友商事(8053)、東京製鉄(5423)、エスケーエレクトロ二クス(6677)、GCA(2174)など・・・

といった感じで、円高傾向に向かった時には、その時の状況に応じて(例えば、今はEV関連が注目されているとか、半導体がちょっと軟化しているとか)、選ぶ業種や企業が違ってきます。

下落傾向と円高

これまで述べたように、円安に向かってこそ上述した企業の価値は高くなっていくのですが、逆に円高に向かっていくと(例外ももちろんあります)、円高によって業績が悪化してしまうことが懸念され始めてしまいます

輸出株の業績懸念から、日本経済に対する不安が高まってしまい、市場は売りが主流となり日経平均株価は下がってしまのです。

円が高くなることで、その企業の製品やサービスの売れ行きの停滞、為替差益による大きな損失が主な原因となります。

全体的に多数の株が下落傾向となり、そんな中、少数派ではありますが上昇を見せるのが内需株です。内需株というのは、企業の経営体制が主に国内を中心に展開しているもののことをいいます。

ガスや電気・水道、食料品、衣類、医療、物流、通信関連などの生活に欠かせない商品やサービスを取り扱う企業などです。また、輸入製品を取り扱う小売り業、不動産、EC関連、ソフトウェア関連、エンターテイメント、ローカル系の企業なども強くなります。

円安時に比べると上昇する株は、数段、少なくなってしまいますが、それでも200円、300円と日経平均が下がっていく中、200円、300円と上昇を続ける株も見られます。

投資家たちの多くが、これから円安に向かうなと判断した場合に円高時に購入していた株を売却して、こういった内需株へと注意が向かいます。

どんな株が強い?

株式市場が下降している時には、様子見待ちの投資家の数も増え、売買は消極的なものとなってしまいます。比較的に出来高数の低いものや、マザーズ、ジャスダックなどに一気に人が集中して普段動かない株が急上昇を始めることもあります。

マザーズ、ジャスダックとは何?

企業の総資産や利益率、自己資本比率など様々な観点から優秀と判断されるのが、東証1部です。東証1部、東証2部、ジャスダック、マザーズの順に企業のランクは下がっていきます。新興企業という呼ばれ方をすることもあります。

では、代表的な内需株から、少しマイナーな内需株までいくつか挙げてみたいと思います。

生活必需関連株

東京電力(9501)、大王製紙(3880)、小田急電鉄(9007)、NTTドコモ(9437)、エディオン(2730)、日本水産(1332)、マルハニチロ(1333)、マーケットエンタープライス(3135)、ユニマットリタイアメント゚(9707)、大研医器(7775)など・・・

ソフトウェア、ネット関連関連株

NTTディメンション(3850)、ベクトル(6058)、アルチザネットワーク(6778)、メディカルネット(3645)、フリービット(3843)、インタートレード(3747)など・・・

エンターテイメント関連株

タカラトミー(7867)、USENNEXT(9418)、デジタルハーツ(3676)、任天堂(7974)、ワタベウエディング(4696)など・・・

その他

北朝鮮問題など、国家間の防衛上の問題に不安要素が出た時などは、防衛機器やサイバーセキュリティー関係が強くなったりします。

日本製鋼所(5631)、古野電機(6814)、セキュアベイル(3042)、エンカレッジ(3682)など・・・

とちらに動くか読めない時

このように、株式は円安円高の動きに合わせて、先を読みながら所有する株を決めていくわけですが、ここ最近はおそらく初心者でなくともかなり厳しい状況の中にいる人は多いだろうと思われます。

先述のように、これまでは円安と自動車、電気機器関連の株は本来は固い連動性を保っていました。まずここから、最近の株式市場では尋常ではない動きを見せています。

7月には120円(1ドルに対して)近くまで円安が進む局面もありました。それに、現在でも110円といえばまだ、円高と呼べる価格でもあります。しかし現実は、先頭をきって活躍すべく自動車、電機関連はほんの1部の企業をのぞき業績の良し悪しにかかわらず動きが実に冴えません。

これというのも、すべて米中の貿易戦争がどこまでも長引いているからです。

日米の関税問題は当事者だけでなく、日本の自動車やそれに関わる電子部品関連の立場をすら不透明なものへと変えてしまっています。

中国という大規模な市場を活かしきれず、アメリカでも電機関連や自動車は伸び悩んでいる状態にあります。通貨と株価の関係を考えるとこれは正常な状態ではありません。世界経済は今、病んできているのです。

世界中の投資家たちの心の中では、この貿易戦争はもう終わるだろうという期待、まさか本当に突入していくつもりなのかといった驚愕が交差し、株価は上に下に激しく揺り動かされる状態を続けています。

そして、今度はトルコリラの暴落でまた世界経済は襲撃を受けたばかりです。

急落した!?急上昇した!?

そして次は・・・?

両方の要素を考える

このように期待と恐怖ともいえる不安が漂う株式市場では、「よし!」と円高に備えても翌日に300円も400円も日経平均に下がられてしまい、身動きができなくなってしまいます。

かといって、円安に構えてもまた円が「ぼん」と上がってしまう可能性を考慮しておかねばなりません。翌日に株価が跳ね上がるのを何度も見てきているわけで、損切り1つにしても通常の倍以上の覚悟が必要です。

個人的には米中の貿易戦争も双方の満足がいくよう、解決していかざるを得ない時期はくると予想してはいますが、それにつけても、持っておきたいのが円安にも円高にも対応できる安心株の確保です。

変動時に強い株

円安にも円高にも対応できる株というのは、まさしく外需と内需(輸出と輸入)を備えた株のことです。そのように両面を備えた企業とは、どのような企業になるのでしょうか。

おすすめの安心株をいくつかご紹介しておきたいと思います。1つ持っておくとどちらに転んでも利益が出せる可能性があります。

ソニー(6758)

株価:6000円(2018/8/21)

出典:日経新聞

テレビやカメラ、電子部品などを基盤にしながらも、VR・ゲーム機器・ソフトウェア等へと展開しています。事業内容が非常に多岐に渡っていることから、内需としても外需としても対応できる株であります。

 

インターアクション(7725)

株価:1,515円(2018/8/21)

出典:日経新聞

こちらの企業はソニーと密接な関係にあり、ゲーム関連が伸びる市場にも強く、同時に車載用にも対応できる柔軟性のある株です。

昭和飛行機(7404)

株価:1,190円(2018/8/21)

出典:日経新聞

防衛関連、航空機などの製造を行いながら、ホテル・不動産・ハーレーダビッドソンの代理店業務も行っていることで幅広く市場の動きに対応することができます。

その他の株

  • 飯野海運(9119)海運事業と不動産・飲食業
  • 日機装(6376)精密機械と医療機器
  • CRIミドルウェア(3698)ゲーム・車載・医療用の映像関連
  • ワイエイシイHD(6298)電子部品とクリーニング業
  • A&D(7745)医療機器と電子部品

など・・・

まとめ

株式市場が上昇基調にある時は強気で輸出関連で利益を狙い、下降基調にある時は内需株で身を守りながら損失を最小限に抑えていくことが理想ではあります。

とはいえ、現在の状況のように予想通りに市場が展開しないことも、念頭にいれておかなければなりません。

かといって、その時々の市場の動きに対応できる銘柄をいくつも選ぶには手持ちの資金にも限界があります。限られた資金を効率よく運用するためにも、外需と内需を併せ持つ株の存在は大きいといえます。

何とかこの、異常ともいえる株価の激しい変動期を乗り越えていきたいものです。

まだまだ先が見えない状況が続くかと思われる中、この機会に円安にも円高にも対応できる株を1つ探しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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