世界を代表する会社になれるか?メルカリの将来性について

2018年上半期再注目のIPO「メルカリ」

メルカリ

2018年6月19日に、フリマスマートフォンアプリ「メルカリ」を運営するメルカリが東証マザーズ市場に上場しました。2018年度最も注目されていた上場案件で、公開価格の3,000円66.66%超える5,000円で初値を付けました。

2018年8月31日終値時点で時価総額が5,186億円と、東証マザーズ市場では2位のMTGの時価総額2,635億円を2倍近く離しダントツトップです。

世界的に「創業10年以内」で「時価総額が10億ドル以上(1,000億円以上)」に該当する企業で、未上場かつテクノロジー企業のことを「ユニコーン企業」と呼ばれています。メルカリは日本で初めてユニコーン企業として上場を果たしました。

最早社会現象となっているメルカリは何がすごいのでしょうか。今回はメルカリの概要と事業モデル、そして今後の展開について見ていき、株式投資を行う上でメルカリは魅力的なのか見ていきます。

メルカリの概要

まずメルカリの概要について見ていきます。

設立 2013年2月1日

資本金 69,586百万円(資本準備金含む)[2018年6月19日時点]

事業内容 フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用

代表者 山田進太郎

所在地 〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー

関連会社 ソウゾウ メルペイ Mercari, Inc. Mercari Europe Ltd

引用:メルカリHP(https://about.mercari.com/about/)

メルカリは2013年に創業し、2018年で創業6年目の非常に若い企業です。

山田進太郎会長

創業者は現代表取締役会長兼CEOの山田進太郎氏です。山田会長は1977年に愛知県で生まれ、2018年で41歳になる若手経営者です。早稲田大学在学中に当時駆け出し中の楽天のインターンし、楽天オークションの立ち上げに参加しました。

大学卒業後、起業を決意し「ウノウ」を創業しました。インターネットを活用したサイト運営やソーシャルゲーム開発を行い成長を続けていた2010年、米国のソーシャルゲーム会社「ジンガ」に株式譲渡しました。

2012年にジンガを退職後は世界一周を行い、その中で「世界中でつかわれるものをやりたい」という思いから、一般個人と個人をつなぐ「C2C」サービスをネット上で提供することを決意し、使わなくなったものを捨てるのではなく、必要としている人に譲る「シェアリングエコノミー」の考え方をもったフリマ市場をスマホで使えるようにしました。

それがメルカリです。

創業間もないメルカリですが、2018年3月末時点で連結ベースの従業員が1,014人と驚異の従業員数を抱えています。それもほぼ従業員からの紹介で入社した人ばかりであり、人材不足で嘆かれている大手企業を横目に急激に成長していきました。

豪華な経営陣の経歴

メルカリがすごい点は素晴らしい経営陣がそろっていることです。日本におけるIT業界のオールスターが集結しているともいわれています。

代表取締役会長兼CEO 山田進太郎

山田進太郎

前項で紹介しました創業者の山田氏です。現在は米国を拠点にアメリカ本土でのメルカリ事業を拡大するべく動いています。

取締役社長兼COO 小泉文明

小泉文明

1980年生まれ、山梨県出身。早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBC(現大和証券グループ本社)に入社し主にネット企業のIPOを担当していました。担当銘柄はミクシィやDeNA等。

2007年に過去に担当していたミクシィの取締役執行役員CFOとして活躍し、2013年12月にメルカリに参画、2017年4月に社長の座を山田氏から引き受けました。

自身でもスタートアップ企業に投資を行うなど、エンジェル投資家としても有名です。

取締役CPO 濱田優貴

濱田優貴

1983年生まれ、2004年から共同経営でインターネットサービス会社「サイブリッジ」を立ち上げ、取締役副社長として活躍していました。2014年からメルカリに参画し、現在プロダクトの責任者としてメルカリのサービス向上に努めています。

取締役CBO兼US CEO John Lagerling(ジョン・ラーゲリン)

John Lagerling

スウェーデン出身で、グーグルにてアンドロイド事業に携わり、その後フェイスブックでヴァイスプレジデントとして活躍していました。2017年6月に山田会長の誘いもありメルカリに参画しました。米国子会社のCEOも務めています。

実は学生時代は東大大学院に進学しており、社会人としての第一歩は日本のNTTドコモと異色の経歴を持っています。

共同創業者 石塚亮・富島寛

創業メンバー

山田氏がメルカリを創業する際、写真の2人を含めた3人で創業しています。

左側の石塚亮氏は、現在USメルカリの事業を任されています。SNS用アプリを開発していた「ロックユーアジア」を創業し、2013年からメルカリに参画しました。

右側の富島寛氏は共同で設立したスマホゲーム開発会社「バンク・オブ・イノベーション」で活躍し、山田氏とともにメルカリの創業を行いました。

メルカリにはその他業界においての有名人が多く取締役や執行役員として参画しており、まさにオールスター揃いの企業となっています。

メルカリのサービスラインナップ

メルカリのラインナップは大きく分けて2つです。

フリマスマホアプリ「メルカリ」

日本人で知らない人がいないほど急激に拡大したフリマアプリのメルカリは、日本と米国で2018年3月末時点で1億ダウンロードを突破する大ヒットアプリです。

アプリの構造は至ってシンプルに作られており、個人が出品した商品の写真がタイル上に並べられており、直観的にタッチの上購入することができます。

また商品の配送方法や決済方法も様々なスキームを使うことができ、ユーザーに使いやすい方法で手軽に利用できるというメリットがあります。

現状女性ユーザーの利用割合が高く、不要になった衣服を中心に取引されており、フリマの特徴である「値切り交渉」も行うことができるのが特徴です。そのためユーザー同士がネット上で交渉ができるプラットフォームが構築されています。

USメルカリ

現在米国と英国でメルカリサービスを展開しており、特に米国市場における市場拡大に努めています。

本・CD・DVD専用フリマアプリ「カウル」

カウル

中古で出回ることが多い本・CD・DVDに特化したフリマアプリ「カウル」の運営を行っています。

カウルでは、CDやDVDのバーコードをスマホで読み込むことで商品を特定でき、簡単に出品することができます。市場の相場についても表示されるため、適正な中古価格で売却できるという特徴があります。

新事業・メルペイ

メルカリがこれから強化を考えている事業の一つが電子決済サービス「メルペイ」です。日本では交通系ICのSuicaやPASMO、iDやQUICPay等の「接触型電子決済」が主流です。

しかし海外を見てみるとQRコードを活用した「非接触型電子決済」の伸びが強く、特に中国でつかわれているアリババ社傘下の「アリペイ」やテンセント社提供の「ウィーチャットペイ」の2大決済方法が爆発的に伸びています。

メルカリはこの金融サービスの変化に対して、CtoCマーケットで培ったデータや信用力を基に新たな電子決済サービスを提供しようとしています。

新規事業のメルペイをけん引するのは、上記写真で元グリーCFOの青柳直樹氏です。ドイツ証券会社で勤務後、創業間もないグリーに入社し、資金調達や株式上場をけん引した金融とIT業界の両面を知っている有名人です。

メルカリが金融事業を立ち上げるタイミングでメルカリに参画し、早速メルペイの代表に就任しました。2018年から従業員採用やモデル作りに拍車をかけていく予定です。

苦戦が続く米国事業。勝算は?

経営陣がスター揃いのメルカリですが、実際創業後より上場を迎えた2018年度まで一度も黒字化になっていません。優秀な人材を確保するための人件費や、TVCM等での広告宣伝費の増加、そして一番の悩みが米国メルカリの苦戦です。

2018年8月9日に上場後初の決算発表である、2018年6月期通期決算を発表しました。内容としては売上高357億円で前期比62.0%増となって一方、営業利益は44億円のマイナスでした。

マザーズ上場銘柄としては珍しくない業績ですが、8月9日の終値4,735円から翌日以降下落し、一時3,335円の上場来安値を更新してしまいました。

この要因の主である米国市場での成長は見込めるのでしょうか。

実は過去に日本企業は米国市場に挑んでは苦戦もしくは撤退するという苦い経験を味わっています。日本のお家芸であるトヨタやホンダ、日産は現地で工場を抱えているなどなくてはならない存在になっている一方、IT企業の米国市場進出においては全く持って成果が出ていません。

日本のEC企業トップの楽天は米国のネット通販会社Ebatesを買収したものの、苦戦を強いられています。その他メッセージアプリLINEも米国市場で上場を果たすものの、日本以外の市場では成果が出ておらず、米国ではFacebook傘下のWhatsAppに歯が立っていません。

しかし山田会長は米国市場への投資を拡大させています。この行動は企業体制に顕著にでています。2017年4月に山田会長は社長の座を小泉現社長に譲り、自身は会長兼CEOとしてグローバルな視点でメルカリをサポートするようにしました。

小泉社長に日本市場を任せ、自身は米国に渡り米国メルカリに集中するべく体制変更を行いました。そして米国市場への理解が深い、元フェイスブックでヴァイスプレジデントを務めたラーゲリン氏を米国子会社CEOにヘッドハントしました。

実際米国におけるメルカリアプリのダウンロード数は2018年3月時点で3,000万ダウンロードを超えており、決して注目度が低いわけではありません。実際米国には、欧米で力強さをもっているネットオークションサイトを運営する「eBay」の本社があり、シェアリングエコノミーの流れは十分にあります。

メルカリについてはCtoCに特化したマーケットづくりと、企業としての知名度の向上に努めていくことが求められています。現在は米国と英国でもメルカリの配信を初めており、シェア拡大が求められます。

ただし課題も多く残っています。実は欧米人は「無料」で使えるということに少々疑念を持つ傾向があるようです。eBayやAmazon、少々企業体は違いますがコストコなど、有料会員であるものに欧米人は信用を持つ傾向があります。

メルカリは日本も含めて完全無料で使えるビジネスモデルを取っているため、欧米人が初めて利用する際に「本当に大丈夫なのか?」と多くの方が疑問に思われたようです。実際に使ったユーザーからは「本当に無料だった」と好評を受けているため、よりユーザー数を伸ばすための努力が必要になります。

メルカリの今後の展望

日本では着実に拡大しているメルカリですが、上記の写真のように「何でも簡単に出品できる」という仕組みを悪用するケースが後を絶ちませんでした。違法とされている現金の売買や、現金がチャージされているICカードの売買等様々な問題が起きています。

しかしメルカリがすごい点はそのような状況があった場合に早急に対応し、再発防止のための方策を即時で打つ点です。優秀なエンジニアを多く抱えているため、いたちごっこになり兼ねないメルカリのプラットフォームを隙間を素早く抑えていくという点からも、数年後のメルカリサービスがより良いものになっていることを予感させます。

メルカリはその他、福岡県福岡市でレンタサイクル事業である「メルチャリ」を開始し、シェアリングエコノミー関連の事業を積極的に展開しています。レンタサイクルは自治体との連携が不可欠であり、現状いくつかの自治体との調整を行っています。

積極的に投資を行い現状赤字であるメルカリですが、実際日本事業においては数年前より黒字化しています。2016年6月期の国内事業のみ営業利益は31億円2017年6月期は36億円と大幅な黒字を叩き出しています。現状売上の9割以上を日本で稼いでいる状況ですので、売上高営業利益率は10%を迫る勢いです。

好調な国内事業があるからこそ海外事業に大きな力を削いで取り組むことができています。今後電子決済サービスのメルペイサービスが開始されていくことで益々企業拡大が見込めます。

メルカリ株についての魅力は?

メルカリ株

ここからはメルカリ株についての魅力について見ていきます。

メルカリは公募価格が3,000円に決まり、初値は約7割上昇の5,000円で寄り付きました。上場初日に一度ストップ高の6,000円を付けたもののそこから下落しています。

しばらく4,000円台半ばを推移していましたが、8月9日の決算発表に嫌気が出たのか大幅に下落し、2018年8月31日現在3,000円台後半を推移しています。

しかし証券会社のアナリストが見るメルカリへの期待は高いようです。2018年8月31日現在、7社よりアナリストレーティングが出ていますが、そのうち買い推奨をしている会社が6社で、内4社が強気買い推奨をしています。また目標株価の平均値が5,385円と、現状の株価を大きく上回った予想をだしています。(参考:みんかぶ(https://minkabu.jp/stock/4385/analyst_consensus

現在走っている2019年6月期の決算予想を未定としているメルカリですが、同社の事業展開を踏まえると致し方ない部分が多く、少なからず上場したことで積極展開が行えるようになったことを考えると、今期中の黒字の可能性も否めません。

実際日本におけるメルカリの影響度は計り知れず、若い女性を中心に不要になった服をメルカリに出品するという社会的現象が起こっています。メルカリは出品した商品の約10%を手数料として取るため、取引量が増えれば増えるほど手数料が入ってくることが容易に想像できます。

また購入後更に使わなくなった場合に再度メルカリに出品することで、商品が必要な人に渡るエコシステムが構築できるため、そのモデルを提供するメルカリにとっても手数料が落ちるというサイクルが生まれていきます。

上場会社が積極的な投資を行う場合、株主の意見を無視することはできずに踏み切れないというリスクがあります。しかしメルカリは積極的に投資を行う前提で上場しているため、安値で推移している現状のメルカリの株価は買いであるといえます。

まとめ

日本ではメルカリ以外のユニコーン企業は、他にAI開発に力を入れているベンチャー企業の「プリファード・ネットワークス」の1社のみです。世界を見てみると260社のユニコーン企業があると言われている中、1社というのは非常にさみしいものです。

それほどメルカリは世界でも太刀打ちできるビジネスモデルをもった企業であるといえます。四半期決算の開示が必要な株式市場においては、本来長期的な目線で投資を行ってほしい経営陣の思いとは裏腹に時にはマネーゲーム化していることもあります。

メルカリについては注目が高いため、少々決算の数字が出遅れているだけでも上下することが今後も予想されますが、現状の経営陣が描いている事業計画を踏まえると、アナリスト予想の5,000円半ばの目標株価を超え更なる上昇が見込めます。

日本の宝である元ユニコーン企業のメルカリを長期的に投資をすることは、日本の将来に投資を行うことと何ら変わりはありません。ぜひ投資対象として検討してもいいのではないでしょうか。

拓蔵
拓蔵
31 views

証券会社で勤務しながら金融系ライター活動を3年ほどしております。金融知識のみならず、相続、保険、不動産、仮想通貨、事業承継等幅広い知識を有しております。現在証券アナリスト資格取得を目指しています。その他FP2級を有しています。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。