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資産運用として、 債券の購入は比較的安全な投資方法だといわれています。 中でも、高金利の債券は魅力的な資産運用の1つでもあります。
定期預金や貯蓄預金などで確実に現金を確保しておくことも大切なことですが、すべての資産を眠らせておくのは非常にもったいない気がします。
金額の損失を恐れる気持ちは、それが投資の初心者でなくとも当然のことです。そこで、今回は余分な資金がいくらかでもある人のために、安心できる資産運用、債券投資について解説していきます。
さらに、安全性を重視した上である程度の利益も期待できる、高金利債券の投資方法も合わせてご紹介いたしますので、この機会に投資のきっかけを見つけて頂けたらと思います。
初心者の債券入門
債券とは、国内外の政府、公共団体、地方自治体、企業などが広範囲にわたって人々からまとまった資金を調達するために発行するチケットのようなものです。
資金調達するために発行するものとしては、株式も同様の目的を持っています。
ただ、株式と債券が大きく異なるのは、あらかじめ利率や満期日などが定めてあることです。債券を購入すると、定期的に利率分の利子(金利)を受け取ることができます。
そして、満期日になった時点で額面金額(チケットの金額)の償還金(現金)を受け取ることができるのです。
債券の種類
- 国債→国が発行する
- 地方債→地方自治体が発行する
- 社債→企業が発行する
- 外国債→海外で発行される国債、地方債、公共債、社債など
債券購入のポイント
◆額面価格◆
額面価格とはその債券の単位です。「5万円の債権」「10万円の債権」「20万円の債券」と単位があります。その単位が額面価格です。
◆発行価格◆
発行価格とは、その「10万円の債権」は100円あたりいくらで計算されるのかを記したものです。その債券の発行される時期によって、発行金額は異なります。
100円あたりが100.25円の発行価格の債券は、「10万円の債券」にプラス250円の10万250円で購入することになります。
この場合の10万250円が発行金額、いわゆる購入金額ということです。この発行金額は100円以上の時もあれば100円以下の時もあります。
◆金利◆
債券ごとに金利(年間)が設定されてあり、定められた期日にその金利収入を得ることができます。国内の債券では1%を超えるものは少なく、マイナス金利の商品もあるので、長期で保有してコツコツ貯めていくというイメージになります。
◆利回り◆
債券を購入する際に重要なのが利回りです。債券の場合、金利に額面金額と購入価格の差額を加えたものが収益となります。
金利が2%、額面金額が100万円の債権を98万円の発行価格で購入し、もし10年で満期になったとした場合に収益はどうなるでしょうか。
・金利収益は、2万円×5年=10万円 ・差額収益は 差額2万円(100万-98万)
5年間での収益合計は12万円です。
そして利回り計算をすると・・・
金利2万円+(2万÷5)=2万4千円→年間の利益
年間の利益÷購入金額(元本)だから、(2万4千÷98万)×100=2.45
利回りは2.45%となります。
というように、購入金額(元本)を元手に年間2.45%ずつの利益を得ていることになるのです。どうでしょうか。国内の定期や貯蓄預金で、2%以上の利回りを期待することはまず不可能です。
だったら、債券を購入しておいた方が全くもってお得であります。
そしてせっかく債券を購入するのであれば、高金利債券を購入することで、リスクを抑えながらも高収益を期待することができるのです。
高金利債券
金利が高い債券のことを、高金利債券といいます。
- 債券の金利が上がる→債券の発行価格は低下 (利回り上昇)
- 債券の金利が下がる→債券の発行価格は上昇 (利回り低下)
トータル的な債券の価値のバランスを取るため、基本的に両方上がるということはありません。
国内債券の金利
基本的に国内の債券は、国債、社債、地方債といろいろありますが、相対的にいえば低金利になります。例えば大手の社債などで、外貨建てにすることで金利が上がった場合でも2~4%もいけば高金利だといわれています。
※国内の社債の平均金利
2017年~2018年にかけては0.3%~0.4%あたりで推移しています。
国債に関しても同様であるどころか、マイナス金利の国債もあるわけです!なんということでしょうか。10年債でも金利は0.1%~0.2%の範囲で動いており、同じ先進国であるアメリカが倍以上であるのと比較すれば大きな差です。
このように、債券の金利は中央銀行の金融政策などの影響が大きくなってしまい、各国の通貨の金利にそった数字となってしまうのです。
その国の財政状態や金融背策、他国との関係などが不安定であればあるほど金利も高くなっていく傾向にありますが、必ずしもそうだとは限りません。
日本は世界187カ国ある中で、政策金利がはワースト4位です。高金利ナンバーワンはガーナの25.5%。比較してみると、ガーナの金利は日本の255倍!ということになるのです。
以上のことからもわかるように、日本から見れば、その他の国のほとんどが高金利国だといえることから、金融用語的には、高金利商品といえば外貨、外国債や新興国の債券や金融商品のことを意味しています。
あるいは、国内もので外貨建てで購入する商品に対しても「高金利」と表現されています。
アメリカやイギリス、イタリアのように1%~3%金利の範囲を高金利債券とみなすこともありますが、とくに3、4%以上の金利がつく場合に高金利債券と呼ぶことが多いようです。
政策高金利ランキング
※アジア・アメリカ・ヨーロッパ・アフリカからメジャーな国33カ国を対象
1位:トルコ 17.75%
前年比で9.75%上昇!約1か月で1.25%も上昇しているのです。確かに金利は高い方がいいですが、この上昇の速度は少し気になりますね。
2位:メキシコ 7.75%
1位との差が約10%。最近メキシコ通貨は底値から上昇を始めていて期待されている通貨です。
3位:ロシア 7.25%
ロシアは他国との軍事的な問題で関わることが多く、変動の激しい通貨でもあります。
4位:南アフリカ、5位ブラジル、6位インド・・・・・と続きます。
これらの国のように政策金利が3,4%以上高くなる国は、とくに高金利国といって他の国と区別されて呼ばれています。これらの高金利国の国債、社債、公共債などのことを通常は高金利債券と呼んでいるのです。
このように高金利債券に投資をすることで、金利だけでも十分に稼げそうな気がしてしまいます。ところが高金利国ならではのデメリットもありますのでこれから解説しておきたいと思います。
高金利債券のメリット・デメリット
高金利債券のメリットは?
- 高い利回りを期待することができる
- 利回りが高くなることで安定した収益を得ることができる
- 債券の種類にもよるが定期的に金利収入を得ることができる
- キャピタルゲイン(売買差額益)とインカムゲイン(金利)の2種類を得ることができる
- 金利が高ければ短期での利益獲得も狙える
- 基本的に満期になれば額面価格で償還されるので安心できる
- 債券は比較的、価格変動が少ないためリスクを抑えることができる
高金利債券のデメリットは?
- 基本的に為替レートの影響を受けてしまう
- 債券の発行元によっては破綻してしまう場合がある
- 高金利国の財政や国政が不安定である
- それぞれの国の情報がリアルタイムで入手しづらい
- 満期前の売却時には損益をかかえるおそれもある
- 金利と価格のバランスによっては損失を出すおそれもある
- 国によっては習慣や考え方の違いがあり理解できない内情もある
といったように、金利が高いからとやみくもに飛びついても、デメリットによって損してしまう可能性もあるということを覚えておきましょう。
ただ、購入時に満期売却時の価格が分かっているので、長期で所有していくことで、金利によって確実に利益を得ていくことができます。ただ、もし価格の低下が続けば不安になり、損益が出てもいいから売却しようかと考えてしまうこともあると思います。
明日、明後日、その債券がどうなるのかは誰にも正確に答えることはできません。他人の意見や見解を参考にすることはできても、決めるのは結局自分なのです。
これは、債券だけに限らずどんな金融商品に対しても言えることなので、その辺をしっかり注意して、どんな債券がいいのかを選んでいきましょう。
せっかく購入するのであれば、仮に値段が多少下がったとしても、信じて保有し続けていける債券を選んでいきたいものです。
高金利債券の購入方法
高金利債券が購入できる金融機関
大手銀行各種(ほとんど取り扱っている)、地方銀行(取り扱っていない銀行もある)、各種証券会社などで購入できます。
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行
- 野村証券
- 楽天証券
- エイチエス証券
- 岩井コスモ証券
など・・・外貨建て債券(国内もので外貨建てのものもある)、外国債券、外貨建て社債、外貨建て公共債、高金利債券、先進国債券、新興国債券など債券によってタイトルがいろいろありますので、調べてみましょう。
債券情報サイト
現在、国内で取引可能な債券、発行体、通貨、販売金融機関などのさまざまな情報が検索できます。
おすすめの高金利債券!
気になる債券、興味がもてる債券、好きな国の通貨、行ってみたい国の債券、お気に入りの企業などをきっかけにすると探しやすいでしょう。
自分でいろいろな情報をしっかりと集めて選ぶことは大切なことです。参考までに、おすすめの高金利債券をいくつかご紹介しておきたいと思います。
★トヨタモータークレジット★
【米ドル建て社債】
利率:2.1% 償還日:2023年7月27日 購入単価:95.09円
利回り:3.43%
米ドル建てなので、円が下がった時に購入するのがおすすめです。トヨタモータークレジットは大手トヨタ自動車の子会社としてアメリカで設立されたファイナンシャルサービスの会社です。
大手トヨタグループの社債は円建てだと金利1%未満のものが多くなりますが、米ドル建ての社債であれば高金利のメリットを得ることができます。
購入のポイントは、円が高い時に購入しておいた方が利益を得やすくなります。
購入できる金融機関:野村証券 参考URL
★インドルピー建て債券★
【インドルピー建てのノルウェー公共債】
利率:4.96% 償還日:2023年3月3日 購入単価:91.9円
利回り:7.60%
こちらは、インドルピー建てになりますが決済(償還金)は日本円で行われます。その時の為替レートにもよりますが、今インドルピーに対して円が高いので、今後のメリットが期待できます。
発行元がノルウェー政府関連の金融公社なので信用度も高く、高利率です。
購入できる金融機関:楽天証券 参考URL
★eMAXIS 豪州債券インデックス★
【豪ドル建て国債の投資信託】
基準価額:10,725円
オーストラリアの国債を中心に投資をします。このファンドは2016年からずっと上昇基調を保っているので安心感の高い投資信託です。総資産額も右肩上がりで増加しているのが魅力です。
オーストラリアドルに対して日本円は今円高にあるので、お買い得感も強い商品です。
購入できる金融機関:三菱UFJ銀行 参考URL
★ブラジルレアル国債★
【ブラジルレアル共和国発行の国債】
利率:10.25% 期間:9年5カ月 購入単価:113.36円
利回り:8.18%
ブラジルレアルは最近上昇し始めた通貨の1つでもあり、これからの展開が期待されています。また、金利も徐々に下がっていく可能性が高く、その分、債券の価格上昇も予想できます。
長期での保有にはなりますが、この利率で10年近くたてば大きな利益につなげることが可能です。
購入できる金融機関:エイチエス証券 参考URL
★メキシコペソ債券★
【メキシコペソ建てのノルウェー公共債】
利率:3.54% 期間:1年5カ月 購入単価:94.62円
利回り:7.673%
メキシコペソもちょうど、対日本円で上昇基調になってきたところです。もし、今後ペソの上昇が進めば、為替差益だけでも十分に利益を得ることができます。
その上この利率ですから、非常に魅力的な債券だといえるでしょう。
購入できる金融機関:エイチエス証券 参考URL
様子をみて購入したい高金利債券
- トルコリラ債券→やはり、金利が高い!しかし、まだトルコリラは上昇の気配を見せないのが不安要素でもあります。ちょっと様子を見て、金利が下がり始める前に購入したいですね。
- 人民元債券→中国人民元も捨てがたい選択です。おそらく、貿易戦争も終盤に近づいているという噂もあるようで、そろそろ購入を考えてもいいかもしれません。
- ロシアルーブル債券→ロシアルーブルは対ドルでも安値圏にあります。対日本円でも底値圏にあり、上昇の兆しが見られたら、是非、購入したいですね。
など・・・
まとめ
以上のように、日本円ではけっして体験することのできない高金利の債券をいくつかご紹介させて頂きました。トヨタモーターの社債はドル建てなので、少し様子をみる必要もありますが、貿易戦争の流れで自動車株自体がやや停滞気味にあり、米中の関係が落ち着けば購入が進むかもしれないと予想しています。
基本的に高金利債券は外貨建てなので、為替レートの影響を受けないわけにはいきません。ですから、金利だけで選ばずに、対日本円でその国の通貨がどのような位置にあるのかが、選択のポイントだといえます。
とくに国債、公共債など信用性の高い発行元を選ぶことで、安心して投資に臨めるのではないかと思います。その他の投資に比べれば利益率は低くなってしまいますが、高金利債券ならば安全性と利益率のバランスがもっとも優れた商品だということができます。
また月日が流れれば、為替レートやそれぞれの国の事情にも変化が起こります。こまめに海外ニュースや投資情報などを見ておくことで、売買のタイミングをつかむヒントになるでしょう。
預貯金で蓄えておくだけでなく、高金利債券で安全性を確保しながら、大切な資産を増やしていけたら嬉しいですよね。