海外預金口座の開設方法ガイド。海外預金口座の資産運用と節税について

今、国内の金融機関だけでなく海外の銀行の本支店に講座を開設して資産を運用する人が増えてきています。利子や配当に対して税金がかからないといった、税制面でのメリットもさることながら、超低金利が続いている日本の現状など日本に預けるほどの魅力を作り出せない日本の金融機関に対する失望感からなのか、海外の金融機関の口座が人気なのです。

中国やシンガポールにあるグローバルバンクには、毎日数十人単位の日本人が訪ねてきて、口座を開設していると言われています。さらに、最近は海外に出向かなくても日本にいながら、オフショアと呼ばれるタックスヘイブンに設立されたオフショアバンクにも口座開設が可能になっています。

また海外に行っても英語が話せないという方にも、ハワイやオーストラリア、カナダに行けば、日本語がわかるスタッフが常駐していて、親切丁寧に口座開設を手伝ってくれる。こうした海外口座へのニーズに背景には、皆さんが日本銀行に対して満足していない、あるいは不安があるということの表れでもあると思います。やっと、国際分散投資という概念が、遅まきながら日本にも定着してきたということでしょう。そういった理由で海外に資産を移そうとしている日本人が多いのも納得できます。資産を守る、資産防衛という意味で、国際分散投資が重要であることは今更いうまでもありませんが、この記事が読者の方の資産防衛の一助となれば幸いです。

資産運用に有効な海外預金口座とは

1998年に行われた外為法改正以来、日本人も自由に海外に口座を開設することが可能になりました。ある一定額を超えた額を海外送金するには届け出が必要ですが、個人投資家レベルでは、海外の銀行に預金したり、海外の証券口座に口座を開設して、株式や投資信託、債券などを購入するといった投資活動は当たり前のこととなりました。

特に、最近のインターネットの発達には目を見張るものがあり、今まででは考えられなかった海外との取引を可能にしています。海外の銀行に一度口座を開いてしまえば、あとは日本に居ながらにして、海外の金融機関といつでも、好きな時に取引ができるようになっています。

また、最近は個人銀行のプライベートバンクが発達していて、外資系のプライベートバンクなどが海外口座開設を取り扱っています。さらに、最近は海外の銀行にも積極的に日本人をターゲットにして口座開設を勧める金融機関が増えてきました。特に日本人がよく訪れる観光地の、香港、グアム、ハワイ、カナダなどの地域で、そうした金融機関が増えています。インターネットの広告などを使って、積極的に口座開設の案内をしていたり、現地に日本人スタッフを配置するなどして、顧客を抱き込もうとしています。中には、規約書や申し込み用紙なども全て日本語で書いてあるという金融機関もあります。

その一方で、日本国内の金融機関にはかつて取り扱っていた海外口座の取り扱いをやめてしまったところも目立ってきました。外為法の改正により、自由に海外に口座を開設できるようになった当時は、もっと多くの金融機関などが海外口座開設のサービスを取り扱っていました。ですが、予想していたよりも顧客が集まらず、採算が取れなくなってしまったからです。

海外預金口座を開設する意味

日本人が海外で口座を開設する意味としては、大きく分けて4つ挙げられます。

・海外居住、海外旅行などの際に使うため

いざ、海外に住むとなったときに海外に口座がないと何かと不便です。海外旅行の際にも、海外に口座があれば、多額の現金を持ち歩かずに済みます。海外に居住するという目的であれば、ビザなどがきちんとしているため、海外の金融機関に口座を作ることは比較的簡単です。

・資産運用の一つとして

海外の金融機関を使って、有利な条件で資産を運用するための海外口座です。アベノミクス効果で株式相場は活発になってはいるが、日本の金利水準はいまだに世界一低く、日本以外の国で資産を運用する方がずっと有利なのはいうまでもありません。もっとも、現在は日本の国内でも、海外の有利な金融商品に投資できる環境が整っています。例えば、外貨預金なども種類が豊富で多数の通貨で運用することができる。ただ、現地に預金金利に比べればやはり見劣りする。それでも、米国株や欧州株など、海外の株式市場にもオンライン証券を通して、リアルタイムに近い売買が可能な環境が整いつつあります。さらに投資信託も、国内の運用会社が海外に投資する外国投資信託だけでなく、海外で設立されて、日本の法律の影響を受けないオフショア型の外国籍の投信なども、インターネットでいつでも買えるようになってきています。

・資産防衛の方法として

日本経済の大きな課題の一つとして、政府や地方自治体、公団などによる莫大な債務があります。政府と地方自治体の債務は今や、1024兆9568億円にもなっています。過去の歴史から推測すれば、日本経済は今後、中央政府の過剰債務→通貨の疲弊→通貨の暴落→インフレ→ハイパーインフレというプロセスを踏むと思われます。ハイパーインフレへの道を辿るとすれば、日本円だけで資産を運用していくのに不安があります。かといって、日本の金融機関で外貨預金や海外の投資信託などを運用するというのも、一抹の不安が残ります。政治的に混乱した時には、外貨の払い出しが制限されることが少なくないからです。こうした事態に備えるには、海外のきちんと信用のおける金融機関に口座を開設し、資産を移しておく必要があります。資産防衛の手段として、莫大な夫妻を抱えている日本政府の影響を受けない、海外の預金口座の重要性が増しているのはおわかりいただけたと思います。

・マネーロンダリングのため

マネーロンダリングというのは、表に出せない裏金などを複数の金融機関などを通して、表に出しても問題ないようなクリーンなお金に変えることです。いうまでもないことですが、これは違法行為です。ですが、海外口座というとマネーロンダリングを想像する人も多いはずです。

日本で海外預金口座の開設やPB業務を行なっている会社の中には、マネーロンダリングと知っていながら、国内の資金を違法に海外に移しているところも少なからずあるそうです。また、大手銀行や一流企業でも、海外口座を使って利益を移転させて税務当局に摘発される事件が後を絶ちません。

マネーロンダリングのために海外口座やPBを開設するのはお勧めできません、きちんと正式な手順を踏んで、資産運用、資産防衛を目的に口座を活用していただきたい。

なぜ海外預金口座なのか?

ところで、そもそもなんで海外預金口座なのか、在日外国銀行ではダメなのか。その辺りから説明しましょう。

海外預金口座と国内口座の違いは、一言で言ってしまうと、日本の法律が及ばない土地で営業をしている金融機関の口座ということになります。ここで重要なのは、日本の法律が及ばないというところです。なぜなら、日本で何かが起こり、日本経済が危機的状況に陥ったときの資産防衛として海外預金口座を作っているのであれば、日本政府の影響を受けてしまう管轄内では意味がありません。

したがって、日本に進出しているシティバンクなどのいわゆる在日外国銀行に預金口座を作って、そこで円預金や外貨預金をしても、全くリスクヘッジになっていないのです。簡単い言ってしまうと、国際的な信用リスクに備えるためには、日本の法律が及ぶ金融機関では意味がないということです。金融システムの根幹に関わるような事態が生じたときには、預金封鎖、支払猶予(モラトリアム)、預金カットなどの措置が取られる可能性が指摘されているからです。

在日外国銀行も当然影響を受けることになり、例えば、在日外国銀行にドル預金がしてあったとしても、円の価値が下がってハイパーインフレになったときに、円での払い戻し以外を認めないなど、資産防衛の意味がないケースが考えられる。実際にアルゼンチンでは、自国の通貨が信用されなくなってハイパーインフレを引き起こし、国民がドル預金で資産防衛していたところ、またハイパーインフレが起こり、アルゼンチン政府がドル預金の引き出しを制限して大混乱に陥ったという、実例もあります。

海外預金口座を開設する方法

さて、そんな海外預金口座ですが当然、海外の金融機関に口座を開設するわけですから、言語の違いや、先方の国や地域の法律の特徴なども踏まえなければなりません。こうした壁をクリアして海外預金口座を開設する方法としては、大雑把に4つに分けられます。

日本の金融機関を通して海外の銀行に口座を開設する

これには、大きく分けて二通りの方法があります。一つは、国内銀行を通じて開設する方法です。全ての銀行が対応してくれるとは限りませんが、メガバンクなどの大手なら、まず間違いなく対応してくれるでしょう。窓口が国内銀行なので、言葉の問題も少なく、最もスムーズに開設できる方法でしょう。

もう一つの方法は、在日外国銀行を通して開設する方法です。日本で営業している外国銀行などの海外にある本支店に口座を開設するものですが、日本で営業をしていても、取り次ぎをしている場合としていない場合があります。また、取り次ぎをしている場合でも、積極的に顧客を集めているところと、海外の本支店からのオファーがあって初めてなんらかのアクションを起こすところがあるなど金融機関によって温度差がかなりあります。いずれにしろ、開設する先は海外の現地に支店と窓口がある金融機関に限られます。

日本でオンラインを通じて口座を開設する

オンラインバンキング(インターネットバンキング)が登場したことで、海外預金口座開設の可能性は飛躍的に高まりました。通常はインターネットで申し込み書をダウンロードして必要事項を記入し、パスポート認証などを受けて海外の銀行に郵送する。その後、入金、カードの取得と進みます。この場合開設する先は大きく分けて二つのタイプがあります。

一つめはオフショアバンクと呼ばれる銀行に開設する場合です。オフショアとは、タックスヘイブン(租税回避国)にあるということです。例えば、シンガポールや香港にある銀行も、広義の意味では預金に利子がかからずタックスヘイブンと呼ぶことができます。

もう一つがオンショアバンクに口座を開設する方法です。オフショアではなく、通常の税制度を実施している国や地域に設立されたオンショアバンクの事です。米国本土やハワイ、オーストラリア、カナダなどの金融機関の一部には、オンラインによる方法でも預金口座を開設できるところで増えてきています。

直接海外に行って開設する方法

例えば、米国本土やオーストラリアでは、観光旅行で訪れた観光客に対しても、パスポート一つで口座を開設してくれる金融機関が複数あります。オーストラリアやカナダなどは、支店によりますが日本語がわかるスタッフを配置してくれているところもあります。さらに、ハワイに行けば、日本人スタッフがいるのは当たり前で、申込書なども日本語で対応してくれるところもあります。

証券会社の場合、口座を開設するのは意外と簡単なケースが多い。中国・上海の大手証券会社では、日本人観光客に対して口座開設を進めており、簡単な手続きと少ない手数料で口座を開設してくれる。金融商品の売買などの注文は日本語ができるスタッフへの電話が可能です。

プライベートバンクを使って海外に口座を作る

プライベートバンクは誰でも利用できるものではありませんが、お金持ちなら簡単にことが運びます。

いずれにせよ、大事なのは開設する口座にどんな機能があってなんの役に立つのか、どんなメリットがあるのか、それを見極める必要があります。

口座開設の流れ

海外口座を作るのにあたって、需要なことは口座を開設しやすい金融システムが整っていること、頻繁に税制が変わらないこと、経済的・政治的に安定していること、といった要因に問題がないことです。それらを加味して口座開設にふさわしい国を選びましょう。

まず、地域と金融機関をどこにするかを決めます。これまで紹介してきた口座開設の方法は4種類ありました。その中で何から何までやってくれるPBを除けば、残りは基本的に同じプロセスを踏めば口座を開設できます。

  • 海外口座を作る国の地域と金融機関を決める
  • 口座の種類を決める
  • 口座開設に必要な書類の入手
  • 必要書類の作成
  • 必要書類の郵送、もしくはアップロード
  • 金融機関による審査
  • 口座開設通知書などの到着
  • 登録手続き
  • 初回入金
  • キャッシュカードもしくはクレジットカードの発行

というような流れになります。まず、最初にしなければならないことは、口座開設の国と金融機関を決めることです。国や地域を決める際に問題になるのは、口座開設の目的でしょう。日本の法律では、日本に住居があるひとは、世界中どこであろうと、利息や配当、株式の売買によって得た利益は、全て日本の税務当局に申告して税金を納めなければならないことになっています。つまり、どんなタックスヘイブンであろうと、建前上は節税できないということになるのです。しかし、株式や投資信託などは購入してから売却しない限り、そのキャピタルゲインが課税対象になることはありません。

海外口座は節税対策として使えるか?

海外口座開設の目的の一つとして、節税のためと考えている人は多いと思います。海外に資産を預けておけば、相続税などの税金の対象にはならないのではないか、といった考えからです。それが通用するのか、海外口座と税金の関係を紹介します。

前にも触れましたが、どんなタックスヘイブンであろうと、利益をあげたら報告しなければならないことになっています。日本の金融機関で得た利息収入は源泉分離課税の対象となる利子所得なので、約2割を徴収されて課税関係は終了します。

しかし、海外のタックスヘイブンなど、日本と税制上の条約を結んでいる国などでは日本とは税制上の取り扱いが異なってきます。オフショアバンクの多くは、預金金利に課税されないので、源泉徴収されずそのまま支払われます。しかし、その国によっては日本以上の税金を課せられる場合もあります。何れにせよ、海外預金口座を利用する場合には、国内と海外の2通りの税金が発生することを意識しなければいけません。

個人が摘発されるケースはあまり聞きませんが、額が大きくなるほど見つかる危険性は高いでしょう。ところで、利息収入にフォーカスしてみると、オフショアバンクのように全く課税されない地域がある一方で、カナダのように日本と租税条約を結んでいて本来の所得税率は20%を超えるが、非居住者である日本人に対しては10%の税率となって国もあります。

日本のサラリーマンが海外で資産を運用して税金を収めなければならないパターンとしては、利子所得が年間20万円を超えてしまう場合です。年間20万円の利子所得といえば、年2%の利率なら元金1000万円相当、年5%の利率なら元金400万円相当です。通常のサラリーマンが資産の一部を海外で運用する程度であれば、申告不要程度部分で収まるということです。つまり、利子所得が20万円以下になるかどうか、次に、課税される場合の税率を考慮した上で海外口座を有効に活用するべきです。

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