NISAを使って資産運用する本当のメリットとは?非課税枠の活用法

NISAってこんな制度

皆さんもNISA(ニーサ)って聞いたことがあると思います。簡単に説明すると、資産運用によって生じた利益に対して課税されない、非課税制度のことです。始まりは、イギリスで1990年からスタートしたISA(アイサ:インディビジュアル セービング アカウント)を元に作った日本版ということでNISAという名前がつきました。日本語では少額投資非課税制度と言います。

日本の証券税制は、2003年年から2013年末まで、株式市場の活性化の一環として軽減税率が適用されていました。株式の価格上昇による利益および配当に対して、源泉分離課税で20%だったものが、10%にまで軽減されていたのです。

その軽減税率が終了して2014年1月からは、また20%に戻りました。それと同時にNISAが導入され、株式の他にも株式型投資信託の値上がり益、配当金、分配金に対する非課税制度が設けられることになったのです。

それでは、NISAという制度の概略を簡単に説明します。NISAを理解する上で重要になるポイントは主に以下の3つです。

  • 非課税枠・・・毎年100万円を上限に最大で500万円まで(2016年からは毎年120万円までになり、最大で600万円までとなりました)
  • 非課税期間・・・最長5年
  • 口座開設可能期間・・・2014年〜2023年

特徴的なのは、非課税枠の最大で600万円、毎年120万円までというところです。例えば、2014年に100万円全て投資すると、それ以降の投資は課税対象になります。2015年に慣ればまた100万円の非課税枠が回復します。毎年100万円ずつ投資して行くと、総額が500万円ですから、5年間の投資で発生した値上がり益、配当金、分配金への課税が免除になるのです。

とはいえ、非課税期間の5年間が経ってしまうと、それ以降の値上がり益、配当金、分配金は課税対象となります。例えば、2014年に100万円で株式を購入しました。その値上がり益や配当金に対して非課税が認められるのは2018年12月末時点までに得られる値上がり益、そしてその間に得られる配当金が、非課税の対象となり、2019年からは課税対象となります。

また、現時点でのNISAは有限の特例措置となっています。口座開設期間が2014年〜2023年12月末までと決められています。したがって、2024年1月以降はNISAの非課税枠を利用して投資をすることができなくなるということです。この10年間が非課税の恩恵を受けるチャンスなのです。

NISAの特徴

  • 利用できる人・・・その年の1月1日時点で満20歳以上の人
  • 非課税枠・・・現在は毎年新規で120万円まで、総額600万円まで
  • 非課税期間・・・投資した年を含めて5年間まで
  • 口座を開設できる期間・・・10年間(2014年から2013年まで)
  • 口座はいくつ持てるか・・・原則一人一口座
  • 途中で売却すると・・・いつでも売却はできるが非課税枠の再利用はできない

ロールオーバーを活用すれば非課税期間が10年になる

ロールオーバーというのは、非課税期限切れとなる非課税投資枠を、次の非課税投資枠を使って繰り越し、さらに5年間、非課税期間を延長する、というものです。NISAの非課税期間は先ほど説明したように5年間ですが、ロールオーバーを用いることによってさらに非課税期間を伸ばすことが可能です。

しかも、2018年から、ロールオーバーの上限が撤廃されています。というのも、2017年以前は「ロールオーバーできる金額は最大でも120万円まで」と上限が決められていました。例えば、NISA口座で買った120万円分の株式が、値上がりして「時価で200万円」になっていたとします(この時点で80万円の利益)。しかし、以前は時価200万円分のロールオーバーが認められておらず、このケースでは一部株式のみをロールオーバーせざるを得ませんでした。

しかし現在は「上限撤廃」されていますので、時価が200万円の場合でも、200万円をまるごとロールオーバーできるようになっています。このようにロールオーバーをうまく利用すれば、最初の5年間に加え、合計10年間の非課税期間を設けることができます。

前述したように、NISAの制度維持期間は、2014年から2023年までとなっています。したがって、10年間の非課税期間を得られるのは2018年のNISA口座までとなります。今年が10年間の非課税期間を得る最後のチャンスです。2018年のNISA口座の非課税期間が満了するのが2022年末ですので、2023年のNISA口座にロールオーバーさせれば、2027年まで非課税で資産を運用することができます。

ところで、あまり一般には知られていませんが、実はNISAは5年間という非課税期間が満了する前でもロールオーバーさせることができるのです。ですのでこの方法を利用してロールオーバーを複数回行えば、NISAの非課税期間を10年以上にすることも可能なのです。ですが、今年は2018年。ここからどう頑張ってもNISAの制度維持期間が2023年までなので、最長で10年間しか運用することができなくなってしまいました。ここは政府が期間を延長するなどして、制度改革してくれるのを期待しましょう。

大増税時代を乗り切る非課税枠の活用法

ここ最近で一気に国民一人一人の税負担は、重くなってきました。すでに所得税については、震災の財源を確保するために、2013年1月から25年後の2038年まで、それまでの所得税に対して2.1%が加算されています。さらに、住民税にも復興特別税が加算されています。復興特別税が加算されるのは住民税の「均等割」部分で、増税額は以下のとおりです。

・道府県民税の均等割 1000円→1500円
・市町村民税の均等割 3000円→3500円

適用期間は平成26年度~平成35年度までの10年間。増税額も道府県民税・市町村民税あわせて1000円です。加えて消費税の増税。現在消費税は8%ですが、2019年10月から、一部の製品を除き10%になります。これでかなり消費は冷え込むでしょうが、10%で止まるかどうか、さらに増える可能性もあります。

現状、日本の財政事情はかなり厳しく、さらに少子高齢化社会に突入していく中で、いかに社会保障を維持していくかという問題が生じています。さらに厳しい事態になれば、消費税増税によって対応するということも十分考えられます。

こういう時代だからこそ、数少ない非課税枠を有効活用して資産を増やす努力が必要です。そうは言っても日本の制度の中で非課税枠など、ほとんどないのが現状です。数少ないものとしては、確定拠出年金などがそうで、次の3つの特徴があります。

  • 掛け金の積み立て・・・会社と個人が拠出した掛け金が非課税
  • 掛け金の運用・・・運用によって生じた収益が非課税
  • 年金・一時金の受け取り・・・年金受け取りは公的年金等の控除対象、一時金受け取りは退職所得控除の対象

このようなメリットのある確定拠出年金ですが、会社型の場合は会社が確定拠出年金の制度を導入していない限り、使うことはできません。そして、デメリットとしては、年間の積み立て額の上限が企業型の場合は年額24万円までしかないことや、中途解約が実質的に不可能なことです。自由度が低く、旨味があまりないことから敬遠する向きもあります。

これに対してNISAの場合は、購入後の早期に売却もしくは解約してしまうと、その年の非課税枠はなくなってしまいますが、確定拠出年金と比べると、自由に引き出すことができ、得られた収益は無条件で非課税となります。同じ投資関連の非課税制度でも、確定拠出年金に比べて、融通がきくのです。

夫婦でやれば、1200万の非課税投資ができる

1人最高600万円の非課税枠が認められているNISAですが、これは一世帯当たりの上限ではなく、1人当たり600万円ですので、家族口座を開設すればさらに非課税枠を増やすことが可能です。NISA口座を開設できるのは、日本に居住している20歳以上の人というのが条件です。例えば、夫婦でNISA口座を開けば、600万×2で1200万円の非課税枠を設けることができます。さらに20歳以上の同居している子供がいればさらに600万円、20歳以下の子供の場合は、毎年80万円で合計400万円もの非課税枠を追加で設けることができます。

ある程度の資産を持っている人は、生前贈与という形でNISA口座を活用することを考えてみてもいいと思います。生前贈与の基礎控除額は年間110万円までなので、毎年110万円全額をNISA口座で生前贈与し運用することによって、贈与の際の課税を避けられるだけではなく、その運用益も非課税になるのですから、贈与される側にとっては非常に良い話です。

幅広い資産クラスにリスク分散

NISA口座を用いての投資対象は、上場株式と株式型投資信託に限定されています。このようにいうと、NISAは株式にしか投資できないではないかと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。まず、株式といって真っ先にイメージするのはトヨタや日立製作所といった個別の大企業を想像されるかと思います。ですが、株式と同じように取引されている投資信託があります。ETFやJ-REITがまさにそれです。ETFとは、上場インデックスファンドであり、J-REITとは、不動産投資信託のことです。

ETFは東京証券取引所に上場されているものだけでも、現在222本あります。この中には、日本の株価インデックスだけではなく、海外の株価インデックス、海外の債券インデックス、コモディティなどに連動するものも含まれています。つまり、NISAを利用してETFに投資すると、国内株式だけではなく、海外株式、海外債券、コモディティなどの幅広い資産クラスに分散して投資することができるのです。加えて、J-REITなどの不動産投資信託にも投資すれば、不動産のマーケットにも資産を分散できます。NISAの投資対象は株式と株式型投資信託ではありますが、実は結構多岐にわたって投資をすることができるのです。

誰でも非課税の恩恵を受けることができる

個人が非課税で資産形成ができる制度は、さっきほども触れました確定拠出年金があります。これは、私的年金制度の一つで、加入者が自分で選んだ投資信託などを用いて運用する制度です。なので、将来受け取る年金は、その運用成績次第で変わってきます。

そして、確定拠出年金には個人型と企業型という2つの種類があります。企業型は、確定拠出年金制度を導入している企業の従業員が加入できるもので、掛け金を企業が負担してくれます。これに対し、個人型は企業型に加入できない自営業者が中心で、公務員やサラリーマンの被扶養配偶者も、確定拠出年金制度の対象外です。

さらにネックとなるのが、いつでも自由に解約できないということです。確定拠出年金の掛け金は運用途中で引き出すことはできません。運用先の金融商品を入れ替えることはできますが、積み立て期間が満了するまでは原則持ち続けなければなりません。これは、どの金融商品に対しても言えることですが、投資の世界では基本的に流動性のない金融商品は嫌がられます。このように解約してすぐ現金化したくてもできない状態というのは、流動性がないと言えます。

これに対して、NISAはかなり自由な仕組みになっています。確かに、非課税期間が満了する前に解約、もしくは売却した場合は、その年度の非課税枠を再利用することはできませんが、次の年には回復しますし、解約、売却の時に制限やペナルティはありません。好きな時に現金化できるのです。

さらに、NISAは誰でも利用することのできる制度です。例えば、主婦や公務員、自営業者も、職業によって制限はありませんし、子供でも利用することができます。非課税投資制度に少しでも興味のある人は、口座だけでも開設するのをおすすめします。

今後の制度改正に期待

NISA先進国イギリスでは導入から9年後に大改革

NISAの導入に際し参考となったイギリスのISAは株や投資信託はもちろん、社債や保険等の金融商品への乗り換えが自由です。また、口座開設期間10年、非課税期間5年という制限がある日本のNISAに対し、イギリスのISAは口座開設期間、非課税期間共に恒久化されています。イギリスでも導入当初は時限措置制度で、導入後7年目に制度の効果を検証することが決まっていました。その検証を経て、導入から9年後にようやく制度の恒久化や年間拠出額の引き上げなど大幅な改革が行われています。

日本では、NISAは導入1年目。金融庁はすでに「ジュニアNISA」の創設、年間上限投資額の引き上げ、NISA口座の手続き簡略化など、現在NISAが抱える課題クリアに向けた改革案を示しています。NISAは、まだ日本での十分な効果検証が済んでいない中で、制度改革の要望を出すということは珍しいことです。

ただ、期間の恒久化や年間拠出限度額の引き上げ効果は絶大で、その後の英国ISAの口座残高は大きく増えています。現在金融庁が要望として掲げている制度変更はそう遠くない未来に実現される可能性が高そうです。ただ、最大の改革である恒久化については、効果検証などでもうしばらく時間がかかるかもしれません。

最近の金融庁の発表によると、まず、NISAの口座開設数ですが、727万3,667口座となり、増加率は3月末から11.8%増、1月1日から47.7%増となりました。1月から3月末までの増加率が32.1%ですから、3月末から6月末の伸び率は大幅に鈍化したことになります。年代別の口座数に占める割合は60歳代が28.2%と最も高く、次いで70歳代の22.2%、いわゆるリタイア層の割合は80歳代以上の8.0%を加えると58.4%と約6割を占めています。課題としては、若年層への普及が進んでいないのが現状でそれが改めて浮き彫りとなりました。

NISA口座による買い付け額も公表されています。総額は1兆5,631億円。利用可能限度額が7兆2,737億円ですから、その2割強しか利用されていないことになります。商品別では、投資信託がもっとも多く全体の66.5%、次いで株式が31.7%、ETFとREITがそれぞれ0.9%となっています。

現段階としては、口座開設者の利用促進、そして若年層への普及拡大が課題として明らかとなりました。NISA制度が広く活用されない背景には様々な要因があると考えられますが、そもそも日本の人たちは投資に積極的ではないのでまずはそこから意識改革を促す必要があるのかもしれません。僕自身NISAを利用しているのですが、利用者としては「金融商品の買い替えが出来ない」「金融機関の変更が出来ない」などの部分で不便さを感じている部分だと思います。これらを差し引いてもNISAは素晴らしい制度でまだまだ改善の余地があり、成長が期待できそうです。

白井 貴也
白井 貴也
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1996年生まれ、神奈川県在住。金融業界歴6年、ファイナンシャルプランニング技能士。独立系FPの立場からの中立な意見で、皆様の役に立つ情報を伝えていきます。

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