不動産投資としては今、「民泊」は旬のテーマでもあります。訪日外国人や国内の旅行者からの「民泊」のニーズは高まり、この時代の波に乗って将来に備えたいと考えている人も多いことでしょう。
中でも、一戸建ての中古物件を利用した「民泊」が注目を浴びているようです。
初期費用がかかる分、決断に時間がかかるのも不動産投資の特徴です。また、初期費用を償却し、利益を得るまでにも時間がかかってしまいます。
せっかく高い費用をかけ、長期で考えていくのであれば、必ず成功させていきたいものです。ですから、焦らずにじっくりと計画を立てていくことが大切です。
そこで、今回はこれから民泊を始めたい人のために、民泊に適した「中古物件」の探し方や活用方法をご紹介していきたいと思います。
民泊投資を始める前に
不動産投資は他の投資に比べ、費用もかかりリスクも高いかもしれません。ただ、定年後や高齢時になっても安定した収入を確保できる手堅い投資の1つでもあります。
例えば、戸建てやアパート・マンションで賃貸を始めるのであれば、不動産や管理会社に任せっぱなしという方法も選べます。
そうした際には、完全なる不労所得を狙うことができます。
しかし、民泊の場合はオーナー自信の個性を武器とし、あえてゲストと関わることで高い効果を得ることも可能となります。
ただ、それぞれのオーナーの趣旨や民泊のスタイルによっては、逆に、管理会社や民泊業者に任せた方がうまくいく場合もあるかもしれません。
情報を集めながら、自分に合ったスタイルを検討していきましょう。
民泊開始の大まかな流れ
民泊のタイプ
民泊を開始するにあたっては、どれくらい本腰を入れて宿泊業を営むかによって許可・認定の種類がかわってきます。
まず大まかに2つに分かれます。
①自分の別荘として購入し、空いている期間に宿泊施設として利用したい→「民泊」の認定
※こちらは都道府県によって、規制が異なりますので、不動産を決める前にあらかじめ自治体の窓口で相談しておくことが必要です。
自治体によって、「民泊」として認可を得るのが厳しい地域もあるようです。(ただ、今後は緩和されていく可能性は高いでしょう)また、賃貸借の可能性も考慮しておいた方がのちのち役に立つでしょう。
②本格的な宿泊施設として宿泊日数の制限をうけずに、自由に経営していきたい→「旅館業法」の許可
こちらの許可をとっておけば、ゲストの幅の広がり、賃貸・民泊と両方の対応ができますが、設備上の規制は厳しくなります。ただ、長い目でみればこちらの方が何かと有利ではあります。
民泊のスタイルを考案
もし、自分の別荘(別宅)としての利用がありカジュアルに民泊を始めるのであれば、最初の時点では「民泊」の認可を受ける方向で考えていけばいいと思います。
ただ、利益を追求していく不動産投資として考えるならば、「旅館業」の許可を取得し、できるだけ有利な条件を法的に取得しておくのも1つの方法です。
まずは自治体にてどのようなタイプの民泊経営が可能なのかを相談してみましょう。
各自治体によって民泊に対する姿勢が異なるため、可能な限りで動ける範囲の自治体の話を聞いてみましょう。(隣町、隣の市、など)
民泊のスタイルが決まらないうちに、不動産を見ても何の意味もありません。
先に不動産を購入して、やはり民泊の経営はここの地域では難しいとなれば、資金を無駄にすることになります。
民泊開始の手順
- 自治体への確認(どんな民泊、宿泊施設の経営が可能か)
- 民泊のスタイルの考案(ターゲット層、施設の規模、全体のイメージ)
- 不動産にて中古物件(新築)の探索、購入
- 施設の準備(設備、人材、管理基盤の準備)
- 許可・認可の申請
- 民泊サイト・旅行サイト・各自治体の情報誌などへのリストアップ
- 民泊宿泊客第1号が到着!
不動産に相談する前に
実際に不動産に行く前に、あらかじめ決めておきたいことは・・・
どのような地域に、どのような建物がほしいのかを明確にすることです。自分のやりたい民泊のスタイルを確定させておくためにやっておくべきことをご説明します。
①予算を決める
現金で購入するのか
住宅ローンを利用して購入するのか
預貯金額の確認、住宅ローンの借入可能額の確認、建物購入の費用、リフォームの費用、設備等の費用、宣伝費用、維持・管理費用などをトータルで大まかに算出してみましょう。
1,000万、2,000万、5,000万、などとだいたいの予算をきめておきます。
②ターゲットを決める
「民泊」で成功するかどうかは、いかにターゲットを絞りゲストの要望に応えることができるかにかかっています。
民泊のターゲット層は・・・
- 安さを重視したゲスト→極端にいえば、寝れる場所があれば満足
- 便利さを重視したいゲスト→駅に近い、都心に近い、観光名所に近い
- 雰囲気と安さを重視したいゲスト→インテリアの質の高さと宿泊料
- 生活の便利さを重視したいゲスト→家族連れ、子供連れ、長期滞在
- コミュニケーションを重視したいゲスト→日本語、日本の文化を学びたい
- 個性的な雰囲気を重視したいゲスト→ホテル・旅館で味わえない雰囲気
- 宿泊料が多少高くとも快適さを重視したいゲスト→雰囲気、設備環境、サービス
など・・・もし、自分が宿泊施設を探すとしたらどうだろうかと考えてみることも参考になるでしょう。民泊情報や旅行関連のサイトなどを見て、どのようなニーズがあり、どのようなサービスが提供されているのかを見ておきましょう。
ターゲットが中途半端であると、1~7のどのゲストも100%満足することができません。そうなると、何処にしようか迷っているゲストは他へ取られてしまいます。口コミや評判もそこそこのものしか期待できなくなります。
ターゲットを完璧に絞ると、他ではあたえられないサービスをより綿密に考案していくことができます。ゲストは他で探せない何かをその「民泊」に見つけることができ、アプローチしてくれます。そして、満足してくれます。
具体的にターゲットを想像してみましょう・・・
- 何歳から何歳くらい?
- 外国人?日本人?国籍問わず?
- 資金的に余裕がある?ない?
- 仕事上の宿泊?カジュアルな旅行?
- 団体?個人?カップル?
中心となるターゲットをしっかり描きだしていきましょう。
もし、いずれ日本に留学するつもりで下見を兼ねた、20代の外国人の旅行客だったとしたらどうでしょうか・・・
このように、ターゲットに応じて、どのようなスタイルがゲストにとって魅力があるのかを、できるだけ詳しくイメージしていきましょう。
その他の例)定年退職後に旅行をする、少し余裕のある日本人夫婦をターゲットにしたい
→2,3人向きの魅力的な戸建て、余裕のあるスペース、高級感のある和風or洋風のスタンダードなインテリアデザイン、白や茶色を基調、庭園に季節の花、静かな環境、近くに陶器市場がある、有名な温泉や博物館があるなど・・・
ゲストそれぞれが、民泊に求めるものが異なるので一概には言えませんが、オーナーが直接ゲストと関わったり、他のゲストと交流できたりすることも魅力になっているようです。
オーナーが食事や身の回りのお世話をしてあげたり、一緒に食事をしたりというような民泊はやはり人気はあるようです。
反面、プライベートを重視した互いに干渉しあわないスタイルを希望する人ももちろん少なくはないので、自分に合った方法が一番です。
ゲストとのコミュニケーションが苦手な場合には、設備の管理や人件費もかかってしまいますが、アイデア次第では人気の民泊にもなる可能性もあります。
収益力は低くなりますが、管理業者や民泊業者に管理を任せて、経営方針や企画だけは考案していくという方法もあります。
物件を見る前に
まずはイメージづくりとして、どんな民泊やホテル、建物があるのかを紹介したいと思います。
※貸し切り戸建てタイプ 4部屋 ベッドの数6台 布団10組 収容人数10人
備考:ターゲットによっては、ベッドの数を増やしたり、部屋に簡単な仕切りなどをつけたりして、シェアタイプの民泊としてもよさそうですね。
備考:こちらの建物は店舗?か倉庫を改装したような感じですね。アイデア次第でかなり個性的な雰囲気になります。
宿泊施設としての建物と空間、そして自然と癒しを表現するテクニックはおそらく、国内ではナンバーワン。大型施設から小型ホテルまであり、きっとイメージづくりの参考になると思います。
こちらのサイトでは世界遺産に指定されている村などを対象に、美しい景色と建物などの写真をみることができます。小さくて古い家でも、とてもお洒落な感じに仕上げることだってできるのです。
※英語のサイトですが、写真のギャラリーのようなものなので楽しめます。
アメリカの不動産情報ですが、夢の世界のような建物がたくさん登場します。もちろんものすごく高価な不動産になりますが、きっと素敵なアイデアを見つけることができるでしょう。
不動産情報を調べる
ある程度、建物のイメージが固まったら、今度はどんな不動産があるのかを調べてみましょう。
オンラインでも気軽に物件を見ることができます。
◆日本全国の物件を調べることができる、大手の不動産会社「SUUMO」。事前の相談や資金・ローンのシュミレーションも充実しています。
◆日本全国の不動産・住宅関連事業と提携している「ハイエスアンドカンパニー」、希望に合った業者の紹介を行っています。国内での「空き家に関する意識調査などのレポート」も見ることができます。
◆おもに北海道・東日本の中古物件を取り扱い、リフォームこみでの案内もしています。「土屋ホーム」では参考案件として施工前・施工後の写真なども掲載されてあります。
下の写真は、築100年の古い家を改築したものです。素敵ですよね。
◆国内ではとくに郊外において空き家の数が増え続けています。都会の暮らしとは違った田舎の暮らしを推奨する動きが、各自治体によって強まっています。比較的、安い値段での物件交渉が可能となります。おすすめの民泊情報満載です!
実際に建物を探す!
立地環境によって、全く似たような建物の状態であったとしても、価格は大きく違ってきます。あらかじめ、地域別にだいたいの目安をつけておけば、実際に物件を見た時に比較することができます。
ああ、この地域だと、これくらいの戸建ては2,000万くらいが妥当かも、といった判断の基準をつくることができます。
その建物の古さや、実現したい民泊のイメージなどによってかわってくるでしょう。そのリフォームにかかる費用や準備しなければならない設備等などすべてトータルでいくらくらいになるのか計算してみることが大切です。
おすすめ物件
東京都新宿区
5,280万円/東京都新宿区/東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」歩7分
土地面積/29.28m2/1DK/3沿線3駅が徒歩10分以内で利用可能
ターゲット例)新宿のど真ん中です!立地の環境からみると、とにかく便利で安く宿泊できるところを探しているゲストが対象になるでしょう。若い世代の少ない資金での旅行客、または費用をかけたくないサラリーマンなどを対象にベッドの貸し出しタイプのシェア民泊はどうでしょうか。(または、逆にインテリアや内装に凝って、2家族向きのシェアタイプとか・・・)
費用
宿泊料一泊3,000円×8人=1日(2段ベッドを4つ) 2万4千円 ソファベッドや布団なども用意して人数を増やすこともできますよね。
30日×2万4千円=72万(1か月) 72万×12=864万 (年間の収入予測)
リフォーム代がかからないとして・・・単純な利回り計算ですと、16%程度ですね。おそらく設備等にかかる初期費用を考慮して10%くらいでしょうか。
宣伝費に使う予算は十分とれそうですね。
その他食事や雑費等で収入を増やすこともできます。付加価値をつけて収入をあげていける可能性は大。とにかく新宿というだけで、若い世代が集まりやすくなります。
この辺りであれば、ホテルのシングルでも安くて6千円はします。賃貸だと四畳半の1kでも家賃は7,8万はするでしょう。古い物件などでは風呂なしの物件などでも5、6万は軽く超えると考えていいと思います。
東京都目黒区
5LDK/3,380万円 渋谷、原宿、新宿にもすぐです。閑静な住宅地で大まかに5部屋あります。立地環境だけでも、特定のゲストには十分魅力的だと言えます。
都会での生活を味わってみたい、地方からの家族連れ用に低価格で・・・または1,2名用にちょっと値段を上げてもいいかもしれないですね。5部屋として、1部屋の平均が1万5千円だとすると・・・
1万5千円×5=7万5千円 7万5千円×30=225万
225万×12=2,700万 単純計算で 利回りは約80%!?(まさか!)
でも、5部屋分で浴室・キッチンが1つは厳しいから追加するためのリフォーム代が結構かかるでしょう。
また、土地柄的にもこの辺りは、お洒落に敏感な人たちが多い!おそらく注目を集めるためのスタイリッシュな外観や内装に趣向をこらす必要がありそうですね。
それでも、上手くいけば10%くらい目指せるのではないでしょうか?
青森県青森市
2LDK/1,060万
青森のねぶた祭り、恐山、十和田湖、温泉、遺跡など観るところもたくさんあります。カップルや家族用に・・・例えば、1日1万5千円だとしても・・・
屋内は床なので、アンティーク調で内装をシックに仕上げるとか・・・、絵画や美術品でお洒落な感じにして付加価値をつけることもできますよね。青森の地元料理のサービスをつけるとか、観光案内をするなどアイデアが膨らむ物件ではないでしょうか。
回転数が緩慢でも、その分、客単価を上げていくことでバランスがとれるのでは?敷地が広いので洋風の庭園なんかつくっても楽しそうですね。
設備・リフォーム情報
など・・・
オンラインで見つけた業者や、近所の業者など、どのような対応が可能なのか、費用はいくらくらいかかるのかなど比較することが大切です。情報をたくさん集めながら、少しでも、自分の理想とするイメージに近づけていきましょう。
まとめ
民泊をはじめるにあたっては、許可・認可の種類を決めた上で、ターゲットを絞った独特の民泊スタイルを作り上げていくことが重要になってきます。
ターゲットを定めていくポイントとしては
- 都心部などの人口密度の高い地域がいいのか、郊外がいいのか
- 少人数がいいのか、大人数がいいのか
- 回転率で稼ぐのか、単価で稼ぐのか
- ゲストとコミュニケーションを取るのか、取らないのか
などから考え始めると、自分に合った民泊の経営方法、それに合わせたターゲットの選定などが見えてくると思います。
他ではけして味わうことのできないメリットを提供することができれば、おのずと口コミでも広がっていくものです。まずは参考となる情報をたくさん集めることがポイントです。
自分にしかできない「民泊」で、不動産投資を確実なものにしていきましょう。