2020年には「無人タクシー」が道路を走る? AIとセンサーが支配する未来とは?

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今、自動車産業は「100年に1度」の革命の時期にきているとも言われ、各自動車メーカーはこれまで見たこともないような自動車の開発に舵をとり、新時代に向けて我こそはと他企業を抜き出でる動きが強まっています。

そんな中、EVのさらに先をいく自動運転の開発が進み、2020年には「無人タクシー」が道路を走ることが予想されています。

この「無人タクシー」に欠かせない技術がAIとセンサーになり、株式投資を始めるにあたってAIとセンサー関連の株を探索する人も少なくないでしょう。

今回は、世界でも日本はトップクラスに位置しているセンサーに焦点をあてて、自動運転、AIとセンサーの関係、センサーとは何なのか、そして今後の展開を検証していきたいと思います。

自動運転とは

電動化や情報化の新しい技術は、留まることを知らずといった勢いで私達の目の前に登場し続ています。

まだまだ実現への道は長いと言われたEV(電気自動車)の発売もすでに始まり、自動車が電気で走ることは現実の話となっている今日、さらに実現に向けての開発が加速しているのが自動運転なのです。

自動化される車の運転自動運転の車には、ハンドルもアクセルペダルもブレーキも存在しません。つまり、車に内蔵されたロボットが完全に安全運転を操作し、無事故・無違反を目指す車のシステムなのです。

 

※以下の図はH29年度の警視庁による事故統計によるグラフになります。交通事故によって死亡する人の数は年々、減少してきていますが、それでも3,694人の数が報告されています。

出典:警視庁   H29年度 事故死傷者状態別統計   参考URL

青→運転中33.1% ピンク→歩行中36.5%

自動運転の技術開発は・・・

もし、交通法規違反や不注意による事故が完全に防げるのであれば、どれだけ多くの人命が救われることになるだろうかということで、期待されている新しい自動車のシステムになります。

無事故・無違反を実現するかもしれない自動運転車は、簡単に言うとロボットが運転する車という定義になります。

自動運転車の名称→ロボットカー、ドライバーレスカー、セルフドライビングカーなどとも呼ばれています。

ロボットが運転する車

ロボットが運転するといっても、人型のロボットが運転席に座るわけではありません。無人の車の中に座り、行先を伝えると、車が勝手に目的地へと運んでくれるわけです。

ロボットは車の各部品と連結して内蔵されているので、私達が目で見ることはできませんが、その内臓されたロボットというのは、主にAIとセンサーで構築されています。

このロボットが運転するという自動運転車の試験的走行が、今世界各地で行われており、とくに「無人タクシー」に向けた自動運転技術の開発競争が激しさを増しているとのことです。

自動運転車の試験走行

世界70カ国で、タクシー配車アプリなどを提供するアメリカのウーバー社はこの自動運転車の先駆者として、早くから自動運転の試験走行を行っていた企業の1つであります。

このウーバー社は、

2018年3月、アリゾナ州で行われていた、一般道路における試験走行にて歩行者を死亡させてしまう事故を起こしてしまいました。

この事故は、自動運転車初の人身死亡事故として、自動運転試験は一時的に中断されるに至りましたが、無事故・無違反を理想とする各自動車メーカーの情熱をむしろ掻き立てる結果ともなったのです。

懸念材料

もし、自動運転が実現するとすれば、車は急ブレーキを踏んだり、死角をあらかじめ検知することになります。運転手はこれまで必須とされていた安全確認を行う必要がなくなり、運転時の注意力は低下してしまいます。

路上事故の原因

スピード超過、交通量の増加、注意散漫、などが主な原因として挙げられており、近年では特に、運転中の携帯・スマホの電話の使用、メール操作、web検索による事故がふえているとのことです。

自動運転の目的は、無事故・無違反の実現にありますが、皮肉にもこの自動運転の技術が発達すればそれだけ、ドライバーの技術が低下してしまうところにあり、それが今後の課題ともなっています。

GM(ゼネラル・モータース)の対応策

半自動運転セーフティシステムの導入→視線追跡テクノロジーとよばれるもので、運転手はハンドルから手を離すことはできても、路上から目を離すことはできない、というもの。

日産自動車・テスラの対応策

プロパイロットアシスト→運転手が30秒以上ハンドルを握らない場合は、自動的に車を停止させるもの。

トヨタ自動車の対応策

ドライバーアシストサポート→「セーフティセンス」と呼ばれる新機能は、車間距離を保ったり、対象物を早めに察知しブレーキをかけたり、車線からはみ出たことを知らせてくれたりする機能を車に導入。

このように、完全な自動運転車の実現には解決すべき課題も多いため、まだまだ道のりは長いといえますが、ドライバーを支援する形で部分的な自動化の導入が開始されています。

さらに、トヨタはタクシー会社の日本交通と提携し、オリンピック時期に向けての「無人タクシー」の開発を進めているようです。

2020年に公衆の中を無人タクシーが走る

2020年のオリンピック開催に向けて、高まるであろうタクシーの需要から、トヨタや日本交通をはじめとする無人タクシーの実現が目指されていました。

ソフトバンクやゼネラルモーターズはアメリカの自動運転関連株クルーズに多額の出資、ソニーもチェッカーキャブ(タクシー会社)と共同出資会社を設立しています。

ただ、現実的には、2018年3月におきたウーバー社の死亡事故の件もあり、解決すべき課題も多いことから100%自動運転車の市場への投入は難しいといえます。部分的な自動運転機能の搭載といったところが限界かもしれません。

おそらく、特定の区域や区間のみを対象とした、イベントに近い形での公開は考えられるのではないかと思います。仮に試験的な催しとして実施されたとしても、それが画期的なものとなることは間違えないでしょう。

自動運転に欠かせない技術

AIとセンサー

自動運転車に内蔵されるロボットは、主にAIとセンサーによって構築されていて・・・

人間の視覚の限界を超えて対象物を感知するセンサーと、膨大なデータからのアルゴリズム検出によって危険・安全度を判断するAIは、自動運転に欠かすことのできない役割を果たしています。

AI(Artificial Intelligence)

AIは人工知能とも言われるもので、あらゆる事物や事象、データなどをそれぞれ認識、分析し判断するという人間の脳のような役割を果たすシステムです。

あくまでも過去・現在のデータが基準となるため、いまだかつて起きていない未来を予想したり、情報の裏にある人間の複雑な心理を推し量ったりすることはできないという限界はあります。

ただ、正確さや精密さ、膨大なデータ量からの分析力に関しては人間の能力をはるかに超えるため人間の頭脳をサポートするものとして期待されています。

自動運転でのAIの役割

自動運転にあたって、AIの具体的な役割というのは、センサーによってとらえられた高精度な3次元の画像を読み取り、道路工事、信号、歩行者、建物、事故、交通渋滞などを認知し、車を操作することです。

AIの判断によって、車は自動的にブレーキ機能、アクセル機能、右折・左折、停止などそれぞれの機能が働くしくみになるのです。

より多くの情報をAIに与えることで、AIの判断能力の基準が高くなるため、高性能の3D画像の地図の作成、より高度なセンサーの開発が実現化に向けて進められています。

センサー

センサーがAIに与える画像情報の質や量によって、AIの判断能力に差が出てしまうため、より優れた高性能のセンサーが必要となります。

自動運転に必要とされるセンサーは大きく2種類に分けることができます。

3D画像地図

運転の基盤となる地図で、道路標識、道路の種類、経路などの運転時に必要な基盤となる情報になります。それをもとに、現在地を確認して目的までどのようにいけばいいのかを把握するデータベースです。

衛星画像、航空画像、透視画像などを使って綿密に制作されるものです。オリンピック開催に向けてこの3D地図の完全版の完成が国政を交えて急がれています。

リアルタイム画像

自動運転では、これまでの人間としての視覚の役割を果たすセンサーが最も重要となります。センサーが映し出すものによって、「停まる」「曲がる」「よける」と車はAIによって操作されるわけです。

テスラモータースはオートパイロットと呼ばれるカメラセンサーを車体に10個以上備える計画で、レーダー、超音波などのテクノロジー機能を駆使したセンサーを搭載。

自動運転に使用される、リアルタイムの画像を映すセンサーは360度の球体カメラを使用したものがほとんどとなり、車のフロント、バック、側面からとあらゆる角度からのリアルビューを鮮明に捉えていくことができるようになります。

※LIDAR→(Light Detection and Ranging)レーザーやレーダーを使った360度のカメラでグ―グル自動運転技術にも使われています。

通常、死角となる位置にある対象物や、まだずっと先にあり視覚上は判断できない対象物などを即座にキャッチすることで、事故を防ぐことになります。

その為には視覚だけに頼らず、対象物の温度や構成成分レーダーや超音波によって検出し、有機物か無機物か、生命体か物質かなどを早めに認知するこも可能となるのです。

また、雨や雪、曇りや暗闇の中でもレーザーや超音波を利用したセンサーを使うことで視覚に頼らずに危険性を事前に検知できるなど、人間のドライバーの限界を超えた車の運転を実現してくれるものとなります。

これらのセンサーは光学センサー・光センサー、イメージセンサーなどとも呼ばれており、日本はこのセンサー技術に関しては世界で上位を占める技術を有するのです。

日本のセンサー関連企業は100社を超えるといわれ、世界シェアの30~40%を日本企業が占めており、今後もこの地位は変わらないだろうと見られています。

光学センサーとは

 

Man
光学センサーとは何なの?
Expert

光学センサーとは広義の意味でいけば、「光を用いて何か物資や事象を検知する機能」ということになり、カメラや望遠鏡、顕微鏡、など光を通して認知できる機能をもつもののことを言います。

人間の目だって、光の中で物を検知できるわけですから光学センサー機能をもっているということができるのです。

JEITA(社団法人、電子情報技術産業協会)によれば、センサーの世界規模での需要は2011年で2兆円近くあり、2015年には3兆円を超える額になったと報告されています。

さらに自動運転の実現化に向けて2020年には、6兆円を超えるのではないかと予想されているのです。東京オリンピックでの需要を考えた際には、おそらく2020年には少なくとも10兆円を超える需要が見られるのではないかという説もあるくらいです。

この光学センサー技術は巨大マーケットになっていくことが期待されています。

Woman
専門的な意味での光学センサーとは?どういうものになるの?
Expert
専門的には、光学センサーとは、光の種類や強さ色などを電気信号に変換して、映像化することができるシステムをいいます。

例えば、デジカメで撮った写真をPCに移行するとします。

従来のイメージでは画像をコピーした用紙そのものを用紙ごとPCに送るというやり方になります。光学センサーでは、画像を一旦デジタル信号に分解して、それをPCに送った後、デジタル信号から画像を再現するというものです。

画像という情報を全部電子化してしまうことで、高速で精密な画像操作ができるようになるのです。だから視覚上には見ることのできない画像でも、電気信号としてデータを送り画像として再現することができるのです。

このような光学センサーは、

CCDCMOSの2種類のセンサーにわけることができます。

CCDCMOSの違いは?

この2つの光学センサーの大きな違いとは、その電気信号の変換の仕方の違いにあるといえます。

画像は撮像素子と呼ばれる非常に小さなピクセルと呼ばれる粒子が集まったものです。その粒子の1つ1つを電気信号として送るのですが、

CCDでは画像全部の電気信号を1つ1つを、バケツリレーしながら、目的の場所へと動いていきます。最後に電気信号がまとまったところで画像に再現します。

CMOSは画像の小さなピクセル1つ1つが個別に独立して動いていきます。1列並ぶごとに画像再現できる能力を持っています。だから画像が上部から下部へと少しずつ現れたりするのはCMOSの独特の動きとなるのです。

CMOS技術はCCD技術に比べて、さまざまな度でパフォーマンス性、消費電力性、スピード、価格の面においてもメリットが高くなります。

CCD センサーと CMOS センサーの優劣をつけるのは困難でもあり、

紫外光や不可視光線などには感度の高いCCDが有利となり、自動運転でもその特質は軽視できません。また高速画像に関しては、CMOSほど効果の高いものはなく1秒間に1000フレームの画像を移し出すことが可能だといいます。

これらのことを考慮してみても、株式投資を行う上ではどちらのセンサ―を重視すべきかは判断に難しいところもあり、その画像の用途にもよるといったところでしょう。

光学センサーのいろいろな用途

CCD、CMOSなどの光学センサーが自動運転にとって必要不可欠な要素であることは十分に理解できることですが、他にはどんな用途があるのかを簡単にまとめてみたいと思います。

情報通信機器

携帯電話、スマホ、デジタルカメラ、PC、マウス、衛星通信画像など・・・

カメラやレンズ

望遠鏡、顕微鏡、温度計、湿度計、一眼レフカメラ、医療検査用カメラ、医療診断画像など・・・

その他

防犯カメラや各種画像、VRなどの360度立体画像、3D画像など・・・

センサー関連株の紹介

それでは今後の株式投資の参考として、いくつかセンサー関連株をご紹介してみたいと思います。

ソニー(6758)
  • CMOSセンサーの世界シェアは50%を超える
  • プレイステーションなどVR機能のゲームの開発
  • 映像、エンターテイメント関連に強み
  • モバイル事業がやや不調
  • 2018年タクシー会社7社と自動運転で合併会社設立

※現在の株価は5,850円前後で推移し、高値圏に位置しています。2018年3月期の営業利益率は、前期比の約3倍近く上昇しており、自己資本利益率(ROE)も一気に前年度2.95%から17.95%へと大幅な増益率をみせています。その増益の背景にはCMOSセンサーが大きく貢献しているようです。

キャノン(7751)
  • 事務機、デジカメの国内最大手
  • 一眼レフの画像においては世界シェア50%を超える
  • 東芝メディカルを買収し、医療機器画像でも伸びる
  • 2018年5月には映像解析のイスラエル大手企業を買収し監視カメラを強化
  • レーザープリンター、デジタルプリンティングシステムに強み

※現在の株価は3500円前後を推移していて、約1年来の安値圏にあります。すでに、画像センサーを活かしたドローンの製造にも取り組んでおり、農業用・産業用・災害用の需要に対応しています。

インターアクション(7725)
  • CCD、CMOSをメインとした半導体の製造工程に必要な検査用光源装置の開発・製造
  • イメージセンサーの検査用光源装置では世界トップシェア
  • 精密除振装置の開発製造、設計、業務支援など行う
  • 1995年、ソニー向けの光源装置の量産を開始
  • 近年では明立精機、東京テクニカルを子会社化し事業拡大をはかる

※現在の株価は1,400円代を推移しており、ここ2年で株価は4倍以上上昇しています。2016年7月には350円前後、2017年7月には750円前後、そして本年度7月には1,547円の上場来高値を更新しています。急成長を期待されている注目株でもあります。

その他のセンサー株
  • パナソニック(6752)
  • 浜松ホトニクス(6965)
  • 富士通(6702)
  • 池上通信機(6771)
  • バイテックHD(9957)

など・・・

 

まとめ

自動運転とは人が運転しなくとも、車が目的地まで運んでくれるシステムを最終的に目指していて、トータルで4つのレベルにわけることができます。

  1. 運転支援レベル→事故が起きそうな状況を判断し、自動で速度・ブレーキなどの各機能を操作補助をしてくれるもの
  2. 部分運転自動レベル→ハンドル操作、加速、減速などを車が自動で操作してくれるもの
  3. 条件付き自動レベル→ドライバーが緊急時には運転できる状態での完全自動化
  4. 高度自動レベル→ドライバー不在でも特定の条件のもとで運転可能な状態
  5. 完全自動化レベル→どんな状況のもとでもドライバー不在での運転が可能となる

2020年のオリンピック開催に向けて目指されている「無人タクシー」は自動運転の中でもレベル5となり、最終的な完全な自動化を目的にされています。ただ、実際に解決しなければならない課題は山のようにあるのが現状です。

解決すべき課題の中でも、最も重要になるのが、事故の際の責任の所在は何処になるのか、ということでしょう。

まずはそこから明確にしていく必要があります。

また、AIの能力を100%確信してしまうことにも倫理的に危険性があるのではないかというのが正直なところでしょう。自動化にしていいものと、してはいけないものが人間の尊厳という部分で存在するような気がします。

おそらく、「無人タクシー」の実現はレベル4~5の間が現時点では限界なのではないかと思われます。

ただ、自動運転がどこの段階まで近い将来に進展しようとも、画像センサーの存在は欠かすことができず、であるから、自動運転関連株としてはセンサー株を購入しておくのが最善策ではないかというところでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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