国の教育ローンの特色について徹底解説!奨学金との違いや民間の教育ローンと比較しての優位性についても解説します。

子供が高校や大学などに入学する場合の資金や、在学資金などいろいろお金がかかります。現在では、いろいろな補助もありますがそれだけでは賄えない場合も多いでしょう。そのため、教育資金としてお金を借りないと、学費などを払えなくなってしまう親も数多くいます。

そのような時に便利なのは、各金融機関などで提供している教育ローンという商品です。教育ローンとは子供に対する教育費に限定したローンのことをいい、各金融機関ともに金利を低めに設定しています。ただし、審査は教育ローンだからといって特別甘いわけではなく、年収要件などで借りることのできない人もでてくるのです。

そのような年収の低い人達でも教育を受けられる手段として、国の教育ローンは存在しています。ここでは、国の教育ローンについて、詳しく解説していきます。

教育ローンとはどんなローン?

国の教育ローンの詳細について説明する前に、そもそも教育ローンとはどんなローンなのでしょうか。日本では高校や大学は義務教育でないため、基本的には入学金や授業料がかかります。場合によっては、多額の金額がかかる場合があります。また、高校進学から大学卒業までの子供一人当たりの費用が、約1,000万円ともいわれているのです。

その中で、学費などの負担が困難な場合には、子供の教育資金に対して借入をする教育ローンという商品を利用する人も多くいます。教育ローンは、子供の教育費に対するローンということでは各金融機関でいっしょですがそれぞれに特徴があります。基本的には、教育にかかった費用に対して借入ができ、それ以上の金額は借入することはできません。

教育ローンは、金融機関だけでなくいろいろな所で提供しています。国や地方自治体や勤務先の福利厚生として行っている所もあります。また、大学では、自校の生徒の親に対して自ら教育ローンを行っている場合もありますし、金融機関と提携して行っているところもあるのです。

消費者金融など貸金業の教育ローンは、貸金業法の総重量規制の対象になります。そのため、総重量規制対象の他のローンとの合算で年収の3分の1以上の借入をすることはできません。

国の教育ローンの目的

国の教育ローンとは、日本政策金融公庫が提供する教育ローンです。1979年に取扱いが始まったため、35年以上の取扱実績がある教育ローンです。当初は、入学資金の負担軽減のため始まりましたが、今では在学資金も含む教育資金全般に使えるようになりました。

債権者が国のため、幅広い層に対してローンを提供することができ、民間の教育ローンが取扱いできない先にであっても借入できる可能性があります。資金使途についても民間の教育ローンよりも幅広く、入学資金や在学資金はもちろんのこと、海外留学のための資金や、資格取得のための資金にも使えるのです。

国の教育ローンの目的は、教育費の経済的な負担の軽減のためにあり、特に家庭の経済的事情のため教育が受けられない子供を減らすことです。そのため、国の教育ローンは、一定以上の年収であると借りることができません。また、国の教育ローンは、教育の均等機会を目的としていて、低所得者であってもきちんとした教育を受けられるためのものでもあるのです。

国の教育ローンの概要

正式名称、限度額、返済期間、金利

日本政策金融公庫の提供している国の教育ローンの正式な名称は、教育一般貸付といいます。借入限度額は、子供一人につき最大350万円です。ただし、外国の大学などで6ヵ月以上在籍するための資金として利用する場合は最大450万円です。

返済期間は最長15年間ですが、母子家庭や父子家庭や世帯年収が200万円以下の場合などは18年以内になる場合があります。また、対象となる子供が在学中は、利息のみの支払いにすることもできます。

金利は、固定金利で年1.76%(平成30年7月現在)です。さらに、母子家庭や父子家庭や世帯年収によっては固定金利で年1.36%(平成30年7月現在)になる場合があります。国の教育ローンは公的な融資制度のため、民間の金融機関などよりもいろいろな面でお得といえるでしょう。

国の教育ローンを利用できる人

国の教育ローンは、大学や短大だけでなく専門学校や高校へ入学や在籍する子供の保護者が利用できます。ただし、扶養している子供の人数により、世帯年収や世帯所得の上限額が異なってくるのです。

例えば、扶養している子供の人数が1人の場合、世帯年収の上限額が790万円、世帯所得の上限額が590万円の人まで国の教育ローンが利用できます。扶養している子供の人数が2人の場合は、世帯年収の上限額が890万円、世帯所得の上限額が680万円の人までです。扶養している子供の人数が3人の場合は、世帯年収の上限額が990万円、世帯所得の上限額が780万円の人までです。

さらに、扶養している子供の人数が増えるほど上限額が上がっていきます。また、扶養している子供の人数が2人以内の場合、勤続年数や居住年数や資金使途などの要件により世帯年収の上限額が990万円、世帯所得の上限額が770万円まで緩和される特例もあります。

その他

国の教育ローンの申し込みはインターネットで行うことができ、審査終了後の契約は郵送でもできるため、来店不要ですべて手続きができます。申し込みから融資金の振込まで20日程度で完了します。また、国の教育ローンでは、中学校卒業以降の扶養している子供の入学金や授業料や受験費用だけでなく、定期代や在学のための住居代や塾代などの幅広い教育資金に利用できることが特徴です。

国の教育ローンに担保は不要ですが、連帯保証人を立てるか(公財)教育資金融資保証基金の保証を利用する必要があります。連帯保証人として立てることができる人は、進学者や在学者の配偶者を除く進学者や在学者の4親等以内の親族です。保証基金を利用する場合は、別途借入金額や借入期間に対応した保証料が融資金から差し引かれます。

国の教育ローンの審査は厳しいの?

国の教育ローンは、世帯年収や世帯所得の上限に制限があることから、年収が高い人は借りることができません。また、世帯年収や世帯所得の下限に制限がなく、世帯年収が200万円以下の世帯や母子家庭や父子家庭に優遇措置をとっているくらいなので、経済的に厳しい世帯に優しい借入と考えて良いでしょう。

国の教育ローンは公的な融資制度のため、むしろ経済的に厳しい世帯に教育を受けさせるための救済的制度と考えてもいいくらいです。そのため、審査基準も緩いと考えて問題ありません。

ただし、いくら公的な融資制度といえ返済する見込みがない人や、ブラックリストにのっている人や、生活保護を受けている人などは審査に通らない可能性もありますので注意が必要です。国の教育ローンには在学中には利息だけ支払えばいい返済方法もありますので、今返済する見込みがなくても将来は返済できると判断されれば審査に通る可能性もあります。

国の教育ローンと奨学金との違い

国の教育ローンと奨学金の違いについて解説

国の教育ローンに似た制度として奨学金制度があります。それでは国の教育ローンと奨学金とはどこが違うのでしょうか。ここでは、奨学金の種類や国の教育ローンとの違いについて詳しく解説していきます。

国の教育ローンと奨学金の一番大きな違いとして挙げられるのは、債務者が違うということです。国の教育ローンの債務者は学生の保護者ですが、奨学金の債務者は学生本人です。また、国の教育ローンは借入金を一括で受け取りますが、奨学金は毎月定額を受け取ります。さらに、奨学金の利息は在学中には発生せず、返済も卒業後から始まるところが国の教育ローンとの違いです。

国の教育ローンと奨学金は併用することができますので、在学中は親が教育ローンの返済をして、卒業後は子供が自分で奨学金を返済していくこともできるのです。両方の特徴を良く理解をして、うまく併用していくと良いでしょう。

日本学生支援機構の奨学金

奨学金とは、経済的な事情により進学が難しい人に対して学費などを援助したり貸与したりする制度のことをいいます。奨学金の種類は、地方自治体が提供するとのや、民間企業などが提供するものなどいろいろです。ここでは、奨学金の中でも一番利用者の多い、文部科学省の所管である独立行政法人の日本学生支援機構(JASSO)の奨学金について詳しく解説していきます。

日本学生支援機構の奨学金の種類

日本学生支援機構の奨学金は、原則として返済の必要のない給付型の奨学金と返済をしなければならない貸与型の奨学金の2種類があります。給付型奨学金は、経済的な理由により意欲や能力のある若い人が進学を断念しないことを目的として給付する奨学金です。給付型奨学金を申し込める人は、住民税非課税世帯の人や、生活保護受給世帯の人や、社会的養護を必要とする人です。

また、貸与型の奨学金には、国内向けの奨学金と海外留学のための奨学金があります。国内向けの奨学金の種類は、無利息の第一種と、利息がかかる第二種と、入学する時に一時金として貸与される利息がかかる入学時特別増額です。一方、海外留学のための奨学金の種類は、無利息の第一種と、利息がかかる第二種と、留学する月に一時金として増額貸与される利息がかかる留学時特別増額です。

日本学生支援機構の奨学金の特徴

日本学生支援機構の奨学金は、学校を通して申し込みができます。申込方法として進学前に通っている学校から申し込みをする予約採用と、入学後の春に申し込みを在学採用とがあるのです。奨学金は、原則採用された月から卒業するまで毎月1回指定した金融機関に振り込まれます。

貸与型奨学金の返済は、貸与が終了した後に始まります。毎月の返済額や返済期間は貸与された金額によって変わりますが、4年生大学で4年間の貸与で、おおよそ月々1万3千円から2万6千円程度の金額が14年から20年くらい続くと考えて良いでしょう。

国の教育ローンと民間の教育ローンとの比較

国の教育ローンと民間の教育ローンとの違いですが、まずは審査方法が違います。国の教育ローンは、経済的な理由で教育を受けられなくならないように年収の低い人でも借りられます。むしろ年収に上限を設けているため、年収の高い人は利用することができません。

一方、民間の教育ローンは、他の金融機関のローンと同様に近い審査をするため、あまり年収の低い人は、審査に通らない可能性があるのです。金利については、民間の教育ローンの中には国の教育ローン並みや、保証料を考慮するとむしろ安くなるようなところもあります。

また、民間の教育ローンは、金融機関によっていろいろ違いますので、単純にひとくくりにはできません。ここでは、いろいろな民間の教育ローンを紹介して、その商品性について説明していきます。

ろうきんの教育ローン

・金利:変動金利年2.2%~、固定金利年2.4%~
・借入金額:最高2,000万円まで
・借入期間:最長15年
・利用条件:団体会員の構成員、生協会員の組合員と同一生計家族、一般の勤労者

ろうきんとは、労働金庫のことで働く人のための金融機関です。現在は全国に13のろうきんが存在しています。ろうきんを利用できるのは、基本的には労働組合や生活協同組合などのろうきんの会員です。ただし、ろうきん友の会への入会や個人会員として出資すればろうきんを利用することができます。

ろうきんの教育ローンの最大の特徴は、低金利でろうきん指定の保証協会の保証料をろうきんが負担してくれることです。そのため、資金使途も入学金や授業料などの教育資金の他に、他の金融機関で借りている教育ローンの借換資金としても利用できます。返済方法は、毎月返済でも加算月併用返済でもできますし、元金を最長5年間据置くこともできます。

JAバンクの教育ローン

・金利:地域のJAバンクによる
・借入金額:10万円以上最高1,000万円まで
・借入期間:最長15年
・利用条件:20歳以上で最終償還時年齢が71歳未満、前年税込年収が200万円以上、勤続年数が1年以上

JAバンクの教育ローンは、地域のJAバンクによって金利が変わってきますが、概ね金利が低いため人気が高いです。資金使途は、入学金や授業料の他にも、子供が一人暮らしを始める時のアパート代などの住宅資金を含むあらゆる教育資金に利用できます。

返済方法は、毎月返済の他にもボーナス併用返済も選択できます。他にも、在学中は元金を据え置いて利息だけ払って、卒業後に元金と利息を払っていく方法も選択できるのが特徴の一つです。また、24時間365日いつでもインターネットから仮申し込みができますので、忙しい人でも申し込むことができます。

住信SBIネット銀行 MR.教育ローン

・金利:年1.775%~3.975%
・借入金額:10万円以上最高1,000万円まで
・借入期間:最長10年
・利用条件:申込時に満20歳以上で完済時に満70歳未満、安定して継続した収入があること、外国籍であれば永住者であること

住信SBIネット銀行のMR.教育ローンの特徴は、金利が安いことです。住信SBIネット銀行で住宅ローン残高がある人は、金利が最大年1%の引き下げ(最低金利年1.775%)になります。

資金使途は入学金や授業料などの教育関係資金だけでなく、教科書代や通学費用や下宿費用にも利用できます。また、他の金融機関で借入している教育ローンの借換資金としても利用できるのです。

さらに、支払が終わった後の資金でも、3ヵ月以内の支払であれば借入することができます。他にも、借入当初の5年間であれば、利息だけの返済を選択することができます。

三菱UFJ銀行 ネットDE教育ローン

・金利:年3.975%
・借入金額:30万円以上最高500万円まで
・借入期間:最長10年
・利用条件:申込時に満20歳以上で完済時に満70歳の誕生日まで、前年度の税込年収が200万円以上、勤続年数が1年以上

三菱UFJ銀行のネットDE教育ローンは、インターネットで申し込みから融資実行まで来店の必要がない教育ローンです。塾や専門学校の入学金や授業料にも利用できます。また、教育資金の金額が確定する前でも3ヵ月前から申し込みができますし、支払済の教育資金でも2ヵ月以内であれば申し込むことができます。

金利の中に、保証料や事務手数料が含まれているのが特徴の一つです。さらに、インターネットからの繰上返済であれば、繰上返済手数料が無料です。

まとめ

経済的な問題により教育を受けたくても受けられない人を減らすために、日本政策金融公庫の提供する国の教育ローンは存在しています。収入が低いため進学を諦める前に、国の教育ローンのような救済措置的制度もありますので検討をしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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