ペットの一生にかかる費用は200万円超のケースも。だからこそペット保険を契約すべき理由と選び方を解説

2020年に入り、新型コロナウイルスが流行したことで、家で過ごす時間が長くなる人が増えました。そのため「家でできて楽しめること」が注目されたのも事実です。中には「せっかく家にいる時間が増えたのだから、ペットを新しい家族に迎えよう」と考えた人もいるでしょう。しかし、ペットを飼うのにはある程度の覚悟が必要なのも事実です。そこで、今回はペットを飼い始めてもお金や病気のことで苦労しなくてもいいよう

  • ペットを飼う際の費用
  • ペット保険を契約すべき理由
  • ペット保険の選び方

について学んでおきましょう。

ペットを飼う場合、どれだけ費用がかかるのか

最初に、ペットを飼う場合、どれだけ費用がかかるのかについて知っておきましょう。今回は一般社団法人日本ペットフード協会による「令和元年 全国犬猫飼育実態調査」のデータを用いて解説していきます。

犬を飼う場合

犬の場合、1ヶ月あたりの支出総額(1頭飼育者の場合)の平均は以下の通りでした。なお、これらには医療費も含まれています。

支出総額11,562円
主食用ドッグフードへの支出額3,148円
おやつ用ドッグフードへの支出額1,292円

また、一生面倒を見る場合の費用=生涯必要経費および平均寿命は、以下のようになっています。

犬種平均寿命生涯必要経費
全体14.44歳2,004,139円
超小型15.20歳2,201,448円
小型13.99歳1,864,155円
中型・大型13.69歳1,903,980円

実際にどれだけかかるのかは

  • その犬の年齢、健康状態、元からの体質
  • その家庭の家族構成、嗜好、経済状況

によっても異なりますが、決して安いものではないことはわかるはずです。

猫を飼う場合

猫の場合、1ヶ月あたりの支出総額(1頭飼育者の場合)の平均は以下の通りでした。なお、犬の場合と同じく医療費も含まれています。

支出総額7,485円
主食用キャットフードへの支出額2,746円

また、生涯必要経費は以下の通りです。

猫の状況平均寿命生涯必要経費
全体15.03歳1,344,751円
外に出る13.20歳1,375,716円
外に出ない15.95歳1,391,199円

犬よりはだいぶ安い印象を受けますが、それでも100万円を切る可能性は低いでしょう。

ペット保険を契約すべき3つの理由

犬や猫などのペットに関連する支出のうち、比重が高いものが医療費です。近年では飼い主の負担を減らすための商品として、ペットが動物病院で診察・入院・手術を受けた場合、費用の一部(50%~70%が相場、100%のケースもある)を負担するペット保険も出てきました。日本で最初にペット保険の募集が開始されたのは1995年からとかなり歴史が浅いですが、安心してペットを飼うという意味では、入っておいたほうがいいでしょう。

その理由として

  1. 公的医療保険はない
  2. 専門的な知識がないと具合が悪い理由が特定できない
  3. 獣医師に診せないと法に触れる恐れもある

の3つを解説しましょう。

1.公的医療保険はない

日本の場合、人間であれば公的医療保険が利用できるので、自由診療など利用できない治療を受けない限りは、医療費が天井知らずになってしまうことはまずありえません。

また、仮に生活に困窮してしまい、生活保護を受けた場合は、公的医療保険には入れなくなりますが、代わりに医療扶助が受けられます。簡単にいうと、公的医療保険の範囲内の治療を受ける場合は、自己負担分がゼロになるということです。

結局のところ、少なくとも日本においては「お金がないから」という理由で治療が受けられないことはありません。

しかし、ペットの場合、このような公的医療保険は存在しません。また、獣医師の診療料金は、どこの動物病院にかかるかによってまちまちです。

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実は、独占禁止法との関連で、標準報酬を決めてはいけない決まりになっているんですよ。

自宅の近所に診察料金が安くて、しかも腕もいい動物病院があるなら、何ら問題はありません。しかし、そんな保証はどこにもないのも事実です。自宅の近所の動物病院が「腕はいいけど、相応の料金を取る」病院であることも十分に考えられるので、どちらに転んでも大丈夫なように、費用を確保できる体制にしておいたほうが気兼ねなく動物病院に連れていけるでしょう。

2.専門的な知識がないと具合が悪い理由が特定できない

人間と動物の決定的な違いは「言葉で自分の状態を伝えられるか」です。人間であれば(さすがに小さい子どもは無理ですが)、自分の体調が優れないと思っても「これはすぐにでも病院に行った方がいいのか」「しばらく様子を見ても大丈夫そうなのか」ある程度は判断できます。

しかし、ペットの場合、ぐったりしていたところで、それが「すぐにでも動物病院に連れていくべきなのか」「ただ単に疲れているだけなど、あまり心配しなくてもいいことなのか」のどちらにあたるのかは、なかなか判断できません。専門的な知識のある人=獣医師に診せないと、本当のところは何もわからないでしょう。

このように、動物の場合、具合が悪そうだったとしても、問題を特定するには、動物病院に連れていき、診察を受けさせるしかありません。おのずと動物病院に連れていく機会も多くなりがちなのです。

3.獣医師に診せないと法に触れる恐れもある

近年は、日本でも法律(動物愛護管理法)が整備され

  • 動物をいじめたり、傷つけたり、殺す
  • 動物を遺棄=捨てる

などの行為が、刑法上の犯罪として扱われるようになりました。

そして、すでに飼っているペットに対し

  • 世話をしないで放置する
  • エサや水をあげない
  • 具合が悪そうにしていても病院に連れていかない

などのネグレクト(放置)を行った場合も「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられます。

つまり「動物病院はお金がかかるから」という理由で連れていかず、結果としてペットを死なせてしまった場合は、刑事事件として立件される=逮捕・起訴される可能性もあることに注意しましょう。

ペット保険の選び方

ペットには公的医療保険もない上に、専門的な知識がなければ体調が悪そうな原因も特定できません。また、明らかに体調が悪いのに動物病院に連れて行かずに放置したら、ペットを死なせてしまうこともありうる上に、最悪、自分が動物愛護管理法違反の罪で逮捕される可能性も出てきます。

つまり、ペットを飼う以上は「何かあったらいつでも病院に連れて行き、十分な治療を受けさせてあげられる」状態にしておくのが基本です。

そう考えると、やはりペット保険には必ず入るべきでしょう。そこで、ここではペット保険への加入を検討する際にチェックすべきポイントとして

  • 毎月いくらまでなら保険料が払えるか確認する
  • どんなペットなら対象になる保険か確認する
  • 満年齢が何歳までなら入れるのか確認する
  • 何をどこまでカバーしてくれるのか確認する
  • 自分が通っている動物病院での請求方法を確認する

の5点を解説しましょう。

毎月いくらまでなら保険料が払えるか確認する

ペット保険も、人間の医療保険と同じで、補償してくれる範囲が広ければ広いほど、毎月の保険料は高くなります。もちろん、相応の補償を求めるなら、相応の出費は覚悟しなくてはいけませんが、そのために人間の生活がままならなくなっては本末転倒です。そこで最初にやるべきなのは「自分たちの場合、毎月いくらまでなら保険料が払えるか」を考えることでしょう。

家電製品などの価格比較サイト「価格.com」の運営会社であるカカクコムグループ傘下の保険販売会社、カカクコム・インシュアランスの調査によれば、1年間のペット保険の保険料の平均は年額49,789円(月額にすると4,149円)とのことです。大体1年間で5万円程度と考えておけばいいでしょう。

参照:価格.com保険、「ペット保険の加入に関する調査」結果を発表!|株式会社カカクコムのプレスリリース

もちろん、これはあくまで平均値であるため、実際にはこれより低かったり、高かったりすることは十分にあり得ます。あくまで参考の1つとして考えてください。

犬の場合は犬種によっても保険料が異なる

ペットとして犬を飼っている場合、犬種によっても毎月の保険料が異なることに注意しましょう。また、いわゆるミックス犬の場合

  • 申込時点・更新時点での体重を基準に保険料を決める
  • 父親・母親の犬種を基準に保険料を決める

など、保険会社によって保険料を決める際の基準が異なります。

どんなペットなら対象になる保険か確認する

飼っているペットが犬や猫ならあまり気にする必要はありませんが、うさぎ・鳥・フェレットなどの犬、猫以外の動物をペットとして飼う場合は、加入できるペット保険自体がかなり限られてくるので注意しましょう。

なお、犬、猫以外の動物(エキゾチックアニマルという場合もあります)の加入を受け付けているペット保険は、以下の会社で扱っています。

社名保険商品名対象となる動物
アイペット損害保険株式会社うちの子Cute鳥類、うさぎ、フェレット、プレーリードッグ、ハリネズミ、モモンガ、リス、デグー、チンチラ、モルモット、カメ、トカゲ、カメレオン、イグアナなど
SBIプリズム少額短期保険株式会社プリズムコール鳥類、うさぎ、フェレット、チンチラ、デグー、ハリネズミ、リス、モモンガ、プレーリードッグ、モルモット、ハムスター、カメ、イグアナなど
アニコム損害保険株式会社どうぶつ健保はっぴぃ鳥・うさぎ・フェレット・モモンガ・リス・ハムスター・ネズミ・モルモット・ハリネズミ・カメ・トカゲ・チンチラ・ヘビ

満年齢が何歳までなら入れるのか確認する

人間の医療保険の場合と同じく、ペット保険においても、年齢が上がるほど入れる商品は少なくなります。

最も簡単なのは、飼い始めてからすぐに、小さいうちにペット保険に入ってしまうことですが、そうもいかなかった場合は「満年齢が何歳までなら新規加入できるのか」を確認するようにしてください。

シニア向けペット保険も検討しよう

「今までペット保険に入ってこなかったけど、やっぱりあったほうがいい?」と思う場合、年齢が高すぎて通常のペット保険には入れないケースも珍しくありません。そのような場合は、シニア向けペット保険を検討しましょう。

例えばアニコム損害保険株式会社の「どうぶつ保険 しにあ」は、8歳以上の動物が入院・手術を受けた場合の費用を補償することに特化した商品です。

保険料が上がるタイミングも確認しよう

また、ペット保険の場合、人間の定期医療保険と同じく、年齢に応じて保険料は上がっていきます。保険料の上がり方のパターンは

  • 年齢に応じて毎年保険料が上がっていく
  • 一定の年数を経過したタイミングで保険料が上がる

の2つに大まかに分類されます。自分が入ろうとしているペット保険がどちらにあたるのか、確認しておきましょう。

何をどこまでカバーしてくれるのか確認する

ペット保険の基本的な性質は「動物病院で獣医師による治療を受けた場合の費用の全部・一部を補償する」ことです。そのため、獣医師による処置ではあるもの、治療には当てはまらないものに関しては、ペット保険の対象とならないため、費用の給付を受けられません。

免責事項を確認しよう

費用の給付が受けられない病気、治療については、ペット保険の約款において免責事項として規定がなされています。例えば、以下の病気、治療、獣医師による処置は、免責事項に当てはまることが多いです。

大分類具体例
既往症・先天性異常契約開始前から、待機期間中に発生していたケガや病気、先天性異常
出産・妊娠に関わる費用交配、妊娠、出産、早産、帝王切開、流産、人工流産ならびにそれらによって生じた症状およびケガ・病気
(保険制度運営上)ケガ・病気にあたらないもの歯石取り、肛門腺しぼり、去勢(停留睾丸による去勢を含む)、避妊手術など
ワクチン等の予防接種により予防できる病気狂犬病、ジステンパー、伝染性肝炎、アデノウイルス2型感染症、パルボウイルス感染症など
予防費用マイクロチップの装着費用、予防接種、フィラリア予防、ノミ・マダニの寄生予防
検査、代替医療健康診断費用、症状を伴わない血液検査・糞便検査費用、代替療法、減感作療法など
健康食品・医薬部外品持ち帰りのシャンプー、イヤークリーナー、サプリメントなど
治療付帯費用時間外診療費、往診料、文書作成料、ペットホテルまたは預かり料、カウンセリング料、相談料、指導料など

費用の補償割合も確認しよう

ペット保険の保障内容は「動物病院で獣医師による治療を受けた場合の費用の全部・一部を補償する」ことですが、実際の補償割合は個々の商品によって異なります。一般的には、かかった費用の50%~70%を補償する商品が多いようです。近年は100%補償するものも出てきました。当然、補償割合が高ければ高いほど、毎月の保険料は高くなります。

「保険料としていくらまでなら払えるか」と「どれくらい保険金の給付を受けたいか」の2点を考え、バランスを取りながらペット保険を選びましょう。

回数、日数、金額の上限にも注意

ペット保険にも、人間の医療保険と同じように給付金支給の対象となる

  • 通院回数の上限
  • 入院日数の上限
  • 入院、手術にともなう診療報酬の上限

が設けられていることがあります。上限を超えてしまうと、残りの部分は全額自己負担になるので、注意が必要です。

もし、自己負担が生じることに抵抗があるなら、上限日数、回数が多いものや金額が大きいものを選ぶといいでしょう。

ペット&ファミリー損害保険会社の「げんきナンバーわんスリム」は

  • 入院、通院1日あたりの支払限度額
  • 支払回数

に制限のない商品です。1年間の給付金の支払限度額が70万円もしくは50万円という制限はありますが、回数には制限がない上に、かかった費用は100%補償が受けられます。

持病がある場合はどこまでなら大丈夫か確認する

人間の場合、持病がある人が医療保険に入るには

  • 特定部位不担保の契約を結ぶ
  • 引受基準緩和型の医療保険を選ぶ

などの方法をとることになります。しかし、ペット保険の場合は、特定傷病除外特約を結んだ上で入るのが一般的です。人間でいうところの「特定部位不担保の契約を結ぶ」にあたります。

なお、ペット保険の場合は「いかなる場合でも加入ができない病気」を設けているのも珍しくありません。例えば、アニコム損害保険株式会社の場合、以下の14疾患を「加入ができない病気」として定めています。

(1)悪性腫瘍(2)慢性腎不全(3)糖尿病(4)肝硬変(肝線維症)(5)副腎皮質機能低下症(アジソン病)(6)副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)(7)甲状腺疾患(8)免疫介在性血小板減少症(9)免疫介在性溶血性貧血(10)巨大結腸症(11)巨大食道症(食道拡張症)(12)膵外分泌不全(13)猫伝染性腹膜炎(FIP) (14)猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

出典:補償内容│ペット保険「どうぶつ健保ふぁみりぃ」│ペット保険の加入は「アニコム損害保険株式会社」

具体的にどんな病気が指定されているのかは、それぞれの損害保険会社、少額短期保険会社において異なるので確認しましょう。

自分が通っている動物病院での請求方法を確認する

ペット保険も人間の医療保険と同じように、動物病院で診察、入院、手術を受けた場合に、保険会社に対して請求を行うことで、給付金が支給されるのが基本的な仕組みです。しかし、近年では日本でもペット保険が普及しだしたことにより

  • LINEで診療報酬の領収書、明細書の写真を送付すると給付金の支給手続きができる
  • 動物病院の窓口に被保険者証を出すと、給付金として支給される分を差し引いた上で自己負担分が計算され、支払いができる

など、より簡単に給付金を請求できる方法を取り入れている損害保険株式会社や少額短期保険会社も増えています。

より便利に使うためには、自分が通っている動物病院では、どこの保険会社のペット保険なら、簡便な手続きで給付金が請求できるのかなど、リサーチをしておくといいでしょう。
パンダFP
m_kikuchi
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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級

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