労働金庫の自治体提携ローン(勤労者貸付制度)でお金を借りる方法。メリットデメリット・お金を借りるまでの手順を丁寧に解説

目次

労働金庫の自治体提携ローン(勤労者貸付制度)でお金を借りる方法とは

最初に、労働金庫の自治体提携ローン(以下、勤労者貸付制度)について、基本的なところを解説しましょう。

地方自治体と労働金庫が提携して運営している

勤労者貸付制度は、都道府県・市区町村などの自治体と労働金庫が提携し

  • その自治体に所定の年数以上住んでいる
  • 継続安定した収入がある(必須ではないケースもある)
  • 年収が一定の金額以下である

など、所定の条件を満たす住民に対し、民間の金融機関に比べて有利な条件で貸付を行う制度のことです。都道府県や市区町村によっては「勤労者貸付」という言葉を使わないケースもありますが、基本的な仕組みは覚えておきましょう。

都道府県・市区町村ごとの事例

勤労者貸付制度に相当する制度自体を設けるか、どのように運用するかは、自治体の自治に任されています。つまり、場所が違えば細かい部分もかなり違うので

  • 神奈川県横浜市
  • 埼玉県

の場合をみてみましょう。

事例1.横浜市の場合

横浜市の場合、厚生資金貸付および両立資金貸付が従来から勤労者貸付制度として設けられていました。また、2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、2020年6月から2021年3月31日までの期間限定の制度として、コロナ対策資金貸付が設けられています。

項目/制度名厚生資金貸付両立資金貸付コロナ対策資金貸付
資金用途教育、生活資金、増改築、耐久消費財購入、冠婚葬祭、医療、出産、職業能力開発、余暇活動、住居移転、こども、介護育児・介護休業中の生活費新型コロナウイルス感染症の影響による生活資金関連費
貸付金利(年利)2.0%(教育費は1.7%、増改築費は1.4%)※別途保証料として0.7%~1.2%必要。1.0%※別途保証料として0.7%~1.2%必要。1.0%※別途保証料として0.7%~1.2%必要。
貸付上限額200万円(ただし、余暇活動費及び自動車購入のための貸付は、100万円)
※上限の範囲内で、複数の貸付を利用可能。
150万円100万円※上限の範囲内で、複数の貸付を利用可能。

なお、利用する際の条件は以下の通りです。

貸付対象者1)市内に居住し、同一勤務先に1年以上勤務している
2)市内に勤務先があり、同一勤務先に1年以上勤務している
返済期間10年以内
※コロナ対策資金貸付は、5年以内
返済方法元利均等月賦返済(一時金併用可)
teacher
その他の詳細は、横浜市のホームページを見てください。

事例2.埼玉県の場合

埼玉県は「勤労者向け融資制度」という名前で、勤労者貸付制度を運用しています。まず、どんな貸付制度があるのかについて、表にまとめました。

項目/制度名子育て・介護両立応援資金働くあなたの教育応援資金チャレンジ応援資金
資金用途子育て・介護の必要経費、子ども・親族の医療費、不妊治療費扶養する子どもの小学校入学以降に必要な教育費勤労者・失業中の人が資格取得を目的として講座を受講する際の学費。勤労者向けの「キャリアアップ支援」と失業中の人向けの「再就職支援」がある。
貸付金利(年利)1.7%(保証料込)2.4%(保証料込)「キャリアアップ支援」2.4%(保証料込)
「再就職支援」2.0%(保証料込)
貸付上限額200万円200万円50万円

なお、利用する際の条件は以下の通りです。

子育て・介護両立応援資金/働くあなたの教育応援資金/チャレンジ応援資金(キャリアアップ支援)以下のすべてに該当する給与所得者
1)県内に1年以上居住
2)20歳以上65歳以下
3)同一勤務先に1年以上勤務
4)申込者の前年の給与収入が800万円以下
チャレンジ応援資金(再就職支援)以下のすべてに該当する給与所得者
1)県内に1年以上居住
2)20歳以上65歳以下
3)雇用保険制度の「教育訓練給付金」の支給対象者
4)雇用保険受給資格者または教育訓練受講開始時に雇用保険受給資格者であったこと
5)離職時の勤務先に1年以上勤務
6)離職前、主として世帯の生計を維持
teacher
その他の詳細は、埼玉県のホームページを確認してください。

労働金庫の営業店などで相談しよう

man
そんな制度があるんですね。やっぱり、市役所とか県庁に行って相談するんですか?
teacher
そこらへんは気を付けたほうがいいですね。

勤労者貸付制度は自治体と労働金庫が提携して運用する制度ですが、実際に利用する際は、労働金庫の営業店に出向き、相談~申し込み~審査~融資の実行と進んでいきます。利用を検討している場合は、まずは自分の勤務先や自宅の近所の労働金庫に出向き、勤労者貸付制度を利用したい旨を伝えましょう。

労働金庫の自治体提携ローン(勤労者貸付制度)でお金を借りる方法のメリット

次に、勤労者貸付制度でお金を借りる方法のメリットとして

  1. 金利が低い
  2. 民間のローンに比べると審査のハードルが低い
  3. パート、アルバイト、契約社員でも利用できる

の3つを解説しましょう。

1.金利が低い

勤労者貸付制度は各自治体と労働金庫が提携して運用しています。そして、労働金庫は本来、労働者の経済的地位の向上を目指して設立された金融機関です。営利を目的としていないため、同じような商品であっても、銀行などの民間企業が運営するものに比べると、各段に金利は低くなっています。

試しに、銀行の教育ローン(三井住友銀行・教育ローン(無担保型))と埼玉県の「働くあなたの教育応援資金」について、2020年9月時点での金利を比べてみましょう。

  • 埼玉県・働くあなたの教育応援資金:年2.4%
  • 三井住友銀行・教育ローン(無担保型):年3.475%

年利にして1.0%も違います。つまり、200万円借りた場合、1年間の利息は2万円も多くなるのです。

teacher
金利を節約したいと思うなら、やはり公的な制度の方が使いやすいんでしょうね。

2.民間のローンに比べると審査のハードルが低い

勤労者貸付制度は、営利のためというよりは、その自治体の住民の利益に役立てるための制度として位置づけられています。そのため、銀行などの民間金融機関が提供するローンに比べて、勤労者貸付制度の方が、審査に通りやすい傾向があるでしょう。民間のローンの審査に通らなかった場合の受け皿としても利用できるのが、この制度の特徴です。

teacher
目安としては、前年の税込み年収が150万円以上であれば、申し込みができると考えましょう。

3.パート、アルバイト、契約社員でも利用できる

多くの市区町村で勤労者貸付制度を利用する際の条件として設けられているのが「給与所得者」であることです。

teacher
もちろん、「労働者を使用していない事業者」(フリーランス、一人会社の社長)を利用する上での条件に加えているケースもあります。

給与所得者というのは、平たくいうと「どこかに勤めて給料をもらっている人」のことなので、正社員はもちろん、パート、アルバイト、契約社員であっても利用できます。

teacher
1年以上同じところに勤めているなら、利用できるチャンスはありますよ!

労働金庫の自治体提携ローン(勤労者貸付制度)でお金を借りる方法のデメリット

一方、勤労者貸付制度でお金を借りる方法にはデメリットもあります。デメリットとして

  1. 引っ越してきたばかりでは使えないこともある
  2. 転職したばかりでは使えないこともある
  3. 自営業、フリーランスの場合は使えないこともある
  4. 早い者勝ちの部分もある
  5. 制度自体がなくなるリスクもある

の5つを解説しましょう。

1.引っ越してきたばかりでは使えないこともある

勤労者貸付制度は、各自治体に居住している住民の利益のために行う制度という側面も有しています。そのため、ある程度の期間、そこに住んでいる(住民票がある)住民を対象に制度が設計されているのも特徴です。

多くの自治体で「1年以上居住」を勤労者貸付制度を利用するための条件として設けているので、引っ越してきたばかり(住民票を移したばかり)では利用できません。

2.転職したばかりでは使えないこともある

同様に気を付けるべきなのが、転職したばかりの人が勤労者貸付制度を利用しようとするケースです。勤労者貸付制度は、公共の利益を最優先にして運用される制度ではあるものの、利用しようとする人が相応の返済能力を有しているかは、慎重に見極める必要があります。このあたりの扱いが甘く、延滞・滞納を繰り返す利用者が続出しては、制度自体を存続できなくなるリスクがあるためです。

そこで「同じ勤務先に1年以上勤続している」など、勤続年数に関する条件を設けています。裏を返すと、転職したてや、失業中の場合は利用できない制度であるということです。

3.自営業、フリーランスの場合は使えないこともある

自治体によっても扱いが分かれますが、勤労者貸付制度を利用できる人を「給与所得者」に限っている自治体は多く存在します。この場合、自営業、フリーランスのような「事業所得者」は勤労者貸付制度を利用できません。

teacher
中には「従業員を雇用していない事業者」など、1人で仕事をしているフリーランスの人なら利用できるケースもあります。しかし、全体から見ればごく少数かもしれませんね。

4.早い者勝ちの部分もある

勤労者貸付制度を実施している自治体であっても、1年間にどれだけの予算をこの制度のために振り分けられるかは、個々の事情によって違いがあります。勤労者貸付制度を利用したいと思っても、利用希望者が多く、貸付総額が制度予算上限額に達した場合は、新規貸付が停止されることもある点には注意しましょう。

いわば、早い者勝ちの部分もあるので、利用しようと思ったら、なるべく早く労働金庫に行きましょう。

5.制度自体がなくなるリスクもある

勤労者貸付制度は、あくまで自治体が独自の判断で、導入するかどうかを決定するものです。そのため、税収が少なく、余裕のない自治体は制度自体を導入していないこともあります。

また、今は勤労者貸付制度を導入している自治体であったとしても、税収が減ったり、大規模な震災や集中豪雨などの災害が起きたりした場合は、勤労者貸付制度自体を取りやめ、他の優先度の高い制度に予算を振り向ける決断をすることもあり得るのです。

勤労者貸付制度を取りやめるかどうかは、最終的には自治体の首長が決定することであるため「いつ、どこの自治体がやめる」ということは断言できません。

しかし、自分が住んでいる自治体が、勤労者貸付制度自体を取りやめる可能性があることは、常に頭においておきましょう。

労働金庫の自治体提携ローン(勤労者貸付制度)でお金を借りるまでの手順

次に、勤労者貸付制度を利用してお金を借りる際の手順について解説しましょう。大まかな流れはどこの自治体でも大差はありませんが、ここでは、神奈川県横浜市の場合を例にして説明します。

1.労働金庫の支店に問い合わせをする

勤労者貸付制度自体は、自治体(ここでは横浜市)と労働金庫(ここでは中央労働金庫)が提携して運用しています。そのため、まずは労働金庫の支店に問い合わせをして、契約者貸付制度を利用したい旨を伝えましょう。横浜市内の中央労働金庫の支店は以下の通りです。

店舗名電話番号FAX番号所在地最寄駅
横浜支店045-661-5511045-640-1131中区山下町24-1みなとみらい線日本大通り駅
鶴見支店045-521-0721045-510-1019鶴見区鶴見中央4-37-37-101京急線京急鶴見駅
新横浜支店045-476-7575045-470-2350港北区新横浜2-19-17JR・市営地下鉄線新横浜駅
杉田支店045-774-1212045-770-1216磯子区新杉田町3-8JR線新杉田駅
星川支店045-331-1551045-338-3043保土ケ谷区川辺町4-6相鉄線星川駅
戸塚支店045-861-2111045-860-1384戸塚区戸塚町3983JR・市営地下鉄線戸塚駅
新横浜ローンセンター045-476-7585045-472-3921港北区新横浜2-19-17JR・市営地下鉄線新横浜駅
戸塚ローンセンター045-881-4031045-869-3017戸塚区戸塚町3983JR・市営地下鉄線戸塚駅
コンサルティングプラザ横浜045-461-3601045-461-3602西区高島2-10-12スカイビル17階横浜駅

2.提出書類を用意する

実際に勤労者貸付制度を利用する場合は、労働金庫に仮審査申込書と同意書を提出しなければいけません。横浜市の場合、公式ホームページからPDFファイルをダウンロードできるので、印刷して必要事項を記入し、当日持参しましょう。もちろん

  • 印刷環境がない
  • 書き方がわからないから担当者に聞きたい

場合は、問い合わせの際にその旨を伝えれば、当日書類を用意してくれるはずです。

3.実際に労働金庫の支店に行く

仮審査の申し込みなどの手続きは、実際に労働金庫の支店に出向いて進めることになります。次の物を忘れずに持っていきましょう。

  • 本人の源泉徴収票、確定申告書(3期分)
  • 写真付きの本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
  • 健康保険証
  • 印鑑
teacher
他にも持ってくるよう指示されたものがあれば、忘れないようにしましょう!

4.書類を提出し、審査を受ける

労働金庫の店舗に出向いたら、係員とやり取りをし、手続きを進めます。必要な書類をすべて提出したら審査に進む流れです。

5.融資が実行される

仮審査、本審査ともに通過したら、融資が実行されます。あとは、あらかじめ定められた条件に従い、返済していきましょう。

teacher
大まかな流れはどこでもそう変わらないと思いますが、細かい違いはやはりあるはずです。ご自身が実際に使う自治体の勤労者貸付制度の利用の流れは、一度確認しておいたほうがいいですよ。

労働金庫の自治体提携ローン(勤労者貸付制度)でお金を借りる際の注意点

最後に、労働金庫の自治体提携ローン(勤労者貸付制度)でお金を借りる際の注意点について解説しておきましょう。

  1. 自分が住んでいる都道府県、市区町村に制度があるか確認する
  2. 利用を検討する際は、なるべく早めに相談に行く

の2点について解説します。

1.自分が住んでいる都道府県、市区町村に制度があるか確認する

勤労者貸付制度が導入されているかどうかは、自治体によっても差があります。まずは、自分が住んでいる都道府県、市区町村に制度があるかを確認しましょう。市区町村レベルでは導入されていなくても、都道府県レベルでは導入されていることもあるので、それぞれの公式ホームページを確認してください。

また、自力ではわかりそうにない場合は、市区町村役場に電話したり、直接出向いたりなどして、勤労者貸付制度もしくはそれに相当する制度があるかどうかを聞いてみましょう。都道府県レベルで導入されている場合は、その旨を教えてくれるはずです。

もちろん、家や職場の近所の労働金庫に直接出向き、勤労者貸付制度もしくはそれに相当する制度があるかを確認しても構いません。

2.利用を検討する際は、なるべく早めに相談に行く

勤労者貸付制度を利用する場合、気を付けておきたいのは「まごまごしていると、予算を使い切ったなどの理由で申込自体を断られるケースもある」ということです。勤労者貸付制度を導入している自治体であったとしても、1年間の予算は限られているので、タイミング次第では予算を使い切ってしまうこともありえます。利用を検討する際は、なるべく早めに相談に行きましょう。

teacher
最近は「ローンプラザ」とか「コンサルティングオフィス」などの名前で、勤労者貸付制度をはじめとしたローンの相談に土日祝日でも応じてくれる支店もできています。平日の昼間に時間がとれなくても大丈夫なので、なるべく早く足を運んでくださいね。
パンダFP
m_kikuchi
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大学院まで行って公認会計士を目指していたものの、紆余曲折を経て今は「日本一、お金のことを楽しくわかりやすく説明できるライター兼ファイナンシャルプランナー」目指して活動中です。日本FP協会のイベントのお手伝いもしています。保有資格)日本FP協会認定AFP、FP技能検定2級、税理士会計科目合格、日商簿記検定1級、全経簿記能力検定上級

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