猛暑と株式市場の関係。今年の夏相場はサマーラリー?それとも夏枯れ相場?

関東甲信地方の梅雨明けが観測史上最速の6月中に発表されました。7月になると全国的に梅雨明けとなり、猛暑日、真夏日になる地域が増えています。岐阜県多治見市では18日、40.7度を記録し、今年の全国最高気温になりました。7月に40度を超えたのは甲府市で40.4度を記録した2004年以来14年ぶりのことです。

猛暑は株式市場にどう影響を与えるのか、またこの時期はアメリカではサマーラリー、日本では夏枯れ相場と呼ばれています。実際にどのように動いているのかを検証していきます。合わせて、猛暑関連銘柄も取り上げます。

猛暑日とは

猛暑日とは、日中の最高気温が35度以上の日のことをいいます。

ちなみに、日中の最高気温が25度以上の日を夏日、30度以上の日を真夏日といいます。

2007年から気象用語として使われるようになりました。

最近では猛暑日という言葉は毎年のように使われていますね。

真夏日日数

出典 東京管区気象台 

猛暑日日数

出典 東京管区気象台 

年々、気温は上昇していると言われていますが、猛暑日は近年、明らかに増えていることがわかります。

猛暑と景気

猛暑が景気にプラスになる可能性・・・気温が上昇すると、清涼飲料水やアイスクリーム、ビールの売り上げが伸びるなど、消費が活発になります。また、エアコン等の家庭用耐久財の売上にも増加が見込まれます。そうしたことから気温は景気に対して、プラスの影響を与えるものと考えられます。

第一生命経済研究所が、過去およそ20年間の7~9月の平均気温と消費との関係を調べたところ、平均気温が1度上昇すると、家計の消費を0.5%程度押し上げる効果がみられたということです。

ただし、夏に出費がかさむと、秋以降は節約モードに入ることが予想されるので注意が必要です。

サマーラリーとは

米国の株式市場で7月から9月にかけて株価が上昇しやすい現象のことです。具体的には7月4日の米国独立記念日から9月第一月曜のレーバーデー(労働者の日)までの期間を指します。バカンスに入る前に投資家がボーナスなどで株を買いだめするためといわれています。例年比較的おこりやすい現象としてよく知られるアノマリーです。

アノマリーとは

ある法則から見て異常、例外、または説明のできない事象のことです。これは、マーケットにおいては、はっきりとした理論的な根拠を持つわけではないものの、実際によく起こっている経験則のことをいいます。

例えば、

小型株効果 

株式の時価総額が小さい小型株は、大きい大型株よりも収益率が相対的に高くなりやすいことです。小型株は市場での注目度が低いため割安に放置されやすく、また今後の利益成長が期待できるとして収益が得られやすいとされています。

低PER効果 

PER(株価収益率)が低い銘柄は高い銘柄に比べて収益率が高くなりやすい傾向のこと。PERが低い銘柄はマーケットで過小評価されている傾向が強く、リスクの割に高い収益を得る可能性があるとされています。

1月効果 

1月の収益率が他の月よりも高くなりやすいこと。税金対策としての売りが年末にでる一方で、年明けには新規の投資資金が流入しやすいといわれています。また、大型株よりも小型株の方が上昇しやすい傾向にあります。

節分天井・彼岸底 

節分の時期(2月上旬)に高値をつけて、彼岸の時期(3月下旬)に安値をつけるというアノマリーです。年初から1月効果で上昇した株価が節分の時期まで上昇を続け、その後は3月決算などのイベントを控えて調整局面になり、しだいに下落していく傾向があることです。

などがあります。

アノマリーの原因

1.機関投資家や外国人投資家などは決算をにらんで売買するタイミングがある程度決まっている。また、夏休みやクリスマス休暇などのバカンスが長く、売買高が細ること。

2.アノマリーを信じる投資家が増えると、資金の流れをアノマリー通りにさせる。

米国企業決算予定

7月中旬から米国で決算発表が始まります。第2四半期(4-6月期)S&P500ベースの増益率は20%増との予想がでています。決算発表でNYダウやSP500など指数が動くこともあるので注意が必要です。

米主要企業の決算予定(2018年)

7月13日 JPモルガン、シティグループ

16日  バンク・オブ・アメリカ、ネットフィリックス

17日 ゴールドマン・サックス

18日 モルガン・スタンレー、IBM

19日 マイクロソフト

20日 ゼネラル・エレクトリック

23日 アルファベット(グーグル)

25日 フェイスブック、コカコーラ

26日 アマゾン・ドット・コム

31日 アップル

8月1日 テスラ 

夏枯れ相場とは

日本株の方は7-8月の時期は夏枯れ相場といわれ、株価は小幅に推移しやすい傾向にあります。日本の株式市場は外国人投資家の比率が高いため、外国人投資家が夏休みに入るこの時期は商いが増えないという現象が起こりやすくなります。また、ヘッジファンド等の45日前ルールにあたる時期でもあります。

45日前ルールとは

45日前ルールとは海外のヘッジファンドなどは、投資戦略を柔軟にし、資金を効率的に運用するために、解約できるタイミングが3ヶ月に1回だけ、あるいは半年に1回だけというように制限しているのが一般的です。

ファンド出資者は45日前までに、解約あるいは一部換金をファンドに通知するといった取り決めになっていることが多いようです。

3,6,9,12月の決算の45日前、つまり2,5,8,11月の15日頃となります。

8月はちょうどお盆の時期と重なっていることもあり、見送り要因の1つとなっています。

日経平均採用銘柄主要企業決算予定(2018年)

日本企業は7月下旬から決算発表が本格化し、8月2週前後でピークを迎えます。決算発表が終わると株式市場もお盆の時期と重なり売買が減る傾向にあります。

7月12日 9983ファーストリテイリング

25日 6954ファナック

26日 8035東京エレクトロン 7751キャノン 8604野村ホールディング

27日 6301小松製作所

30日 6762TDK 

31日 6971京セラ 6758ソニー 7267本田技研工業

8月1日 9433KDDI

2日 8058三菱商事 2502アサヒグループHD

3日 7203トヨタ自動車 

7日 9984ソフトバンク

夏の円高

為替市場では8月に円高が起こりやすいというアノマリーがあります。お盆の時期は日本の市場参加者が少なくなるので一方向に振れやすくなります。輸出企業がお盆の前にドルを円に換えて夏休みに入ることが多く、また8月は閑散になりがちなので、仕掛け的なヘッジファンドのドル円買いが多い時期でもあります。

NYダウ 日経平均株価 ドル円 推移

NYダウ、日経平均株価、ドル円の7月・8月月間パフォーマンスを2010年から比較し、サマーラリー、夏枯れ相場、夏の円高というアノマリーが近年起こっているのかを検証します。

月間の値動きを表にまとめてみました。

NYダウ7月パフォーマンス

平均騰落幅 241.76 平均騰落率 1.72%

始値高値安値終値終値ー始値騰落率
2010年9,773.2710,584.999,614.3210,465.94692.677.09%
2011年12,412.0712,753.8912,083.4512,143.24-268.83-2.17%
2012年12,879.7113,128.6412,492.2513,008.68128.971.00%
2013年14,911.6015,634.3214,858.9315,499.54587.943.94%
2014年16,828.5317,151.5616,563.3016,563.30-265.23-1.58%
2015年17,638.1218,137.1217,399.1717,689.8651.740.29%
2016年17,924.2418,622.0117,713.4518,432.24508.002.83%
2017年21,392.3021,929.8021,279.3021,891.12498.822.33%

出典 楽天証券より作成

日経平均株価7月パフォーマンス

平均騰落幅 147.89 平均騰落率 0.79%

始値高値安値終値終値ー始値騰落率
2010年9,296.869,807.369,091.709,537.30240.442.59%
2011年9,878.6910,207.919,824.349,833.03-45.66-0.46%
2012年9,103.799,136.028,328.028,695.06-408.73-4.49%
2013年13,746.7214,953.2913,562.7013,668.32-78.40-0.57%
2014年15,179.6415,759.6615,101.4915,620.77441.132.91%
2015年20,291.0520,850.0019,115.2020,585.24294.191.45%
2016年15,698.0216,938.9615,106.5216,569.27871.255.55%
2017年20,056.3220,200.8819,856.6519,925.18-131.14-0.65%

出典 楽天証券より作成

7月はサマーラリー効果が見られています。特にNYダウは平均で200ドル以上上昇しています。好調な企業決算が後押ししているのでしょう。日経平均株価もNYダウに付随する形で上昇することが多いようです。

NYダウ8月パフォーマンス

平均騰落幅 -284.23 平均騰落率 -2.02%

始値高値安値終値終値ー始値騰落率
2010年10,468.8210,719.949,936.6210,014.72-454.10-4.34%
2011年12,144.2212,282.4210,604.0711,613.53-530.69-4.37%
2012年13,007.4713,330.7612,778.9013,090.8483.370.64%
2013年15,503.8515,658.4314,760.4114,810.31-693.54-4.47%
2014年16,561.7017,153.8016,333.7817,098.45536.753.24%
2015年17,696.7417,704.7615,370.3316,528.03-1,168.71-6.60%
2016年18,434.5018,668.4418,247.7918,400.88-33.62-0.18%
2017年21,961.4222,179.1121,600.3421,948.10-13.32-0.06%

出典 楽天証券より作成

日経平均株価8月パフォーマン

平均騰落幅 -411.95 平均騰落率 -3.00%

始値高値安値終値終値ー始値騰落率
2010年9,574.649,750.888,807.418,824.06-750.58-7.84%
2011年9,907.0410,040.138,619.218,955.20-951.84-9.61%
2012年8,622.049,222.878,513.208,839.91217.872.53%
2013年13,674.5014,466.1613,188.1413,388.86-285.64-2.09%
2014年15,511.5415,628.7814,753.8415,424.59-86.95-0.56%
2015年20,540.2120,946.9317,714.3018,890.48-1,649.73-8.03%
2016年16,415.3116,943.6715,921.0416,887.40472.092.88%
2017年19,907.0820,113.7319,280.0219,646.24-260.84-1.31%

出典 楽天証券より作成

8月は夏枯れというよりは急落に注意する必要がありそうです。薄商いの中、仕掛け的な売りがでる可能性があります。NYダウも大幅に下落している年が多くなっています。

ドル円7月

始値高値安値終値終値ー始値
2010年88.349989.1585.9386.44-1.9
2011年80.5181.4876.7276.73-3.78
2012年79.8980.0977.9578.11-1.78
2013年99.25101.5397.5697.86-1.39
2014年101.32103.08101.04102.791.47
2015年122.46124.58120.38123.921.46
2016年103.25107.47100.02102.05-1.2
2017年112.12114.49110.18110.25-1.87

出典 ヤフーファイナンスより作成

ドル円8月

始値高値安値終値終値ー始値
2010年86.379986.879983.569984.16-2.21
2011年77.4180.239975.9376.58-0.82
2012年78.179.6677.9178.370.27
2013年97.8699.9495.7998.150.29
2014年102.78104.43101.49104.051.27
2015年124125.28116.46121.22-2.78
2016年102.05103.5399.53103.421.37
2017年110.24111.04108.25109.96-0.28

出典 ヤフーファイナンスより作成

ドル円に関しては近年、毎年8月に円高になるという傾向はみられません。ただ、2010年や2015年は2円以上円高が進み、日経平均株価も急落しているので注意が必要です。

Woman
8月は急落が多いみたいですね。気をつけた方がいいのでしょうか。
Expert
アノマリーで過去の傾向をつかむことは大事ですが、必ずしも毎年急落が起こっているわけではありません。ただ、急落もありうるということを念頭にいれておけば、実際に起こったときでも冷静に対処することができるでしょう。

猛暑関連銘柄

猛暑関連銘柄は清涼飲料水やアイスクリーム・氷菓、熱中症対策として日傘やエアコンメーカー、エアコンの販売増加が期待される家電量販店などがあります。

清涼飲料水

4578大塚製薬  2593伊藤園

ビール

2502アサヒグループHD 2503キリンHD

アイスクリーム・氷菓 

2269明治HD  2264森永乳業

熱中症・エアコン

6367ダイキン 6755富士通ゼネラル

日傘

8115ムーンバット

家電量販店

3048ビックカメラ 9831ヤマダ電機

まとめ

気温上昇は景気にプラスに働き、株価押し上げ効果があります。また、関連銘柄も物色される傾向にあります。

アメリカのサマーラリー、日本の夏枯れ相場というアノマリーを検証してみると、7月はサマーラリーの効果が見られますが、8月に入ると急落している年も多く、夏枯れ相場で動かないというよりは急落に注意が必要です。

毎年必ず起こる保証はないものの、アノマリーの傾向をつかめば投資判断の1つとして利用することができるでしょう。

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一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト、デリバティブディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。保有資格:証券外務員1種

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