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副業でフリーランスをはじめた人が一番困ることは?
特定の企業などと都度契約を結び、自らの技能を提供することで報酬を受ける形の仕事を「フリーランス」と呼んでいます。副業においても、現在の仕事で得た「専門スキル」を活かして特定企業に、コンサルティングやITの技能などを提供し「フリーランス」として活躍することがあります。専門的な知識や技能を提供できる人は限られているため、とりわけ高収入に結びつきやすく副業選択をする際にも人気を集めています。
中小企業庁の調べによると、現在、フリーランスをしている人の中で、副業として選択している人は17.3%。全体の約2割弱が「副業フリーランス」として活躍している状況です。
出典:中小企業庁『小規模事業者の事業活動の実態把握調査-フリーランス事業者調査』
現在、フリーランスをしている人がもっとも困っていることは「新規顧客の確保」です。
出典:中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査-フリーランス事業者調査」
フリーランスの仕事は、自分自身の力を試すことができることやスキルアップに直結すること、副業として高額収入に結びつきやすいことなど肯定的な面も多くありますが、新規顧客を開拓することは容易ではないようです。
そこで、今回は副業としてフリーランスをはじめてみたいという人のために、一番直面しやすい課題である「新規顧客開拓」について効果・効率的な方法を具体的にお伝えします。
新規の顧客獲得をはじめるタイミング
フリーランスとして仕事を始める場合、通常、数社の「固定客」を得ることになります。中小企業庁の調べでも「70%以上の顧客が固定客である」と半数近い人が伝えています。このように固定客を対象に仕事をすることは自分の収益を安定させるためにも非常に有効です。
出典:中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査-フリーランス事業者調査」
単発の仕事であれば、たとえ今月の仕事があったとしても来月はどうなるか全く分かりません。単発の仕事の場合、その特性から仕事量が常に増減するからです。しかし、固定客であれば、基本的に一定期間の収益が保障されているので安心して仕事を進めることが出来ます。そのため、理想を言えば顧客の100%を固定客にしたいところです。
ただ、注意点としてはたとえ固定客を得られたとしても、その顧客が永久にあなたに仕事を発注してくれるわけではないということです。事実、1案件あたりの契約期間が1年以内となっているものは45.6%に達しています。
出典:中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査-フリーランス事業者調査」
このような結果を見る限り、今、顧問契約をしている企業があるとしてもいずれ今の顧客はいなくなることが容易に想像できます。例えば、企業の担当者が変われば、その担当者の知り合いに仕事の発注がいくようになり自分の仕事がなくなる事もあります。
自身の仕事を完ぺきに遂行していたとしても、契約が更新されず打ち切りになる事は多々あるのです。だからこそ、あなたは「常に」新規顧客を開拓する必要があるのです。
また、新規顧客の開拓は、今の会社の契約を打ち切られた後で、はじめるのでは遅すぎます。というのも、新規顧客の獲得は、通常「いつ獲得できるか」ということを特定出来ないからです。1週間で新規顧客が見つかることもあれば、数ヶ月先になることもあるからです。万が一、数ヶ月先まで新規顧客を見つけることができなければ、その間、副業から得られる収入額を大幅に減らすことになってしまいます。
顧客獲得のための方法1『ポートフォリオサイト』で自己PR
では、具体的に現在、フリーランスをしている人が、どのように新規顧客を獲得しているのかを確認してみます。中小企業庁の調べによると、現在、新規顧客を「紹介」に頼っている人が突き抜けて多いです。
出典:中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査-フリーランス事業者調査」
この結果をみると第1位「既存の顧客からの紹介」と第3位「友人・知人からの紹介」が紹介となっており、続く第4位も「同業の企業・経営者からの紹介」と、圧倒的に「紹介」という方法で、多くの人が仕事を獲得しています。
紹介で顧客を獲得するには、ただ待っている訳にはいきません。普段の人脈作りはもちろん「紹介してもらいやすい準備」をしておくことが大切です。つまり「あの人はこんな仕事ができる」ということを誰が見ても一瞬で理解出来る「自己紹介ツール」が必要になってきます。
その際に、役立つのがポートフォリオサイトです。
ポートフォリオサイトとは、自分の作品・実績などをインターネット上で公開しているページのことを指しています。当初は、ウェブクリエイターや芸術系の仕事をしている人の間で使用されていました。現在は、ウェブクリエイターや芸術系の仕事をしている人だけでなく、様々なフリーランスの間でこのポートフォリオサイトが利用されはじめています。
自分の過去の作品・実績を簡単に公開できる「ポートフォリオサイト」を使えば、SNSを通じて広がっていくことも考えられますし、紹介してくれる人もポートフォリオサイトのURLを伝えるだけで済みますからとても簡単です。「簡単に紹介できる」という環境を作っておくことが紹介を生み出す最低条件です。
では、ここからはポートフォリオサイトの具体的な作り方についてお伝えします。ポートフォリオサイトの簡単な作り方は「ポートフォリオサイト」を作れる専用サービスを利用することです。例えば、マイナビクリエイターが運営している『MATCHBOX(マッチボックス)』などが該当します。
こちらの『MATCHBOX』では、PCの操作が不得手な人でも簡単にポートフォリオサイトを作る事ができます。画像データや紹介したいホームページのURLなどの素材を用意すれば、それを『MATCHBOX』に見栄え良く反映することができます。
イメージしやすいように下記の『MATCHBOX』具体的な使い方を紹介していきます。
手順その1.アカウント登録
最初にまずは自身のアカウントを作成します。下記のフォームの必要事項を入力し申請すれば、スグにアカウントが発行されます。
出典:MATCHBOX
手順その2.サイトにコンテンツを入れる
マイアカウントを作成したら、早速、サイトにコンテンツを入れていきます。サイトの背景色・カバー画像を設定後、自身の作品を登録していきます。作品は、画像ファイルか動画ファイルをアップロードすることができます。各コンテンツには最大300文字まで、作品に関するコメントを入れることができますので、その作品を制作した経緯等を入力しておきます。
出典:MATCHBOX
手順その3.紙媒体とWeb媒体の両方に対応
『MATCHBOX』では、制作したポートフォリオをPDFファイルにすることができます。PDFファイルを印刷して紙媒体として持ち歩くようにしても便利ですし、WebのURLをいつでも紹介できるように名刺等に印刷しておくのも良い方法です。
以上、このようにポートフォリオサイトがあれば、自己プロフィールを過去の作品・実績とともに紹介することができます。その他、ポートフォリオサイトには『MATCHBOX』だけでなく、下記のようなサービスもありますので自身の気に入ったものを1つ選んで使ってみてください。
おすすめサイトその1.Portfoliobox(ポートフォリオボックス)
出典:portfoliobox
全世界で25万人のユーザーが利用しているという、ポートフォリオ専門サイトです。機能面、デザイン面で最も先進的なサイトの1つです。モバイルにも強く、パソコンからでもモバイルからでも、デザインを崩すことなく閲覧してもらえます。また、画像50枚、ページ数10ページまでならば無料で利用出来ますし、それ以上の作品数を増やしたい時は有料版を利用することができます。また、SNSアカウントと紐付けすることができるため、Facebookなどで自身の作品を紹介したいなどの場合も非常に利用しやすいものとなっています。
おすすめサイトその2.Dropbox showcase(ドロップボックスショーケース)
こらちはprofessional以上の有料版でしか利用出来ませんが、画像だけでなくPDFファイルなども公開できるため、デザイナー以外のフリーランスにもオススメです。また、作品自体は、Dropbox内で保存されているため、ポートフォリオサイト自体をいくつでも作成することができます。そのため、相手の企業ごとにポートフォリオサイトを使い分けて提示することもできます。
例えば、Webサイトのデザイン会社には「Webサイトの過去の作品」を紹介したポートフォリオページを見せ、マーケティング会社には「集客用広告文の作品」を紹介するページをみせるという形をとることができます。このように複数の業界に向けてポートフォリオページを見せる必要がある場合にとても便利です。
顧客獲得のための方法2『実績づくりのための案件獲得』
ポートフォリオサイトを使う事で、自分のプロフィールを公開する場所は確保できました。ただ、そうは言ってもフリーランスをはじめたばかり人にとっては、自身の作品・実績自体が「ない」という場合も多いと思います。
そこで、次にできる顧客獲得のための方法は「実績を作るための仕事をする」ということです。実績を作りポートフォリオサイトに反映させればさせるほど、紹介を得やすい上、自身で営業する場合も顧客獲得がスムーズに進められます。
そのため、まずは「お金を儲ける」ということを一旦忘れて「実績を作るためだけに仕事を獲得する」ようにしていきます。
最も簡単な方法は「coconala」「TimeTicket」などのクラウドソーシングを利用することです。
「coconala」「TimeTicket」などでは自身のスキルでできるサービスを告知して、それを欲しいと思った人に購入してもらえます。購入してもらえれば、その仕事がそのまま自分の実績になります。
ただし、「coconala」「TimeTicket」などで仕事をする際には、自身の収益を無視して最小価格でサービスを販売してください。「仕事にかける時間を考えれば割に合わない」という点もありますが、実績作りだけが目的なので「数」をどんどんこなしていきましょう。
例えば、フリーランスとして「ホームページの作成業務を行いたい」ということであれば「5ページまでのホームページを最安値の500円で請け負います」のような形で販売します。その際には、販売条件として「自身の実績として紹介させてください」のような文言を入れ、購入者様に確認をとっておくことです。そうする事でトラブルになることなく、仕事完了後はポートフォリオに作品を載せることができます。
このように副業としてフリーランスをはじめた当初は「coconala」「TimeTicket」などを実績を作るためだけに利用し、その作品をポートフォリオにどんどん反映していきます。こうして充実したポートフォリオサイトに育てていきます。
顧客獲得のための方法3『収益を上げるための案件獲得』
充実したポートフォリオを制作すれば、紹介を得やすくなる上、自身で営業を行う際も効果的に進めることが出来ます。
確かに、紹介頼みになってしまうと「いつ紹介してもらえるのか」分からない部分があります。そこで自身で営業を考える必要があります。営業の方法はフリーランスによって様々だと思いますが、私の体験上、一番効果があったのは下記の方法です。
- 手順その1.自身がターゲットにしたい業界のHPから「お問合せ先」を確認
- 手順その2.直接、メールを送る
- 手順その3.ポートフォリオを紹介して、お役に立てる点がないかを聴く
- 手順その4.提案営業を行う
- 手順その5.契約
最初に、自身がターゲットにしたい業界の会社にいくつかコンタクトを取っていきます。もちろん、いきなりこちらから連絡を取るわけですから、全てに返信が返ってくる訳ではありません。むしろ半分以上は「返信が来ない」と考えておいて間違いありません。しかし「一度、会って話がしたい」と連絡をくれることもあります。そういった企業様とは、個別に直接顔を合せて話をしてみてください。
話をする際のポイントは、いきなりこちらのサービスを売り込むのではなく「相手の事情を徹底的に聴く」ということです。相手の事情を聴いた上で「どういった点で、自分が貢献できるのか?」を確認します。そして、貢献できる点があれば、その点に絞って具体的に説明していきます。「自分ならば、このような形で仕事ができる」というように作品例をみせたり、仕事の手順について相手がイメージできるように話しを進めていきます。
また、提案営業を行う際には、サービスの料金表を用意しておきます。実際の料金については個別で見積もりをして進めることが多いと思いますが、料金表があった方が相手が安心してくれますので用意しておくことをお勧めします。
ただ、全ての企業様が自分のお客様になってくれるわけではありません。
もしお話をお伺いしてどうしても貢献できる点が「ない」と判断した場合は潔く「ご事情をお伺いして私の貢献できる点がないようですので、今回は見送らせてください。ただ、今後、AやBという内容でお役に立てそうな点があれば、ぜひいつでもお声をおかけ頂ければ幸いです。本日は貴重なお時間を頂きありがとうございました」のように伝えて丁重にお断りします。
そうしておくことで、今は契約が結べなくても状況が変われば企業様から声をかけて頂くことができます。
まとめ
今回は、副業としてフリーランスをはじめる人のための新規顧客開拓のための方法をお伝えしました。方法としては下記の3つになります。
- 方法その1.ポートフォリオサイトをつくる
- 方法その2.実績を作るための仕事をする
- 方法その3.収益を上げるための仕事をする