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全労済の「住まいる共済」
「全労済の火災保険ってある?どんな補償内容?」
火災保険とは、家に関するリスクを総合的に補償する事のできる保険であり、持ち家の方が加入するイメージがありますが、賃貸の方でも補償内容的には同じような補償である家財保険にほぼ必ず加入しています。
ただ、保険料は決して安くなく、必要性が高くほぼ必ず加入しているものではありますが、中には保険料を出来るだけ低く押さえたい・他の選択肢を検討したいという方も少なくないでしょう。
そんな方におすすめなのが、火災共済です。共済の補償なので費用が安く抑える事が可能なケースも多く、共済を検討したいという方も少なくありません。
なので、今回は共済組合の1つである全労済と火災保険というテーマで、
- 共済の基本的な知識と全労済の火災共済
- 住マイル共済の特徴
- 保険との違い
- 注意点について
という観点から解説していきたいと思います。まず、はじめに共済の概要や、全労済の住マイル共済の概要について押さえていきます。
共済って?全労済について
何らかのリスクを補償したいと考えた時に、まずはじめに選択に悩む要素が「保険か?共済か?」というポイントだと思います。ただ、中には保険しか契約した事が無いという方も少なくありません。
なので、まずはじめに共済の概要や全労済という組織について解説していきたいと思います。
共済の概要
共済とは、言葉の意味的に「助け合う」と言った意味合いを持っている言葉であり、その意味の通り基本的には「もしもの時のために、みんなでお金を出し合おう」という仕組みの事です。
例えば、100万円の医療費が必要になった際に、一度に個人で支払うのはかなり大きな出費になってしまいますが、あらがじめ1,000人で1,000円を出し合う事によって、100万円を集める事が可能です。
この集まりを、実際に社会に役立てるために運営されているのが共済の各協同組合になります。協同組合のため、営利を目的としておらず、基本的には非営利で運営されている組織になっています。
あくまで協同組合のため、共済に加入するには協同組合のメンバーなる必要があり、組合員として手続きを行ったりお金を出資したりする必要があります。
また、協同組合といってもその種類というのは多岐にわたっており、公務員に向けたもの、農業・漁業に携わっている方に向けた協同組合等、様々な種類があります。ただ、大手の協同組合であれば、基本的にどんな方でも組合員になる事が可能です。
全労済とはどんな組合?
全労済とは、主に労働者を対象とした共済の協同組合になっています。他の共済では、何らかの事業を行っている傍らで、福利厚生の一環として共済事業をスタートする事が多いですが、全労済は少し性質が異なっています。
全労済はもともと大阪ではじまった労働者を守るための共済事業がもともとの根幹になっています。この活動が他の地域でも広がりを見せ、一部の地域では同じような共済事業が行われていました。
分散している共済事業をまとめようという事で、いくつかの共済事業を行っている協同組合がまとまり、前身となる労済連が出来ました。
そして、全国的に労働者を守る共済を事業を行うために全労済という名前に形を変え、全国的に共済事業を行う事になりました。誰でも組合員になる事が可能であり契約高700兆円を超え、日本でも屈指の巨大協同組合になっています。
小さなものから、大きなものまで共済の協同組合というのは存在していますが、その中でも上位に入るくらい全労済はかなり大きな組合であると言えるでしょう。
住まいる共済の補償範囲
そんな全労済は、火災保険と類似している「住まいる共済」という共済を販売しています。家に関する補償を行っている共済を火災共済と言いますが、全労済の火災共済は2種類に分かれています。
どちらとも家に関するリスクを補償するという点は共通してはいますが、補償する対象が全く異なるのでしっかりと押さえていきましょう。
火災共済
火災共済とはその名の通り、火災保険の共済バージョンであり、住まいる共済でも加入する事が可能になっています。
火災共済では主に「火災」「風水被害」を補償しており、ケースによって異なりますが、関連するような被害で、数百万円から数千万円の補償を受ける事が可能になっています。
ただ、実際のところ主に補償しているのは「火災」に関するリスクであると言えるでしょう。というのも、全労済の火災共済だけで、風水被害をしっかりと補償する事は難しいからです。
全労済の火災共済だけでは、風水被害の保険金があまりに少なく、プラン等によっては掛け金を上げる事で、ある程度補償していく事が可能ではありますが、掛け金が高くなってしまい、共済の魅力が失われてしまいます。
他の火災共済にも言える事ではありますが、全労済に限らず火災共済の風水被害はかなり保険金が手薄になっており、感覚としては主に「火災」を補償するために、加入するという認識の方が分かりやすいと思います。
自然災害共済
住まいる共済のもう一つの共済が「自然災害共済」です。こちらは、家に関するリスクを補償していますが、代表的な火災のリスクは補償していないタイプになっており、少し通常の火災共済とは特色が異なります。
補償しているリスクは、その名の通り自然災害に関するリスクを補償しており、風水被害はもちろんですが、地震に関するリスク(家の損害や津波をカバー)を補償しています。
特徴としては、火災保険の共済というよりも、地震保険の共済バージョンという認識が正しく、地震に関するリスクを補償するなら自然災害共済に加入する必要があります。
どんな特徴を持っているのか?
先程、共済の概要や全労済の住まいる共済の特徴についてご紹介させて頂きました。ただ、概要だけだと実際にどのような商品なのか?と具体的に掴むことは難しいと思います。なので、これから住まいる共済の特徴について解説していきます。
掛け金が安い
まず、はじめに挙げられる住まいる共済の特徴として、掛け金が安いという点が挙げられるでしょう。これは全労済の住まいる共済のみの特徴というよりも、共済全体の特徴になっています。
共済の協同組合という組織の仕組み上、非営利になっているので共済の種類によっては割戻金を受けられる可能性もあり、掛け金の一部が返ってくるような仕組みも共済にはあります。(主に医療関連の共済に多い)
このような特徴からも分かりますが、本当に非営利のため、基本的に同じような補償内容の場合は、保険会社よりも共済の方が安いというケースが多く、住まいる共済も他の火災保険・地震保険と比較すると、掛け金が安くなっていると言えるでしょう。
基本的に保険・共済に掛ける費用というのは、安いに越した事はないので、コスパを最重要と考えている方にとっては大きなメリットになると思います。
自然災害共済なら地震保険も
保険会社や商品によっても異なりますが、基本的に火災保険と地震保険というのは別の保険として用意されている事が多いです。また、風水被害に対応していないというケースも少なくないでしょう。
この点を考慮すると、自然災害共済の場合は風水被害と地震に関するリスクを補償しているので、2つのリスクを1つの共済でコンパクトに抑えることが可能になっています。また、掛け金も保険と比較すると、リーズナブルになっているので大きなメリットの1つであると言えます。
地震保険に加入したいけど、別途保険に加入して大きな保険料を支払いたくないと言ったケースや、災害のリスクが高い地域に住んでおり、地震・風水被害を出来るだけカバーしておきたいという方にとっては、自然災害共済はおすすめな選択肢であると言えます。
火災保険と、どう違うのか?
先程、住まいる共済の特徴についてご紹介させて頂きました。新たに火災保険・火災共済に加入しようと検討している方にとって、大きな疑問点の1つは「火災保険と火災共済はどう違うのか?」という点ではないでしょう。
なので、これから火災共済と火災保険の違いについて、大きな分岐店である補償範囲の違いや組織の違いという観点からご紹介していきたいと思います。
火災保険との最も大きな違い
火災保険や火災共済、保険と共済は何か補償する・補償するために何らかの費用(掛け金や保険料)を支払うという点では共通しており、基本的には類似点が多いため利用者側目線で考えた時に、それほど大きな違いは無いと感じてしまいます。
実際の所、加入者から見た時にそれほど大きな違いは無いと感じますが、若干用語の違いや掛け金の違いは存在していると思います。
ただ、このような小さな相違点というのは、実際の所1つの要因によって出てきているものであり、ずばり保険と共済の本質的な大きな違いは「組織の違い」という結論になります。
保険は保険会社が販売しているものであり、保険会社というのは会社なので利益を目的として活動を行っています。つまり、保険の販売もその一種であり、利益のために保険を販売しているという事になります。
一方の共済というのは、協同組合が運営しており、協同組合は利益を目的として運営されていない非営利という運営方法を取っています。
この2つの違いから根本的な組織の形や、根拠なる法律が異なり、法律が異なっているため所管となっている省庁も異なっています。(保険は金融庁、共済は厚生労働省・農林水産省等)
そもそも組織や成り立ちの違いによって細かな違いは存在していますが、利用者にとっては用語が異なる事以外は、リスクを保障するという観点で見た時にそれほど大きな違いはありません。
補償範囲にも大きな違いがある
細かな補償内容・保障範囲というのは、保険によって異なります。そのため、一概には言えませんが、火災保険と火災共済の違いを挙げるとすると、補償範囲が異なるという点が挙げられるでしょう。
家のリスクのとその種類
家に関するリスクを補償するという点を考えた時に、保険の場合は「火災保険」「地震保険」共済の場合は「火災共済」「自然災害共済」と言った2つの選択肢が用意されている事が一般的です。
また、火災保険は共済における火災共済、地震保険は共済における自然災害共済と考えられる事も多いですが、その認識は半分正解で半分間違いになっています。というのも、火災保険と火災共済で若干補償範囲が異なってくるからです。
家に関するリスクを大きく分けた場合に「火災や人災」「風水関連の被害(台風等の被害)」「地震や津波、噴火」と言った3つのリスクで、分類されています。
保険と共済で違う補償する商品
火災保険・火災共済とも「火災」に関するリスクを補償している点では共通してはいますが、火災保険の場合はここに「風水被害」関連のリスクも補償されている事が多いです。
しかし、共済の場合は風水被害のリスクに関しては「自然災害共済」で補償する事が一般的であり、火災共済に若干の補償が付け加えられている事もありますが、基本的に火災共済のみで補償する事は難しくなっています。
一方で、地震保険の場合は「地震のみ」を補償しており、保険においては自然災害のリスクは「火災保険」で補償する事が多くなっています。そのため、若干補償範囲が異なっており、しっかりと見極める必要があるでしょう。複雑なったので、以下にまとめると
保険と家のリスク
- 火災のリスク(火災保険)
- 災害のリスク(火災保険)
- 地震のリスク(地震保険)
共済と家のリスク
- 火災のリスク(火災共済)
- 災害のリスク(自然災害共済)
- 地震のリスク(自然災害共済)
ただ、商品によって若干の違いがある事も事実です。詳細については、各保険・共済をしっかりと確認しましょう。
大きな注意点
これまで全労済の家に関するリスクを補償する火災共済・自然災害共済についてご紹介させて頂きました。最後に、火災共済に加入する時の注意点についてご紹介していきたいと思います。
補償範囲は欠けていないか?
共済の家に関するリスクを補償する共済全体に言える事ではありますが、基本的に火災共済・火災保険には補償範囲について若干の相違点が存在しています。火災保険では風水被害を補償していますが、基本的に火災共済では提供していないか、手薄い補償しか用意されていません。
地震や火災というと、あまりリアリティーのないリスクであると感じてしまう方も少なくないでしょう。ただ、台風や大雨のリスクというのは、どんな地域でも基本的に発生していて、身近に感じられると思います。
地震や火災のリスクも非常に重要であるとは言えますが、風水被害は家に関するリスクを補償する火災保険や共済の最も重要なリスクの1つであり、補償すべきものである事は間違いありません。
共済で家に関するリスクを補償する際は、補償しているリスクを確認して、補償が不十分であるケースにおいては、別途保険や自然災害共済への加入を検討しましょう。共済で家を補償する時に、見落としがちな重要なポイントです。
保険金は十分か?
共済は保険と比較した時に、かなりパッケージ化された商品である事は否めません。これは、火災共済にも同様の事が言えます。パッケージ化されていると、色んなリスクをバランス良く補償出来るので、メリットも少なくないと思います。
ただ、一人ひとりに合わせた補償内容を組み立てられないという点は否めません。この特徴によって、注目したいポイントは保険金(共済金)であると言えるでしょう。
火災共済の場合は、パッケージ化されているため様々なリスクが補償されており、手厚い補償を組み立てられていると感じてしまう事も少なくありませんが、実際の所個々の補償に注目してみると、かなり保険金(共済金)が低いといったパターンが非常に多いです。
保険金(共済金)の低さというのは、火災共済に限らずどんな共済に加入する場合でも注目したいポイントであり、必要に応じて加入する口数を増やす等、適切な保険金(共済金)を設定しましょう。
割戻金の対象ではない
共済の大きな特徴・メリットの1つとして非営利で運営されている組織が提供しているものなので、利益が想定よりも出た場合は「組合員」に返金されるという仕組みが導入されている事が一般的です。
この事を「割戻金」と言って、保険料(掛け金)の一部が返ってくる事になり、通常保険にはこのような還元が無いので、共済ならではのお得な仕組みになっていると思います。
しかし、全労済の火災共済・自然災害共済等の住まいる共済に限った話をすると、このメリットは存在していません。というよりも、住まいる共済はそもそも割戻金の対象となっていないのです。
全労済では以下のような共済で、割戻金が実施されています。
- こくみん共済(一部を除く)
- せいめい共済
- 総合医療
- 団体生命共済
- 新団体年金共済
そのため、共済の大きな特徴である割戻金に魅力を感じており、加入を検討しているという方は要注意の商品であると言えます。全労済では通常、共済によって異なりますが10%~20%程度の割戻金を支払っています。
まとめ
全労済と住まいる共済について
- 共済は非営利
- 全労済はもともと大阪がはじまった
- 火災共済と自然災害共済がある
どんな特徴があるのか
- 掛け金が安い
- 自然災害共済なら地震を補償出来る
火災保険との違い
- 火災保険との大きな違いは組織
- 若干補償範囲に違いがある
注意点について
- 補償範囲の違いによる補償不足に気をつける
- 保険金を調整する割戻金はない
今回の記事では、全労済と火災保険というテーマで、全労済の火災共済・自然災害共済の概要や、保険との違い、補償範囲の若干の違い、注意するべきポイント等について解説させて頂きました。
全労済の住まいる共済は、掛け金も安く自然災害共済では地震を補償出来る等、様々な特徴・メリットがあり、魅力的な補償になり得ると思います。ただ、用途によっては注意点も多いので、メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、加入しましょう。