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後払いサービスは、その場にお金の用意がなくても支払いを後日に回し商品の購入ができる便利な決済サービスです。
現在は主にネット通販を中心にNP後払い、Paidy、ATODENEといった新しいタイプの後払いサービスに注目が集まっています。
実は後払いで支払えるサービスには、クレジットカードなど以前から存在している決済方法や、携帯電話料金と一緒に後日支払えるものなどもあり、それぞれの長所・短所を理解し様々な活用の仕方があるのです。
そこで今回は、今存在する様々な後払いサービスの中から代表的な3種類のサービスを取り上げ、それぞれの特徴や適切な使い方などについて説明していきます。
後払いサービスの比較
様々な種類の後払いサービス
インターネットで後払いサービスを検索しますと、一般的には後日コンビニなどで請求書で支払う後払いサービスがヒットすることが多いです。
「請求書で後日支払う後払いサービス」(例)
後払いサービスを広い意味でとらえますと、以下のように他にもいくつかの形態が存在しています 。
- 上記で挙げた主に請求書で支払う後払いサービス
- 携帯電話の電話料金合算払いを利用した後払い
- クレジットカード
それぞれにどういった違いがあるかと言いますと、主に次のよう感じとなっています。
「上記3形態ごとの主な違い」
請求書で支払うタイプ | 携帯電話料金合算払い | クレジットカード | |
---|---|---|---|
審査 | あり | 利用限度額判定時 | あり |
最大利用限度額 | 5万円~(店舗による) | 10万円が多い | 数百万円 |
支払い手数料 | 0~300円程度 | 無し | 0~決済金額の数%程度 |
分割払い | ほぼ不可 | 不可 | 可能 |
利用できる場所 | 指定のネットストア、実店舗 | (詳細は後述) | カードブランド加盟店(ネット・実店舗) |
支払い時期 | 主に請求日から14日以内 | 翌月末 | 翌月指定日 |
支払い方法 | 請求書、銀行振込等 | 電話料金と合算で支払い | 口座引き落とし |
ポイントサービス | ほぼ無し | 一部有り | 有り |
セキュリティ | 高め | 一部問題あり | 問題あり |
それぞれの違いについて
請求書で支払う後払いサービス
この後払いサービスはネット通販を中心に、後日郵送される紙の請求書をコンビニ・郵便局などに持参して支払うものです。現在その利用者が増加中の決済サービスです。
最大利用可能額は5万5千円程度が多く、ちょっとしたプレゼントや日用雑貨品などの購入の際に便利です。
携帯電話の電話料金合算払いを利用した後払い
スマホの月額有料サービスやオンラインストアの決済から始まり、モバイル決済(コード決済)の原資としての使われ方や、後述しますがプリペイドカードへのチャージに電話料金合算払いが使われることがあります。
クレジットカード
カード作成審査を経て得ることができ、最大1千万円近い与信残高も可能です。
ショッピングの後払いだけでなく現金が借りられるキャッシングや、海外旅行などでお得となる付帯サービスがあるのもクレジットカードの特徴です。
支払い金額や目的などに応じて使い分けることが大切
それぞれの方法は利用限度額の高低、使いやすさ、使える店舗、手数料の有無など様々な違いが存在します。
後払い限度額の面で最も有利となるのはクレジットカードですが、厳格な入会審査に通過しないといけません。
ところが電話料金合算払いであれば新たな審査等を経ずにすぐにでも利用することができます。
また、今回取り上げます3種類の後払い方法は、ユーザーの信用や支払い実績といった与信事項に関しては、三者ともども共通して重要視される事柄です。
以上を踏まえ、これより各後払いサービスについて解説していきます。
請求書で支払う後払いサービス
概要
使いやすいが出番は限定的
NP後払いやatoneなど紙の請求書で支払う後払いサービスは、何といっても気軽に利用しやすいのがその特徴の1つです。
最大利用限度額は5万5千円程度のものがメイン。従って店舗事情や自身のこれまでの利用・支払い実績にもよりますが10~20万円規模のあまり大きな買い物には向いていないといった欠点があります。
また2019年現在において、クレジットカードやスマートフォンのコード決済ほど多くの店舗に導入されているわけではいため使える所が限られています。
出典:atone(一部の導入店舗例)
支払いについて
最終的な支払いについては、後日コンビニ等での現金払いの他、口座振替や銀行振込などいくつか方法があります。
多くの後払いサービスで分割払いは不可、支払い期限は14日以内としており、期限までにやや余裕がない所があります。
またクレジットカードと同じく与信審査も行われていますが、リアルタイム与信が多くのサービスで採用されていて、購入申請から審査までを速やかに済ませることができます。
この支払い方法が最適なケースは?
- 最大3~5万円程度の決済
- 洋服・ゲーム・グルメなどの嗜好品
- 贈答品の購入
- メインとなる商品の付属品
- セキュリティが不安な場合の支払い
日常的な買い物よりは、長く使いそうな物品や記念品等の購入で使われやすい特徴があります。
セキュリティについては、後払いサービスサイトにて個人情報の入力などは避けられないのですが、利用限度額が低めであることから、もし何かあった際でもクレジットカードに比べかなり小規模な被害で済む可能性が大きいです。
請求書で支払う後払いサービスの例
最大利用限度額 | 支払い期限 | 主な利用できる店舗 | |
---|---|---|---|
NP後払い | 5万5千円 | 請求日から14日以内 | タカラトミー、adidas等4万箇所のネットストア |
atone(アトネ) | 5万円 | 翌月20日/27日 | 2nd STREET、Qoo10など |
Paidy(ペイディー) | 無し | 翌月10日/12日 | Amazon、ラクマなど約350店舗 |
GMO後払い | 5万5千円 | 請求日から14日以内 | ZOZOTOWN、伊勢丹、メガネスーパー等 |
ATODENE(アトディーネ) | 5万5千円(店舗による) | 請求日から14日以内 | ロハコ、スリムビューティーハウス等 |
ミライバライ | 5万5千円 | 請求日から14日以内 | サンドラッグ.com(au Wowma!)、洋服の青山等 |
後払いドットコム | 5万円 | 請求日から14日以内 | 楽天市場導入店舗、サンクゼール等 |
スコア後払い | 5万4千円 | 請求日から14日以内 | アイリスプラザ、WORLDオンラインストア等 |
SAGAWA後払い | 5万円 | 請求日から14日以内 | GLADD、みぃーふぁいゆー等 |
クロネコ代金後払い | 5万5千円 | 請求日から14日以内 | 大阪王将(通販)、ZOZOTOWN、Print Walk等 |
携帯電話の電話料金合算払いを利用した後払い
概要
NTT docomoやau、ソフトバンクの携帯電話を利用している人であれば、電話料金の支払いといっしょに他のサービスの利用分もまとめて支払うことができるものです。
各キャリアで運営しているショッピングサイトの支払いや、月額有料雑誌、音楽配信、占いコンテンツ、その他様々なリアル・ネットサービスの利用においてこの後払いを利用することができます。
「NTT docomoの例」
毎月数万円程度の後払い枠を持ち、最大10万円程度まで後払いができますが、ユーザーの利用実績によりその限度額は変化します。
出典:NTT docomo
支払い期限は翌月末の電話料金の口座引落し時(カード払い等も可能)になりますので、先ほどの請求書払いよりも支払いまでに余裕があるといったメリットがあります。
プリペイドカードへのチャージで利用シーンが拡大
各携帯電話会社では以下のようなプリペイドカードを発行しています。
プリペイドカード名 | 対応ブランド等 | |
---|---|---|
NTT docomo | dカード プリペイド | Master/iD |
au | au WALLET プリペイドカード | Master/Webmoney |
ソフトバンク | ソフトバンクカード | Visa |
プリペイドカードを使うには事前にお金をチャージしなければなりませんが、チャージにあたってはそれぞれのユーザーに限り電話料金合算払いを利用することができるので、難しい手続きを別途行う必要はありません。
プリペイドカードはプラスティックの実カードで、利用にあたってはカード作成の申請をする必要があります。
しかしクレジットカードと異なりプリペイドカードは即時払い決済のため与信審査が無く誰でもカードを持つことができます。
出典:NTT docomoそして各カードブランドの加盟店であればネット・街の店舗、そして国内外を問わずどこでも使うことができます。
プリペイドカードが使える店舗の広さは、クレジットカードと並び非常に大きなメリットです。
当座の支払いに困っている方で、日用品や食べ物、ちょっとした消耗品が必要という場合であれば、請求書払いよりも大変便利な決済方法となってきます。
出典:ソフトバンク(株)
この支払い方法が最適なケースは?
- 各携帯キャリアユーザー
- 食料・飲料・タバコ等の日用消耗品の購入
- ちょっとしたプレゼントや雑貨等の購入
- 海外でも利用したい方
- 支払いとともにポイントを貯めたい方
最大10万円前後(又はそれ以上)まで利用できますので、100円コーヒーからちょっと特別な洋服まで多くの種類の商品をカバーすることができます。
また各カードともにポイントサービスが適用されていますので、お得に決済することも可能です。
ドコモならではの後払いサービス
ここではドコモについて説明しますが、電話料金合算払いを元に次のような後払いができるサービスが実施されています。
- iD
- d払い
- ドコモ口座
iD
iD(アイディー)はドコモが運営する電子マネーで、通常はクレジットカードをiDアカウントにセットして利用します。
そこでもしドコモユーザーであれば、後払い媒体である「dカード mini」が元々iDにセットされていますので、それまでの利用実績に応じ月額5千円、1万円、3万円のいずれかの範囲内においてdカード mini(iD)により後払い決済を行うことができます。
出典:NTT docomo
d払い
これはスマホにおけるコード決済アプリで、事前にチャージしたり別途クレジットカードが必要だったりするのですが、その支払い原資に電話料金合算払いも使えますので、ネット・街の店舗問わずこのd払いが使える所では後払いが行えます。
出典:NTT docomoまたポイントキャンペーンが積極的に実施さ、10~20%のdポイント還元が珍しくありません。
ドコモ口座
ドコモが運営するバーチャルな銀行口座です(実際の金融口座ではありません)。
ドコモ口座は通常はお金をチャージした後、ドコモ口座で提供しているVisaプリペイドカードやd払いアプリを経由した各種支払いに使われます。
そしてこのドコモ口座でも「後払い利用」を行うことができます。
最大5万円まで利用でき、上記Visaカードでの決済や送金も行うことができるのです。
出典:NTT docomoクレジットカード
概要
クレジットカードは後払いサービスを長きに渡り提供する世界的に普及した決済方法です。
その特徴としては、利用限度額が数十万円程度~数百万円まで可能であり高額決済にも耐えうる支払い方法であることや、財布の中身を気にせずカード1枚で様々な支払いが可能なこと、また特にVisaやMasterなら世界中の加盟店で使うことができるといったものです。
出典:三井住友カード(株)
後払いといった点に着目してみますと、かなり高額な出費に突然迫られた場合でもカードによって簡単にクリアできる可能性が高いことや、一括払いはもちろん分割払いができることなど、その返済方法が充実していることなどが挙げられます。
クレジットカードは支払いにおけるメリットが非常に大きいのですが、以下に挙げるデメリットを含め様々な事柄に対応できる資質をカード所有者が持ち合わせていることが大切です。
クレジットカードのデメリット
- カード審査がシビア
- 返済金利により購入金額以上の出費を迫られる(一部を除く)
- 特にリボ払いなど完済が長引く返済方式に注意が必要
- 利用限度額が高いため使い過ぎの心配がある
- カード被害が拡大中
自身にしっかりとした利用・返済計画があっても、主にネット上におけるカード被害が軽視できない頻度で発生しています。
またクレジットカードは分割払いがとても重宝するものですが、支払いには金利分がプラスされてきますので、年収や返済計画等を慎重に考慮しなければなりません。
この支払い方法が最適なケースは?
- 決済額が大きい場合
- 多額の現金を持ち歩きたくない場合
- 24時間問わず決済する機会がある方
- 国内外問わずキャッシュレスで決済したい方
- セキュリティに抵抗がない方
- 後日の返済が満足にできる収入がある方
何が何でもクレジットカードで支払いを済ませるということではなく、確固とした収入を前提とし、利用可能店舗という物理的な面や、カード払いの方が便利で合理的などといった理由をもって限定した利用が望ましいです。
また決済の一部を、先ほど取り上げた携帯電話の合算払いを原資としたプリペイドカードにしてみたり、初めて利用するオンラインストアでは請求書の後払いサービスを使うこともおすすめです。
現在請求書による後払いサービスしか利用できない方でも、その利用実績を多く積んでいくことで信用力が高まり、共通の与信審査が実施されるクレジットカード審査にも通過できるようになるかもしれません。
まとめ
3種類の後払いサービスについて説明しましたが、結論としてはどれが優秀でどれがそうではないといった事が一概には言えるものではありません。
それぞれの決済方法については「使いやすさ・安全性・利用限度額」を中心に取捨選択するのが賢明です。
ただどれも代金を後で支払うサービスですので、利用者の信頼性や誠実さなどは共通して重要となってくる事柄です。
*参考記事