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学資保険の概要
「共済で学資保険のように、教育資金を積み立てる事は可能?どんな共済がおすすめ?」
子供を持つと沢山のお金が必要になりますが、その中でも悩みのタネになりやすいのは「教育資金」であると言えるでしょう。食費や娯楽費と言った費用と異なり、一度に大きなお金が必要になるからです。
そのような経済的な負担を出来るだけ軽減するために、予め備えておくための保険が「学資保険」です。教育資金を貯蓄する選択肢としてポピュラーなものになっており、学資保険を検討している方も多いと思います。
ただ、一般的に何かを保障したいと考えた場合に、出てくる選択肢は「保険と共済」という二択をまずはじめに検討するべきで、学資保険についても共済を選択肢の1つとして認識しておきたい所です。
なので、今回は「共済と学資保険」というテーマで、
- 学資保険とはどのようなものなのか?
- 共済で教育資金を貯蓄する事は出来るのか?
- 共済と学資保険はどちらのほうが良いのか?
という観点から、教育資金と共済というポイントについて解説していきたいと思います。まず、はじめに教育資金を貯蓄する選択肢として、ポピュラーな学資保険についてしっかりと押さえていきましょう。
どんな保険なのか
まず、はじめにそもそも学資保険とはどのような保険なのか?という点についてしっかりと理解しておく必要があります。学資保険とは「教育資金を貯蓄するため」の保険になっています。
教育資金として最も負担が大きいのは、やはり「大学入学時から卒業まで」という期間において、教育資金が必要になってくるケースが多いです。大学は入学だけで100万円近く掛かってくるケースも存在しています。(私立の場合)
また、国立・公立と言った公的な大学であったとしても、4年間合計で250万円近くは学資だけで必要になってくるのです。もしも、大学生として一人暮らしが必要になった場合は、仕送り等の費用を考えるとそれ以上に必要になってくると言えます。
このような経済的なリスクを保障するのが、学資保険です。保険金については、商品によって大きく異なってくる部分にはなっていますが、一般的には「100万円~数百万円」程度に収まる事が多くなっています。
もちろん、貯蓄方法は学資保険のみではありません。資産運用や他の保険でカバーする事も可能であると言えるでしょう。ただ、学資保険には親御さんが死亡した場合に、保険料が免除になる等の死亡保障が付いています。(一部を除く)
このような点を考えると、学資保険に加入しておけば、教育資金の貯蓄途中に何かあったとしても教育資金は確保出来る事になり、学資保険の人気が高い1つの理由になっています。
貯蓄型と保障型
学資保険について理解を深める上で、最も欠かせない要素の1つに「学資保険の種類」という観点があると思います。学資保険は様々な観点から分類する事が可能になっていますが、最も重視したいのは補償内容による違いです。
補償内容から見た時に、学資保険は「貯蓄型」と「保障型」という2種類に分けられます。
貯蓄型
貯蓄型の学資保険というのは、最もポピュラーである学資保険のベーシックなものであると言って良いでしょう。そもそも、学資保険とは教育資金を貯蓄するために加入するものであり、貯蓄性という観点は非常に重要なポイントです。
貯蓄型は、学資保険本来の目的である貯蓄に焦点を当てたものになっており、保障型と比較した時に貯蓄性が高い保険になっています。教育資金を純粋に積み立てたいなら理想的なタイプであると言えるでしょう。
ただ、この貯蓄性が高いのには理由が存在しています。それは、保障型と比較した時にどうしても「保障が薄い」ものになっています。保障があまり無いため、貯蓄に対しての保険料しか支払わなくて済むというイメージです。
そのため、学資保険の加入伴って子供に関する何かしらの保障を期待している方にとっては、少し保障内容が寂しいものになっていると言えるでしょう。ニーズによっては注意が必要な保険になっています。
保障型
先程、解説した「貯蓄型」の真逆のタイプが「保障型」の学資保険であると言えます。保障型の学資保険について簡単にまとめると「保障にも焦点を当てた学資保険」になっていると言えます。
教育資金を積み立てるのが学資保険に加入する意義ですから、もちろん教育資金を積み立てていく事が可能です。ただ、それに付随していくつかの保障が付いてきます。商品によっても異なりますが、医療に関する保障が多くなっています。
貯蓄型が教育資金のみ、保障型は貯蓄プラス保障が付いてくる保険になっているので、一見すると保障型の学資保険がお得に見えてくるかもしれません。ただ、貯蓄性という観点から見た時に、どうしても保障型は貯蓄型よりも見劣りするものになっています。
一長一短のある保障型・貯蓄型ですが、基本的には貯蓄型の方が人気があります。やはり、貯蓄性に大きな差があり、保障が欲しい場合は別途医療保険等に加入するという方が少なくないからです。
学資保険でどんな部分を保障していきたいとのか?という点についてしっかりと検討した上で、保障型・貯蓄型の選択を行いましょう。
返戻率について
学資保険について解説する上で、欠かせない要素のもう一つの観点が「返戻率」です。返戻率とは、支払った保険料に対してどのくらい返ってくるのか?という点を表した数字であり、貯蓄性のある保険に加入した方は聞いた事がある方も少なくないはずです。
通常返戻率は、パーセンテージで表される事が一般的になっています。つまり、100%を超えると保険料よりも多く返ってくる事になり、割ってしまうと支払った保険料よりも低い保険金が返ってくる事になります。
通常、貯蓄型のものであれば100%から110%程度が一般的な返戻率になっており、細かな条件によって上下するという感じです。また、保障型・貯蓄型を比較した時に、保障型の方が平均的に返戻率が低くなっていると言えるでしょう。
この返戻率というのは、学資保険のみならず他の貯蓄性の高い保険でも用いられる事の多い数字になっています。他の保険に加入する際にも参考になると思うので、押さえておいて損はないはずです。
共済で教育資金をカバーする事は可能?
先程、学資保険の基本的な部分についてご紹介させて頂きました。学資保険の基本的な事が分かった所で、保険で教育資金を積み立てていくという事の概要が掴めてきたと思います。
これから本題である「教育資金と共済」という点について解説していきたいと思います。ただ、全ての共済や学資保険を対象としたものではなく、実際には各商品によって若干の違いが出てくるので、参考程度に読み進めて頂けると幸いです。
共済について
まず、はじめに共済について基本的な部分を解説していきたいと思います。共済について簡単にまとめると「お互いにお金を出し合う非営利の保険」であると言えるでしょう。
そもそも、共済という言葉には「助け合う」という意味合いが込められています。細かな仕組みや商品については、共済事業を行っている団体によって異なりますが、基本的な仕組みは「みんながお金を出し合って、困った時に助け合う」という形になります。
保険の仕組みと似通った部分もありますが、非営利であるためいくつか異なるポイントも存在しており、その中でも利用者にとって大きなポイントは「掛け金(保険料)が安い」という点でしょう。
もちろん、細かな保障内容は保険・共済とも商品によって異なってくる部分ですが、同じような保障内容の場合は共済の方が掛け金が安い事が多いです。また、年齢・性別に関係なく、掛け金が一律のものも多く、人によっては大きなメリットになるでしょう。
教育資金のための共済はある
共済で教育資金を積み立てる事が可能なのか?という点について完結にまとめると「共済で教育資金を積み立てる事は可能」です。共済には様々な団体が存在していますが、一部の団体では教育資金に焦点を当てた共済が存在しています。
共済に限った話をすると、やはり全体的に「保障型」に近い共済が多いと言えるでしょう。共済というのは、どちらかと言うと困っている人を助け合うという特性が強いものになっているので、保障が重視される傾向にあります。
もちろん、共済と言っても様々な団体・商品が存在しているので、一概には言えません。ただ、掛け金が安い・一般的な共済に近いという点から、今回は「JA共済 こども共済」についてご紹介していきたいと思います。
JA共済のこども共済
JA共済は、日本に存在している共済事業を運営している団体の中でも、最も大きな団体の1つになっています。また、様々な共済が準備されているのも特徴的で、共済を検討する際にはまずチェックしておきたい団体になっていると言えるでしょう。
そんなJA共済が運営している共済の1つが「こども共済」になっています。ただ、共済は保険と違って、細かな用語が異なる部分がいくつかあります。
出来るだけ分かりにくい用語は避けて解説しますが、どうしても「掛け金(保険料)」「共済金(保険金)」この2点だけは押さえておかないと内容が掴めないので、この2点だけは押さえて頂けると幸いです。
保障内容
共済・保険に限らず、最も重要なポイントは「保障内容」になるあると言って良いでしょう。こども共済の保障を簡単にまとめると、以下の3点に絞られます。
- 入学のタイミング等で共済金(祝金)を給付
- 親御さんがもしもの時に掛け金免除
- お子さんがもしもの時にも保障
上記した中で、祝金の部分と親御さんの部分の保障については、一般的な学資保険と変わりません。ただ、お子さんがもしもの時にも保障するという点については、保障型に似た共済の大きなポイントであると言えるでしょう。
このもしもの時というのは、主に後遺障害が対象となっており、何かの事故や病気等によって重大な障害が残ってしまった場合に「300万円」の共済金を受け取る事が可能です。ただ、保障型の学資保険と比較した場合は、比較的シンプルな保障内容になっていると言えます。
こども共済の特徴
基本的な保障内容について理解した所で、こども共済の特徴について解説したいと思います。結論からご紹介すると「保障型にしては高い返戻率」であるという点にあるでしょう。
もちろん、保障型と一言で言っても様々な保障を提供しているため、一概に返戻率と比較した時に見合った保障を提供されているのか?という点に関しては、疑問が残ります。
ただ、一方で保障型は返戻率が80~90%になるケースも存在しており、かなり返戻率が低いというのは事実です。そのような点を踏まえると、こども共済は「101~3%」程度の返戻率になっています。(詳細はプラン等によって変化します)
元本割れしてしまう保障型が多い中で、元本割れしない保障型というのは共済だから可能な事であり、大きな特徴・メリットであると言えるでしょう。
学資保険と共済を比較
先程、JA共済のこども共済について詳しくご紹介させて頂きました。ただ、共済を運営している団体は他にも存在しており、多種多様な教育資金関連の共済が出ています。
なので、これから一般的な教育資金関連の共済と学資保険を比較していき、共済か?保険か?という点について解説していきたいと思います。
共済と保険の保障内容の違い
共済と学資保険の両者を比較した時に、やはり大きな要素として「保障内容の違い」という点は外せません。結論から言うと「学資保険の方が自由度が高く、共済の方が保障が手厚い」と言えます。
学資保険は、共済と比較した時に自由度が高いです。単純に学資保険を提供している保険会社が多いですし、保険は加入者と保険会社の一対一の契約という側面が強いので、保障を任意で調節しやすくなっています。
そのため、保障を手厚くしたい場合は保険料さえ支払えば、手厚い保障を設定する事が可能になっています。ただ、保険料と保障内容のバランスという観点で見た時に、安い保険料で手厚い保障を受けられるのは共済です。
共済の場合は、保険会社のように1つ1つの契約を作っていくというよりも、1つの保障内容をみんなと共有するという側面が強く、自ら保障を調節出来る部分がどうしても少なくなっています。
そのため、保障を好きなように調節して、保障を組み立てるという事が難しいものになっています。そのような点を考慮すると、学資保険も共済も一長一短になっています。
共済・保険と返戻率
共済と保険の返戻率を比較すると、どちらかと言うと学資保険の方が高いと言えるでしょう。やはり、保険会社の保険は貯蓄型のものが多く、平均的には学資保険の返戻率が高くなっていると言えます。
一方で、共済と保障型の学資保険を比較した場合は、共済の方が高いケースが多いでしょう。もちろん、学資保険の保障型でも、保障内容が手厚いために返戻率がどうしても下がってしまっているものはあります。
ただ、同じような保障内容の共済と保障型の学資保険を比較した場合は、共済の方が返戻率は高くなっています。共済は基本的に非営利のため、やはり返戻率は高くなりやすくなっています。
しかし、貯蓄性という観点のみで見た時に、共済・保障型・貯蓄型を比較した時に、断然貯蓄型の学資保険が返戻率が高くなっているのは事実です。もしも、保障内容等に焦点を当てておらず、貯蓄性を重視しているようなケースでは、貯蓄型を選択するべきです。
貯蓄型・保障型・共済どれがおすすめ?
最後に、学資保険の貯蓄型・保障型・共済のどれがおすすめなのか?という点についてご紹介していきたいと思います。各商品等によっても詳細は異なりますが、基本的には学資保険の貯蓄型がおすすめです。
そもそも、学資保険というのは教育資金を積み立てるために加入するものであり、その点を最も重視するべきです。この場合、貯蓄型が貯蓄の効率という点では最も優れているので、選択肢としてまず検討したいと言えます。
また、それに加えて保障型・共済が提供しているような保障は、他の保険でカバー出来るケースが少なくありません。保障が重複している可能性もありますし、そもそも子ども医療費等はかなり公的な援助を受けられる可能性が高いです。(自治体等によっても異なる)
このような点を総合的に考えた場合に、おすすめは「学資保険の貯蓄型」であると言えます。ただ、ニーズマッチしているケースでは、共済や保障型であっても何ら問題はありません。
学資保険でどんなものを保障していきたいのか?どのくらいの予算を掛けられるのか?といった点を総合的に考慮して、親子にあった学資保険・共済に加入しましょう。
まとめ
学資保険の基本的な事
- 教育資金の貯蓄を目的とした保険
- 2種類ある
- 返戻率に焦点をあてる
共済で教育資金を貯蓄出来るのか
- 共済でも教育資金を貯蓄するものはある
- JA共済のこども共済がおすすめ
- 保障型のものが多い
学資保険と共済
- パッケージ化されたものが多い共済
- 返戻率は学資保険
- ニーズによって使い分ける
学資保険と共済というテーマで、学資保険の概要や共済で教育資金を貯蓄出来るものはあるのか?という点、学資保険と共済の比較という点についても解説しました。
学資保険・共済のどちらのケースでも一括にする事は出来ません。実際は、商品一つ一つによって特徴は異なっており、学資保険・共済という使い分けではなく、各商品の特徴に焦点を当てるというのも保険を選ぶ時の重要なコツになっています。
どんな学資保険の中でも様々な種類がある中、そこに共済も選択肢として入ってくると難しく感じてしまうかもしれませんが、教育資金をどう貯蓄していきたいのか?という点をしっかりと定めて、ニーズにあった保険に加入しましょう。