PayPay加盟店で利用できる決済、アリペイ、アリペイ香港、カカオペイとは?個別で導入した場合の違いも解説

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最近ではインバウンド対策として、中国のアリペイアリペイ香港、韓国のカカオペイの導入を検討する店舗が増えています。そこで気になるのがPayPayが提供している海外の決済サービスです。

PayPay加盟店になれば、アリペイ、アリペイ香港、カカオペイの決済サービスをPayPayのQRコードを使って利用することが可能になります。

PayPay加盟店で海外の決済サービスが利用できるとは、一体どういうことなのでしょうか?

今回は、PayPay加盟店として利用できる海外決済サービスの特徴や、利用の仕組みをご紹介していきます。同時に、個別で海外決済サービスの加盟店になることの違いもわかりやすく解説しておきましょう。

PayPay加盟店で利用できる決済

これまでは現金での会計しか扱っていなかった店舗でも、政府のポイント還元制度によってキャッシュレス決済の導入が検討されているようです

導入にあたってQRコード決済であれば、比較的導入が容易であることから、PayPayを導入する店舗が増えてきているようです。

数あるスマホ決済の中でも、PayPayは多彩なキャンペーンを随時行っており、消費者・店舗と双方にとって魅力がある決済サービスの1つだといえます。

さらに国内の決済サービスの導入と同時に気になるのが、海外の決済サービスへの対応です。

インバウンド対策

近年、国内では主要都市部の大型店舗だけにとどまらず、地方や中小・個人の小規模な店舗でも訪日外国人の存在は大きくなりつつあり、いかに集客・販促していくのかが各店舗でも重要な課題となってきています。

効果の高いインバウント対策として、海外のスマホ決済の導入が注目されています。

そこでPayPay加盟店になれば、海外のスマホ決済の導入が導入できるらしいと気になっている経営者の方は多いのではないでしょうか。

PayPayで導入可能な決済

では、PayPay加盟店になることで利用できる海外の決済サービスにはどのようなものがあるのでしょうか。

  • 中国のスマホ決済「アリペイ/Alipay」
  • 香港のスマホ決済「アリペイ香港/AlipayHK」
  • 韓国のスマホ決済「カカオペイ/Kakao Pay」

以上の3つの海外決済サービスが導入可能となります。PayPayの加盟店になったうえで、別途で申し込むことで利用できるようになります。

PayPayで利用できる仕組み

PayPayで海外決済サービスが利用できる仕組みは、とても簡単です。

PayPay加盟店は、何か特別にシステムを導入しなくともPayPayのアカウントを利用して、そのままの状態でこれらの海外決済サービスが利用できるようになります。

というのも、PayPayと各種海外決済のQRコードやバーコードに翻訳機能が挿入されているので、コードを共有することができるようになるのです。わかりやすくいうと、PayPay決済を窓口にしてアリペイなどの海外決済を受け付けることができるというイメージです。

※PayPay加盟店の公式サイトはこちら。

※ここで、まずはQRコード決済とは何なのかを詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にして下さい。

では実際に、アリペイ、アリペイ香港、カカオペイがどのような決済サービスなのか、それぞれの大まかな特徴をご紹介していきたいと思います。

アリペイ/Alipay とは

アリペイは中国で最も利用されているキャッシュレス決済です。

中国は世界でもスマホ決済の普及率が非常に高いことがよくメディアでも取り上げられているように、2019年に入ってからアリペイのユーザー数は12憶人を超えたことが報告されています。

アリペイは中国本土を中心にユーザー数を増やし続けており、世界中に加盟店展開をしている世界最大規模の決済サービスとして、その地位を確立しています。

アリババグループ

アリペイは中国超大手のITサービス企業、アリババグループが運営する決済サービスになります。

アリババグループは1999年に設立されました。ECコマース事業「阿里巴巴/アリババ」を発端に「淘宝/タオバオ」「天猫/テンマオ」など多彩なネット通販を運営しています。

アリババグループの事業

越境EC関連が10ブランド、中国ローカル向けが6ブランド、その他エンタメ・メディア関連のサイトが9ブランド展開しています。

他にも、物流、金融、マーケティング、クラウドサービスなどの事業も展開しており、アリペイはアリババグループの金融事業者、アントファイナンシャルが提供する決済サービスになります。

アリペイ普及の流れ

最初、アリペイはアリババグループが運営するネット通販での決済方法として開始されました。海外展開もしているアリババグループサイトでのショッピングが便利になることから、アリペイはユーザー数を増やし続けていました。

2013年以降は、実店舗やその他様々なサービスでもアリペイ決済が利用できるようになり、2018年では中国のモバイル決済金額は約4,709兆円を記録するまでに至りました。

中国では日常的な支払いのほとんどがモバイル決済でなされており、モバイルユーザーの約90%がモバイル決済を利用しているとのことです。

中国のモバイル決済市場の規模は、約5年間で27倍に拡大しているのです。2019年の第一4半期(4月~6月)にて、すでに約1,325兆円に達しています。

※中国モバイル決済市場の規模

出典:chaitopi.com

上図は中国のマーケティングメディア、iimediaの統計です。赤い棒グラフが決済取引総額(人民元)、線グラフにてその増加率を表したものです。

アリペイのシェア率

急速に普及が進み、巨額な金額が取引きされている中国のスマホ決済のうち、54%以上をアリペイの決済額が占めています

ショッピング、飲食、交通費、配車、宅配だけでなく、保険や資産運用、屋台や路上販売、医療施設や公共料金、交通違反の罰金など、実に多種多様な支払いにアリペイ決済が利用されています。

訪日中国人の統計

様々な国から訪日客が訪れる中、とくに中国が注目されているのは、訪日外国人の中でも中国が1位の838万人を記録しているからです。さらに、消費額においては全体の34%を占めており、1人あたりの消費額も平均を遥かに上回っているのです。

  • 訪日中国人の数→838万人(全体3,119万人)
  • 訪日中国人の消費額→1兆5千億(全体4兆5千億円)
  • 1人あたりの消費額→22万円(平均15万円)

このように中国人にとって利便性が高いアリペイ決済を導入することで、各店舗での売り上げ向上が期待されています。

※アリペイとは?さらに詳しくアリペイについて調べたい方はこちらをご覧下さい。

アリペイ香港/Alipay HK とは

それでは次に、アリペイ香港について調べていきましょう。

アリペイ香港という名称を聞いた時に、香港では中国のアリペイが使えないのかと疑問に思う方もいるでしょう。香港はあたかも国の名前のように至る場面で使われています。

まずは香港と中国の関係から見ておきたいと思います。

香港は中国ではないの?

おそらく日本人だけに限らず、多くの外国人にとって香港とは中国の都市だという認識があります。もちろん、香港は中国の一部であり香港という国はありません

なぜ、香港が国の1つのように中国と区別されることが多いのかというと、香港はイギリスの領土だった期間があり、政治や文化、生活・習慣・公共インフラの仕組みなどが中国本土とは全く異なるからなのです。

金融・通信システムが中国本土とは異なる

香港では金融機関や通信システムの管轄が香港のみで個別に管理されているため、中国本土と連結してアリペイを使うことができませんでした。

そこで、2017年以降にアリペイ香港版が新たに提供されるようになったのです。本格的に中国本土や他国でも展開し始めたのは2019年に入ってからで、今、急速に普及が拡大している段階になります。

アリペイ香港の利用状況

2019年7月において、アリペイ香港のユーザー数は約200万人、加盟店数は約5万店舗。2020年には香港地下鉄でも利用できるようになることから、今後ユーザー数はますます増加していくことが予測されています。

※アジア16都市におけるスマホ普及率

出典:travelvoice.jp

観光産業ニュースメディア travelvoice によると、2017年の時点でのスマホ普及率アジア16都市の中でも香港が一番高く99.5%でした。従って、もともと香港ではモバイル決済が普及しやすい環境にあると見ることができます。

また、香港にてこれまで主流だったオクトパスカードとアリペイが連帯して使えるシステムも拡大しているとのことで、アリペイ香港の利便性が今後はさらに高まっていく見通しです。

そこで、国内でも普及に先駆けてアリペイ香港を導入する動きが強まっているのです。

香港からの訪日客

香港からの訪日客は現時点でどれくらいなのかを確認しておきましょう。

2018年度の香港からの訪日客は約220万人で4位にランクインしています。国ではなく、ほんの小さな都市部のみでこれだけの数字が出ていることが注目されています。

また、リピーター数が他の国に比べて多いことも香港の特徴です。

※アリペイ香港について、さらに詳しい情報がこちらでご覧いただけます。

カカオペイ/Kakao Pay とは

カカオペイは、韓国で今人気上昇中の決済サービスの1つで、ここ1,2年でユーザー数が急激に増えていることで海外での加盟店も拡大し始めています。

まだ、韓国におけるモバイル決済の普及率は中国ほどではないのですが、キャッシュレス比率自体がもともと非常に高い比率にあったことから、今後の展開速度も加速していくことが期待されています。

では、韓国のキャッシュレス事情について、まずは確認していきましょう。

すでにキャッシュレス比率が96%

韓国ではすでに、2016年の時点でキャッシュレス決済の比率が全体の96%を占めていることが経済産業省の調査によって報告されています。

出典:JETRO 日本貿易振興機構

韓国でキャッシュレス決済がここまで普及した背景には、韓国政府による経済政策が大きく付与しているとのことです。キャッシュレスの利用による税制控除制度や宝くじ、インフラ整備の推進・他業種参入の支援などを実施することで、現在のキャッシュレス市場の規模は63兆円を超えています。

しかし、実態はクレジットカードの利用が約80%を占めており、モバイル決済に関してはまだ普及の過程にあるといえます。

サムソンペイに追いついたカカオペイ

これまでは、韓国で最もシェア率が高かったモバイル決済はサムソンペイでした。

2018年度3月の時点でサムソンペイのユーザー数は約1,000万人を超えており、取引総額170億円と韓国のモバイル市場を独占していました。

ところが、2019年に入ってからカカオペイの取引総額は約5倍に増加しており、ほぼサムソンペイに追いついている状態だとのことで、その成長の速さが今注目されています。

カカオペイの急速な成長の背景には、中国のAlipay決済との提携によってグローバル化が加速していることが挙げられるでしょう。

カカオペイの利用状況

2019年7月時点のカカオペイの利用状況は、ユーザー数2,300万人、加盟店数22,000店舗となっています。おそらく数か月おきに、その数字は拡大していくと思われます。

韓国からの訪日客

2018年度の韓国からの訪日客は約753万人を記録しており、中国に次いで2位にランクインしています。

2019年に入ってからは、日韓摩擦の影響や西日本を襲った災害の影響などで大幅に韓国からの観光客が減少しているのですが、韓国からの訪日客は時期によって大きく変動する傾向にあります。

年末年始などは、中国よりも韓国からの観光客が多くなるという現象もみられています。

個別で導入した場合の違い

以上ご紹介したような海外決済サービスがPayPay加盟店になれば、別途で申し込むことで店舗にて簡単に利用できるようになります。

またもう1つの海外の決済サービスを導入する方法として代理店で個別で申し込む方法があります。それぞれの決済サービスの直営の代理店にて、直接その決済事業者と加盟店契約を結ぶ方法です。

※PayPayで利用する場合と個別で代理店から導入する場合とでは大きな違いがあるので注意する必要があります。

直接の加盟店になる

ここで、直接の加盟店になるとはどういうことなのか、PayPayで利用する場合との違いを解説していきます。

わかりやすく、アリペイを例にして加盟店になる流れや仕組み見ていきましょう。

代理店で加盟店になる流れ

国内ではアリペイの認定した代理店や決済事業者を通して、加盟店の申し込みができるようになっています。

加盟店の審査があった後、アリペイアプリ(システム)をインストールして加盟店登録を行います。

つまり、アリペイの店舗用のシステムへの登録を直接行うわけです。登録が完了すればアリペイのアカウントを通して、会員用のサイトへもアクセスできるようになります。

PayPayの場合、アリペイの申し込みをする時点までは同じですが、あくまでもPayPay決済の提携先として加盟店登録を行うわけで、直接アリペイ加盟店の登録を行うわけではないのです。店舗用として利用するアカウントはPayPayアカウントです。

海外決済のサイト内で宣伝できる

代理店で直接の加盟店になる最大のメリットとは、各自個別のアカウントを通して、アリペイ(海外決済サービス)の口コミサイトや検索サイトにて店舗の宣伝ができるということです。

直接の加盟店になれば、店舗の写真や店舗情報を会員サイト内に掲載できますので、お店の存在をより多くの外国人にアピールできることになります。

たまたま近くを通って看板やサインを見てもらうことでも集客はできますが、会員用のサイト内で宣伝できた方が、集客できる確率は数倍高くなるでしょう。

従って海外決済を導入する際には、宣伝機能が使えるのかどうか、これが店舗にとっては重要なポイントになるといえます。

アリペイ加盟店になる流れは、アリペイ加盟店のサイトからご確認頂けます。

アリペイ決済の宣伝機能はこちらから詳しくご覧になれます。

判断のポイント

ただ、すべての店舗にとって必ずしも直接加盟店になった方がよいとはいえない部分もあります。

なぜなら、海外決済サービスの直接の加盟店になった場合は、それぞれの国の言葉で表記されたシステムを利用しなければならないからです。現時点では日本語が選択できる海外決済サービスは非常に少ないのが現状です。

英語であれば、ほとんどの海外決済サービスにて選択できるのですが、それでも全面的に英語で表示されることはなく、基本となるシステムの用語はやはりその国の言葉にて表記されてしまいます。

言語の壁をどうするか

言語の壁をどう乗り越えていくのかが、導入方法を選ぶ際の1つの判断ポイントになるでしょう。

もし、簡単な英語か中国語(韓国語)を理解していくことが苦にならない方は、直接の加盟店になった方がより大きなメリットを享受することができます。

しかし、もし言語の壁を乗り越える自信がない方や、スマホの操作自体が不安だという方にとってはPayPayなどの提携サービスとして海外決済サービスを導入した方が、最初はわかりやすいかもしれません。

日本の決済サービスにてQRコードの操作に慣れてから、改めて直接の加盟店になるという方法もありますので、それぞれにとって安心できる方法を検討していくことが大切です。

ちなみに、以下のアリペイの代理店であれば、スマホの操作方法やアリペイ決済の画面の見方などを、無料でわかりやすくサポートしています。不安な方はまずは相談してみるといいでしょう。

※アリペイ代理店の公式サイト

まとめ

今回はPayPayの加盟店で利用できる海外決済サービスをご紹介していきました。

PayPayで利用できる海外決済サービスは、

  • アリペイ(中国)
  • アリペイ香港
  • カカオペイ(韓国)

以上3つが利用できるようになります。

PayPay加盟店になれば、とても簡単に海外の決済サービスが利用できるようになることがわかりました。ただPayPayで海外決済を利用する場合は、見落としがちな盲点として、宣伝機能が使えるかどうか、という点を解説していきました。

代理店に申し込めば、その海外決済サービスの直接の加盟店になることができます。加盟店になれば会員用のサイトへアクセスすることも可能です。

会員用の口コミサイトや検索サイトでお店の宣伝ができることは、多くの店舗にとって他には代えがたい大きな戦力となることは間違えありません。

海外の決済サービスの導入においては、それぞれの状況に応じて、適切な導入方法を慎重に選んでいくことが大切だといえるでしょう。

 

 

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