香港の決済アプリ「Alipay 香港」とは?日本での導入方法や中国版との違いも解説!

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最近インバウンド対策としてAlipayやWechat Payが話題になっていますね。さらにAlipayHK(香港)という決済アプリの存在を見聞きする機会があります。

中国といえば、日本人だけに限らず香港をイメージする人は多いと思いますが、香港では中国版とは別でAlipayHK(香港)が利用されています

香港からの観光客も多い今日、経営者にとってこのAlipayHK(香港)も気になるところですよね。AlipayHK(香港)とはどのような決済サービスで日本で導入するにはどうすればいいのでしょうか。

今回は、香港の決済アプリ「AlipayHK(香港)」の特徴や導入方法、中国版との違いなどを解説していきます。ぜひ、皆さまのインバウンド対策にお役立て下さい。

訪日観光客で香港に注目!?

出典:Google map

まず、言われてみて気づく方も多いと思いますが、香港はなぜ中国とは区別されて語られることが多いのでしょうか。

NYやロンドン、そして東京という都市名はよく使われるように、中国の有名な都市だから、香港という名称が使われる場合もあります。しかし、あたかも中国とは別の国のように区別されているケースも少なくありません。

えっ?でも香港は中国でしょう?と日本を含めた外国人たちはそう疑問に思ってしまいます。実は香港は確かに中国の都市ですが、イギリスの領土だった期間があるのです。

従って、一般的に私達が思っている中国とはまた別の政治・文化や習慣があるわけです。イギリス領土だった頃の名残りからも、未だに中国と香港が区別されて述べられることが多いのです。

※ただ、今となってはあくまでも香港は中国の都市です。

では本題に戻って、そんな香港からの観光客はどれくらい多いのか最初に調べていきましょう。

香港は訪日外国人の中で4位!

中国からの観光客が訪日外国人の中では最も多く、次に韓国、台湾、そして香港と続きます。2018年度と2019年7月とで訪日外国人数の国別の比率を見ておきたいと思います。

※2018年度 訪日外国人の国別の内訳

1位:中国→約838万人

2位:韓国→約753万人

3位:台湾→約475万人

4位:香港→約220万人

5位:シンガポール→約43万人

2018年度の年間の香港からの観光客は約220万人でした。中国が断トツに多いのですが、やはり香港からの観光客も注目すべき数ですよね。

※2019年7月 訪日外国人の国別の内訳

そして、2019年7月には、1位の中国は2位の韓国の約2倍の100万人。香港は4位で21万人でした。たったの1カ月の期間にも、これだけの訪日客が計上されているのは驚くべきことです。

中国のスマホ決済の導入が必須であることはいうまでもありませんが、香港の決済サービスにも対応できる方がより確実なインバウント対策が実施できることになります。

そこで、気になるのが香港でのスマホ決済の利用状況です。香港では中国同様にスマホ決済が日常的に利用されているのでしょうか。

香港のスマホ決済の利用状況

同じ中国でも香港は先述したように、イギリス領土だった歴史を持つ都市で、中国本土とは全く異なる文化や習慣があります。中国では急速にスマホ決済が浸透し、もはや現金で支払う人はごく僅かとなっていますが、香港ではそこまで浸透していないのが現状です。

香港ではオクトパスカード

香港においてスマホ決済の浸透を妨げている要因として、オクトパスカードと呼ばれる交通カードが一般的に普及していることを挙げることができます。

オクトパスカードとは日本のSuica、PASMO、PiTaPaなどの交通ICカードと似たようなもので、非接触で交通機関だけでなく様々な支払いに対応できるカードです。キャッシュカードやクレジットカードとの一体型もあるため、まさに日本の交通系カードと同じ役割をしています。

香港ではこのカードを1997年から導入し、オクトパスカード社の統計によると香港の約95%が所有しているとのことです。

香港政府によるオクトパスカードの推進政策もあり、利用できる店舗や施設・サービスの数も非常に多いことから香港ではその他の決済方法に対するニーズがほとんどなかったようです。

イギリス領土であった頃のプライド

また、香港は1860年から1997年と、100年以上の長い期間に渡ってイギリス領土となっていました。街中にはエリザベス女王陛下の写真が飾られるなど、当時生まれ育った人達にとって香港は中国ではなくイギリスとの認識が強かったのです。

イギリスの一部であるとのプライドからも、中国本土から侵入してきたスマホ決済を、簡単に受け入れる気持ちにはなれなかったのだと分析する声もあります。

オクトパスカードのモバイル版が登場

ただ、そんな香港でも徐々にスマホ決済に移行していく動きは見られています。きっかけは、オクトパスカードのモバイル版が登場したことです。

世界各国で今注目されているスマホ決済が、いずれは主流となると見込んだオクトパス社は、例にもれずオクトパスカードのモバイル版を2017年末に提供を始めています。

オクトパス社はSamsungと提携した「Smart Octopus」、PayPalと提携した「O!ePay」と決済アプリをそれぞれ開発・提供しています。

すでにオクトパスカードのモバイル版をダウンロードしているユーザーは150万人以上となり、このことをきっかけに、香港でもスマホ決済の普及拡大これから進んでいくだろうとの見方が強いようです。

2018年7月のモバイル決済利用率

2018年7月の中国メディア人民網によると、香港におけるモバイル決済の利用率はモバイル利用者の約30%程度にとどまっているとのことです。

香港生産力促進局では、「スマホ決済の利用者はまだ全体的に高くはないが、今後、改善される余地は大いにあるだろう」と述べています。

香港も日本やその他の国同様に、スマホ決済に関してはまだ発展途上にあるといえ、これから急速に拡大していく可能性を秘めている段階です。

参照:人民網 香港の7割以上はモバイル決済を利用していないことが明らかに
http://j.people.com.cn/n3/2018/0705/c94475-9478100.html

AlipayHK(香港)とは

出典:AlipayHK

香港においてAlipayやWechat Payなどのスマホ決済の普及が著しく遅れた理由として、もう1つ、中国本土と香港での金融機関やIT通信設備の管轄が全く異なることが原因だったともいえます。

中国版との違い

AlipayやWechat Payを利用するためには、中国本土の銀行口座や電話番号(通信ID)が必要です。ところが、香港の人達は香港の銀行口座、香港の通信サービスを利用しているため、AlipayやWechat Payを利用することができませんでした。

2017年5月にAlipayの香港版がスタートしていたのですが、あくまでも香港のみで利用できる小規模なサービスでした。

そこで、ようやく2019年3月から、中国本土でも利用できるAlipayHKが提供されることになりました。

香港でもスマホ決済の推進を

これまで香港政府と中国政府とは、複雑な力関係にあり多少の摩擦が生じているのは事実ですが、香港としてもアリババやテンセントのように、世界的な規模で成功を収めているスマホ決済の存在を無視することは不可能です。

香港政府側でも、中国本土、かつ世界的に利用が可能なスマホ決済を推進していくことはやぶさかではなかったのですね。結果的に国際的に利用可能で巨大なユーザーを抱えるスマホ決済を香港に導入すれば、それは香港の収益にもつながります。

香港政府の同意を得て、AlipayはAlipayHKとして新たに規模を拡大していくことになりました。おそらく、利便性の高いAlipayHKの存在が香港でのスマホ決済市場を推進していく、大きな役割を果たすだろうと見られています。

AlipayHK 急速に拡大

AlipayHKは、香港の交通機関への導入を開始するなど、利用できる規模を展開していくことで、今急速に拡大しつつあります。2020年には香港地下鉄でのAlipayHK導入が予定されています。

また、「広東、香港、マカオベイエリア発展計画」に基づき電子決済システムの相互接続が可能となることによって、さらに普及を後押しするだろうといわれています。

※日本貿易振興機構 JETRO/アリペイ香港3月からベイエリアで
https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/03/102247c707f36b56.html

AlipayHKの特徴

AlipayHKは、以上ご説明したような経緯にて新たに開発されたAlipayの香港版です。

ここで改めてAlipayの特徴をご紹介しておきましょう。

Alipayは中国で最も利用されているスマホ決済で、世界時価総額ランキングにて7位にランクインする超大手IT企業アリババグループが運営している決済サービスになります。

Alipayのユーザー数は12憶人突破

Alipayは、世界450以上の金融機関と提携しており、日本でもPayPayなど多数の大手企業と提携しているスマホ決済です。

2019年10月の最新ニュースによると、6月時点でのユーザー数は世界で12憶人を超えたことが発表されています。

Alipayは中国の2大スマホ決済ともいわれており、中国のスマホ決済全体の約54%のシェアを占めている決済サービスです。

AlipayHkのユーザー数は現時点では約200万人。加盟店数は約5万店舗です。

※Alipayについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にして下さい。

AlipayHK(香港)の利用方法

巨大なユーザーを抱えるAlipayの香港版、AlipayHKはQRコードを使って決済を行います。会員登録をしたAlipayユーザーとAlipayの加盟店との間で可能となる決済方法です。

QRコード決済とは

QRコード決済とは、QRコードやバーコードをスマホやリーダーで読み取って、決済に必要な情報のやり取りをします。

店舗はお店のQRコードをステッカーやミニスタンドで提示しておく方法が一般的です。

決済の流れを見ていきましょう。

  1. お客さんがお店のQRコードをスマホで読み取ります。
  2. お店の情報がAlipayアプリに記録されます。
  3. 金額をお客さんが入力します。(または店舗側で入力してもよい)
  4. 入力された金額を店舗が確認します。
  5. 問題なければ支払い完了のボタンをお客さんが入力します。
  6. これでAlipayの決済が完了です。

店舗は店舗用のAlipayシステムにて、決済された金額を確認することができます。決済が完了したら、指定された入金日に決済した総額が振り込まれる仕組みになっています。

※決済金額の締め日や入金日などは、それぞれの契約状況によって異なります。

※Alipay決済では原則として決済手数料がかかります。

※また、店舗側でお客さんが提示したバーコードを読み取る方法もあります。

日本で導入する方法

それでは、日本でAlipayHKを導入するにはどのような方法があるのでしょうか

海外の決済アプリを導入する方法は大きく2つの方法があります。最後に日本でAlipayHKを導入する方法をご紹介いたします。

AlipayHKと提携している決済アプリ

AlipayHKを導入する1つの方法は、AlipayHKと提携している決済アプリを導入することです。

日本でAlipayHKと提携している決済代行会社は・・・

以上の決済代行会社の決済アプリにてAlipayHKの利用が可能となります。ただし、AlipayHKの加盟店となるわけではないので注意が必要です。

あくまでも各社が提供している決済アプリの加盟店として、提携先のAlipayHKの決済ができるようになるということです。

AlipayHK代理店で申し込む

そして、もう1つのAlipayHKの導入方法とは、AlipayHK代理店にて加盟店の申し込みをする方法です。

代理店での申し込みであれば、海外の決済アプリであっても直接の加盟店として様々なメリットが享受できます。提携サービスとしてその決済サービスを利用する場合と、加盟店として利用する場合では条件が異なるのです。

加盟店として導入する最大のメリットは、AlipayHKの会員用サイトにアクセスが可能になり、お店の情報を掲載したりと宣伝に活用できることです。

現段階では中国でもAlipayHKが展開し始めたばかりであるため、国内では取り扱う業者は非常に少ないのが現状です。今後、取り扱いを始める代理店が増えてくるでしょう。

まずはAlipayの加盟店に!

出典:アリペイ.net

確かに、スマホ決済の普及の速度は驚くほど速く、それぞれの国や地域の環境によっては、またたく間に普及拡大が進む可能性はあります。

しかし、スマホ決済の利用状況はほとんどの国では日本とさほど変わらず、せいぜい20%~30%の普及であることが現状です。世界的な規模でスマホ決済が利用されていくことは疑いの余地はありませんが、早急に必要な対策かといわれれば微妙です。

早急のインバウンド対策として、何はともあれ導入しておきたいのは、AlipayとWechat Payです。中国では最新の情報によると、モバイル決済の利用者の80%以上がスマホ決済と利用しています。

しかもAlipayとWechat Payの2つのサービスがモバイル決済の90%以上を占めていいるのです。この2つのスマホ決済はすぐにでも対応しておきたいものです。

AlipayとWechat Payの代理店

AlipayとWechat Payは今最も注目されている海外決済です。国内には大手からローカルまで数えきれない程の代理店を探すことができます。

以下のAliPay代理店、Wechat代理店では、それぞれ1つのお申込みにて両方の決済サービスが使えるようになります。初期費用や月額使用料など一切費用はかかりません。

まだ、導入がお済みでない方は早速気になることを問い合わせてみましょう!

※アリペイ代理店はこちら

※ウィーチャットペイ代理店はこちら

まとめ

増え続ける訪日外国人の存在は、多くの経営者の方にとって、売り上げを左右する重要な消費者です。インバウンド市場の波に乗り遅れたくないと、つい焦ってしまう方もいるかもしれません。

とくに、今は国内でもキャッシュレス決済が話題になっており、店舗での導入を急がせてしまいます。

しかし、あれもこれも導入したからといって、必ずしも売り上げが伸びると約束されたわけではありません。大切なのは、それぞれのお店の営業コンセプトです。営業コンセプトが定まれば、必然的に効果的な広告・宣伝を実施することができます。

どのような商品・サービスをどのような客層を対象に販売していきたいのか、この根本的なポイントが定まっていなければ、海外の決済アプリを導入しても高い効果を期待することは難しいでしょう。

そのためにも、今最も注目されている中国のスマホ決済、AlipayとWechat Payにまずは焦点を絞って、お店の戦略を考えてみることも必要なのかもしれないですね。

 

 

 

 

 

 

 

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