簡単にできる!株式会社の作り方

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株式会社を設立するにあたって、その投資の対象となる「株式会社」について知ることは必須です。

社会でのさまざまな出来事やビジョンに向かって常に最新の情報を仕入れようと考えることも大事ですが、それより先にもっと基本的なこと、株式会社とはそもそも何なのか。設立するには何をすればいいのかという点を学んでいきましょう。

株式会社とは?

株式会社とは、株券を発行して資金を集めて事業を実施する会社のことです。そのため、法律上、株式会社は社長や幹部のものではなく株主のものになっています。

一般的に企業を保有していると考えられている経営陣の役割は、会社の持ち主である株主たちから委託されて具体的な経営について決めることであり、そのための権限があるので企業を保有しているように見えます。そのため、信頼がなくなれば株主たちの手で解任されることもあります。

資本と経営が分かれている

株式会社の仕組みから見ていきましょう。資本金を提供した人が株主です。経営は、株主総会で選ばれた経営者が行います。株式会社は、このように、お金を出す人と経営する人が分離しています。

株を持っている人を株主と呼びます。利益が出たら株主に配当されます。株主は株主総会に出席し、会社の経営に意見を出すことができます。

ちなみに株主は、有限責任で、出資額以上の責任を負うことはありません。万が一会社が倒産したとしても、その株式の価値がなくなるだけです。

会社設立前に準備しておくべきこと

まずは、会社設立手続きにおいて最も基礎的な3つの設立事項について解説します。

会社の名前を決める

会社の名前を決める際に注意しなくてはならないのは次の3つです。

1.会社名のどこかに「株式会社」「合同会社」などの会社の種類を記載する。〇〇株式会社や合同会社〇〇など、設立する会社の形態を会社名にいれる必要があります。

2.会社名を見た人が誤解するような会社名は使用できません。不動産業を運営していないにも関わらず「○○不動産」という会社名を使ったり、会社の名前であるにも関わらず、「〇〇事業部」と会社の一部門を示すような名前をつけることはできません。

3.実績のある有名大企業などと同じ会社名は避けましょう。詐欺防止上などの観点から、有名企業等と同じ会社名の使用は避けた方がよいでしょう。

このように最低限のルールは設けられていますが、基本的には会社名は自由に決めることができます。

事業目的をどうするか決める

事業目的は定款の作成のときに必要になるために準備しておかなくてはならない設立事項の1つです。会社設立の際に注意すべきなのは、定款の事業目的に記載のない事業は行えないという点です。

事業目的は1つだけでなく複数個書くことが認められているため、将来行う可能性のある事業についてはあらかじめ事業目的として書いておくようにしましょう。

また、もし定款に記載のない事業を行うこととなった場合も定款変更手続によって事業目的を変更することができます。

本店所在地をどこにするか決める

本店所在地とは、本社の住所です。自宅や賃貸フロア、賃貸ビルなどのほか、バーチャルオフィスやコワーキングスペースも本店所在地として認められています。

本店所在地を決定する際に注意しておくところは、契約時の契約内容です。賃貸物件を本店所在地にしようとしても、契約内容に法人不可とあれば契約を解除される可能性があるからです。会社がつかってもいい物件なのかしっかりと確認しておきましょう。

設立前に準備しておくべき資本に関すること

次に会社設立の前に準備しておくべき、資本またはお金に関する3つの設立事項について解説します。

資本金をいくらにするか決める

資本金とは、事業をスムーズに進めるために、株主が会社に出資した金額のことです。会社を設立するにあたっての運転資金だけでなく、新規事業を立ち上げる際などに資金が必要になったとき、株主や投資家から調達した資金も資本金に分類されます。

しかし実際は、株式上場を目指すケースなどのように、非常に有望な事業でない限り、創業時に出資を受けるのは厳しいため、創業者が無理のない範囲で自己資金を投じることがほとんどです。いずれにせよ、資本金は事業を行うための元手と考えるとわかりやすいでしょう。

以前は、株式会社なら資本金1,000万円以上、有限会社なら資本金300万円以上という決まりがありましたが、2006年の法改正によって、最低資本金制度がなくなり、新会社法の施行後は1円からでも会社を設立することができるようになりました。

資本金からわかること

資金調達に際して金融機関からお金を借り入れた場合は、いつか返済しなければならない借入金になりますが、資本金は、返済の義務がない自己資本です。資本金の金額は、事業の規模や会社のスタミナでもあるのです。

なので、1円でも会社を設立できるといっても、資本金を低く設定しすぎると、会社としての信頼を損なうことになりかねません。資金がないならまだしも、借金がある会社だと思われる可能性もあります。また、将来的に金融機関から融資を受けるときや、新しい取引先との取引を開始するときも、資本金の金額は大きく影響します。資本金が多ければ多いほど、会社の規模が大きく、安定した経営をしている会社であり、信頼して取引できるという印象を与えることができるのです。

株主を決める・募る

創業時の資本金を誰が出資するかによって、株式会社の設立の方法が、発起設立になるか募集設立になるかが決まります。発起設立は、株式会社を設立する際に発行する株式全てを発起人が引き受ける方法です。この場合、初期の創業メンバーが株主となります。

これに対して、募集設立は発起人以外に投資家などの出資者を募り、発起人と出資者で株式会社を設立する際に発行する株式を引き受ける方法です。募集設立は発起人・出資者の最低でも2人以上の人数が必要ですが、発起設立の場合1人で会社を設立することができるので個人事業主が利益が増えてきたので法人にする場合などによく利用されます。

会社設立時と初期の運転資金を決める

会社設立には、資本金とは別に手続きにかかる諸費用を準備しておく必要があります。紙媒体の定款には4万円分の収入印紙の貼付が必要ですし、株式会社を設立する場合には定款の認証手数料を支払わなくてはなりません。定款の謄本は手数料が1ページにつき250円ずつ必要で、さらに登録免許税が株式会社なら最低15万円、合同会社なら最低6万円が必要です。

会社設立前に準備しておくべきその他のこと

最後にその他定款の作成及び認証、会社設立登記の手続きに必要な4つの設立事項を確認しておきましょう。

印鑑を用意する

会社設立に際し、印鑑を揃えましょう。会社用の印鑑はもちろんですが、設立登記までに代表取締役となるあなた個人の印鑑も必要となりますので、ちゃんとした印鑑をご用意されていない場合はこれを機に個人印鑑も準備しておきましょう。

登記までに色々と忙しい時期ですから、ちゃんとした印鑑を準備しておくことで事務処理もスムーズに行うことができます。会社の設立及び通常の業務には下表の会社印鑑のセットが必要となります。

  • 会社 実印・・・株式会社、合同会社、法人、NPO法人等の法務局での設立登記にまず必要となります。
  • 会社 銀行印・・・銀行等の金融機関の口座開設や契約で必要になります。
  • 会社 角印・・・一般事務や契約の際の対外的な社印として使用します。
  • 会社 認印・・・印鑑証明のいらない日常的な契約や書類作成に使用します。
  • ゴム印・・・住所・会社名・代表者名などを押印できるゴム印。

また、設立登記には、代表者としてあなたの個人印も必要です。開業後も役員として個人の印鑑は必要となりますので、これを機にきちんとした個人印も作成しておくと良いですね。

印鑑証明書を作成する

「発起人各人の印鑑証明書」は定款の認証時と登記書類を作成する際に必要になります。それぞれ1通ずつ必要なので、あらかじめ2通準備しておきましょう。

機関の設計をする

会社設立手続きにおける機関とは株主総会や取締役会などを指します。機関設計とは会社法に定められた機関の組み合わせを決めることです。

これに対して、合同会社の場合は監査役や取締役会の設置は義務付けられていません。出資者であり会社の代表である「代表社員」、出資者だが代表ではない「業務執行社員」とそれ以外の「社員」の区分を決めるのが合同会社の機関設計です。

事業年度を決める

一年のうち何月を期首とし、何月を期末とするかを決めることです。日本の会社の多くが4月期首とし、翌年3月末を期末としています。ただし4月が期首でなくてはならない規則はなく、自由に事業年度を決めることができます。

会社設立までの流れ

会社設立の準備はもう大丈夫ですね?次は設立後の手続きまでの流れを大まかに掴んでいきます。

会社設立の流れは、

  1. 基本事項の決定
  2. 定款作成
  3. 資本金の払込み
  4. 登記書類作成
  5. 登記申請
  6. 登記後の各種行政などへの手続き

という形で進んでいきます。

会社設立は法務局だけに行けばいいわけではなく、会社設立登記の前には、公証役場に、そして登記後には税務署や年金事務所など、様々な場所に出向き手続きしなければなりません。ひとつひとつはそんなに難しくはありませんが、一つのミスでスケジュールが狂ってしまうこともあるので、余裕を持ったスケジュールで進めていくようにしましょう。

定款の作成

事前準備が完了したら、定款の作成と認証の手続きを行います。

定款とは、会社の運営方法を含む基本的なルールを定めたもの。定款に基づいて会社の活動は行われるので、会社設立において必ず作成しなければならないものです。

定款は作成後、公証役場で認証してもらう必要があります。作成から認証までの流れは以下のとおりです。

  1. 定款に定める必要事項の決定
  2. 発起人全員の実印・印鑑証明を用意
  3. 発起人全員の同意により定款を作成
  4. 公証役場で定款を認証してもらう
  5. 定款の謄本を取得

印紙代が4万円かかる定款の作成ですが、電子定款を利用すると印紙代が節約できます。また、定款の作成と認証は、司法書士や行政書士が代行することも可能です。

資本金の振り込み

資本金は、1円であってもよいことになっています。しかし、1円での起業は現実的ではありません。信頼を得難いというのもあります。

資本金が1,000万円を超えると、会社設立初年度から消費税が課税されます。通常、設立初年度の会社は消費税は免除されますが、1,000万円を超える場合には、この特例は適用されません。

資本金の払込は次のような流れで進められます。

  • 資本金は振込の必要があるため、自分名義の口座に自分名義で振込みます。
  • 通帳の表紙と最初のページ、振込をしたページのコピーを取ります。
  • 払込証明書を作成します。
  • 法人設立の完了後、法人名義の口座を開設し、資本金を個人名義から法人名義へと移します。

登記書類の作成

資本金の払込み後は、登記書類の作成をします。登記とは法律によって定められている事項を記載することを指し、法務局に登記をすることで会社は法人として認められます。

法人化されると会社名義での契約を成約させたり、法人としての銀行口座の開設が可能になります。提出内容としては、登記申請書に添付書類をあわせたものを製本して法務局に提出します。

最終段階の登記申請に向けて、登記書類の準備をします。会社のタイプによって、作成する書類の種類も変わってきますので、以下の書類の中から、自分の会社の形態に合わせて準備しましょう。

  • 発起人決議書
  • 発起人会議事録
  • 代表取締役選定書
  • 取締役就任承諾書
  • 監査役就任承諾書
  • 印鑑届書

登記書類は、製本が必要です。基本的には、印鑑証明書以外のすべての書類を重ねて、左側をホチキスで留めるだけで完了です。

登記申請をする

会社登記の申請は代表取締役が行うことが原則ですが、司法書士であれば手続きを代行することができます。やっぱり会社を作る仕上げは自分でやりたいというのが大半の人の考えだと思います。

登記申請は以下のいずれかの方法で行います。

  • オンラインでの提出
  • 電磁的記録媒体に記録して郵送、もしくは持ち込み
  • 申請書に直接記載のうえ、郵送もしくは持ち込み

申請先は、法務局ホームページより検索が可能です。

法務局に会社の設立登記を申請した日が会社の設立日となり、会社登記は払込証明書作成日より2週間以内に行います。また、郵送による申請の場合は、申請書類が届いて受付をした日が会社の設立日となります。もし特定の日に会社の設立日を設定したい方は注意が必要です。

なお、申請に不備があった際は連絡を受けた後に補正した申請書を送り直す必要があります。連絡が7~10日程度こなければ不備がなく会社登録が完了しているということです。これで株式会社の設立はできます。

会社の種類

会社の形態には株式会社、合同会社(LLC)、合名会社、合資会社の4種類があり、それぞれ出資者の呼称や責任などに違いがあります。今回は、株式会社にフォーカスを当てて解説しましたが、ここで他の会社携帯についても軽く紹介します。特に株式会社と合同会社の違いについて解説していきます。

会社法上は4つの形態がありますが、実際には会社を作る場合、ほとんどは株式会社か合同会社の形態が選択されています。合名会社や合資会社は、その知名度が低いだけでなく、無限責任社員の責任が重く、ほとんど個人事業主と変わらないためです。

ちなみに合同会社などでは出資者のことを社員と呼びます。一般的に社員というと、会社の従業員といった意味で用いられますが、会社法上では、合同会社などの出資者のことを社員と言います。株式会社では、出資者を株主といいますが、合同会社などは株式を発行しないため、このように表現するようです。

合同会社は出資者がそのまま会社の業務を執行するため、出資を受けるにあたっては原則として既存の社員全員の同意が必要です。この点は、合名会社や合資会社も同様です。このため、株式会社に比べて情報が公開されにくい会社といえます。

合同会社は、株式会社に比べて新しい形態ですので知名度も株式会社に及びませんし、事業拡大などの際の出資者の募集も株式会社の方が行いやすいため、株式会社の方が断然多いのが現状です。

企業したら法人カードを作ろう

起業して銀行口座を開設したら、次は法人カードを作るのがおすすめです。とはいえ、そもそも法人カードを利用するメリットについて知らない方が多いのではないでしょうか。加えて、会社を設立したばかりの時期に取得するのは難易度が高いと考え二の足を踏んでいる人も少なくないでしょう。

しかし、法人カードは経費管理の効率化をはじめ、初期の重要課題であるキャッシュフローやランニングコスト削減など、多方面に大きなメリットをもたらす、便利なツールです。最近では起業したばかりの会社にも配慮し対応してくれる法人カードも増えつつあるので、ぜひ導入を検討してみましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。これで会社設立までの大まかな流れは掴んでいただけたのではないでしょうか。

会社設立はやらなければならないことが多く大変ですが、最初が肝心で、間違えたら大変な重要事項もあるので、慎重に進めるようにしてください。設立時に決める事項は、その後の会社運営にも関わることですので、わからないことがあれば、必ず専門家に相談するようにしましょう。

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