副業・起業におすすめ!「コワーキングスペース」の活用法

全国に増え続ける「コワーキングスペース」

副業と言えば、一般的に「在宅でできる」仕事をイメージすることも多いものです。しかし、現実的に自宅で仕事をするのが困難なケースも多々あります。例えば「子供が騒いでいて集中できない」「自室がないので、リビングで仕事をしていると家族の邪魔になる」「1人で仕事をしているとモチベーションが持続しない」などです。

そこで、近年増えているのか「コワーキングスペース」と呼ばれるもの。「コワーキングスペース」とは、副業・起業をしている人のために事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有することができるものです。

日本全国のコワーキングスペースを検索できるサイト「cocopo」を運用しているコワーキングジャパンの発表によれば、全国で現在790件のコワーキングスペースが登録されています。

出典:コワーキングジャパン

実際にコワーキングスペースを利用している人は「起業家、フリーランス、出張が多い職に就く人」などが多い状況です。「コワーキングスペース」を利用することで、仕事の作業効率を高めコスト削減ができるだけでなく、他のスキルや才能をもった人と協業できる機会に恵まれ、仕事上の相乗効果が生まれるなどのメリットがあるのです。

そこで、今回は副業従事者や起業家がこれまで以上に働きやすい環境を実現するための「コワーキングスペース」活用法について解説します。

コワーキングスペースを利用するメリットは?

まず「コワーキングスペースって、シェアオフィス・レンタルオフィスとどう違うの?」と疑問に思う人がいるかも知れません。シェアオフィス・レンタルオフィスも、コワーキングスペースも、小規模/自宅オフィスでの孤立した仕事環境の代わりとなる場所を提供しているという点では同一です。

しかし、そのコンセプトに大きな違いが見られます。

シェアオフィス・レンタルオフィスは「仕事場提供」に力点を置いているため個室形式でサービスを提供することが多くなります。一方、コワーキングスペースは「コミュニティ」に重点をおいているため、普段から図書館のようなスペースで仕事を行うことが多く、それぞれが業務を行うだけでなく定期的にイベント・勉強会・協業・情報交換などが開催されることが多いのが特徴です。

コワーキングスペースは、副業従事者・フリーランス・起業家・テレワーク従事者など人々が在宅で仕事をする孤立感を解消するとともに、家庭で働くことによる集中力低下を避けることができるなどの役割を果たしています。

Woman
具体的にコワーキングスペースを利用するメリットには、どのようなものがありますか?

コワーキングスペースを利用することは、主に次の3つのメリットがあります。

メリットその1.低コストで仕事場を手に入れられる

副業従事者や起業のスタートアップ時に、わざわざ事務所を借りることは費用的にも大きな負担になります。かといって自宅で仕事をする環境は様々な障害があって現実的ではありません。そういった問題を解消してくれるのが「コワーキングスペース」です。低コストで自分の仕事場スペースを確保することができるからです。

具体的なコワーキングスペースの費用は「月額会員」となるか、ドロップインと呼ばれる「時間単位・1日単位の利用」で利用するかによって異なりますが、会員制の場合は月額1万円前後、ドロップインの場合は1日1,000~2,000円程度で利用することができます。この低コストで利用出来る点が大きな魅力の1つです。

メリットその2.仕事場環境として利便性が高い

コワーキングスペースは仕事を進めるのに必要な設備が整っています。細かな点は施設ごとに異なりますが一般的には、Wifi、机・椅子、プリンター、FAX、ノートパソコン貸し出し、会議室、イベントスペース、ドリンクサービスなどを自由に利用することができます。こう言った設備は利用者が共有して使うことになるとは言え、ここまでの環境を個人で揃えることは容易なことではありません。

メリットその3.人脈を築くことができる

多くのコワーキングスペースでは、人と人とのつながりを重視しているため「図書館的なスペース」で仕事を行います。そのスペースでは雑談や情報交換などを自由に行うことができ、コミュニティが促進される工夫がなされているのです。

様々なスキル・バックグラウンドをもった人たちが集まるため、話が弾めばその場で「新しいビジネス」が生まれるなどということも十分に考えられます。このように、人脈を築きたいと思っている副業従事者や起業家にとって、コワーキングスペースは貴重な「出会いの場」となるのです。

Woman
コワーキングスペースを利用することは、メリットが大きそうですね。逆にコワーキングスペースのデメリットはありますか?

雑音が気になる

コワーキングスペースはコミニティを重視しているため、時に他人の会話が雑音になってしまい集中力を阻害してしまうことがあります。そのため、文章を作成しているときなど、集中力が必要な仕事をする場合はコワーキングスペースだと不向きなときがあります。

ただ、施設によってはそういった問題を解消するために個室を用意しているところもあります。普段は図書館スペースで仕事を行い、集中たい時には個室を利用するのような使い分けができます。そういったオプションの設備を上手く活用して、コワーキングスペースを利用するようにしてください。

人間関係が悪化すると利用しにくい

コワーキングスペースでは、仕事場はあくまでも共有して利用することになります。そのため「スペースの占拠、会話のボリューム、後片付けの仕方」などちょっとした事が人間関係のトラブルに発展することがあります。

その場合、コワーキングスペース全体の空気が悪くなってしまい、途端に仕事場として利用しにくくなるケースがあります。マナーを守らない人が1人いるだけで、途端に利用しにくくなるので注意が必要です。

コワーキングスペースの賢い選び方

ここではコワーキングスペースを実際に選ぶ際に、事前にチェックしておきたいポイントをお伝えします。

チェックポイントその1.利用方法・料金

施設によって異なりますが「コワーキングスペース」では、主に2つの利用方法が提供されています。1つは「会員制」です。こちらは月額会員となることで、時間制限を気にする事なく利用することができます。契約したい「コワーキングスペース」が自身の居住地に近かったり、出張で頻繁に訪れる地域であれば、こちらの「会員制」で申し込むのが一般的です。

また、「数日のみ利用する」「頻繁には行かない出張先で利用する」などの場合は「ドロップイン」という方法を利用します。こちらは時間単位、あるいは1日単位で利用することができ、それぞれ数百円から2,000~3,000円前後で利用することが可能です。

チェックポイントその2.個室の有無

図書館のようなスペースで仕事をするのが基本ですが、時には集中して仕事をしたいということもあります。その場合は、希望する施設に「個室スペース」が用意されているかどうかも確認します。基本的には個室利用にはオプション料金が発生しますが、機密情報を扱う仕事をしている時や集中した仕事をする場合には大いに役立ちます。

チェックポイントその3.営業時間

副業をはじめる場合、時には土日に仕事をしたいという場合や、会社帰りの夜間に利用したいということもあります。そこで、希望する施設の営業時間は必ずチェックしておきます。最近は24時間営業の所も出てきましたが、午前中は営業していないところもありますし、土日の利用には別途料金が発生することもあります。自分が副業をする場合の仕事時間とよく照らし合わせて、施設を選ぶようにしてください。

また、利用出来る時間帯は、「会員制」と「ドロップイン」では、異なることが多いのでその点も併せて確認してください。

チェックポイントその4.施設の場所

「コワーキングスペース」は、通常、頻繁に通うことになるので「自宅から近い」「駅から近い」など施設の場所には注意を払いましょう。遠方の施設を選んでしまうと次第に足が遠のいてしまいます。

チェックポイントその5.施設のカラー

「コワーキングスペース」は、施設のカラーが大きく出ます。例えば「スタートアップの起業家向け」のコワーキングスペースであれば、それにふさわしいイベントが多く開かれていますし、実際に利用している人もスタートアップの起業家が多くなります。

あるいは「エンジニアが多い」「家族とのライフバランスを重視している」「ものづくり系の人が集まる」など、様々なカラーがあります。そのカラーとミスマッチを起こすと、いつまでも施設になじめない状態になりますし、協業などにもつながらない可能性もあります。必ず事前に希望するコワーキングスペースで、どのような人が多く利用しているのかを確認してください。

チェックポイントその6.住所利用が可能か

「将来は副業を本業にしたい」「Webサイトに住所を表示する必要があるが、自宅の住所は載せられない」「女性なので名刺などに住所は載せたくない」など様々なケースがありますが、副業をしていると住所を利用したいということがあります。

「コワーキングスペース」を会員制で利用している人は、施設の場所を名刺などに載せる事ができます。もちろん、その場合、別途料金が発生しますが、本格的に副業をはじめたい人にとってありがたいサービスです。将来、ビジネスが大きくなった場合も想定して「住所利用が可能かどうか」を確認してください。

ではここまでのチェックポイントを踏まえて、具体的におすすめのコワーキングスペースを3つ紹介します。

おすすめのコワーキングスペースを3つ

1.co-ba

「社交場」の意味から派生してネーミングされています。メデイアにも取り上げられることが多く全国展開しています。「co-baネットワーク会員」になると、全国のco-baを利用することができます。出張が多いので、出張先でも利用したいなどのご希望がある場合は、co-baをお勧めします。

出典:co-ba

2.カフーツ・コワーキング神戸

2010年5月に開設された、日本で最初の「コワーキングスペース」です。現在は、フリーランスや小規模事業者が利用者の中心で、そういった人向けのセミナー・ワークショップが頻繁に開催されています。午前中は営業していませんが、夜は平日21時まで利用することができます。

出典:カフーツ・コワーキング神戸

3.ハニカムステージ

女性専用のコワーキングカフェ。東京都八王子にあり、女性のためのワークショップやセミナーを毎月20講座近く開催しています。対象者は「生け花・キルトなど手作り商品を販売する人」「講師業などの1人起業家」向けとなっています。女性専用なのでお子さん連れでも問題がありません。

出典:ハニカムステージ

地元のコワーキングスペースを探すなら

その他、全国各地でコワーキングスペースは増加中です。比較的最新の情報が掲載されている「cocopo」で、地元のコワーキングスペースを探してみてください。

出典:コワーキングジャパン

コワーキングスペースの意外な使い方

一般的にコワーキングスペースと言えば、PCなどを持ち込んで仕事をする場所です。しかし、レンタルオフィスなどと異なって用途は意外に広いので、ここではコワーキングスペースの意外な利用法について解説します。

勉強・学習の場として利用

資格を取りたい、もっとスキルを学びたいなど、コワーキングスペースを勉強の場として利用することができます。本を持ち込んだり、ヘッドフォンをつけて動画講座を学ぶなど、存分に勉強に打ち込むことができます。

打ち合わせの場として利用

在宅で仕事をしていると、クライアントやお客さんと打ち合わせをする場所に困る場合がありますが、コワーキングスペースは打ち合わせの場・会議の場として利用出来ることもできます。ホワイトボード、エアコン、飲み物などの設備も揃っているため、お客さんに不安を感じさせることもありません。

イベントを開催する

施設によっては、コワーキングスペース全体を貸し切りにすることができます。多くの人を集めてワークショップを開いたり、セミナーを開いたりすることができます。カフェタイプのコワーキングスペースならば、お酒や料理を提供したり、パーティ形式として活用することもできます。

大型作業スペースとして利用

コワーキングスペースの施設によっては、写真撮影のための大型機材を利用出来たり、キッチンがあり試食会などを開催できたり、手芸やアートの作業場が用意されているなどのことがあります。大き目の作業スペースを必要とする副業をしている場合、このような設備が整っているコワーキングスペースを選択してください。

まとめ

今回は、副業・起業をする場合に活用できる「コワーキングスペース」について解説してきました。

コワーキングスペースはPCで作業するだけでなく、手作り品などをつくるための大型作業スペースを提供してくれたり、打ち合わせ場所として利用することもできます。各施設のカラーが大きいので、自身の利用目的などに応じて施設を選ぶことが大切です。施設を選ぶ際に確認すべきポイントは次の6つです。

    • 1.利用方法・利用料金・・・月額の会員制とドロップインが主な料金体系です。ドロップインというのは「時間単位」「1日単位」で利用出来るものですので、最初はここから手軽にはじめて下さい。
    • 2.個室の有無・・・コワーキングスペースという性格上、多少、雑音が多くなります。そのため集中して仕事をしたい場合「個室」の利用が便利です。個室が用意されているかどうか確認してください。
    • 3.営業時間・・・自分が副業を行う時間帯に営業しているのかどうかを確認して下さい。
  • 4.施設の場所・・・「会社帰りに寄ることができる」「自宅から近い」「頻繁に行く出張先」などを考慮して選択して下さい。
  • 5.施設のカラー・・・コワーキングスペースは施設ごとによってカラーが大きく異なります。自身が求めるカラーにあった施設を選んで下さい。
  • 6.住所利用が可能か・・・名刺やWEBサイトで利用する住所ですが、別途料金を支払えば「施設の住所を利用可能」なコワーキングスペースもあります。将来のビジネスの展開を考えて検討して下さい。
Expert
快適に副業や起業ができる環境を整えるためにも、コワーキングスペースの利用を検討してみてください。いきなり月額会員として登録するのに不安があれば、最初は「ドロップイン」でその施設を利用するのも方法の1つです。

コメントを残す