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民泊は英語が苦手でも大丈夫なのだろうかと、不安に思う方も案外多いのかもしれません。海外旅行の経験がない方や、海外に渡航したことはあっても英語を話さなくても済むツアーの経験しかない場合、民泊において英語力が不安要素となってしまいます。
民泊はおそらく皆様ご存知のように、訪日外国人の増加に伴ない普及拡大した宿泊サービスです。
最近では日本人からの利用も徐々に増えており、必ずしも英語が必要となるわけではありません。しかし、投資の一環として本格的に収益を狙うのであればやはり外国人観光客の存在は無視できないのが事実です。
そこで、今回は英語が苦手な方でも民泊を上手に運営していく方法を解説していきます。英語が苦手で民泊を見送っている方はぜひ最後までお読み下さいね。
民泊で英語は必須?
民泊は、訪日外国人によるニーズから普及拡大した宿泊サービスです。外国人と聞けば、やはりまず思い浮かぶのが英語です。投資やビジネスの一環として民泊に興味がある方は多いと思える今日、英語が苦手であるため思い留まる方もいるでしょう。
民泊において、やはり英語は必須なのでしょうか。
実は、訪日外国人の大半はアジア圏の観光客であり、英語圏の観光客は意外と少ないのが現状です。そこで、まずは訪日外国人の国籍別の内訳を確認しておきましょう。
訪日外国人の内訳
日本政府観光局による、2018年の訪日外国人の国別の客数は以下のようになります。
※2018年の訪日外国人/国別の内訳
2018年の訪日外国人の総数で約3,119万人の国別の内訳は、
- 1位:中国→約838万人
- 2位:韓国→約754万人
- 3位:台湾→約475万人
- 4位:香港→約220万人
続いて、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィりピン、ベトナムなどの東南アジアの比率が大きく、大半はアジア圏からの観光客で主要言語は英語ではないのです。
英語圏の国である、豪州、米国、カナダ、英国は全体の約10%以下にとどまっているのが現状です。
従って、英語圏の観光客に対応できるほどの流暢な英語は、ほぼ必要ないといえます。
国際語としての英語
民泊にて英語が必要とされているのは、あくまでも国際語として最低限のコミュニケーションが可能となるためです。
例えば・・・
日本人の立場からいけば、中国語や韓国語はわからないけれど簡単な英語なら何となくわかる人は多いですよね。アジア諸国でも同様のことがいえます。
中国人、韓国人、台湾人などのアジアの人達も、日本語はわからないけれど簡単な英語なら何とか理解できる人が多いのです。
そこで、あくまでも互いに理解できる言語、国際語としての英語が必要とされているわけです。中にはもちろん英語能力が高い観光客もいるでしょうが、大半は日本人同様に何となくわかる程度だと思ってよいでしょう。
英語が苦手でも民泊はできる?
日本に訪れる大半の観光客はアジア圏の人達であり、セカンドランゲージ・国際語として英語を使用しています。
民泊仲介サイトでの宿泊客とのやり取りや、宿泊にあたっての各種ガイダンスの案内には英語が国際語として適用されています。
実際に民泊を利用する大半の人達は、コミュニケーションをとる方法として日本人同様に母国語ではない英語を使用していますから、むしろ簡単な英語の方が相手だって助かります。
ですから、民泊の運営にあたっては英語が苦手な方でも全然大丈夫なのです。
英語を全く使わずに民泊はできる?
出張や旅行の際に民泊を利用する日本人も増えてきており、国内の旅行者のみを対象にして民泊を運営することも可能ではあります。例えば予約の時点で、外国語の対応が必要であれば予約を受け付けないという方法があります。
東京オリンピックや各地から人が集まるようなイベント時には、日本人宿泊客の需要も高くなりますので、日本人の宿泊客の比率は高くなるでしょう。
民泊においては、日本人だけを対象にするのは難しいのが現状で、全く英語を使わずに済むかといえば「NO」です。多少なりとも英語や外国語が必要となる場面があります。
しかし、ホスト本人が必ずしも対面で英語を話す必要はありませんのでご安心下さい。対応する方法は、また後ほど詳しく解説していきます。
英語が必要な場面とは
では、ここでまずは英語が必要な場面とは、どのような場面なのかを詳しく解説いたします。
リストアップは日本語でも大丈夫
民泊を行う際には、民泊サイトにリストアップして予約を受け付けるわけですが、まずリストアップに関しては日本の業者が相手ですから、全く問題ありません。
リスト上の英語表記は勝手に民泊業者が掲載してくれます。
予約前の問い合わせ・予約
宿泊情報の問い合わせや予約は基本的に英語にてやり取りされます。ただ、先述のように大半の訪日外国人にとっても英語は外国語です。
中学生レベル程度の簡単な英語がわかればやり取りは可能です。
チェックイン・チェックアウト
チェックイン、チェックアウトの段階でも宿泊客とのコミュニケーションが必要になりますよね。
カギを受け取る方法や、カギを返してもらう方法を英語で案内しなければなりません。
宿泊施設における各種案内や注意事項
また、民泊では室内の設備の使い方や各種注意事項の説明を、英語で行うことが法的に義務づけられています。一般的には民泊のホストは口頭ではなく、書面にてガイドブックを用意しています。
滞在中の問い合わせや苦情処理など
宿泊客の滞在中は基本的に連絡を取り合う必要はありませんが、問い合わせや苦情の対応などが必要となる場合があります。
宿泊客が不明点を問い合わせる場合もあれば、近隣からの苦情から宿泊客に注意する必要が出てくる可能性もあります。
概ね、以上のような場面にて英語が必要となります。
英語を話さずに民泊運営する方法
民泊を運営するにあたって、英語が必要となる場面がいくつか発生してしまいますが、英語が苦手な方でも上手に対応していく方法をご紹介しましょう。
書面でのやり取りを徹底!
英語が必要となる場面では、すべてのやり取りを書面・文面で行うことで、英語が苦手でも民泊運営が可能です。
この方法なら、書く内容や相手が書いてきた内容を調べながらやり取りすることができます。相手にとっても、この方法の方が容易だといえます。
民泊サイト内でのメッセージ機能やメールにて対応するようにすれば、焦ってパニックになることもなく何も恐れることはありません。
多言語文例集
東京都(産業労働局)では民泊に活用できる多言語文例を掲載しています。参考にしてみるといいでしょう。
多言語文例集の中からいくつか抜粋してみました。
※東京都産業労働局の多言語文例集はこちらのURLから
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/sinsei/tourism/minpaku/bunrei/
ゲストからよくある質問・回答例文集
また、Airbnbのゲストからよくある質問・回答例文集が本になっています。Amazonから購入することができますし、Kindleなら無料です。
ありがちな各種問い合わせには、コピペで簡単に対応することができます。事前にどんな問い合わせがあるのかチェックしておけば、即座に対応できますよね。
英語翻訳ツールを活用!
最近では無料で利用できる翻訳ツールが充実しています。
翻訳ツールを使いながら、書面でも対面でも簡単な英語ならやり取りが可能になります。
無料で利用できる翻訳ツール
スマホやパソコンにて無料でダウンロードできる翻訳ツールをいくつかご紹介しておきます。
など・・・使いやすいツールを探してみましょう。
AI機能の翻訳ツールは対応も自動化できる
有料になるのですが、AI機能にて各種対応を多言語で自動応答できるツールもいくつかあります。
ありがちな回答などは、ボットに任せておけるので忙しい方でも対応が容易です。ホスト本人が対応するのは、ボットで回答できなかった事項のみとなり、効率のよい運営が可能です。
民泊業者の言語サポートを活用!
ほとんどの民泊サイトの業者は、言語サポートを無料で提供しています。
自分で調べてもわからないこと、対応に困ったことがあれば、利用する民泊業者の言語サポートを活用できるので安心です。
英語、中国語、韓国語、タイ語、フランス語、イタリア語など対応できる言語の数が業者によって異なります。事前に調べておきましょう。
民泊業者にて対応できる言語
大手の民泊業者にてそれぞれ対応できる言語は以下のようになります。
- Airbnb→英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、オランダ語
- STAY JAPAN→英語と中国語の自動翻訳機能、カスタマーサポート
- Agoda→世界38か国語に対応
- Booking.com→世界42か国語
- Home Away→18言語プラットホーム(有料)
民泊支援サービスを活用する!
ご自身で英語・外国語に対応するのがどうしても難しいと思われる方は、民泊支援サービス業者の多言語サービスを活用する方法もあります。
多言語サービスを提供する業者のコールセンターにて宿泊客と対応してくれたり、通訳・翻訳を依頼できたりする仕組みになっています。
通常は有料のサービスとなり、月額で契約するもの、1案件ごとに課金されるものなど料金システムや提供するサービス内容が異なります。
日本人を対象に運営する?
民泊を事業や投資の一環として、ある程度の収益を期待するのであれば外国人観光客へのアピールが欠かせません。それでも、最初のうちだけでも日本人旅行者を対象にしたいという方もいるでしょう。
また、中には収益は重視しないので、日本人からの予約だけ受けたいという方もいるかもしれません。
完全に100%日本人だけを対象にするのは、色々な意味で限界があるのですが、比較的に日本人の利用が多いと見込まれるサイトは2つあります。
STAY JAPAN
STAY JAPANは日本の民泊業者が運営しているサイトで、今のところ日本の民泊しか取り扱っていません。
利用できる言語は日本語と英語、中国語となりますが、日本の民泊業者であることから、海外での知名度はかなり低いと見ることができます。
おそらく、日本人からの予約を期待することができるでしょう。
楽天Vacation Stay
楽天Vacation Stayも国内の民泊情報のみを取り扱っており、皆さまもご存知の楽天と不動産業者LIFULLが提携して運営する国内事業者です。
今後は海外展開を目指しているとのことで、海外事業者との提携など行っていますが、今のところは日本人の利用者が多いことが期待できます。
日本語での予約のみを認証する方法もある
日本人のみに限定できるわけではありませんが、日本語での予約のみを認証する方法もあります。この場合、外国人が日本語を使っているケースもあるでしょうが、日本語がわかる外国人なら問題ないですよね。
また、民泊サイトでは通常は予約依頼があった際に、宿泊者情報を確認してからホストが認証するシステムになっています。日本語が話せる宿泊者のみを認証する方法もあります。
※ただ、この方法は差別行為として見られる恐れがあるので注意しましょう。
※旅館業では、法律にて宿泊を望んでいる者を正当な理由もなしに断ることはできないとしています。旅館業の方は、原則として宿泊客を選ぶことはできません。
民泊は英語が苦手でも大丈夫!
今回ご紹介してきたように、英語が苦手でも対応する方法はいくらでもあります。全く心配する必要はありません。
ただし、100%使わずに済ませるわけにはいきませんので、簡単な中学生レベルの英語は意味だけでもわかっておいた方が便利です。
民泊にて英語の難関を上手にクリアしていく方法を最後にご紹介します。
英語を上手に話す必要はない
英語が苦手だという方のほとんどが、上手に話さなければならないと思っています。しかし、英語は日本人にとってセカンドランゲージでしかありません。上手に話せなくても当前なのです。
先述したように、訪日外国人の大半はアジア圏です。民泊を利用するアジア圏の人達にとっても上手に話せない外国語です。難しい英語は必要ありません。
簡単な単語だけを並べるだけでも、お互いに意思疎通ができるケースは多々あります。
まずはトライしてみることが大切
英語を上手に話せないという思いから、よけいに英語を話すことを避けてしまいがちです。しかし、下手な英語でもいいので使わなければ、いつまでたっても話せるようにはなりません。
民泊運営を機会に、まずはトライしてみることをおすすめします。
身振り手振りだけでもどうにかなった、というホストの声もあります。
英語圏の人は下手な英語に慣れている
また、外国人が多い米国、ヨーロッパ、英国など、英語圏の多くの主要都市の人達は、常に多国籍の外国人に囲まれて生活しています。
外国人が多い英語圏の人達であれば、国ごとに異なる発音の癖や下手な英語にも慣れています。
かたことの英語でも構わないので頑張って話してみましょう!英語に慣れていなくとも、まずはトライしてみることが大切なのです。
※民泊にありがちなトラブルに関する記事も、ぜひ参考にしてみて下さい。
※また、民泊の運営を管理業者に委託すべきかどうか迷われる方は、こちらの記事もご覧ください。
まとめ
日本では訪日外国人の増加をきっかけに、英語での対応が必要な場面が増えてきています。さらに、人口減少から外国人の受け入れを強化していることもあり、日本は国際化という新しい時代を迎えています。
英語が苦手な方にこそ、民泊は語学習得の絶好の機会です。業者に任せてしまう方法もありますが、せっかくの機会を無駄にするのも勿体ない話です。
上手に活用して、英語をこの機会に習得してみては如何でしょうか。英語だけでなく近隣国の中国語や韓国語でも簡単な会話ができるようになったら素敵ですよね。