401k制度の仕組みと制度を基礎から解説

近年の企業年金制度は大きく変革を迎えてきています。適格退職年金制度の廃止や厚生年金基金の新規設立の禁止など、昔の制度では、対応することが難しいことが増えてきました。

そんな中、新しい年金制度として、401kやiDeCoといった新しい制度が登場し、これらの制度を企業年金制度の新しい柱として導入を考えている企業が増えてきました。

しかし、「制度の仕組みが複雑である」「導入するにあたって、どのようなメリット・デメリットがあるのか?」といった声が今でも多数あることは事実です。

今回は、これからの年金制度の中心となりうる制度の一つである「401k」の制度について、わかりやすく解説していきます。

1.401kとはどのような制度か?

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401kとは、アメリカの「米国内国歳入法(Internal Revenue Code of 1978)の条項名(401(k))」にちなんでつけられた名称です。つまり、もともとはアメリカで始まった年金制度が日本に導入されるようになってきたということです。

日本では「確定拠出年金」という年金制度のことを指します。現状の日本の公的年金制度では、老後の生活を支えられないということが「老後2000万円問題」によって明らかになったことを受けて、企業側としても個人としても老後の年金対策として、この確定拠出年金制度(401k)を導入することを考えるようになりました。

日本における401k(以下「確定拠出年金」といいます)の制度は平成13年に「確定拠出年金法」が施行差たことが始まりといわれています。そのため、日本版401kの制度としては、まだ制度として誕生してから約10年ほどということになります。

2.401kの仕組み

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確定拠出年金の特徴は、簡単に言うと「運用方法を自分で決めて、その運用結果に応じて将来もらうことが出来る年金の額が変動する」という特徴があります。つまり、将来もらうことが出来る金額は、「自己責任で管理してくださいね」という仕組みといえます。

確定拠出年金には、「個人型(iDeCo)」「企業型」の大きく2つのタイプに分かれており、それぞれの特徴を理解したうえで、どちらのタイプで運用をスタートさせていけばよいかを考える必要があります。

個人型(iDeCo)の特徴

個人型は、国民年金に加入している個人事業主や厚生年金に加入している労働者を対象としており、通称「iDeCo」といわれるものです。基本的に個人事業主(国民年金加入者)や厚生年金加入者、専業主婦・主夫等やパートタイム労働者(厚生年金加入者に扶養されている方)が加入することが可能となっていますが、国民年金の「保険料免除対象者(法定免除)」に該当している人は加入することが出来ません。

運用方法としては、個人型の加入者が「3つ以上の運用方法の中から1つ選んで運用を進めていく」方法を採用しており、必要に応じて運用方法の見直しをおおなうことが出来ます。なお、運用方法については「最低1つ以上は元本が保証されているものでなければならない」と法令で決められていますので、資産う運用を行う資産管理会社は必ず1つ以上は元本保証型の運用方法を提案することになります。

掛金の上限額

個人型の掛け金は加入者の状況によって異なりますが、毎月の掛け金の上限額は以下の通りとなります。

①自営業者・学生・フリーランスの場合(国民年金の第1号被保険者)

毎月68,000円が上限です。(年間816,000円が上限となります)

②サラリーマン・公務員などの場合(国民年金の第2号被保険者)

・公務員の場合 毎月12,000円が上限です。(年間144,000円が上限となります。)

・企業年金の制度がない企業に勤めている場合 毎月23,000円が上限です。(年間276,000円が上限となります。)

・企業年金の制度がある(確定給付企業年金制度がある)企業の場合 毎月12,000円が上限です。(年間144,000円が上限となります。)

・企業型確定拠出年金のみ導入している企業の場合 毎月20,000円が上限です。(年間240,000円が上限となります)

③専業主婦等の場合(国民年金の第3号被保険者)

毎月23,000円が上限です。(年間276,000円が上限となります。)

企業型の特徴

企業型は企業型DCとも呼ばれる制度で、個人型とは異なり、その企業に勤務している人のみを対象とした制度です。そのため、企業が企業型DCを導入していない場合は、加入することが出来ません。(この場合は、上記の個人型に個別に加入する必要があります。)

企業型DCは、原則として企業が掛金を拠出しますが、従業員が掛金を上乗せできる場合(マッチング拠出制度)もあります。運用商品については、取り扱う契約金融機関は企業が選択し、その中にある商品を従業員が選択し、運用する形で行われます。

企業型の制度を導入するには、企業が現行制度との兼ね合いなどを考慮し、その企業の労働組合、または、労働者の過半数以上の代表者との間の労使間の合意が必要になります。

マッチング拠出制度とは

マッチング拠出とは、企業型DCを導入している企業において、従業員が掛け金を拠出することが出来る制度です。原則的に、企業型DCでは企業が掛け金を拠出して、従業員は拠出することはできなかったのですが、法改正によって、従業員も掛け金を拠出することが出来るようになりました、

なお、従業員の拠出可能額は「企業が毎月拠出している掛金の1/2相当額」を上限としています。


3.401kの有効活用できるところとは?

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401Kの制度を有効活用するうえで、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと確認しておくことが大切です。

個人型のメリット・デメリット

(個人型のメリット)

①掛け金がすべて所得控除の対象

個人型の確定拠出年金の掛け金はすべて「小規模事業共済等掛金控除」として、所得控除の対象となります。そのため、年間で約15万円~80万円の節税効果(計算上は課税所得金額が控除されるため、実際の税額では約7,000円~40,000円ほどが節税されると見込まれます)が見込まれます。

②運用収益はすべて非課税

確定拠出年金の運用収益はすべて非課税となります。通常、FXなどの投資により発生した運用益には20%~30%の所得税が課税されますが、確定拠出年金の運用によって発生した運用収益については「全額非課税」となるため、運用実績が予想以上に良かった場合は、その分だけもらえる年金額が純粋に増加することになります。

③ 個人勘定によって管理されるため、年金が破綻するリスクが少ない

確定拠出年金の個人型の場合、個人勘定(その人が拠出した拠出金を管理するための勘定項目)によって管理されるため、他の年金制度のように、全体でカバーする必要はなく、個人実績の運用で損失が出たとしても、その個人が損失に対する対処をする必要があるのみで、それ以外の人が対応する必要が愛ということです。

国民年金や厚生年金保険などの公的年金は加入対象者全員で、年金制度を支えあうような仕組みとなっている(相互扶助の考え方に基づいているため)ので、年金制度における資産運用が失敗して損失が発生してしまうと、その損失によって発生した不足部分を現役世代の人たちがカバーせざるを得なくなる仕組みである。

これに対して、確定拠出年金の個人型の場合は「資産管理の単位が個人単位」であるため、個人の損失を加入者全員でカバーする必要がないという点で、年金制度が破綻するリスクは少ないといえます。

④自己破産しても資産は残る

確定拠出年金は、加入者が自己破産をしてしまった場合であっても、その運用実績によって発生した運用益や資産については、換価資産とは扱われない(確定拠出年金法第32条)ため、たとえ、自己破産をしてしまった場合であっても、運用実績の資産は残るということになります。

(個人型のデメリット)

①中途解約が出来ない

個人型の場合、基本的に60歳になるまでは中途解約をすることが出来ません。そのため、掛金が全額所得控除することが出来たり、運用益が全額非課税といった税制面における大きなメリットを享受する分、解約をすることは60歳になるまではできないという制限をかけられるのは致し方ない部分ではありますが、掛金を減額することは可能ですが、中途解約はできないので、運用を考える前にその点をしっかりと考慮していただく必要があるといえます。

②毎月手数料が発生する

個人型の場合、資産運用を行う上で、資産管理のための手数料が毎月発生します。そのため、資産管理を行う金融機関によっては手数料が必要以上に発生するため、せっかく運用益が発生しても手数料で相殺されてしまうということも考えられますので、運用を開始する前には約款などをしっかりと確認しておく必要があるといえます。

【手数料の目安】

  1. 国民年金基金連合会手数料(共通):103円
  2. 事務委託金融機関手数料(共通):64円
  3. 運営管理機関手数料(金融機関で異なる):無料~450円程度

③年金を受け取る場合に税金が発生することがある

確定拠出年金の年金を受け取る時には、その受け取る年金額は「退職所得」又は「雑所得(公的年金等)」として取り扱われます。そのため、状況によっては税金が課税されてしまう可能ことがあります。

【退職所得として扱われる場合】

勤続年数が以下のいずれかに該当する場合における計算式によって算定された金額以上の確定拠出年金の老齢給付がある場合は課税対象とされます。

・勤続年数が20年未満の場合 40万円×勤務年数(1年未満は切り上げ)

・勤続年数が20年以上の場合 800万円+70万円×(勤務年数ー20年)

【公的年金等として取り扱われる場合】

老齢給付が公的年金等として処理を行う場合は、以下の年齢の区分に応じて、それぞれに定められた金額を上回る場合に課税対象とされます。

・65歳未満の者 70万円超

・65歳以降の者 120万円超

企業型のメリット・デメリット

(企業型のメリット)

①掛け金は基本的に会社負担

企業型の最大のメリットは、(原則として)掛け金負担を会社が行うことです。個人型の場合は、原則として個人で掛金の負担を行わなけれなばらないため、経済的な負担が大きくなるということがありますが、企業型の場合は、企業が実施している制度ですので、原則として企業が掛け金負担を行てくれますが、マチング拠出が可能なところについては、企業の負担割合の1/2相当額までを個人が追加で拠出することが出来ます。

②運用収益は非課税

企業型の場合においても、個人型の場合と同様に「運用収益は全額非課税」となります。

③手数料を企業が負担するところが多いため、個人としての負担が軽減される

企業型による運用は、企業が制度を運用しているため、企業が運用コストを負担するところが多く、個人が負担するコストは基本的に発生しないというメリットがあります。

④勤続年数が3年以上あれば受給権は確定する

企業型の場合、勤続年数が3年に満たない場合については、事業主返還の仕組みがあるため、事業主掛金が事業主に返還されてしまって受給権が得られない場合がありますが、勤続3年以降は受給権が確保されます。これは、企業型独自の規定です。

(企業型のデメリット)

①60歳までは中途解約は不可

個人型同様に、企業型においても60歳になるまでは、たとえ受給権が確定したとしても、中途解約をすることが出来ません。個人型の場合でもそうですが、中途解約が出来ないが、他の制度への移管を行うことはできますので、より運用コストを抑えながら資産運用を続けていくことも可能となります。

②自己で資産運用先の選択をすることが出来ない

企業型の場合、資産運用については企業が運用歳の金融機関等を決定するため、個人の希望で資産運用・管理を行う金融機関を選択することが出来ません。その点で、個人型に比べると、自由裁量が少ないところといえます。

とはいえ、マッチング拠出が出来るようになったなどの背景を考えると、会社側としては、従業員が一部費用を負担することが出来る以上は、従業員の資産運用に関する希望なども考慮しながら運用管理先の金融機関を決定していくという流れが自然になっているものと考えられます。

③転職時に自動移管される

退職をしてしまうと、そこで加入していた企業型の確定拠出年金は、他の制度に自動的に移管されてしまうため、退職時にどの金融機関へ運用制度の移管を行うようにしたいかなどをはっきりさせておかなければ、勝手に移管され、思わぬ運用コストがかかってしまう恐れがあります。

いずれにしても、60歳になるまでは途中解約ができない以上は、個人で責任をもって資産管理コストを負担することになるということも考慮したうえで、転職等を行うことになります。

4.401kに関する法令

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401Kに関する法令として「確定拠出年金法」があります。確定拠出年金の制度を運用する上で、遵守しなければならない内容を規定した法令です。

【目的】第1条

この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

目的条文からもわかるように、確定拠出年金は「自己の責任」において運用の指図を行うことで、将来の年金資産を積み立てていいます。その上で、「公的年金の給付と相まって」とあるように、国民年金や厚生年金保険の老齢給付に上乗せして受給される制度の一つとしての認識が規定されています。

あくまでも、確定拠出年金は自己責任で老後の所得の確保を行うための方法の一つであるということですから、個人型にしても、企業型であっても、運用リスクは当然に発生するとの認識の上で、制度を活用していくことも大切になります。また、確定拠出年金法以外にも、所得税法などの各種税法との関連についても併せて押さえておくことも大切になります。

5.まとめ

401Kはアメリカで始まった制度です。日本の年金制度とは異なる観点を持った制度であるため、なかなか仕組みを理解しにくい点が多いかと思います。とはいえ、現行制度における年金制度への信頼が崩壊している以上は、401Kなどの新しい年金制度を活用することで、少しでも多くの資産を残すための努力が要求されていることも事実です(「2000万円問題」が登場していることからもわかりますが・・・。)。

401Kのような新しい年金制度は、年金制度における3階部分とも言われており、この3階部分が自由度がかなり高い部分となっているので、しっかり制度を理解したうえで、個人としても企業としても有効に活用することが、今後の老後資産対策や退職金対策などにも十分に有効打を打てるようになると考えられますが、まだまだ、新しい制度が登城しているので、常に新しい情報のアンテナを張っておくことも必要です。

岡崎 隆宏
SRFP隆宏
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社会保険労務士・CFP認定者・1級FP技能士

外資系生保会社で6年くらい営業として実績を積み、その中でFP資格を取得し、その時の経験を活かし、お金に関する執筆を始める。

日本FP協会愛知支部の役員幹事として6年、FPとして一般消費者向けのセミナーの講師や個別相談会の相談員などを担当。得意分野は「公的年金・個人年金」「社会保険制度」「出産・育児関係」等。

現在は、社労士・FPとして、労働や年金等のお金についての記事の執筆や資格試験の講師、セミナー講師等を行っている。

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