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介護保険の法令を知ることで、介護保険制度をより深く理解しよう【目的・保険者と被保険者・介護認定制度】

近年になり、長寿命になってきたことで健康に対するリスクが増えてきました、特に、高齢になってくることで病気になることが増えてきます。そうなると、一人では生活をすることが難しくなり、結果的に介護を受けることになってきます。

この介護を受けるにあたっては、介護保険が適用されますが、介護保険についても、介護保険法によって介護状態の認定基準や具体的な介護保険の給付内容、介護施設についての決まりなどについて規定されています。

今回から3回に分けて、介護保険法についての考え方や制度の仕組みなどについて解説していきます。最初は介護保険法の歴史と具体的な制度の考え方、介護保険の被保険者、介護認定制度の仕組みについてお話します。

1.介護保険法の制定の歴史

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介護保険法の制定の歴史は、平成12年4月に介護保険法の制度が施行されてから現在に至るまでに、様々な制度改正を繰り返しながら現在の介護保険法制度に続いています。介護保険法の改正については、大きく以下の3点の改正が行われており、介護保険法は5年ごとに制度の在り方についての見直しが行われるため、約4~5年に1度のペースで改正が行われていることになります。

介護保険制度の設立の背景

介護保険施法の制定の背景として、主な要因として以下の点が挙げられています。

・高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増大・介護期間の長期化などにより、介護ニーズが増大してきた

日本は急速に後期高齢化が進んでおり、それに伴い介護を必要とする「要介護高齢者」が増大しており、それに伴い「介護期間の長期化」につながっているところがあります。また、さらに高齢者が増回していくため、それに伴った介護ニーズも併せて増大しています。

・核家族化の進行、介護する家族の高齢化など、要介護者を支えてきた家族の状況の変化

核家族化が進んでいる現状において、介護をする人も高齢化が進んでいます。親と距離が離れたところに住んでいる家族も多いため、すぐに要介護者に何かあったときの対応が出来ない可能性が高くなているとも言えます。

・従来の老人福祉・老人医療制度では対応できない部分が出てきた

従来の老人福祉や老人医療制度では、対象となる施設等が限定されており、それぞれの施設ごとでも、サービスや医療制度における、多くの問題点が出てきたため、従来の老人福祉・老人医療制度では対応することが困難になり限界が生じてきたということになってきました。

(老人福祉における問題点)

  • 市町村がサービスの種類や、提供期間を決定していたため、知容赦の自由な選択が出来なかった
  • 利用のために、所得調査があるため、利用に対して抵抗感が強くなる
  • 市町村がサービスや業者などを決定していたため、競争原理が働かず、内容が画一的になっている
  • 本人と扶養義務者の収入を基準とした利用者負担が、重い負担となっている。

(老人医療における問題点)

  • 中高所得者にとって、利用者負担が福祉サービスよりも低いため、介護を理由とした長期入院が増えてきた
  • 特別養護老人ホームや老人保健施設に比べてコストが高く、医療費が増加している
  • 介護を要する者が長期療養する場としの体制が不十分(居室面積が狭い、食堂や風呂がないなど)

2.介護保険法の改正の流れ(参考:厚生労働省「介護保険制度の概要」より)

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今までの老人福祉・老人医療における問題を解決するために、高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組みとして、1997年に介護保険法が成立し、2000年に施行されました。介護保険法の基本的な考え方は大きく以下の3点になります。介護保険法は、制度の見直しを行うたびに、新たな制度の創設や医療制度、障碍者支援制度との連携強化など、介護保険だけではなく、それ以外の隣接する分野における包括的な制度の強を改正を行う都度、図ってきました。

①自立支援

単純に介護を要する高齢者の身の回りの世話をすることだけにとらわれるのではなく、高齢者の自立を支援することを理念としています。

②利用者本位

介護施設等を利用する利用者の選択により。多様な主体から保険医療サービス、福祉サービスを総合的に受けられる制度を構築しています。

③社会保険方式

給付と負担の関係が明確となる社会保険方式を採用しています。

介護保険法は平成12年に施行されてから、現在に至るまでにおいて、幾度か介護保険制度の在り方について検討が行われ、法改正が行われましたが、具体的にどのような改正が行われ、介護保険制度がより現代において寄与しているかを見ていきます。

(1)平成17年度の改正点

平成17年度(2005年度)の介護保険法の改正のポイントは「明るく活力ある超高齢社会の構築」「制度の持続可能性」「社会保障の総合比」となっています。具体的な改正ポイントは以下の通りになります。

①予防重視型システムへの転換

従来の介護保険制度では、比較的重度の要介護認定者を保護するために施策やサービスを行っていましたが、高齢者の増加に伴い軽度な要介護者が大幅に増加するところになり、そうした軽度者に対するサービスが充実していなかったところがありました。そのため、この時の改正によって、「新予防給付の創設」「地域支援事業の創設」を行うことで、地域レベルから軽度者における介護サービスや施策を行うことが出来るようになりました。

②施設給付の見直し

介護施設を利用している人と在宅介護を利用されている人との間に生じている「利用者負担額の不公平」を是正するために、施設利用に関する給付の見直しを行いました。具体的には、「居住費用・食費の見直し」「低所得者への配慮」に関する規定が盛り込むことで、利用者負担について公平性を保てるようにしました。

③新たなサービス体系の確立

現状の介護保険制度におけるサービスでは、年々増加傾向にある「独居高齢者」や「認知症高齢者」に対応したサービスが少なく、また、介護支援制度においても、医療との連携が重要になってくることが考えられたため、新たなサービス体系を確立することで、介護と医療との連携を強化し、それによって、介護対象者に向けたサービスの質の向上を図るようになりました。

また、在宅支援の強化についても、地域レベルからの支援サービスを充実させることが重要であると考え、「地域密着型サービスの創設」「地域包括支援センターの創設」を行うことで、巨休憩サービスを充実させるようにしました。

④サービスの質の確保・向上

従来の老人福祉における問題点の一つとして「利用者によるサービスの選択が出来ない」ということがありました。これに対して、改正では「サービスの質の確保・向上」として 「介護サービス情報の公表」「ケアマネジメントの見直し」といったように介護サービスについて、具体的にどのような介護サービスを受けることが出来るのかについて、利用者側にもわかるようにすることで、サービスの選択に幅を持たせられるようにしました。

⑤負担の在り方・制度運営の見直し

負担については、低所得者に対しての配慮や市町村が行う介護保険の事務負担を軽減することなどの配慮をどのように行うべきかについての改正が行われました。

改正内容としては、「第1号保険料(市町村に住む65歳以上の者に対する保険料)の見直し」、「保険者機能の強化(保険者である市町村の事務負担の軽減を目的とした権限強化)」が行われました。

(2)平成23年度の改正点

平成23年度(2011年)に行われた法改正では、高齢者が地域で自立した生活を営めるように、「医療」「介護」「予防」「住まい」「生活支援サービス」が切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の実現に受けた取り組みを進めることを趣旨として改正が行われました。

①医療と介護の連携の強化等

  • 医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した要介護者等への包括的な支援(地域包括ケア)を推進
  • 日常生活圏ごとに地域ニーズや課題の把握を踏まえた介護保険事業計画を策定
  • 単身・重度の要介護者等に対応できるよう、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合型サービスを創設
  • 保険者の判断による予防給付と生活支援サービスの総合的な実施が可能に
  • 介護療養病床の廃止の猶予

②介護人材の確保とサービスの質の向上

  • 介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等によるたんの吸引等の実施を可能にする
  • 介護福祉士の資格取得方法の見直し
  • 介護事業所における労働法規の順守を徹底、事業所指定の結核要件及び取り消し要件に労働基準法違反者を追加
  • 公表前の調査実施の義務付けの廃止など介護サービス情報公表制度の見直し

③高齢者の住まい整備等

  • 有料老人ホーム等における前払い金の返還に関する利用者保護規定の追加

④認知症対策の推進

  • 市民後見人の育成及び活用など、市町村における高齢者の権利擁護の推進
  • 市町村の介護保険事業計画において地域の実情に応じた認知症支援策を盛り込む

⑤保護者による主体的な取組の推進

  • 介護事業計画と医療サービス、住まいに関する計画との調和を確保
  • 地域密着型サービスについて、公募・選考による指定を可能にする

⑥保険料の上昇の緩和

  • 各都道府県の財政安定化基金を露営崩し、介護保険料の軽減等に活用

(3)平成26年度の改正点

平成26年度(2014年度)の介護保険法の改正では、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するため、医療法、介護保険法等の関係法律についての所要の整備等を行うことを趣旨として行われました。

①新たな基金の創設と医療・介護の連携強化(地域介護施設整備促進法等関連)

・都道府県の事業計画に記載した医療・介護の事業(病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進等)のため、消費税増収分を活用した新たな基金を都道府県に設置

・医療と介護の連携を強化するため、厚生労働大臣が基本的な方針を策定

②地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(医療法関係)

  • 医療機関が都道府県知事に病床の医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)等を報告し、都道府県はそれをもとに地域医療構想(ビジョン)を医療計画において策定
  • 医師確保支援を行う地域医療支援センターの機能を法律に位置付け

③地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化(介護保険法関連)

  • 在宅医療・介護連携の推進などの地域支援事業の充実と併せ、予防きゅふ(訪問介護・通所介護)を地域支援事業に移行し、多様化
  • 特別養護老人ホームについて、在宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える機能に重点を置く
  • 低所得者のっ保険料軽減を拡充
  • 一定以上の所得のある利用者の自己負担を2割へ引き上げ
  • 低所得の施設利用者の食費・居住費を補てんする「補足給付」の要件に資産などを追加

④その他

  • 診療の補助のうちの特定行為を明確化し、それを手順書により行う看護師の研修制度を新設
  • 医療事故に係る調査の仕組みを位置づけ
  • 医療法人社団と医療法人財団の合併、持分無し医療法人への移行促進策を措置
  • 介護人材確保対策の検討

(4)平成29年度の改正点

平成29年度の改正点としては、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図るとともに、制度の持続可能性を確保することに配慮し、サービスを必要とする方に必要なサービスが提供されるようにすることが狙いとされており、より深いところにおける自立支援・重度化防止に向けた制度へと強化するとともに、医療制度との連携を強化することで、新たな介護保険施設の創設などの制度の強化を図ることになりました。

①地域包括ケアシステムの深化・推進

(ア)自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化等の取組の推進

  • 全市町村が保険者機能を発揮し、自立支援・重度化防止に向けて取り組む仕組みの制度化
  • 国から提供されたデータを分析の上、介護保険事業(支援)計画を策定。計画に介護予防・重度化防止等の取り組み内容と目標を記載
  • 都道府県による市町村に対する支援事業の創設
  • 財政的インセンティブの付与の規定の整備

(イ)医療・介護の連携の推進等

  • 「日常的な医学管理」や「看取り・ターミナル等」の機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた、新たな介護保険施設を創設
  • 医療・介護の連携等に関し、都道府県による市町村に対する必要な情報の提供その他の支援の規定を整備

(ウ)地域共生社会の実現に向けた取組の推進等

市町村による地域住民と凝視等による包括的支援体制作り、福祉分野の共通事項を記載した地域福祉計画の策定の努力義務化

高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉制度に新たに共生型サービスを位置づける

(その他)

有料老人ホームの入居者保護のための施策強化(事業停止命令の創設、前払い金の保全措置の義務御対象拡大等)

障碍者支援施設等を退所して介護保険施設等に入所した場合の保険者の見直し(障碍者支援施設等に入所する前の市町村を保険者とする)

②介護保険制度の持続可能性の確保

  • 2割負担者のうち、特に所得の高い層の負担割合を3割とする
  • 介護納付金への双方瀬裕割の導入

3.介護保険法の保険者・被保険者

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介護保険法の保険者は「市町村及び特別区」です。そのため、各市町村ごとに介護保険の保険給付の内容に違いがあります。なお、保険者である市町村及び特別区では、介護保険に関する収支について特別会計を設けなければならないとされています。

被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者の2種類に分かれており、それぞれの被保険者の区分によって受けられる介護保険の保険給付が異なってきます。

(第1号被保険者)

・対象者

65歳以上の者が対象となります。

・受給要件

要介護状態または要支援状態のいずれかに該当する場合に受給することが出来ます

・保険料の徴収方法

原則として、65歳になった月から「老齢年金から天引き」によって徴収されます。

(第2号被保険者)

・対象者

40歳以上64歳以下の者が対象となります。

・受給要件

要介護状態または要支援状態のいずれかに該当する要因が老化に起因する特定疾病である場合のみに受給することが出来ます。

・保険料の徴収方法

原則として、40歳になった月から「医療保険料と一緒」に徴収されます。

4.まとめ

介護保険制度は、施行されてから約20年ほどしか経過していない新しい制度です。とはいえ、日本は超高齢化社会に突入しようとしている状況を鑑みると、介護保険制度はもっと早い時期から始まっていてもおかしくないような状況でもあったようにも感じます。法令化された後の時代であっても、見直しの都度、介護保険制度、医療などとの連携を強化していくことをしっかり行っていく方向性を改正法令によってあらわしていることもあります。

今回は、介護保険制度がどのような経過を経て、現在の状況になるかについて、改正内容の歴史をたどりながら解説してきましたが、介護保険制度において、もっとも重要なところは「介護認定審査制度」や「保険給付」などがあげられますが、そちらについては、別の記事において解説していきます。

岡崎 隆宏
SRFP隆宏
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社会保険労務士・CFP認定者・1級FP技能士

外資系生保会社で6年くらい営業として実績を積み、その中でFP資格を取得し、その時の経験を活かし、お金に関する執筆を始める。

日本FP協会愛知支部の役員幹事として6年、FPとして一般消費者向けのセミナーの講師や個別相談会の相談員などを担当。得意分野は「公的年金・個人年金」「社会保険制度」「出産・育児関係」等。

現在は、社労士・FPとして、労働や年金等のお金についての記事の執筆や資格試験の講師、セミナー講師等を行っている。

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