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民泊の運営は管理業者や委託業者に委託することができます。経費を抑えるためには、オーナー自身が管理した方がよいのですが、それぞれの状況によっては管理が難しいこともあるでしょう。
また、民泊の形態や自治体の規制によっては業者に委託することが義務付けられている場合もあります。
今回は、民泊の運営を管理業者・代行業者に委託した方がよいのかどうかを解説していきます。さらに、民泊の管理業者・代行業者を利用する仕組みや業務内容も併せてご紹介いたします。
これから民泊を始める方や、すでに民泊運営中の方など判断に迷われる際の参考にして下さい。
民泊運営に必要な業務は
実際に民泊を運営するにあたって、それぞれの民泊情報をリストアップして予約を受けるまでは、ネット上でできますから割と忙しい方でもできないことはありませんね。
問題は、予約を受けてから宿泊客がチェックアウトするまでの過程で、最低限必要となる業務があることです。
オーナー自身で運営を管理するかどうかを決めるためにも、民泊を運営するにあたって必要な業務を最初に確認していきましょう。
では、予約後のチェックインからチェックアウトまでに必要な業務を、流れに沿って順番に解説していきます。
チェックインの業務
チェックインの際にまず必要となるのがカギを渡すことです。
カギをどうやって渡すか
カギを渡す方法は、ホスト(オーナー)の状況に応じていくつかあります。
- 対面で渡す
- ポストなど保管場所を決めておく
- 暗唱番号型のロック機能を設置する
- スマートロックを利用する(スマホで操作できる)
などの方法を検討することができます。
滞在に関する注意事項の案内
次に滞在に関して宿泊客に注意事項を案内する業務があります。伝える内容は大まかに3つです。
- 室内外の設備等の使い方
- 騒音・ゴミ出し・公共部のマナーなどの注意
- 緊急時の対処方法
これらの案内は、対面でなくともガイドブックでまとめて部屋においておくことが可能です。ただし、宿泊客が把握しているかどうかを電話やメールなどで確認することが大切です。
※自治体によっては対面での案内が義務付けられている場合もあります。
本人確認・宿泊者名簿の作成と管理
チェックイン前後に必要な業務として、本人確認や宿泊者名簿の作成があります。本人確認や宿泊者名簿の作成などは、ネット上でチェックイン前に行うことも可能です。
※これも自治体によっては、対面で対応することが義務付けられている場合があります。
滞在中の業務
チェックインが終了したら、宿泊客が滞在する期間にもいくつか対応すべき業務があります。
- 近隣住民からの苦情に対応する
- ゲストからの苦情・問い合わせに対応する
- 民泊の付加サービスを実施する
近隣住民・ゲストからの苦情や問い合わせは、電話やメールなどで基本的に24時間体制で連絡が取れることが必要です。
※自治体によっては10分以内で駆け付けられることが義務付けられている場合があります。
民泊の付加サービスは各自で判断
民泊の付加サービスとはホストが自身で判断して提供するサービスです。
- 観光案内や日本語通訳・翻訳
- 駅までの送迎
- 飲食料品の宅配や日用品の宅配
など・・・
チェックアウトの業務
そして、最後にチェックアウトの業務があります。
カギを受け取る
カギを受け取る方法は、カギを渡す方法と同じ方法を選ぶのが一般的です。状況に応じて容易な方法を検討しましょう。
退室後の状況確認と清掃
室内のチェック
宿泊客が完全に退室した後は、早めにまずは室内の状況を確認する必要があります。盗難や破損などの損害を受けていないか、宿泊客の忘れ物はないかなど。
清掃・衛生管理
そして、おそらく民泊運営上で最もネックとなるの業務の1つが宿泊施設の清掃・衛生管理です。
民泊を行うにあたっては、各部屋・浴室の状態を清潔に保っておくことや、清潔な寝具を準備しておくことが義務づけられています。
基本的にはここまでのサイクルの繰り返しです。反復的に自分でできるのかどうかを判断していきましょう。
※できる業務とできない業務を明確にしておくと、管理業者に何を委託すればよいのかわかりやすくなります。
家主居住型と家主不在型
民泊には家主居住型と家主不在型とあります。家主居住型の民泊であれば、必要な業務はほとんどホスト自身が行うケースが多くなります。
家主居住型とは、ホストが居住している又は敷地内に居住している建物にて行われる民泊です。
家主不在型とは、ホストの居住地が宿泊施設から離れている場合の民泊です。
家主不在型の注意点
ここで注意しておきたいことは、民泊の認可の種類によっては家主不在型の民泊では管理業者への委託が義務付けられている点です。
住宅宿泊事業者(民泊新法)の認可で行う家主不在型では、管理業者へ委託することが必須とされています。従って、ホストが自分で管理を行える場合でも委託しなければなりません。
特区民泊で行う民泊は、原則として業者への委託は任意となっています。ただ、自治体によっては義務付けられている場合もあるので確認が必要です。
旅館業の場合
旅館業の許可、簡易宿所営業の許可を取って民泊を運営する場合も、業務内容は一般の民泊とほとんど変わりませんが、管理業者へ委託する義務はありません。
自治体によって例外がありつつも要件さえ満たしていれば、原則として運営方法に関してはすべては経営者の方針に任されています。
ただし、簡易宿所営業はそもそも旅館業としての経営となるため、すべての責任が運営者に強くのしかかってくるため、素人感覚では許されない部分もあります。
定期的に保健所の立ち入り検査がありますので、とくに衛生管理は綿密に行っておく必要があります。
簡易宿所営業における管理業務
簡易宿所営業における管理業務の大まかな特徴をみておきましょう。
家主不在でも業者への委託は任意
旅館業の簡易宿所営業では、家主不在の場合でも業者への委託は任意となっています。遠方に住んでいる経営者でも一定の要件を満たせば、遠隔での管理が可能です。
以前はフロント(帳場)の設置が旅館業では義務づけられていましたが、今は緩和されてそれぞれの任意となっています。本人確認や宿泊者名簿の作成、注意事項の案内なども対面で行う義務はありません。
例えば複数の客室を数か所に保有している場合でも、それぞれの客室から管理者へ連絡できるシステムが整っていれば遠隔でまとめて管理していくことができます。
緊急時の対応
緊急時の対応は経営者または従事者、管理業者などが10分以内で駆け付けられる体制を整えておく必要があります。
民泊管理業者とは
民泊管理業者とは民泊代行業者とも呼ばれる事業で、民泊の運営をサポート・代行して行う業者のことをいいます。
民泊管理業者には、物件探しから認可の取得、運営全般に至る業務を行うものや、清掃業務、予約業務だけを部分的にサポートするものなど様々な種類があります。
委託できる業務
では、具体的に民泊管理業者に委託できる業務内容を見ていきましょう。
民泊物件探し
収益物件を購入する、転貸可能な賃貸物件を契約する、いずれの場合でも物件探しを業者に依頼することが可能です。
民泊に適した地域・物件を紹介してくれます。
民泊の許可・認可の申請
民泊の認可や許可の取り方がよくわからない、という方は業者に依頼することができます。必要書類など本人でないと取得できないものを除いて、ほとんどすべての手続きを任せることが可能です。
民泊の企画・準備・立ち上げ
宿泊客の注意を惹くための民泊の企画を委託することもできます。民泊で成功するためには独自のコンセプトが欠かせません。全面的に委託する方法や、相談しながらアドバイスを受ける方法があります。
また、民泊に必要な家具・家電のレンタルや購入、備品の準備、写真撮影、サイトへのリストアップなどを委託して立ち上げを任せる方法もあります。
予約管理
電話やメールで予約の応対ができない方は、管理業者にて予約管理を代行してくれます。
付随して本人確認や名簿作成などを任せることもできます。
チェックイン・チェックアウト
チェックインやチェックアウトで必要なカギのやり取りも管理業者にて代行してくれます。
室内の諸設備の使い方、注意事項の案内も同時に任せることができます。
数か国の言語にて対応できる業者もありますので、外国語が苦手な方は通訳や翻訳サービスが利用できます。
苦情・問い合わせ管理
さらに、近隣住民やゲストからの苦情・問い合わせを管理業者に委託することができます。セットのプランにて、緊急時の駆けつけサービスを同時に行っています。
清掃・衛生管理
ホスト本人か誰かが必ず現場に行く必要がある清掃・衛生管理も業者にて代行できます。
遠方に住んでいる方や本業が忙しい方などは、清掃・衛生管理業務の委託は必須になりますよね。
以上が民泊管理業者に委託できる業務内容です。他にも保険や運営方法の相談、近隣住民への挨拶、リフォームなどを受け付けている業者もあります。
必要な業務だけを委託する
民泊管理業者へ委託するにあたっては、ホストが自分で対応できない、必要な業務だけを選んで委託する方法があります。
ネットや遠隔操作にて可能なことは自分で対応するなど、委託する業務を少なくすることで経費を抑えることができますよね。
オールインワンですべて任せる
あるいは民泊投資をしたいけれど、ゲストへの応対など運営は苦手だという方もいるでしょう。そんな方はオールインワンで運営のすべてを管理業者に委託することも可能です。
遠方の物件などで民泊経営を行うオーナーに多いケースです。
委託するメリット・デメリット
業者に委託するメリット
民泊管理業者・代行業者に委託するメリットは・・・
手間がかからない
委託する一番のメリットは民泊の運営に「手間がかからない」ことです。
忙しい方や遠方の方でも手軽に民泊に参入できますし、民泊に関する知識がなくとも始められることが業者に委託する魅力となっています。
専門知識がある
民泊は国内ではまだ新しい特殊な投資方法になります。従って、一般の不動産会社や投資関連の会社では対応できないことが多々あります。
しかし民泊管理業者は民泊に対する専門的な知識を有しています。業者によって法律、自治体、地域性、建物、インテリア・エクステリア、観光マーケティング、空き家再生事業などそれぞれ得意にしている分野があります。
用途に合わせて専門性が高い業者に委託できるので安心です。
売り上げに応じた手数料
業者にもよるのですが、民泊管理業者では宿泊料金(売り上げ)に対して一定の比率にて手数料が換算されるプランが多くなります。
売り上げが上がれば業者の手取りも増えるという仕組みなので、両者の収益が比例して増えていくのが大きな特徴です。業者自身の売り上げを挙げるためにも、満足度の高いサービスが期待できます。
事業の拡大が容易になる
また、1人でできる業務は限られてしまいますが、業者に委託することによって事業の拡大が容易になります。
とくに収益物件を購入して本格的に事業展開していきたい方は、管理業者によるサポートが必要になってくるでしょう。
苦手な業務を任せられる
英語が話せない、外国語に対応できない、外国人とのやり取りが苦手、苦情の対応が苦手など、苦手な業務のみを厳選して業者に任せる方法もあります。
極端な話、ゲストとのコミュニケーションが苦手な方であっても、オーナーとして運営は業者に任せて民泊に参入することだってできるのです。
業者に委託するデメリット
では、次に業者に委託するデメリットもしっかりと確認しておきましょう。
手数料がかかる
業者に委託する最大のデメリットとは、何よりも手数料がかかることです。
家主不在型の場合、管理業者への委託を余儀なくされているため選択肢がない部分もありますが、最小限に委託する業務を抑えていくことは可能です。
選択肢がある方は、本当に委託が必要な業務かどうかを検討するようにして下さい。
手取りが少なくなる
手数料がかかるということは、経費が増えることを意味しています。結局のところ業者に委託する分、手取りが少なくなる事実に注意しておきましょう。
ゲストと交流の機会を失う
民泊は外国人宿泊客の比率が多い宿泊サービスです。外国人との交流の場を求めて民泊を始める方も中にはいます。
しかし、民泊代行業者にすべてを任せてしまった場合は、ゲストと交流する機会を失ってしまいます。委託する範囲を限定するのも1つの方法です。
民泊の知識が身につかない
いくら業者に任せられるといっても、資金をかけて事業に参入する以上は、放置しておくだけでは十分ではありません。自らが民泊事業を学んでいくことが大切です。
民泊管理業者はあくまでも、当事者を支援するための業者であることを認識しておく必要があります。業者に任せきりでは、いつまでたっても民泊の知識は身につかない恐れがあります。
業者によってレベルが異なる
これはどんな業者においても言えることですが、同じ民泊管理業者であっても業者によってサービスのレベルが異なります。
あまり専門知識がなく表面的なサービスのみを提供する業者や稀に悪質な業者もありますので注意する必要があります。
民泊事業はまだ始まったばかりです。それぞれの業者を実績で図ることが難しい段階にありますので、業者選びは慎重に行うことが大切です。
民泊管理業者の選び方
民泊管理業者を選ぶ際には、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。委託する業者によって、今後の収益率も大きく影響されてしまいます。
では最後に、民泊管理会社の選び方、選ぶポイントをご紹介します。
業者の選び方
民泊管理業者を選ぶからには、どのような業者が存在するのかを知る必要があります。
まずはインターネットで業者を検索して、あらゆる業者の情報を入手することから始まります。
情報収集から始めよう!
民泊管理業者を調べる方法は、
「民泊管理業者」「民泊代行業者」「住宅宿泊管理業者」「民泊運営」「民泊代行」
などのキーワードにて調べることができます。上記のキーワードに加えて、地域名を入れるとローカルのサービスも調べることが可能です。
どんな業者が、どんなサービスを提供していて、手数料はどうなるのか、などと情報収集を行いましょう。
選ぶポイント
業者を選ぶ重要なポイントをいくつかチェックしていきましょう。
- 信頼できる会社かどうか→運営会社の情報
- 信頼できる担当者かどうか→電話やメールで対応を探る
- 民泊の将来に対する見解→価値観の違い
- 魅力ある民泊の定義→価値観の違い
- 対応できる地域→自身の民泊物件に対応可能か
- 提供するサービス→業務内容の確認・強い分野な何か
- サービスプラン選択の有無→選択できるかどうか
- 手数料の課金システム→固定か比率か
- 契約方法→契約期間・その他費用
など・・・
気になる業者を複数ピックアップしてから、それぞれメールや電話で何か問い合わせてみるといいでしょう。ちょっとした応対の違いからも会社のカラーが何となく掴めることも多いです。
複数の業者から見積もりをとって、トータル的に比較検討していくことが大切です。
※不動産投資や民泊投資でおすすめの情報サイト・ブログのご紹介です。役に立つ情報がご覧いただけます。
※民泊投資で成功するポイント10選!こちらの記事も参考にしてみて下さい。
まとめ
民泊の運営にあたっては管理業者に委託することも1つの選択肢です。
どの程度までホスト自身が管理していくのかは、それぞれの運営方針、民泊スタイル、認可の種類や居住地などによって異なってくるでしょう。
状況によっては委託せざるを得ない方もいるでしょうが、どこからどこまでを委託すべきか、どこに委託するのかを慎重に選ぶ必要があります。基本的には、極力、業者に委託する業務を少なくした方が収益上は有利です。
また、全面的に任せる場合でも、やはりご自身にて民泊事業の未来図を曖昧にでも持っていることがとても大切だといえます。
ぜひ、管理業者への委託を検討する際に、今回の記事を参考にして頂ければ幸いです。