ユーロ/円の値動きの特徴は?実際の為替データを使ってユーロ/円の客観的な相場状況を解説します。

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FXはそのボラティリティの低下や仮想通貨への資金流出などが叫ばれるようになり、以前よりも値動きが緩やかで稼ぎにくくなってしまったのではないかと言われています。

今回紹介しますユーロ/円(EUR/JPN)も、現在ではかつてのような勢いが感じられなくなってきているかもしれません。

しかし、ユーロ/円は実際の為替データを検証しますと、1日単位やヨーロッパ時間等の限定された時間帯でみた場合、まだまだ豪快な値幅に期待できる場面が多い通貨ペアです。

それはつまり、今までと同じくしっかりとしたトレードスキルが必要であるという事でもあります。

イギリスのEU離脱がヨーロッパでは非常に神経質なファンダメンタル要因となっていますが、今回はこのユーロ/円について過去のデータ(2014~2018年)を見ていただきながら、主に月ごとのユーロ/円の特徴やユーロ/円で勝つためのポイントについて解説します。

 

2014~2018年までの月別騰落状況

 

「ユーロ/円の過去5年間の月別騰落状況」

2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 平均
1月 -7.16 -12.22 0.55 -1.04 0.31 -3.91
2月 2.92 1.70 -8.91 -2.49 -5.46 -2.45
3月 2.55 -4.91 5.61 -0.61 0.90 0.71
4月 -0.44 5.01 -6.23 2.73 1.11 0.44
5月 -2.99 2.49 1.36 3.10 -4.83 -0.17
6月 -0.06 0.07 -8.63 3.87 2.13 -0.52
7月 -1.09 -0.31 -0.49 2.38 1.66 0.43
8月 -0.94 -0.12 1.15 0.39 -1.85 -0.28
9月 1.69 -1.98 -1.42 1.99 3.15 0.69
10月 2.22 -1.19 1.20 -0.49 -4.27 -0.51
11月 6.76 -2.78 6.09 1.59 0.73 2.48
12月 -3.19 0.45 1.80 1.41 -3.34 -0.58
平均 0.02 -1.15 -0.66 1.07 -0.81 -0.31

(1.00 = 100pips)

 

ユーロ/円の値動きにおいて大きな傾向がみられるのは1・2・11月。これは米ドル/円・ポンド/円とともに共通している相場状況となっています。

それ以外の月は月間トータルでその値動きを見た場合は、あまりその特徴が見られません。

しかし、一見大人しく見えるものの日々の上下動が激しいデータが珍しくなく、やはりそこはユーロ/円の基本的な性質そのまんまとなっています。

例えば数日間の連騰後に数日間の下落が続いたり、突発的に1~2円程度の値動きを引き起こすところは、いかにもユーロ/円っぽいものです。

 

では次からは1・2・11月を中心にその他の月の傾向も含め説明していきます。

 

 

年明けはいつも下落から:1月

 

「1月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・8ー14
  • 2015年・・・7ー14
  • 2016年・・・12ー8
  • 2017年・・・10ー11
  • 2018年・・・11ー11

合計・・・48ー58(円安率:45.2%)

本当によく落ちる!

米ドル/円もそうですが、ユーロ/円の1月は円高進行しやすい状況です。

2014年は50pips以上下がった日が8回、1円以上下落した日が4回発生しています。

そして2015年には過去5年間で最も激しい下落を見せ、50pips以上下がった日が6回、1円以上下落した日は8回、何と2円以上下がったが4回もあります。

その中で特に酷かったのが、年初からの10営業日中9日間が下落だった時期。

「2015年1月の騰落状況」

日付 始値 終値 差引
1月2日 144.909 144.613 -0.30
1月5日 144.03 142.758 -1.27
1月6日 142.759 140.749 -2.01
1月7日 140.75 141.176 0.43
1月8日 141.178 141.088 -0.09
1月9日 141.074 140.328 -0.75
1月12日 140.168 140.033 -0.14
1月13日 140.032 138.817 -1.22
1月14日 138.813 138.304 -0.51
1月15日 138.304 135.091 -3.21
1月16日 135.089 136.062 0.97
1月19日 135.671 136.433 0.76
1月20日 136.422 137.201 0.78
1月21日 137.195 136.931 -0.26
1月22日 136.931 134.636 -2.30
1月23日 134.636 131.943 -2.69
1月26日 131.072 133.098 2.03
1月27日 133.104 134.115 1.01
1月28日 134.118 132.639 -1.48
1月29日 132.644 133.854 1.21
1月30日 133.855 132.686 -1.17

 

また次の通り下旬のとある3日間は値動きが上下合計で7円程もあったのです。

  • 1/22・・・-230pips
  • 1/23・・・-269pips
  • 1/26・・・203pips

月間での値動きが穏やかな結果となった2016-2018年においても50pips以上の上下動はよく見られるもので、これは逆に言えば売りをメインにスキャルピングしていくのが効果的という訳です。

ユーロ/円で1月を攻略するためのFX手法

ズバリ「ショートポジション」を中心にトレード戦略を考えるのが勝率アップの秘訣です。

これは米ドル/円やポンド/円とも同じ結論であり、FX全体としても毎年1月は売りが有効です。

また1月は基本的にはトレードの難易度が高まりますので、チャートの短期足を見ながらロングの可能性を同時に伺うことは取引を更に難しくさせます。

ここはショート戦略に厳しく限定し揺さぶりに負けない強靭なメンタル力を備えることが大切です。

ギャンブルに最適:2月

「2月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・10ー10
  • 2015年・・・10ー10
  • 2016年・・・8ー13
  • 2017年・・・7ー13
  • 2018年・・・8ー12

合計・・・43ー58(円安率:42.5%)

激しい揺さぶりに注意

2月は1月同様下がりやすい月です。

一見大人しそうに見える月や円安で終わっている時でも1日単位だと結構下がった日もユーロ/円では珍しくありません。

2015/2月は若干のプラスで終了しましたが実は大きく下落した日がいくつも存在しています。

「2015年2月で大きく下落した日」

  • 2/4・・・-189pips
  • 2/12~2/16(3営業日)・・・-170pips(合計)
  • 2/23・・・-99.3pips
  • 2/26・・・-135pips

度々下落が発生しながらも月間では結果的に上昇で終了しているパターンの場合、上昇によるぶり返しも多く発生していたので、ショートばかりでは勝つことが難しくなり、スキャルピングであれば売り・買いを素早く切り替える高度な瞬発力が要求されてきます。

ユーロ/円で2月を攻略するためのFX手法

1月同様売りを中心にトレードをしていきますが、2カ月連続の大きな下降パターンを狙うのは危険であり、ポジション形成の方針に柔軟さを備えることが大切です。

また、ユーロ/円は米ドル/円よりもその値動きの激しさ(ボラティリティ)が大きいですから、FXやユーロ/円の経験があまり無いトレーダーは無理して相場に乗る必要はありません。大変危険な状況でのトレードを強いられてきます。

ただ、ユーロ/円のジェットコースターを大いに楽しみたいのであればこの2月をおすすめします。

ロスカットや追証の可能性が他の月と比べ格段に高まります。もしトレードを行うならギャンブルしているつもりでそれ相応の覚悟でユーロ/円に臨むようにしてください。

連騰も視野に:11月

「11月における年ごとの円安・円高実績」(円安日数ー円高日数)

  • 2014年・・・13ー7
  • 2015年・・・8ー13
  • 2016年・・・16ー6
  • 2017年・・・11ー11
  • 2018年・・・15ー7

合計・・・63ー44(円安率:58.8%)

 

11月はスイングトレードも勝ちやすい

11月は、米ドル/円、ポンド/円とともに過去5年間での月間平均がプラスとなっています。

2014/11月は1円以上上昇した日が6回、また2016/11月は7営業日連続で上昇した日々もありました。

更に、11月のユーロ/円は連日上昇する傾向があり、1日だけで上昇が終わるというケースが少ないといったデータもあります。

「上昇が1日だけで終わった日数」(数字:1日だけ円安日数/全円安日数)

  • 2014/11・・・5/13
  • 2015/11・・・6/8
  • 2016/11・・・2/16
  • 2017/11・・・2/11
  • 2018/11・・・1/15

ユーロ/円で11月を攻略するためのFX手法

ロングポジションを中心としたスキャルピングがおすすめです。

上記の例もあるように上昇した翌日も更にロングポジションでユーロ/円に挑むことや、スイングトレードなら11月にロングで実行するのが勝ちやすいといったことになります。

その他の月

3月における年ごとの円安・円高実績

「円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・11ー10
  • 2015年・・・11ー11
  • 2016年・・・8ー13
  • 2017年・・・10ー13
  • 2018年・・・10ー12

合計・・・50ー59(円安率:45.8%)

2月ほどの激しさはありませんが、それなりの頻度で上下動が発生しています。

2015年3月には1円以上下落した日が何と8回も発生しました。

それ以外の年でも50pips前後の値動き(上下両方)だった日が多くありました。

近年ではやや大人しい雰囲気があります。大人しい時ほど無駄に値動きをなぞるだけとなってしまいますので、長期スタイルよりは短期売買が収益を上げやすいです。

4月における年ごとの円安・円高実績

「円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・11ー11
  • 2015年・・・14ー8
  • 2016年・・・8ー13
  • 2017年・・・6ー14
  • 2018年・・・12ー9

合計・・・51ー55(円安率:48.1%)

2017/3月下旬~4月上旬にかけ14営業日連続で下落しました(次の表を参照)

日付 始値 終値 差引
3/28 120.214 120.152 -0.06
3/29 120.152 119.525 -0.63
3/30 119.525 119.467 -0.06
3/31 119.467 118.662 -0.80
4/3 118.734 118.308 -0.43
4/4 118.308 118.169 -0.14
4/5 118.169 118.033 -0.14
4/6 118.033 117.921 -0.11
4/7 117.921 117.633 -0.29
4/10 117.547 117.536 -0.01
4/11 117.536 116.242 -1.29
4/12 116.242 116.232 -0.01
4/13 116.232 115.773 -0.46
4/14 115.773 115.29 -0.48

 

また2016/4/28には突然大暴落(-352pips)を引き起こしたり、2015年には月末4営業日で当月のプラス分(約5円)を一気に稼いでしまうといった法則性がまるで読めない値動きとなっています。

Expert
このセクションはその他の月ということで解説していますが、ユーロ/円のその大きな値動きが局地的に突如発生する様は、本ページ冒頭でも述べましたが、近年のゆるやかな全体状況に関係なく発生しています。

5月における年ごとの円安・円高実績

「円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・10ー12
  • 2015年・・・12ー9
  • 2016年・・・11ー11
  • 2017年・・・16ー7
  • 2018年・・・8ー15

合計・・・57ー54(円安率:56.4%)

5月はユーロ/円の5年間の平均としては最も値動きが穏やかな月となっています。

しかし日々の値動きを見ますと数十pipsに渡るユーロ/円特有の値動きは健在であり、うまくスキャルピングに徹すれば利益を上げていくことができます。

取引時間帯や長期足レベルで相場の大きな転換ポイントを発見し逆張りでトレードするのをおすすめします。

6月における年ごとの円安・円高実績

「円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・12ー9
  • 2015年・・・9ー13
  • 2016年・・・9ー13
  • 2017年・・・14ー8
  • 2018年・・・13ー8

合計・・・57ー51(円安率:52.7%)

2015年6月のように、月間ではほぼイーブンな相場結果でも日々の値動きが非常に激しかったケースがありました。

また2016年の場合は6/24に-731pips 2017/6/27は+232pipsといった具合に、4月と同様突然の大きな値動きに巻き込まれないようにすることが大切です。

その他の月は、1・2月ほど法則性が見えないのですが、しかしこのような予想もつかない展開が命取りとなってしまうものであり、大変危険な月ということになってくるのです。

7・8・9・10月における年ごとの円安・円高実績

「7月 円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・13ー10
  • 2015年・・・9ー14
  • 2016年・・・9ー12
  • 2017年・・・13ー8
  • 2018年・・・11ー11

合計・・・55ー55(円安率:50%)

「8月 円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・8ー13
  • 2015年・・・11ー10
  • 2016年・・・12ー11
  • 2017年・・・12ー11
  • 2018年・・・12ー11

合計・・・55ー56(円安率:49.5%)

8月は閑散としやすい月だと言われますが、あくまでも日々の値動きで見た場合はいつものユーロ/円らしい激しい値動きです。

「9月 円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・12ー10
  • 2015年・・・10ー12
  • 2016年・・・10ー12
  • 2017年・・・12ー9
  • 2018年・・・10ー10

合計・・・54ー53(円安率:50.4%)

「10月 円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・12ー11
  • 2015年・・・11ー11
  • 2016年・・・12ー9
  • 2017年・・・13ー9
  • 2018年・・・7ー16

合計・・・55ー56(円安率:49.5%)

12月における年ごとの円安・円高実績

「12月 円安日数ー円高日数」

  • 2014年・・・10ー13
  • 2015年・・・9ー14
  • 2016年・・・15ー7
  • 2017年・・・10ー11
  • 2018年・・・9ー12

合計・・・53ー57(円安率:48.1%)

12月のユーロ/円は月間平均では大した値動きではありませんが、米ドル/円・ポンド/円が12月において下落傾向が顕著となっています。

FXでは多くの通貨ペアが同じような値動きであったりチャートの描かれ方がソックリといったことがよくあります。

ユーロ/円においても他の通貨ペアの状況をよくチェックしてトレードすることが大切です。

ユーロ/円で3・4・5・6・7・8・9・10・12月を攻略するためのFX手法

大人しいと思われる月でも油断することはできません。ユーロ/円は元々ボラティリティが広くその予想が難しい通貨ペアですので、こういった月こそ慎重に取引に挑むことが重要です。

基本的にはスキャルピングを中心に利益確定及び損切りをしっかり実行することがユーロ/円で退場にならないポイントです。

「まだ利益が伸びるかも」という考え方はうまくいきません。

せっかくのスキャルピング相場ですので、勝てるチャンスはいくつも転がっています。

またユーロ/円やポンド/円などの「クロス通貨」はストレート通貨やCFDよりもレンジ相場になりやすいといった特徴があり、ダラダラとポジションを保有し続けるのは利益獲得の機会を減らすこととなります。

 

まとめ

ユーロ/円はFXでは米ドル/円やポンド/円などと共に非常にメジャーな通貨ペアです。

数多くのFX会社で誰でも気軽にトレードを行うことができますが、ユーロ/円は基本的に値動きが荒くリスクの高い通貨ペアです。

その値動きの激しさから、今回特別にピックアップしなかった月において、予想外の値動きが発生した場合の危険性が非常に高いため、普段から取引の安全性に十分注意することが大切です。

以下に今回の内容について簡単に整理しておきます。

  • 1月は毎年円安になりやすいので売りがメイン
  • 2月は上昇と下落が交錯し難しいトレードになりやすい
  • 11月は連騰の可能性を視野に入れロングがメイン
  • 他の特徴が掴みづらい月でも短い時間軸ではユーロ/円の激しい値動きは健在

*FXがよく分かるその他の記事:

ポンド/円の値動きの特徴は?激しい値動きから神経質な展開まで実際のデータを使い客観的に解説します。

FXにおける米ドル/円の値動きの特徴を実際の為替データを使って解説。米ドル/円がより理解できるようになります。

 

 

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