【民泊投資】民泊物件の損害リスクとは?災害や事故に備える保険・補償について解説

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民泊投資を行うにあたっては様々な損害リスクが生じます。損害リスクの代表的なものに災害や事故などが挙げられます。いざ、災害や事故・ゲストの過失などで、物件や家具家電に損害を受けた場合の保険はどうすればいいのでしょうか

民泊用の収益物件の場合は、賃貸物件で加入する保険ではすべての損害を補うことができません。民泊を運営するのであれば、いざという時の損害を補償してくれる保険を選ぶ必要があります。

今回は、物件の損害リスクとして考えられるケースを解説し、損害に備えることができる民泊の保険・補償について解説していきます。

民泊物件の損害リスク

民泊は基本的に宿泊事業となり、通常の賃貸運営とは異なります。従って、民泊に対応できる保険にて様々な損害に備えておくことが必要です。

では、民泊物件で考えられる損害リスクとは具体的にどのようなケースがあるでしょうか。考えられるリスク、起こりがちなリスクを具体的に見ていきましょう。

民泊物件が受ける代表的な損害リスクは大まかに3つのタイプから見ていくことができます。

物件の損害リスクは大きく3つ

物件の損害リスクの3つのタイプとは、

  • 災害
  • 事故
  • ゲストの過失

以上の3つです。

ではそれぞれの具体的なケースを解説しましょう。

物件の災害リスク

仮に民泊投資を行わないとしても、住宅に住んでいる限り発生するリスクに火災・自然災害などの災害リスクがあります。

災害の種類は、

火災、台風、洪水、豪雨、雷、津波、地震、自然災害による水漏れ・地崩れ、爆発などがあります。

物件の事故リスク

では次に見ておきたいの物件の事故リスクです。

起こりうる事故とは、外部からの影響によるものや、建物・設備等の劣化や不具合から起きるものがあります。

  • 車や航空機などの輸送機器の落下や衝突
  • 近隣の建設工事などによる事故
  • 建物・敷地内での死亡や傷害事件
  • ガスや水道配管の不具合による爆発や崩壊
  • 電気設備の不具合による爆発や崩壊

などが考えられます。

物件のゲストによる過失リスク

また、民泊物件が賃貸物件と大きく異なるのは、家具・寝具・家電などの生活必需品がホストの負担で設置してある点です。

民泊用語→民泊業界では民泊施設のオーナーをホスト、宿泊客をゲストと呼びます。

ゲストの過失によって、物件の壁や床なども含めて、これらの機器・設備等が損害を受ける可能性があります

ゲストの過失にも、悪意のない不測の事態による過失と盗難の意図を持ったものとに分かれます。

  • 不注意から誤って壁や床を傷つけてしまった
  • 使い方を誤って家電を壊してしまった
  • ガスコンロから火災を起こしてしまった
  • 欲しい備品・小型家電があったので持って帰った
  • 売却を目的に家具や家電を盗んだ

などが挙げられます。

損害を受ける箇所をまとめると・・・

損害を受ける箇所をイメージしやすいように以下のようにまとめてみました。

建物

外壁、屋根、門、階段、窓、エントランス、庭、駐車場など

部屋

壁、床、ドア、流し台、洗面台、浴槽、トイレ、カーテン、絨毯、マットなど・・・

家具

寝具、タンス、棚、テーブル、イス、ソファ、洗濯かご、傘立て、靴箱など・・・

家電

エアコン、冷蔵庫、洗濯機(乾燥機)、モバイルWi-Fi設備、ドライヤー、電子レンジ、電気ケトル、コーヒーメーカーなど・・・

その他備品

キッチン用具、バス・トイレ用品、洗剤、調味料、スリッパ、ゴミ箱、ぬいぐるみ、クッション、マップなど・・・

以上のように、民泊の場合は数えきれないほどの物が損害を受ける可能性があります。高額なものから100円程度のものまで様々です。これらすべての物に、いざという時のために補償をつけておくことが大切です。

損害を受ける要因として、災害・事故・過失と3つのタイプを見てきました。では、これらの損害に対してどのような保険・補償があるのかを確認していきましょう

民泊の損害リスクに備える保険

一般的に住宅にかかる火災・自然災害に備えるためには火災保険と地震保険があります。中には火災・地震保険には加入しているから大丈夫と思われる方もいるでしょう。

しかし、民泊の場合は通常の火災保険や地震保険では対応できないケースが多々あります。

一般の火災保険はあくまでも「居住用の住宅」であることが前提となっています。保険会社によって、どこまでが補償の対象となるのか微妙なので確認することが大切です。

民泊の火災保険はどうなる

まず、原則として火災保険は、建物の用途別に加入する保険の種類が異なります

「住宅物件」の保険では民泊は対象外

賃貸物件やホスト自身が居住するための物件の場合は、建物の用途が「住宅物件」の火災保険に加入します。

民泊は住宅用として貸し出すわけではなく、不特定多数の旅行者などを対象に宿泊サービスを提供する事業です。「住宅物件」の火災保険では、いざという時には役に立たない可能性が高いです。

なぜ、住宅物件の火災保険では民泊は補償されないのかを見ていきましょう。

民泊は旅館業に分類される

民泊には、民泊新法にて運営する住宅宿泊事業と旅館業にて運営する簡易宿所事業の2種類があります。双方とも住宅を貸し出すことに変わりはないのですが、宿泊サービスを提供するビジネスとして法的には旅館業に分類されています。

旅館業に使用する物件は「住宅物件」を用途にした建物とは区別されています。つまり、旅館業として火災保険に加入しておく必要があるのです。

一般物件

旅館業として使用する物件は「一般物件」といいます。

一般物件に該当するのは、

事務所、店舗、病院、旅館・ホテル、

などのオフィスや商業施設、医療施設にあたります。民泊は、この一般物件に該当しているのです。

併用物件

民泊や事業者の中には自身の居住用と併用している場合もあります。その場合の建物の用途は「併用物件」になります。

自宅の敷地内にある別の建物や、自宅の一室を民泊として貸し出す際には、居住部分と事業部分とに分けられています。

従って、一般物件の用途で火災保険に加入している場合でも、民泊に使用している部屋が損害受けた場合には保険の対象とできないことがあります。

民泊の運営スタイルに応じて、建物の用途が「一般物件」または「併用物件」となる火災保険への加入が必要です。※ただし、保険会社によっては民泊に対応できないケースもあるので注意しましょう。

火災保険で補償できる災害

火災保険で補償できる災害は、

火災、水害、豪雨、台風、ひょう災、雪災、雷、災害による水漏れ・破損・爆発などによる損害が補償されます。

地震、津波、地震による火災は火災保険の対象外となりますので、別途で地震保険に加入する必要があります。
また、火災保険の対象は「建物」全般となり、家具や家電への補償は家財保険にて補償されますので、同時に加入しておくようにして下さい。

いざ建物が半壊、全壊、全焼してしまったとしても、補償をつけておけば再建にかかる費用に保険金が支給されるので安心です。

火災保険で補償できる事故や過失

火災保険では、災害以外にも様々なケースに対応できるので、補償内容をしっかりと確認しておくことが大切です。

火災保険でも事故や過失による損害に保険金が支給されます。

  • 設備の不具合や近隣からの影響による水ぬれ
  • 物体の落下・飛来・騒じょうによる損害
  • 盗難による損害
  • 不測かつ突発的な事故による損害

など・・・

以上のような補償にて、破損や故障、盗難などで設備や家具・家電などを再購入する場合の費用に保険金が支給されるしくみになっています。

民泊物件の損害保険

民泊はまだ始まったばかりの事業であるため、民泊物件の損害補償にはまだ対応できない保険会社も多いかもしれません。仮に民泊での加入が難しい場合には、旅館業専用の損害保険を探すことができます。

法的には、住宅宿泊事業であっても簡易宿所事業であっても旅館業です。

旅館業で加入する損害保険であれば、ほぼ民泊の損害リスクに応えることが可能です。

どんな保険がある?

すでに、火災保険に加入されている方は、旅館業として損害保険に加入できるかどうか保険会社に相談してみましょう。

旅館業で加入できる災害保険は、

  • 建物火災保険
  • 建物地震保険
  • 設備火災保険(家財保険として)
  • 設備地震保険(地震による家財保険として)
  • 損害賠償責任保険

などがあります。ここで非常に重要なのが損害賠償責任保険です

損害賠償責任保険とは

これまでは、民泊投資における損害リスクとして、ホストが受ける損害について解説してきました。しかし、ホスト自身が受ける損害リスクに加えて、ゲストや他人にホストが与える損害リスクがあることを忘れてはなりません。

ホストの過失が要因となって民泊施設内で事故が起きた場合には、ホストに賠償責任があるケースも考えられます。

取返しのつかない損害を他人に与えた時こそ、一大事だといえるでしょう。民泊経営を行う以上は、ゲストやその他の人に対して数百万、数千万円の多額の賠償責任を負ってしまうこともあり得るわけです。

そんな時の賠償金を補償してくれるのが損害賠償責任保険です。

旅館賠償責任保険

旅館業が加入する損害賠償責任保険は、「旅館賠償責任保険」とも呼ばれるもので、旅館やホテルの経営者のための賠償責任保険になります。

では、この旅館賠償責任にて補償できる基本的な内容を解説していきましょう。

旅館賠償責任保険の基本補償

旅館賠償責任保険の基本補償は以下の3項目になります。保険会社によって基本補償の内容は異なりますので注意して下さい。

  • 宿泊施設内の管理業務にかかる賠償責任
  • 飲食物の提供による賠償責任
  • 宿泊客の荷物(所持品)に対する賠償責任

それぞれ具体的な例を挙げていきます。

管理業務にかかる賠償責任補償

管理業務にかかる賠償責任とは、経営者の管理業務不足によって宿泊客や施設内にいる人に損害を与えた場合に発生する責任です。

例えば、

  • コーヒーメーカーの故障・破裂などで宿泊客の洋服にシミをつけた
  • 火災が発生し誘導が適切でなかったため宿泊客が火傷を負った
  • 壊れかけた階段の手すりが元で通行人が負傷した
  • 客室ベランダのフェンスが突然はずれて宿泊客が転落し死亡した

などのケースにて、経営者に賠償金を支払う義務が発生してしまいます。その際の賠償金が保険金にて支払われます。(保険金の金額は契約内容による)

万が一、経営者側の責任で宿泊客が死亡したと判断された場合は、それこそ数千万単位での賠償金が請求されたとしても不思議ではありません。(状況によっては億単位になることも)
飲食物の提供による賠償責任補償

飲食物の提供による賠償責任とは、経営者側が提供した飲食物が原因で食中毒や体調を壊した場合の責任です。

  • 食中毒で病院に運ばれた際の医療費
  • 体調を壊し旅行計画が変更になった際の損害賠償
  • 使用できなかった航空チケットや観劇チケットなどの損害賠償

などの費用を補償することができます。

宿泊客の荷物に対する賠償責任補償

荷物に対する賠償責任は、基本的に特別にフロントなどで預かったものが対象となります。預かっていた荷物が盗難に合った場合は損害賠償金が発生します。

それ以外のケースでは荷物は宿泊客が個人で管理するよう規定されているのが一般的です。

ただし、以下のケースは賠償責任の対象となります。

  • ドアのカギが壊れていた
  • 窓のカギがかからなかった
  • ロッカーのカギが壊れていた

など、経営者側に落ち度があった場合は損害賠償金を支払わねばなりません。これらの費用に対して保険金が支払われます。

以上解説してきたようなケースに備えて、損害賠償保険にも加入しておくことが大切です。とくに死亡事故に関する損害賠償補償は必須だといえるでしょう。

民泊保険とは

現状では、民泊における損害リスクに備えたくとも、火災保険や旅行損害賠償保険への加入が難しい場合が多いようです。仮に加入できたとしても、旅館業の許可がなかったりすれば、十分な補償が得られないこともあります。

民泊専門の保険プランはないの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが民泊保険です。現段階では、民泊保険という項目で加入できる保険会社はごく限られていますが、民泊保険であれば民泊におけるほとんどの損害リスクに備えることが可能です。

それでは、この民泊保険について解説していきましょう。

民泊のための保険

民泊保険とは、その名称通りに民泊運用にあたって発生するかもしれない火災や事故・過失などに対する補償を提供する保険プランのことです

この民泊保険の数は非常に少ないのですが、今後は民泊保険を提供し始める保険会社は増えてくるだろうと予想されています。

民泊保険の特徴

民泊保険の特徴として、通常の火災保険ではカバーできない領域の補償が受けられる点にあります。ゲストが起因した火災や事故・過失の損害に対して、民泊保険では幅広く対応することが可能です。

また、民泊サイトにて「ホスト保証」が提供されていますが、このホスト保証はあくまでもホストの所有物、設備、住宅にゲストが損害を与えた場合の補償で、十分ではありません。「ホスト保証」でも損害賠償に対応できるのですが、災害や事故に関する損害は補償できません。

「ホスト保証」の不足した部分を補うためにも民泊保険に加入しておけば安心なのです。

それでは最後に、民泊の損害リスクにほぼ応えることのできる、民泊専門の民泊保険をいくつかご紹介いたします。

民泊保険/三井住友海上

三井住友海上は民泊専用の保険を提供している数少ない保険会社の1つです。火災や自然災害などに対する補償に加え、ゲストとのトラブルや損害賠償など幅広い補償をカバーすることができます。

では、三井住友海上の民泊保険の基本補償を見ていきましょう。

三井住友海上の民泊保険の基本補償

基本補償は、室内の家具・家電などの設備に対する補償です。

家具・家電など設備の補償
  • 火災・落雷・破裂・爆発
  • 風災・ひょう災・雪災
  • 水災・水ぬれ
  • 盗難、破損、汚損

などによる損害に対して、保険金額100万円が補償されます。

特約で選べる補償

その他特約にて、様々な補償を加えることができます。

借家人賠償責任・修理費用特約

こちらは賃貸にて民泊経営を行うホストに適用される補償です。

賃貸物件にて大家さんに賠償責任が生じた際の費用を補償してくれるものです。1事故300万円が上限となります。

賠償責任補償特約

ゲストや他人の身体や所有物に損害を与えた際の賠償金を補償する特約です。支払い限度額は最大1億円まで可能です。

近隣へのトラブルに対する補償

さらに、騒音やごみ放置など近隣へのトラブルに対しても24時間365日対応できるサポートサービスの利用も可能です。保険会社がこのようなサービスを提供するのは業界初です。

事業用類焼損害補償特約

近隣に火災などで損害を与えた場合の賠償金を補償します。

保険代理店/BrightReachからお申込み可能

三井住友海上の民泊保険は、代理店業務を行っている「BrightReach」からお申込みやお問合せが可能です。

※三井住友海上の民泊保険の情報はこちらから

その他の民泊保険

その他の民泊保険もいくつかご紹介しておきましょう。

※そもそも一般火災保険の補償内容について、詳しく知りたい方はこちらを参考にして下さい。

※民泊投資の問題点やリスクに関する記事もご覧いただけます。

まとめ

今回は、民泊物件の損害リスクについて解説していきました。民泊用の物件の場合、一般住宅用の火災保険では十分な補償が得られないことがわかりました。

火災保険に加入する際には、民泊に対応できるかどうかの確認が大切です。

加えて、経営者側がゲストやその他の人に損害を与えた際の損害賠償補償も重要な項目です。物件への補償だけでなくトータル的に民泊事業をサポートしてくれる保険の検討が欠かせません。

  • 物件の災害・事故・ゲストの過失による損害
  • 経営上の賠償責任に対する補償

以上2つの観点から保険プランを検討することができます。それぞれ別途で探す方法と、トータル的にカバーできる民泊保険を利用する方法があります。

今回の記事をぜひ参考に、いざという時に備えた補償をしっかりと検討しておきましょう。

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