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Wechat Payは世界中で利用されているスマホ決済です。日本国内でも導入する企業が増えており、ユーザー数は世界で8憶人と非常に需要が高いキャッシュレス決済の1つです。
周知のごとく、国内では外国人観光客によるインバウンド市場は4兆円を超え、驚異的な成長を見せています。とくに中国人の消費額は全体の3分1以上を占めていることから、中国の決済サービスWechat Payが注目されています。
そんな中、うちの店舗にもWechat Payを導入すべきかと検討する経営者は多いのではないでしょうか。
そこで、今回はWechat Payとはどのような決済方法なのか、日本で導入するにはどうしたらいいのかを解説していきます。どうぞ皆さまのインバウンド対策にお役立て下さい。
中国決済サービスは必須
最近では、国内でも現金以外で支払うキャッシュレス決済が話題になる中、大手による中国決済サービスの導入が相次いでいます。
すでに、ローソン、セブン-イレブン、ファミリーマート、ビックカメラ、ヤマダ電機、東急百貨店、高島屋、ユニクロなどの大手系列では導入済で、ここ数か月に渡って地方企業で導入する動きが強まっています。
導入事例をいくつか挙げると、
- 関西空港は空港施設内の自動販売機に導入
- サッポロドラッグストアや北海道くらし百貨店
- スーパーマーケット サミット
- 新潟県 燕三条地上産センター
- 京都府 二条城の施設
- 西日本JRバス
など・・・
さらに、全国的な規模で地方の中小・個人規模の店舗でも中国決済サービスの導入を検討する経営者が増えているようです。
中国の決済サービスを代表するのが、Alipay(アリペイ)とWechat Pay(ウィーチャットペイ)で、この2つのスマホ決済が中国では圧倒的な規模で利用されています。
なぜ中国の決済サービスなのか
ここで、何故ここまで中国の決済サービスが注目されているのかというと、近年の訪日外国人の中でもとくに中国人観光客の比率が高く、消費額が非常に大きいところからきています。
2018年訪日外国人消費動向
訪日外国人による国内のインバウンド消費額は2018年度には4.5兆円で、そのうちの1.5兆円が中国人観光客によるものです。
さらに、訪日をきっかけに現地から日本のネット通販にて買い物をする人も増えているとのことです。
1人あたりの旅行支出額が高い
1人あたりの旅行支出額でも中国は上位3位にランクインしています。
2018年の訪日外国人1人あたりの旅行支出額の平均は15万3千円です。国別で見ると、オーストラリアが最も高く24万2千円、スペインが23万7千円、そして中国が22万5千円となっています。
以上のデータからも、インバウンド市場をさらに活性化していくために、効果が高いと判断されているのが中国の決済サービスなのです。
※観光庁による2018年訪日外国人消費動向のデータがこちらからご覧になれます。
http://www.mlit.go.jp/common/001283138.pdf
キャッシュレス決済
日本は治安がよいこともあり、現金を持ち歩くことに抵抗を持つ人は少ないのが現状で、現金による支払いが主流です。しかし、インバウンド市場の拡大とともに海外で利用比率が高いキャッシュレス決済を導入する動きが強まってきています。
と同時に、ポイントが付与されることを理由に、国内の消費者からも各種電子マネーやクレジットカード、スマホ決済などが注目されるようになりました。
しかし、いざキャッシュレス決済の導入を考えた時に、そもそもキャッシュレス決済についてよくわからないという方もいるでしょう。
国内の決済サービスを導入するにしても、Wechat Payを導入するにしても、キャッシュレス決済の基本的な仕組みをわかっておく必要があります。
キャッシュレス決済は大きくカードで支払うカード決済と、スマホで支払うスマホ決済の2つに分けることができます。
- カード決済
- スマホ決済
それぞれの決済方法を見ていきましょう。
カード決済とは
カードを使ったキャッシュレス決済には3種類あります。
チャージ型の電子マネーカード
Suica nanaco 楽天Edy などの電子マネーカードで、これらのカードはあらかじめ現金をチャージしおいて支払うタイプです。
クレジットカード
クレジットカードにはVISA、Mastercard、JCBなどのブランドがあり、金融機関や小売り関連の企業とクレジットカード会社が提携して発行しているカードになります。
こちらは、毎月の締め日に利用した金額のトータルが後から請求されるタイプになります。
デビットカード
デビットカードは銀行口座から直接現金を引き出しながら支払いができるタイプのカードで、原則として即時決済になります。
銀行口座の預金残高に応じて利用できるタイプです。
※いずれの場合でも、カード決済を店舗で導入する際には別途でカードリーダーが必要となります。
スマホ決済とは
もう1つのキャシュレス決済は、スマホ決済、モバイル決済、決済アプリと呼ばれる決済方法です。
スマホにインストールした決済アプリの機能を利用して、お店で支払いができます。
スマホ決済はチャージ型と後払い型の大きく2種類に分かれます。
チャージ型
ATMまたは銀行口座から、事前に現金をチャージしておくことで支払いができるタイプ。チャージした金額のみを利用することができます。
後払い型
後払い型は、クレジットカード情報を登録しておいて、利用した分の金額が月額でまとめてクレジットカードの請求と一緒に合算されるタイプです。
Wechat Payはスマホ決済
Wechat Payは上述のようなキャッシュレス決済ある中、チャージ型のスマホ決済となります。
Wechat Payに会員登録をしたユーザーが、中国の銀行口座からチャージしておいて利用するものです。
店舗は日本円で決済金額を受け取ることができます。
Wechat Payはスマホ決済の中でもQRコード決済と呼ばれる方法で、支払いを行います。
QRコード決済とは
スマホ決済には、決済情報を読み取る方法に2つの種類があります。
IC読み取り型
IC読み取り型とは、アプリに挿入してあるIC情報を非接触型の決済方法で、スマホをスキャン用の機器にかざすだけで自動的に清算してくれるタイプです。
JRの改札機やコンビニのレジなどによく利用されてあるタイプの読み取り方法になります。
IC読み取り型の場合は専用のスキャン設備が必要です。
QRコード読み取り型
QRコード決済はQRコードをスマホで読み取ることで決済ができるスマホ決済です。
中国で人気のWeChat Pay
Wechat Payは、中国語で「微信支付/ウェイシンジーフー」と呼ばれる決済アプリで、Alipayの次にシェア率が高いスマホ決済です。
もともと中国では他国に比べるとスマホ決済の普及拡大が早くから進んでいました。2018年の段階で、モバイル端末の利用者の約70%以上がスマホ決済を利用しているという状況で、Wechat Payを導入することで多くの中国人ユーザーの集客・販促が可能となります。
WeChat Payを提供しているのは?
この中国で人気のWechat Payを提供しているのはテンセントです。
テンセントの名前は日本ではあまり知られていませんが、実は世界の時価総額ランキングにて8位にランクインする巨大企業の1つなのです。
テンセントは日本でいえばLINEのようなソーシャルメディア事業を主軸に展開しているIT企業で、Wechat(ウィーチャット/微信)というソーシャルメディアサイトを運営しています。
このWechatのサービスの1部として提供されているのが、Wechat Payになります。つまり、中国ではスマホを利用している以上は、WechatやWechat Payは日常生活においては必要不可欠なサービスとして定着しているのです。
そんなWechat Payが日本のお店でも使えるとなれば、当然、Wechat Payが使えるお店に中国の観光客は流れていきます。
WeChat Payの仕組み
Wechat PayはQRコードを使ったスマホ決済ですから、特別に何か器機や設備を購入する必要はありません。
スマホやタブレット端末が利用できる環境にあれば、どのお店でも手軽に利用することができます。では、Wechat PayでQRコードを使って決済する仕組みを解説していきましょう。
QRコードの決済方法
お店でQRコードを利用する方法は至って簡単。Wechat PayのQRコードをお客さんに提示すればいいだけです。
①お店がQRコードを提示する
QRコードの提示方法は、
ミニスタンドで店内に表示する
または、スマホやタブレットで表示する方法もあります。
②お客さんがお店のQRコードを読み取る
お店が提示したQRコードを、お客さんがWechat Payのアプリを使って自分のスマホで読み取ってくれます。
そうすると、お客さんのスマホに支払い金額を入金する画面が出てきます。お客さんが支払い金額を入力したら、お店は金額を確認して承認します。
③支払い金額を承認したら決済が完了
お店が支払い金額を承認したら、Wechat Payでの支払いが完了します。お店側のWechat Payのデータに支払われた金額として記録が残ります。
Wechat Payで支払われた金額は、毎月一定の締め日にトータルの金額が計上され、指定の銀行口座に振り込まれる仕組みになっています。
④入金日は契約内容による
締め日や入金日はそれぞれの契約内容によって異なります。入金日は月に1回、2回、週ごとなどと契約内容によって異なりますので、事前に確認するようにして下さい。
WeChat Payを日本で導入する方法
ぜひともインバウンド対策として導入を検討したいWechat Payです。日本ではどのように導入すればいいのでしょうか。
日本で中国のスマホ決済 Wechat Pay を導入する方法を解説していきます。
WeChat Payの代理店に申し込みをする
Wechat Payをお店に導入するためには、Wechat Payの加盟店になる必要があります。日本では、Wechat Payの日本代理店にて申し込むことができます。
インターネットで「Wechat Pay 代理店」で検索すると、国内の代理店情報を調べることができます。大抵の場合は、ネット上で申し込みや問い合わせが可能となっていますので、気になる代理店をいくつか比較検討してみるといいでしょう。まずはお気軽にサイト内のメールから問い合わせてみることをおすすめします。
WeChat Pay 代理店:公式サイト
お申し込の流れ
Wechat Payの加盟店登録は最短で3日~2週間程度でお手続きが完了します。
お申し込の流れは以下のようになります。
- 応募フォームに記入して申し込みを行う→応募フォームはこちら
- 後日、担当より改めて正式な申し込み手続きがメールにて案内
- 申し込み書・必要書類をオンラインで返信
- Wechat Payの審査
- 加盟店登録の完了がメールにて案内
- 加盟店IDとパスワードが通知
- 端末にWechat Payアプリをインストールする
- 加盟店登録設定を行う
- Wechat Payの利用開始!
必要書類
- 申込書
- 銀行口座情報
- 身分証明書
※これらの書類はすべてPDF・JPGなどの電子書面にてWEB上で送信して頂けます。
※業種によっては営業許可証などの証明書の提示が必要な場合もあります。
WeChat Pay 導入の注意点
それでは最後に、Wechat Payを導入する際の注意点について解説しておきましょう。
決済手数料
Wechat Payの導入は、端末があれば基本的に無料ですが、手続きをされる代理店や契約内容によっては費用がかかる場合もあるので注意して下さい。また、決済手数料が決済金額に応じて2.0~3.5%程度かかり、手数料の比率も契約内容によって異なりますので必ず確認するようにしましょう。
手数料がかかることがネックとなり、ためらう方もいるかもしれません。
日本人のユーザーは非常に少ない
Wechat Payは日本人でも中国の銀行口座があれば利用できるのですが、今のところ日本人のユーザーは非常に少ないのが現状です。日本人を対象にしたキャッシュレス決済は別途で検討するようにして下さい。
英語や中国語で表示されることも
また、Wechat Payは一応日本語にて利用することができるのですが、部分的に英語または中国語の表示となる場合があります。完全に日本語だけでは完了できない操作もあります。
しかし操作方法のマニュアルがありますし、日本人は漢字を使いますので、中国語でも慣れてくれば意味がわかってくるようになります。
代理店でも操作方法などはサポートしていますので、ご不安な方はお気軽にご相談下さい。
※WeChat Pay 代理店「wechat pay.info」へのお問合せはこちらから
※下記ではWechat PayとAlipayがインバウンド対策にて必須となる理由について解説しています。ぜひ参考にしてみて下さい。
まとめ
Wechat Payは中国最大のSNSサイトWechatの機能の1つです。Wechatは月間のアクティブユーザーの数が10憶人と、日本総人口の約10倍の数を誇る巨大なサイトです。
Wechat公式サイトのデータによると、年齢層は18歳~35歳ぐらいのユーザー達が全体の約8割以上を占めています。そして、訪日中国人で最も比率が多い年齢層が20代~30代です。
そう考えると、Wechat Payの加盟店になることで得られる経済効果も思った以上に大きくなることが期待できます。
ここ数年では、東京・大阪・京都などの国内の主要都市だけでなく、地方都市においてもインバウンド市場が急成長している傾向にあります。さらに2020年には東京オリンピックを控えており、急激に押し寄せるインバウンドの高波に乗り遅れないよう準備しておくことが欠かせません。
地域、業種、お店の規模を問わずに、せっかく機会を逃さないように最強のインバウンド対策を今から計画しておくことが大切です。ぜひ、皆さまのインバウンド対策としてWechat Payを効果的に活用していきましょう。