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アリペイ(Alipay)とは、中国語で「支付宝/シーフーバォ」と呼ばれている決済アプリのことです。世界でも最大規模のキャッシュレス決済の1つで、中国では最も日常的に使われている決済方法です。最近になって国内の大手企業が続々と導入を開始しています。
中小・個人の経営者の間でもインバウンド対策に備える動きが見られる中、実は気になっている経営者も多いのではないでしょうか。
巨大な消費力を持つ中国の観光客の需要に応えることができるアリペイ決済。今回はアリペイ(Alipay)とはどのような決済サービスなのか、そして導入のメリット・デメリットを解説していきます。
(アイキャッチ画像URL:https://www.alipay.com/)
話題のキャッシュレス、アリペイ(Alipay)とは?
今、大手を筆頭にあらゆる経営者たちの間で話題になっているアリペイ。
アリペイとは、スマホ決済、モバイル決済、決済アプリなどと言われるキャッシュレス決済の1つで、スマホがあれば誰でも簡単に利用できる中国の決済サービスです。
今回は徹底的にアリペイを分析していくためにも、まずはアリババグループの解説から始めていきましょう。
アリババグループ
アリババグループは1999年に設立した、Amazonにも匹敵する程のシェア率を誇るECコマース事業者です。2019年の3月期の決算では3,768憶元(約5兆6千億円)の売り上げ高を計上しており、時価総額は4,751億ドル(約52.6兆円)の巨大企業です。
アリババの事業内容
主要はネット通販
世界のECコマース事業をリードするアリババの主要事業は「Alibaba.com」というグローバルに展開しているネット通販です。アメリカ、日本を始め14か国で展開しています。
その他にもグローバル展開している通販サイトが9ブランド、中国のローカルサイトが6ブランド運営しています。
メディア事業
また、データマネジメントやマーケティングサービスなど様々な情報配信を行うメディア事業にも取り組んでおり、「alimama」では商品売買のマッチングを行っています。
物流事業
もう1つのアリババの事業は物流サービスで、出店者・出品者と購入者間の商品の受け渡しを仲介する、物流データプラットフォームを運営しています。
ITソリューション事業
さらに、ECコマースには必要不可欠な、ネットワーク構築、ストレージ、セキュリティなどのITソリューション事業も展開しています。
ファイナンス事業
そして、アリペイ(Alipay)が属するのが「アント・ファイナンシャル」というファイナンス会社になります。
※Alibaba Japanの公式サイトが日本語でご覧いただけます。
https://www.alibaba.co.jp/
中国のキャッシュレス事情
アリペイの運営会社であるアリババの概要が大まかに分かったところで、次に中国でアリペイが普及した経緯や現状を見ていきましょう。
日本は比較的に治安がよい国ですから、現金を持ち歩いていて道中に強盗に襲われるといったケースはほとんど稀です。しかし、多くの国では現金を持ち歩くことは安全だとはいえないのが現状です。
そんな背景があり、クレジットカードやデビットカードなどの決済方法が、アメリカ、中国を始め多くの国では普及拡大していきました。
犯罪リスクが高い中国
現金を持ち歩かずに、カードを利用することで確かに犯罪のリスクを抑えることが可能ですが、それでも完全に安全だとはいえません。とくに、中国ではカードの偽造犯罪や、カード番号の不法使用などが横行していました。
このような犯罪のリスクがあったことが、モバイル決済の普及を加速させることになりました。
国土が広すぎる
また、中国は世界で4番目に広い国土を有しています。国全体にATMやクレジット決済の設備を普及させることが難しく、地域によっては、カードで入出金や支払いができないケースもありました。
国土が広すぎるため、金融関連のインフラ設備が充分に備えられていなかったことも、モバイル決済が普及した理由だと考えることができます。
スマホの普及率が非常に高い
さらに、もともとアジア圏はIT好きの国民だといわれているように、中国でも例にもれず瞬く間にスマホが普及拡大していきました。
MUFG BANK CHINA(三菱UFJ銀行 中国投資銀行部)の調査によると、2018年12月時点で中国のネット利用者規模は8憶2,851万人に達しており、前年比で59.6%も増加しているとのことです。
ネット利用者の中でも、モバイル経由でネットに接続している利用者は約98.6%とほぼ100%に近い数字を出しています。つまりは、約8憶人以上のユーザーがモバイル通信にてネットに接続していると見ることができます。
決済アプリの利用者数
中国では、約8憶人のユーザーがモバイル通信の利用者となり、モバイル決済は2017年~2018年の1年間で5億2.000万人から5億8,000万人へと増加しています。
全体のネット利用者数の約70%がモバイル(スマホ)決済を利用しているという驚異的な事実があるのです。
中国でのアリペイの普及率
それでは、次に中国でのアリペイの普及率を確認していきましょう。
中国では圧倒的な比率でモバイル決済が利用されています。中国で最もシェア率が高いモバイル決済はアリペイです。次に多いのがウィーチャットペイで、アリペイとウィーチャットペイがモバイル決済のシェア率の大半を占めています。
全体のモバイル決済のうち、アリペイのシェア率は約50%、ウィーチャットペイのシェア率が少し下回り約40%というシェア率の高さで、この2大決済アプリだけで全体の92%以上を占めています。
これらのモバイル決済のトータルの取引額は日本円で約3,000兆円を超える規模にまで成長しているのです。日本のGDP約500兆円の7倍の規模です。
アリペイ(Alipay)の仕組み
アリペイ決済がスマホで1つで利用できる決済方法ですが、具体的にどのような方法で決済するのでしょうか。
ここでは、アリペイ決済の仕組みについて解説していきます。
QRコードで決済する
アリペイ決済はQRコードを使う決済方法になります。
- お客さんがQRコードを表示→お店がスキャンして会計する
- お店がQRコードを表示→お客さんがスキャンして会計する
以上の2つの方法で決済を行います。
アリペイ利用者側の仕組み
アリペイはスマホのユーザーがアプリをインストールして利用できる決済サービスです。
アリペイのユーザーは、アリペイアプリに入金方法として中国の銀行口座を登録します。
他にもユーザー同士で送金ができたり、公共料金、お店やネット通販の支払いに利用したり、電車やバス・タクシーなどの支払いに利用したり、海外での支払いに活用したりと、現金を持ち歩かなくともお財布代わりに使うことができます。
情報検索サイトとの連結している
ここで、日本の経営者が注視しておきたいことは、アリペイアプリは情報検索サイトと連結している点です。このアリペイアプリにて海外の観光・旅行情報も調べることができるのです。
ユーザーは中国からも日本の情報を調べて予約したり、買い物したりと世界中のアリペイ加盟店のサービスが利用できるようになっています。
加盟店側の仕組み
加盟店側の仕組みは、アリペイ導入の加盟店になりたい事業者は、アリペイ決済サービスにパートナー登録の申し込みを行います。
加盟店になる場合でも、スマホやタブレットなどのモバイル端末さえあれば導入が可能です。ユーザーと同様に、アリペイアプリをインストールしておけば、ユーザーの決済を端末で受け付けることができます。
入金されるまでの流れ
決済した金額は以下の流れで、それぞれの加盟店が指定した銀行口座に振り込まれます。
- アリペイで決済する
- アリペイがお客さんのお金を受け取る
- 指定の期日(締め日)にトータル決済金額が確定する
- アリペイが決済した総額を、指定の銀行口座に振り込む
- 加盟店は決済した金額を銀行口座で受け取る
即時に決済した金額が受け取れるわけではなく、一旦、アリペイの元に決済した金額が保留されることになります。
アリペイ(Alipay)のメリット
インバウンド対策としてアリペイを導入するのは得策のように思えますが、事前にメリット・デメリットをしっかり把握しておくことが大切です。
インバウンド効果が期待できる!
アリペイを導入する最大のメリットは高いインバウンド効果が期待できることです。
今、訪日外国人の数が急激に増えていることが話題になっています。2018年度のインバウンド消費総額は4兆円を超える規模にまで拡大しています。中でも、中国からの観光客による消費が著しく高いのが目立っています。
全体の訪日外国人の消費額のうち約34%は訪日中国人によるものです。
東京オリンピックを契機にますます中国からの観光客が増えることが期待できます。アリペイの導入によって、訪日中国人の集客・販促が実施しやすくなります。
アリペイの情報サイトでアピールできる!
アリペイの加盟店であれば、アリペイ専用の情報サイト「Coupon」が活用できます。これは正直いってかなり強大な武器になります。
「Coupon」とは、中国語で「口碑/コウベイ」と呼ばれる口コミ情報サイトです。アリペイのユーザーは、飲食関連、ショッピング、エンタメ、ホテル、旅行、各種チケットなど様々な情報を検索しています。
この「Coupon」にて、お店の情報を掲載して宣伝をすることが可能です。多大な数のユーザー達からお店を選んでもらう可能性が高くなります。
※アリペイ.netでは「Coupon」に掲載する宣伝広告の作成をサポートしています!ぜひ、問い合わせてみましょう。
導入に費用がかからない!
アリペイのもう1つのメリットは、アリペイはモバイル端末さえあれば費用をかけずに簡単に導入できることです。
スマホやタブレットが利用できる環境さえ整っていれば、何かを新たに購入する必要はありません。加盟店登録もネット上で完結しますし、メールでメッセージのやり取りが可能ですから(代理店による)手間もかかりません。
多彩なサービスが期待できる!
また、Alipayは世界中から注目されている新しい決済サービスです。
各国の旅行・金融関連の企業と提携しはじめています。日本でも、PayPayと業務提携しており連結して使えるサービスがあります。今後も多彩な展開をしていくことが期待できます。
加盟店として登録している方でも、中国の銀行口座をお持ちの方はユーザーとして登録することも可能です。中国旅行に行く機会がある方は便利に活用することができます。
大手だから安心・信頼できる!
そして、大切なお金のやり取りには利用する企業の信用度は非常に重要です。
アリババグループなら、冒頭でもご紹介しましたように世界的な規模で上位にランクインしている超大手企業です。アリペイのセキュリティシステムにも高度な技術が使われています。
大手で知名度の高いアリペイなら安心・信頼して利用することができます。
アリペイ(Alipay)のデメリット
アリペイを導入の決め手となるキーワードは、やはり中国、インバウンド、観光・旅行、外国人・留学生・・・です。
これらのキーワードが関連するお店ならば、検討する価値は高い決済サービスです。
しかし、アリペイには思わず導入をためらってしまうようなデメリットもいくつかあります。事前にわかっていれば、それぞれの状況に合わせて判断できますし、安心ですよね。
アリペイ導入におけるデメリットとは、
- 決済手数料がかかる(2.0~3.5%前後/事業の規模による)→広告料?
- アプリの操作に手間取る可能性がある→代理店のサポートがある!
- 日本語版がない→簡単な英語と漢字がわかれば何とかなる!?
- 日本人の集客には不向き→別で対策を検討すればよい!?
- 通信の不具合時に利用できない→仮決済で対処できる!?
- 必ず集客できると100%保証はできない→魅力ある広告で勝負!?
などのデメリットがあることを理解しておく必要があります。
ひとまずは決済した分にしか手数料はかかりませんから、しばらく使ってみて様子を見るという方法もありますよね。アリペイ加盟店のお申込みは下記の代理店にて受け付けています。まずは、気になることを問い合わせてみましょう。
※アリペイを導入すべきかどうか迷われる方や、アリペイの導入方法を知りたい方はこちらの記事も参考にして下さい。
※中国の2大モバイル決済のもう1つは、ウィーチャットペイです。両方を導入したい方はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
日本の総人口は2019年8月の時点で1憶2,623万人です。2010年以降は徐々に減少しており、今後はさらに少子高齢化が進行していくことが予測されています。一方、中国の人口は約14憶人で、今回ご紹介したようにモバイル決済の利用者だけでも5億人以上となります。
旅費という視点から見ていけば、国内市場に目を向けるよりも近場の中国市場に活路を見出した方が効率がよい場合も考えられます。しかも、多くの20代~30代の中国の若者は日本に深い関心を寄せていて、訪日中国人や留学生の数は増え続けています。
国内の日本人だけに固執する時代は終わりました。今、日本は国際化に向けた新しい時代を迎えつつあります。
今後は海外との接点の中で、いかに商品やサービスの価値をアピールしていけるか、または需要に応えていけるかが、事業の未来を左右するといえるのではないでしょうか。ぜひ、今回の記事が皆さまの事業計画・インバウンド対策のにお役立てれば幸いです。