雇用保険の基本手当を受給するために必要なものは?受給するための手続きの流れをしっかり確認!

雇用保険は、会社を退職等した後における所得の保障を行うとともに、早期の社会復帰を目指すための支援を行うことを主な目的としている社会保険制度です。

雇用保険と聞くと、まず真っ先に思い浮かぶのが「失業給付」ですが、失業給付は会社を退職等をした人の所得補償を行うとともに、再就職を促進することを目的とした給付となっています。

今回は、基本給付をもらうため流れを手続き面からしっかりと確認することで、滞りなく受給するためのポイントを解説していきます。

1.雇用保険の受給までの流れ

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雇用保険の各種給付を受給するまでの流れとしては、以下のようになります、

【受給手続きの基本的な流れ】

①基本手当を受給する人が、必要な書類を準備してハローワークへ提出

基本手当を受給する者は、住所を管轄するハリーワークへ「求職の申込」を行うとともに、「雇用保険被保険者証」「離職票」をハローワークへ提出します。(この時点で、会社からは離職証明書をハローワークへ提出しています。)

(求職の申込時に必要なもの)(参照)ハローワーク インターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」より

・雇用保険被保険者離職票

・個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)のうち1つ)

・身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類をお持ちでない方は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
(1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
(2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など

・写真(縦3.0cm×横2.5cm 直近3ヶ月以内に撮影されたもの)2枚

・印鑑

・本人名義の銀行口座の通帳又はキャッシュカード

②雇用保険説明会に参加

求職の申し込みと必要書類の提出が終わると、次にハローワークの職員の人から「雇用保険説明会」の日程が案内されます。

雇用保険説明会は、手続きをした曜日、週によって日時が指定されており、雇用保険の基本給付を受給するにあたって注意しなければならないところや今後の具体的な手続きの流れなどについて、説明を行う会です。基本的に、1回参加すればいいのですが、都合が悪くなって指定された日時で参加できないといった状況になった場合は、ハローワークの職員にあらかじめ相談し、別の日程での参加をしなければなりません。

なお、この雇用保険説明会に参加することで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を交付されるので、基本手当だけでなく、雇用保険の給付を受ける場合には必ず受講しなければなりません。

③待期期間満了・給付制限期間経過

待期期間を満了してから、原則として、基本手当を受給することが出来るようになるわけですが、離職した理由によっては、さらに「給付制限期間」という基本手当を受給開始するまでの期間が最長で3ヶ月伸びます。その給付制限期間を経過してから基本手当の受給がスタートする形になります。

④失業の認定

基本給付を受給するためには、失業しているという認定を受けなければなりません。この失業中であることの認定は、最初に失業手当の受給に関する書類を提出したハローワークに出頭することで、失業していることの認定を受けることになります。この時に、次回の認定日がいつなのかということが案内されますので、その日時に確実にハローワークに出頭するようにしてください。

⑤基本手当の受給

失業の認定を受けたら、それから約1週間以内に基本手当がご自身が指定した銀行口座に振り込まれることになります。

2.用語の意義

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・賃金日額

退職日以前の6か月間の賃金額(総支給額)の合計を180で除して得た金額。この金額が基本手当日額の算定の基礎となる金額となります。

・基本手当日額

賃金日額に、年齢、賃金日額などの要件を勘案して決められた一定の率を乗じて算出した金額で、雇用保険の基本手当の1日当たりの支給額になります。

・雇用保険説明会

基本手当を受給する際に必要となる「受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取るために受講しなければならない説明会で、雇用保険の基本手当などの各種給付の受給するまでの流れについて説明するもので、必ず参加しなければなりません。

・待期期間

雇用保険法上、基本手当等を受給するために、失業している状態であることを証明するために、必ず経過させなければならない期間のことで、ハローワークへ求職の申し込みをした日の翌日から7日間が待期期間とされています。

・給付制限期間

会社等を離職した理由が「正当な理由のない自己都合」である場合において、基本手当を受給するまでに設けられた待期期間のことです。法令上は「1か月から3ヶ月以内の範囲」とされていますが、実質的には「3ヶ月」とされています。

・特定受給資格者

退職理由が「解雇」や「倒産」といったように、会社御都合によって退職を余儀なくされた基本手当の受給権者を言います。特定受給離職者は、一般の離職者とは違い、待期期間を満了した次の日から基本手当の受給を受けることが出来ます。

これは、退職理由が会社都合によるものである場合、次の職を見つけるまでの準備期間が短いため、所得補償などを優先的に行うことが望ましいと考えられたためです。なお、基本手当日額や賃金日額の計算の仕方は、他の一般的な退職理由の被保険者と同様になります。

おまけですが、特定受給離職者は、国民年金などの保険料についても、保険料減額申請を行うことで、保険料を少なくする手続きをすることが出来ます。

3.基本手当の受給までの手続き

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基本手当の受給をするまでの流れとしては、冒頭のところで大まかな流れは説明しましたが、ここでは、各校物の中で注意が必要なことについて解説していきます。

(失業の認定を受けるまでの流れの注意点)

失業の認定を受けるには、まず、雇用保険受給資格者証に記載されている「失業認定日(「2型ー水」など(※))」を確認してください。ここに記載されている失業認定日にハローワークに出頭しなければ、失業していたことを認定されなくなり、当然ですが、その期間中の基本手当が受給されなくなります。

(※)2型とは認定日の週型を示しており、1型から4型まであります。水とあるのは水曜日を表しており、最初に第何週の何曜日が失業の認定日となるかを表したものとなります。

ハローワークへ出頭する日までに、失業認定申告書に必要事項を記載しておく必要があります。失業認定申告書には、何日の何時にハローワークに出頭しなければならないかについてが記載されていますので、必ず祖にお記載された日時に出頭しなければなりません。そうしなければ、それまでの失業日について、失業の認定が受けられなくなるため、基本手当が受給することが出来ません

<失業認定申告書に記載しなければならないこと>

失業認定申告書は、基本手当を受給するうえで、失業をしていたことを証明するための重要な書類となっており、虚偽の内容を記載して提出すると不正受給とされてしまう恐れがあります。

・失業の認定を受けようとする期間

原則として、前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間をいいます。対象となる期間において、就労・就職、内職・手伝いをしたかことで収入を得た日があるかどうかについての記入を行う必要があります。

収入を得た日があった場合は、その該当する日について「収入額がいくらか」「何日分の収入か」などを正確に記入しなければなりません。

・失業の認定を受けようとする期間において、求職活動をしたかの確認

失業の認定を受けるためには、求職の活動実績が2回以上必要となります。その求職の活動実績をどのようにして行われたかについて自己申告する部分となります。具体的には「求職活動の方法」「いつ」「利用した機関はどこか?」「活動の詳細」を明確に記入しなければなりません。また、どの会社に応募して、その結果として現在どうなっているのか?についても記入しなければなりません。

ここで注意してほしいこととしては、求職活動の内容については、ハローワークは紹介状を発行しているため、現在の申し込み状況について、把握済みであるということです。つまり、虚偽の申告をしてもすぐにばれてしまうというので、正直に記載しましょう。

4.受給中の注意点

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受給中の注意点として、最も気を付けてほしいこととしては「不正受給」にならないようにすることです。しかし、この「不正受給」は皆さんが思っているよりも判断が厳しいものとなっており、毎年、かなりの数の摘発があがっていますので、注意が必要になります。

【不正受給とは?】

不正受給とは、簡単に言うと「虚偽の申告をして、基本手当などを受給すること」などのように、本来の手続きを経ずに受給したり、嘘の申告をして異本手当を受給することなどを言います。

不正受給をしてしまうと、今までにすでに受給していた分を返還し、さらに、その金額の2倍の金額を罰金として支払わなければならない(いわゆる「3倍倍返し」)ことになります。

【不正受給となる例】:(参考)大阪労働局HP「不正受給について(事例等)」より

1.就職や就労をしたことを申告しなかった場合。(パート、アルバイト、日雇い、試用期間、研修期間を含む。)。
2.就職日を偽って申告した場合。
3.内職や手伝いをしたこと。またその収入があったことを申告しなかった場合。
4.自営(保険代理店等を含む)を始めたこと、または、その準備をしたことを申告しなかった場合。
5.会社の役員(名義だけの役員を含む)や非常勤嘱託、顧問などに就任したことを申告しなかった場合。
6.健康保険による傷病手当金や労災保険による休業補償給付などの支給を受けたこと。また、受けようとすることを申告しなかった場合。
7.その他、就職ができる状態でなくなったこと。

【1】就職や就労をしたことを申告しなかった場合(パート、アルバイト、日雇、試用期間、研修期間を含む)

失業認定申告書には、労働をした日については、労働をした日を×印で記録しなければならないのですが、労働をしたにもかかわらず、しるしをつけないで労働をした日がないと申告をするといった場合は、不正受給となる可能性があります。

この「労働をした日」について勘違いしている人いが非常に多く、これが原因で虚偽申告とみなされて不正受給と認定された人も多くいます。

そもそも「労働をした日」とは、「収入の有無を問わず、労働をした日」をいい、その中には「パートやアルバイト、お手伝いや研修などで収入が発生したもの」も含まれますので、ちょっとしたお手伝いくらいならといった感覚で働いたものであっても、実際に収入が発生しているものである以上は「労働したもの」と扱われます。そして、必ずばれますので、ありのままに申告しましょう。

【2】就職日を偽って申告した場合

本来であれば就職日以降については受給することが出来ないはずの「基本手当」を不正に受給するために、就職日を本来の就職日よりも遅らせてハローワークに申告をした場合は、当然不正受給の対象となりますので、基本手当の受給総額の3倍返しの対象となります。

【3】内職や手伝いをしたこと、また、その収入があったことを申告しなかった場合

これは意外にも多い要件です。内職や手伝いであっても「労働をした日」であることには変わらないわけですので、必ず「労働をした日」として申告をする必要があるわけですが、ちょっとくらいならといったような甘い考えが、こういった不正受給案件を発生させることになりますので、収入の有無を問わず、働いた事実は必ず申告しなければなりません。

【4】自営(保険代理店等を含む)を始めたこと、または、その準備をしたことを申告しなかった場合

自営を始める場合については、原則として「1年以上安定した業績を上げることが出来る場合」を自営していると考えるのですが、保険代理店等のように、会社との間において代理店契約を結んで代理店を始めた場合などは、業務請負契約として業務を始めている以上は、失業している状態とは言えないため、業務を開始した日以降は基本手当は受給することはできないですが、これを申告していないわけですので、不正受給の対象となります。

【5】会社の役員(名義だけの役員を含む)や非常勤嘱託、顧問などに就任したことを申告しなかった場合

会社の役員(名義だけの役員も含む)などは、原則として雇用保険に加入することが出来ません。そのため、名義上であっても、会社の役員として名を連ねるということは、「会社に雇用される立場の者ではなくなる」と解釈されるため、雇用保険の受給者とは扱われなくなります。

【6】健康保険による傷病手当金や労災保険による休業補償級などの支給を受けたこと。又は、受けようとすることを申告しなかった場合

これは他の公的な社会保険や労働保険であっても同様の取り扱いとなっているのですが、原則として「別の保険給付を受給している場合は、支給は停止される」となっているため、同一の要件で「2以上の保険給付を受給することが出来る場合は、それぞれの法令ごとに給付制限や支給停止なを行う」といった「支給調整」の規定が定められています。

そのため、他の保険給付を受給している場合(特に「傷病」や「妊娠」を理由とした保険給付を受給している場合)は、受給期間を延長することが出来る規定がある(最長で4年間)ので、一度ハローワークへ確認をする必要があります。

【7】その他、就職が出来る状態で亡くなったこと

これは、雇用保険の基本給付等の受給要件の一つである「失業の状態」に該当しなくなったにもかかわらず、基本手当を受給している場合を指します。「失業の状態」とは、「就職をする意思があるにもかかわらず、新しい職に就くことが困難な状態」であることを言いますので、この「就職をする意思がある」という部分に該当しなかった場合(専業主婦(夫)としてやっていくと決めるなど)などが考えられます。

5.まとめ

雇用保険に限ったことではないですが、基本手当は決まった手続きの流れに従って行わなければ、思わぬところで不正受給とされてしまうことがあります。また、基本手当を受給するまでの流れの中でも最初の1か月くらいが、もっとも重要な手続きが多く、間違えやすいものも多くあります。

また、失業という概念が世間一般で考えられているようなものとは全く異なりますので、判断に迷うようなことがあった場合は、必ずハローワークにて確認をしたうえで、失業認定に関する手続きをおこなうようにして、思わぬミスを招かないようにする必要があります。

いずれにしても、雇用保険は不正受給に対しては非常に厳しくなってきています。そのため、これくらいならばといったような甘い気持ちで不正を行うと、思わぬタイミングで3倍返しをしなければならなくなることもありますので、手続きはくれぐれもありのままの内容を申告するように心がけていきましょう。

岡崎 隆宏
SRFP隆宏
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社会保険労務士・CFP認定者・1級FP技能士

外資系生保会社で6年くらい営業として実績を積み、その中でFP資格を取得し、その時の経験を活かし、お金に関する執筆を始める。

日本FP協会愛知支部の役員幹事として6年、FPとして一般消費者向けのセミナーの講師や個別相談会の相談員などを担当。得意分野は「公的年金・個人年金」「社会保険制度」「出産・育児関係」等。

現在は、社労士・FPとして、労働や年金等のお金についての記事の執筆や資格試験の講師、セミナー講師等を行っている。

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